投稿者「PhD」のアーカイブ

医科学ニュース2025

脳神経外科

脳動脈瘤

  1. 脳動脈瘤の破裂リスクの可視化へ、 患者別に血流を再現する解析手法を開発 2025年6月24日 公開 MRI画像とシミュレーションを融合し、治療判断の高度化に貢献 2025年6月24日 東京科学大学プレスリリース 実用的な計算手法の開発により、患者ごとに取得された4D flow MRI画像と数値流体力学解析を融合するデータ同化を用いて、高効率かつ高忠実に脳動脈瘤内部の血液の流れ(血流)を患者ごとに評価

肝臓学

再生医学

  1. iPS細胞からヒト肝臓の類洞血管を再構築 凝固因子分泌能を高めたオルガノイドの創出により、血友病の出血症状を改善 2025年6月26日 東京科学大学 肝臓に特有の血管「類洞(るいどう)」をもつ肝臓オルガノイドをヒトiPS細胞から作成し、第VIII因子(FVIII)などの凝固因子が高いレベルで分泌されることも確認。また、血友病Aモデルマウスへの移植実験で長期間にわたる出血症状の改善を確認した。

予後因子prognostic factorと予後予測因子prognostic predictorとの違い

予後因子」とは、基本的には「予後予測因子(prognostic factor / prognostic indicator)」のことを指します。

◆ 定義と使い方の違い

🔹 予後因子(prognostic factor)

  • ある疾患に罹患した後の病気の経過や生命予後に影響を与える要因のこと。
  • 治療とは無関係に、その因子が存在することで良い/悪い予後になる傾向がある。
  • 例:腫瘍のステージ、年齢、分子マーカー。

🔹 予後予測因子(prognostic predictor / predictive factor)

  • 厳密には「predictive factor」という言葉は治療反応を予測する因子を指すことが多く、
    • Prognostic factor(予後そのものを示す)
    • Predictive factor(治療効果の反応性を示す)
      という区別があります。

🔹 用語の整理

用語 英語 内容
予後因子 Prognostic factor 治療に関係なく予後に影響する因子
予後予測因子 Prognostic indicator Prognostic factorとほぼ同義(指標という意味が強調される)
治療予測因子 Predictive factor 特定の治療に対する反応性を予測する因子

「予後因子」と言うときには、通常「予後予測因子」の意味で使ってよく、英語では prognostic factorprognostic indicator が対応します。ただし、治療との関連を論じる場合は「predictive」と混同しないよう注意が必要です。

(ChatGPT 4o)

SGLT2阻害薬(糖尿病のお薬)の開発

 

SGLT2阻害薬と尿路感染・性器感染のリスク

SNSでも尿路感染や性器感染のリスクが話題になっていました。

  1. SGLT2阻害薬患者指導箋 JSNP版 https://www.jsnp.org/sglt2_sogaiyaku/ ⑥ 性器感染症・尿路感染症
  2. Risk of Urogenital Infections in People With Type 2 Diabetes Initiating SGLT2is Versus GLP-1RAs in Routine Clinical Care: A Danish Cohort Study Diabetes Care . 2025 Jun 1;48(6):945-954. doi: 10.2337/dc24-2169. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40173095/
  3. Genitourinary Tract Infections in Patients Taking SGLT2 Inhibitors: JACC Review Topic of the Week Journal of the American College of Cardiology Volume 83, Issue 16, 23 April 2024, Pages 1568-1578 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0735109724004170?via%3Dihub Sodium-glucose cotransporter-2 inhibitors (SGLT2is)

SGLT2阻害薬の種類

  1. https://www.kegg.jp/medicus-bin/similar_product?kegg_drug=DG01665

カナグル(田辺三菱製薬) カナグリフロジン水和物

ジャディアンス(日本ベーリンガーインゲルハイム) エンパグリフロジン

エンパグリフロジン(ジャディアンス) – 代謝疾患治療薬

SGLT2阻害薬とメトフォルミンの併用

  1. Diabetes Medications – SGLT2 inhibitors – Canagliflozin and Metformin (Invokamet) Dr. Andras Fazakas チャンネル登録者 https://www.youtube.com/watch?v=pBCR5dgTXd0

