インフルエンザウイルスの感染と増殖の仕組み
インフルエンザウイルスとは
インフルエンザウイルスは、8本に分かれた遺伝子RNAから合成された10または11のタンパク質により構成されるとても小さな粒子(参考1)。
- インフルエンザウイルスとは(塩野義製薬)
インフルエンザウイルスの増殖の仕組み
インフルエンザウイルスは、細胞の膜上にあるシアル酸受容体に結合する。呼吸器と腸管にはインフルエンザウイルスを活性化するプロテアーゼが存在し、これによりインフルエンザウイルスが活性化(膜融合活性を獲得)する。ウイルスは細胞内に取り込まれる。プロテアーゼが存在する呼吸器と腸管では、細胞内に取り込まれたウイルスは膜融合ができるので先のステップへ進める。そうでない場合にはウイルスの侵入はここで終わる。膜融合により細胞内にウイルスが入り込み、ここで自らのRNAを放出し、そのRNAが細胞の核へと送り込まれて、ウイルスのRNAおよびmRNAが合成される。mRANはタンパク質に翻訳され、あたらしいウイルスの材料になる(参考1)。
- インフルエンザウイルスの増殖サイクル(島根県感染情報センター)
コロナウイルスが感染する仕組み
コロナウイルスのSpikeタンパク質(Sタンパク質)がヒト細胞の細胞膜のACE2受容体に結合し、細胞膜上に存在するタンパク質分解酵素TMPRSS2によって切断され、Sタンパク質が活性化される。この活性化がウイルス外膜と細胞膜との融合に必要である。
- 新型コロナウイルス感染初期のウイルス侵入過程を阻止、効率的感染阻害の可能性がある薬剤を同定(東京大学医科学研究所)
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)が感染する仕組み
ACE2が感染の際の受容体になっていることはこれまでに知られていたが、新たな受容体としてNeuropilin-1が同定された。
- 2020/10/27 新型コロナウイルスの第二の受容体が発見される(速報)
- Neuropilin-1 facilitates SARS-CoV-2 cell entry and infectivity. Science
- Neuropilin-1 is a host factor for SARS-CoV-2 infection. Science