安定同位体比分析法を用いた食品等の解析

安定同位体とは

。同位体(isotope)とは,原子番号(陽子の数)が等しく,中性子数(従って質量数)が異なる核種のことをいいます。同位体には,不安定で放射能をもつ放射性同位体と,安定で崩壊しない安定同位体とがあります。例えば炭素では,12C(質量数12)と13C(質量数13)が安定同位体であり,14C(質量数14)が放射性同位体です。

安定同位体比分析の食品分野への応用

安定同位体比分析法の原理

同位体比は試料の起源や周囲の環境要因などによりわずかではあるものの変化します。

C4植物(トウモロコシやサトウキビなど)はC3植物(アカシヤ,レンゲ,クローバーなど)に比べて高い割合で13Cを取り込むことが知られています。

安定同位体比分析の食品分野への応用

安定同位体比の記法

炭素の安定同位体比は、国際的に定められた標準物質*に対する13C/12Cの偏差として以下の式で表します。

δ‰ = 1000 x (Rsample – Rstandard)/Rstandard

Rsample:試料中の13C/12C

Rstandard:標準物質中の13C/12C

炭素安定同位体比の標準物質:PDB (Pee Dee belemnite:アメリカ・サウスカロライナ州にあるPee Dee層から産出したイカの仲間 belemniteの化石に含まれる炭酸カルシウム)が用いられる。