SGLT2阻害薬とダイエット

SGLT2阻害薬とダイエット、カナグルの体重減少効果について

    参考

    1. https://koganei.tsurukamekai.jp/blog/dm_sglt2.html

    放射線科

    放射線科医の仕事とAIとの関係性について

    放射線科医にとっての右と左

    放射線科医と他の診療科の医師との関係

    ヘマトキシリン・エオジン(Hematoxylin Eosin:HE)染色

    プロトコール

    1. ヘマトキシリン・エオジン(Hematoxylin Eosin:HE)染色 組織標本染色メソッド https://pathologycenter.jp/method/he.html

    臨床検査技師国家試験

    1. 平成 25 年月 20 日 13 時 30 分 〜 16 時 00 分  50 H-E 染色標本0別冊No. 82を別に示す。 この臓器はどれか。 1.甲状腺 2.肝 臓 3.膵 臓 4.副 腎 5.精 巣 https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp130422-05c.pdf 別冊No. 82 https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp130422-05d.pdf 正答 https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp130422-05e.pdf

    利益相反(Conflict of Interest, COI)とは

    利益相反(Conflict of Interest, COI)は、研究不正のニュースなどで出てくる話題のせいか、なんとなく「悪いこと」というイメージが付きまといますが、実際には、利益相反自体が「悪」というわけではありません。

    利益相反が存在すること自体は不正ではありませんし、非倫理的であることを意味するものではありません。しかし、二次的利益(個人的収入の獲得等)を重視し、利益相反の存在を隠したまま、職業上の責務に関する一次的利益(公益等)に直接関係してくる研究計画、データ採取や分析等にバイアスが生じた結果、大切な研究成果がかえって有害となる危険があります。 (e-APRIN)

    抗尿酸薬とは

    抗尿酸薬(尿酸値を下げる薬)とeGFRスロープには一定の関連があります。特に慢性腎臓病(CKD)や高尿酸血症の患者においては、腎機能の悪化(eGFR低下)と高尿酸血症の進行が関係しているため、抗尿酸薬がeGFRスロープに影響を与えるかどうかが研究されてきました。


    💊抗尿酸薬とeGFRスロープ:関係の概要

    代表的な抗尿酸薬:

    • アロプリノール(キサンチンオキシダーゼ阻害薬)
    • フェブキソスタット(同じくXO阻害薬)
    • ドチヌラド、ベンズブロマロン(尿酸排泄促進薬)

    🔍eGFRスロープへの影響

    ✅ 期待される効果

    • 高尿酸血症は腎臓に有害(尿細管障害や血管内皮障害、酸化ストレスなどを介して)。
    • そのため、尿酸値を低下させればeGFRの低下スピードが緩やかになる可能性がある、と考えられています。

    🔬エビデンスの状況

    • 一部の観察研究では、フェブキソスタットやアロプリノールの投与でeGFRスロープが改善したという報告があります。
    • ただし、大規模RCT(無作為化比較試験)では必ずしも明確な腎保護効果が示されておらず、抗尿酸薬によるeGFRスロープ改善効果は確定的ではありません

    例:

    • FEATHER試験(フェブキソスタット vs プラセボ):eGFRスロープに有意差はみられず。
    • CKD-FIX試験(アロプリノール vs プラセボ):腎機能悪化の抑制効果は示されず。

    📉一方で注意すべき点

    • 腎機能がすでに低下している場合、抗尿酸薬の種類や用量には注意が必要(特にアロプリノールは蓄積しやすい)。
    • 一部の薬剤は腎排泄されるため、腎機能に応じた投与量調整が必要です。

    🧾まとめ

    観点 内容
    理論的背景 高尿酸血症は腎機能悪化と関連があり、尿酸低下でeGFRスロープ改善が期待される。
    エビデンス 限定的。一部で改善効果が示されているが、大規模試験では明確な効果なし。
    臨床での位置づけ 抗尿酸薬は「腎保護目的」ではなく「尿酸管理目的」で処方されることが多い。

     

    eGFRとは?eGFR slopeとは?腎機能を表す指標 estimated Glomerular Filtration Rate(推算糸球体濾過量)の時間的変化(傾き)

    eGFRスロープとは、**estimated Glomerular Filtration Rate(推算糸球体濾過量)の時間的変化、つまりeGFRが時間とともにどの程度の速さで低下または改善しているかを示す傾き(slope)**のことです。単位は「mL/min/1.73m²/year」などで表されます。


    🔬eGFRスロープとは?

    • eGFRは腎機能を表す指標で、値が高いほど腎機能が良好。
    • eGFRスロープは「年間何mL/min/1.73m²のペースでeGFRが変化しているか」を示す。
    • 通常、慢性腎臓病(CKD)ではeGFRは徐々に低下していくので、スロープはマイナスになります。

    💊SGLT2阻害薬とeGFRスロープの関係

    SGLT2阻害薬(例:ダパグリフロジン、エンパグリフロジンなど)は、糖尿病治療薬として使われるだけでなく、腎保護作用があることが多数の臨床試験で示されています。

    ✔︎ どのように関係するの?

    • 初期にeGFRが一時的に低下(「dip」または「初期drop」)することがある。
    • しかし、その後のeGFRの低下スピード(スロープ)が緩やかになる
    • つまり、長期的にはeGFRスロープが改善(フラットになる)=腎機能の悪化を遅らせる

    📈eGFRスロープがどうだと、どうなの?

    スロープの傾き 腎機能の状態 臨床的な意味
    急なマイナス(低下が早い) 腎機能が急速に悪化 末期腎不全や透析リスクが高まる
    緩やかなマイナス(低下が遅い) 腎機能がゆっくり悪化 治療介入の効果あり
    0に近い or プラス(安定または改善) 腎機能が安定、または改善 治療が極めて有効、または自然回復

    🧪臨床試験での活用

    例えば、SGLT2阻害薬の大規模試験(CREDENCE, DAPA-CKDなど)では、プラセボ群と比較して、eGFRスロープが有意に改善したことが示されています。これは、腎保護作用の有力な証拠の一つです。


    ✍️まとめ

    • eGFRスロープ = 腎機能の低下スピードを示す指標。
    • SGLT2阻害薬はこのスロープを改善し、CKDの進行を抑える。
    • スロープが急なら悪化、緩やかなら安定、フラット~プラスなら腎機能が維持または回復。

    (ChatGPT 4o)

    eGFR は、
    estimated Glomerular Filtration Rate(推算糸球体濾過量)
    の略で、腎臓の働き(特に糸球体のろ過能力)を推定する指標です。


    1. 何を表すのか

    • 腎臓の糸球体で、1分間にどれくらいの血漿がろ過されるかをmL/分/1.73m²で表します。
    • 正常では 90〜120 mL/min/1.73m² 程度。
    • 腎機能が低下すると数値が下がります。

    2. なぜ「e」なのか

    • 実際にGFRを測るには、イヌリンクリアランスなどの複雑な検査が必要。
    • 日常臨床では、血清クレアチニン値・年齢・性別(場合によっては人種)を使った計算式で推定(estimated)します。
    • 日本では日本人向け補正式が使われています。

    3. 臨床での位置づけ

    • 慢性腎臓病(CKD)の診断・重症度分類に必須。
      • G1:eGFR ≥90(正常〜高値)
      • G2:60〜89(軽度低下)
      • G3a:45〜59
      • G3b:30〜44
      • G4:15〜29
      • G5:<15(腎不全)
    • 高血圧や糖尿病患者の経過観察にもよく使われます。

    💡 読み方

    • 日本の医療現場:ほぼ 「イー・ジー・エフ・アール」 とアルファベット読み。
    • 略さず言うことはほぼありません。

     

    BUN・クレアチニン(Cr)・eGFRの違いと臨床での使い分け

    1. それぞれの意味と特徴

    BUN(血中尿素窒素)

    • 何を測っているか
      タンパク質代謝の最終産物である尿素に含まれる窒素量。
    • 影響を受けやすい要因
      腎機能だけでなく、脱水、消化管出血、高蛋白食、肝機能などでも上下します。
    • 特徴
      腎機能の指標にはなるが、非腎性要因で変動しやすく特異性が低い

    クレアチニン(Creatinine, Cr)

    • 何を測っているか
      筋肉中のクレアチンが代謝されてできる老廃物。ほぼ一定速度で産生され、腎臓から排泄される。
    • 影響を受ける要因
      腎機能の低下で上昇。筋肉量の多少(高齢者ややせ型では低値)にも影響。
    • 特徴
      腎機能の評価にBUNよりは信頼できるが、腎機能が半分くらい落ちるまで上昇しにくい(感度が低い)。

    eGFR(推算糸球体濾過量)

    • 何を測っているか
      クレアチニン値・年齢・性別から糸球体のろ過能力を推定した値(mL/min/1.73m²)。
    • 影響を受ける要因
      基本的には腎機能依存。筋肉量の影響はCrより軽減されるが完全ではない。
    • 特徴
      CKDの診断や重症度分類の基準として国際的に使用される標準指標

    2. 臨床的な使い分け

    • BUN
      • 脱水か腎機能障害かの鑑別に有用(BUN/Cr比を見る)
      • 消化管出血や高蛋白食など腎臓以外の要因評価にも使える
    • クレアチニン
      • 腎機能の変化を比較的鋭敏に反映
      • 急性腎障害(AKI)の診断基準にも含まれる
    • eGFR
      • 腎機能の定量的評価と長期フォローアップに最適
      • CKDの診断・進行度分類に必須
      • 薬剤の腎排泄能に応じた投与量調整の参考にも使う

    💡 まとめると

    • BUN:幅広く変動 → 脱水や代謝状態の評価にも
    • Cr:腎機能の変化を反映するが筋肉量に左右される
    • eGFR:腎機能の国際的な標準評価指標

    (ChatGPT 5)

     

    膠芽腫(グリオブラストーマ):その病態、治療の現在と未来

    膠芽腫(こうがしゅ、グリオブラストーマ)は、脳に発生する悪性度の高い原発性脳腫瘍です。成人において最も頻度が高く、治療が非常に困難な疾患として知られています。本稿では、膠芽腫の罹患状況、発がんのメカニズム、現在の標準的な治療戦略、そして期待される将来の治療法について、最新の知見を交えて解説します。

    罹患と発がんの機序

    罹患状況

    膠芽腫の罹患率は、人口10万人あたり年間2〜3人程度と比較的稀な疾患ですが、原発性悪性脳腫瘍の中では約10%を占め、最も頻度の高いタイプです。日本国内では、年間約2,000人が新たに診断されていると推定されています。発症は50歳以降の高齢者に多い傾向がありますが、小児から若年成人まで幅広い年齢層でみられます。男女比では、男性にやや多く発症することが報告されています。

    発がんの機序

    膠芽腫の発生メカニズムは完全には解明されていませんが、複数の遺伝子異常や細胞内のシグナル伝達経路の破綻が複雑に関与していると考えられています。主要な要因は以下の通りです。

    • 遺伝子変異: 特定の遺伝子の変異が、がんの発生と進行に中心的な役割を果たします。特に、IDH(イソクエン酸デヒドロゲナーゼ)遺伝子の変異の有無は、膠芽腫の分類や予後を左右する重要な指標です。IDH野生型膠芽腫は、変異型に比べて悪性度が高く、予後が不良であることが知られています。その他にも、EGFR(上皮成長因子受容体)遺伝子の増幅、TERTプロモーター変異、CDKN2A/B遺伝子の欠失など、多様な遺伝子異常が関与しています。
    • 腫瘍微小環境: 腫瘍細胞だけでなく、その周囲を取り巻く血管、免疫細胞、細胞外マトリックスなどが形成する「腫瘍微小環境」も、膠芽腫の増殖や浸潤、治療抵抗性に深く関わっています。腫瘍は、この微小環境を巧みに利用し、免疫系の攻撃から逃れたり、自身の増殖に適した環境を作り出したりします。
    • がん幹細胞: 腫瘍組織の中には、自己複製能力と多分化能を持つ「がん幹細胞」が存在すると考えられています。このがん幹細胞が、腫瘍の再発や治療抵抗性の根源であるとされ、治療の重要な標的として研究が進められています。
    • 環境要因: 高線量の放射線被曝は、膠芽腫の数少ない確立されたリスク因子です。しかし、ほとんどの症例では、明確な原因を特定することはできません。

    治療戦略の現状

    膠芽腫の治療は、複数の治療法を組み合わせた集学的治療が基本となります。しかし、脳内に染み込むように広がる(浸潤性)性質のため、完全な治癒は極めて困難です。

    現在の標準治療

    現在の標準治療は、以下の3つを組み合わせたものです。

    1. 手術(可及的最大限の摘出): まず、可能な限り安全に腫瘍を摘出する手術が行われます。手術の目的は、腫瘍の量を減らして症状を緩和し、後続の治療効果を高めることです。手術中にMRIを撮影する術中MRIや、特殊な薬剤を用いて腫瘍を光らせる術中蛍光診断などの技術により、摘出率の向上が図られています。
    2. 放射線治療: 手術後に残存した腫瘍細胞を叩くため、放射線治療が行われます。通常、6週間にわたって分割して照射します。
    3. 化学療法(テモゾロミド): 放射線治療と並行して、テモゾロミド(製品名:テモダール)という経口の抗がん剤を服用します。放射線治療終了後も、維持療法としてテモゾロミドの服用を継続します。

    その他の治療法

    • 交流電場腫瘍治療(オプチューン®): 頭皮に電極パッドを貼り、微弱な交流電場を発生させることで、がん細胞の分裂を阻害する治療法です。初発膠芽腫の患者さんに対する維持療法として、標準治療との併用で生存期間の延長効果が示されています。
    • ベバシズマブ(製品名:アバスチン®): 再発時の治療選択肢の一つとして、腫瘍の血管新生を阻害する分子標的薬であるベバシズマブが使用されることがあります。

    これらの治療法を駆使しても、膠芽腫の予後は依然として厳しく、5年生存率は10%未満とされています。

    将来の展望

    この厳しい状況を打破するため、世界中で精力的な研究開発が進められており、新たな治療法への期待が高まっています。

    1. 免疫療法

    患者自身の免疫力を利用してがんを攻撃する治療法です。

    • CAR-T細胞療法: 患者の免疫細胞(T細胞)に、がん細胞を特異的に認識する受容体(CAR)を遺伝子導入して体内に戻し、がんを攻撃させる治療法です。臨床試験で有望な結果が報告され始めています。
    • がんワクチン: 摘出した自身の腫瘍組織などを用いて作成したワクチンを投与し、体内でがんに対する免疫応答を誘導する治療法です。
    • 免疫チェックポイント阻害薬: 免疫細胞の働きにブレーキをかける分子(免疫チェックポイント)の作用を阻害し、免疫系ががんを攻撃しやすくする薬剤です。他のがん種で大きな成果を上げていますが、膠芽腫に対する単独での効果は限定的であり、併用療法の研究が進められています。
    1. 分子標的薬・新規薬剤

    がん細胞の増殖や生存に不可欠な特定の分子を狙い撃ちする薬剤です。

    • 新規分子標的薬: IDH変異やEGFR変異など、膠芽腫に特徴的な遺伝子異常を標的とした薬剤の開発が進んでいます。
    • 放射性薬剤: 放射性同位元素を標識した薬剤を投与し、がん細胞に集積させて内部から放射線を照射する治療法です。日本で開発された64Cu-ATSMなどが、再発・難治性の膠芽腫に対して有望な結果を示し、臨床試験が進められています。
    1. オンコリティックウイルス療法

    がん細胞でのみ増殖してがん細胞を破壊するように遺伝子改変したウイルス(オンコリティックウイルス)を用いる治療法です。ウイルスががん細胞を破壊するだけでなく、免疫応答を惹起する効果も期待されています。

    1. 遺伝子治療・RNA療法

    mRNA技術などを応用し、がんの増殖に関わる遺伝子の働きを制御したり、がんに対する免疫応答を強めたりするアプローチも研究されています。

    これらの新しい治療法は、単独で用いるだけでなく、既存の治療法と組み合わせることで、より高い治療効果を目指す研究が活発に行われています。膠芽腫の治療は未だ多くの課題を抱えていますが、分子生物学的な理解の深化と革新的な治療法の開発により、将来的には個々の患者さんの腫瘍の特性に合わせた「個別化医療」が実現し、予後が大きく改善されることが期待されています。

    (Google Gemini 20250614)