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麻酔科医の仕事とは?

麻酔科医の仕事

麻酔科医の仕事は、周術期の循環管理、呼吸管理、疼痛管理です。

  1. 麻酔科医の役割 日本麻酔科学会

麻酔科の年収

  1. 【医師の年収事情】なぜ麻酔科医は高給与なのか? 2019.01.25 マイナビドクター 麻酔科は医師の中でも特に給与水準(年収)が高い診療科といわれています。大学病院やその関連病院 麻酔科医の年収は800万~1,200万円程度 勤務医全体の平均年収が1,232.69万円 民間病院に勤務する麻酔科医の平均年収は1,200万~2,000万円程度 フリーランスの麻酔科医の日給は8万円~12万円
  2. 麻酔科医の平均年収は?激務って本当?労働環境や年収アップの方法を解説 メディカルジョブ

麻酔科医の働き方に関するニュース

  1. 麻酔科医の働き方を変える「ロボット麻酔システム」を共同開発 ~患者60人規模の臨床評価に着手~ 2019年4月16日 国立大学法人 福井大学
  2. 麻酔科医のマンパワー不足を考える 医学会新聞

麻酔科の医療事故

  1. 医師は安全な薬と言った… 息子失った父「過ち認めて」 有料記事 村上友里 岩田恵実2021年6月24日 20時44分 朝日新聞DIGITAL 東京女子医大病院2014年、当時2歳の男児が麻酔薬「プロポフォール」を大量に投与され3日後に死亡  裁判長は判決で、麻酔科医ら3人は、人工呼吸器をつけた子どもへの使用が原則禁じられたプロポフォールを「高用量かつ長時間使用した」として、医療判断の過失があったと認定
  2. Vol.083 麻酔薬は患者の状態等に配慮した投与を ~因果関係を否定した原審の判断が違法とされた事例~ 民間医局 -最高裁平成21年3月27日第二小法廷判決- 最高裁は、まず、次に挙げる個別事情によれば、麻酔科医であるK医師は、プロポフォール塩酸メピバカインを併用する場合には、プロポフォールの投与速度を通常よりも緩やかなものとし、塩酸メピバカインの投与量を通常よりも少なくするなどの投与量の調整をしなければ、65歳という年齢の桜にとってはプロポフォールや塩酸メピバカインの作用が強すぎて、血圧低下、心停止、死亡という機序をたどる可能性が十分あることを予見できたと判示した。

pHとは?水素イオン濃度の対数をとってマイナスにしたもの もしくは 濃度を指数表示したときの指数をマイナスにしたもの

10の7乗を英語で言うと “10 to the power of 7″になります。つまり指数のことをパワーというわけです。化学ででてくるpHのpは、この指数(power)のpのことです。水素イオンH+の濃度が、

[H+]  = 10^(-7)

のときに、この指数-7のマイナスつまり7がpHになります。同じことですがもう少し数学的な言葉をつかうと、対数をとってマイナスにしたものということになります。

pH = – log [H+]  =- log (10^(-7)) = -(-7) = 7

  1. ハーパー生化学 pH IS THE NEGATIVE LOG OF THE HYDROGEN ION CONCENTRATION

pHの値が1違うということは、10倍違うという意味になります。pH7の溶液とpH6の溶液では、pH6の溶液のほうがpH7の溶液よりも、水素イオン濃度が10倍大きいというわけです。

 

リボソームとは?細胞内小器官のひとつでありタンパク質合成の場となっている

タンパク質合成の場となっている細胞内小器官がリボソームです。

The ribosome catalyzes protein synthesis in all cells by coupling the decoding of messenger RNA by the small ribosomal subunit with peptide bond formation by the large ribosomal subunit.

Nucleolar maturation of the human small subunit processome  SCIENCE 10 Sep 2021 Vol 373, Issue 6560 DOI: 10.1126/science.abj5338

細胞質中に浮いて存在しているものと、小胞体の膜上に結合して(粗面小胞体)いるものとがあります。細胞質中のリボソームは細胞質に局在するタンパク質合成を司ります。粗面小胞体上のリボソームは、合成されたタンパク質が粗面小胞体の内部の空間に放出され、ゴルジ体などでの化学修飾を受けたのちに細胞外に分泌されたりします。

  1. 4.8 : Ribosomes JOVE
  2. The Cell: A Molecular Approach. 2nd edition. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK9939/ The most prominent substructure within the nucleus is the nucleolus (see Figure 8.1), which is the site of rRNA transcription and processing, and of ribosome assembly.
  3. Nucleolar maturation of the human small subunit processome  SCIENCE 10 Sep 2021 Vol 373, Issue 6560 DOI: 10.1126/science.abj5338

成人男性の60%は水分 生体における水の働き 

成人男性の場合、体の重さの60%は「水」です。人間の体の構成要素のうち、ほとんどは水にすぎないんですね。同じ体重で比べた場合、女性の方が男性よりも脂肪が多いため、そして脂肪は他の組織に比べて水分を保持する量がすくないため、女性の体に占める水分は55%程度です。教科書によっては人間の水分は50%~60%と紹介されています。

また、赤ちゃんと老人とを考えてみると、見た目そのままです。赤ちゃんの肌は、みずみずしいことからもわかるように水分は成人と比べるとずっと多くて80%もあります。逆に老人はパッと見も干からびて見える通り、成人よりも水分は少なくて50%~55%程度です。

  1. 身体の体重の60%は水分でできている 大塚製薬 成人男性で体重の60%、新生児で約80%が「体液」とよばれる水分

水は生体にとって重要な役割を担っています。そのうちの一つが体温調節。水は比熱が大きいので寒暖の変化でも急激な体温変化を生じにくいというメリットがあります。もし比熱が小さければ、ちょっとの気温の変化が体温の変化に大きく影響してしまいます。また暑いときには汗をかきますが汗が気化するときに気化熱を周りから奪うので体温を下げる効果があります。つまり水を利用して、余計な熱を体から捨てることができているのですね。

水は、体内を循環する血液の主要な部分でもあります。水(血液)の循環により体の隅々まで体温を一定に保つことができます。

血液の循環が体温を調節していることを実感できる例として、例えば、冬の厳しい寒さの中で首筋が露出していると、熱を奪われて温度がさがり、血液の循環のために体温が下がることが経験されます。なのでマフラーをしたりして肌を露出させないで保温すれば熱を奪われなくてすみます。

  1. 4.2 : Role of Water in Human Biology JOVE
  2. なぜ体には水が必要なの?|体液の成分と働き 2018/11/26 看護roo!

水はまた、さまざまな生体物質を溶解させ、化学反応を生じる場を提供しています。水はまた、血流によって物質を必要な組織まで運んでいると考えることもできます。

  1. 第1章 水の性質と役割 文部科学省

参考

  1. ヒトの体温調節 神戸女子大学 森本武利 体温が一定に保たれるためには,以上で述べた産熱量放熱量が等しくなる必要がある.これを式で表すと,M=E±R±C±Sとなる.ここでMは代謝による熱産生量,E,R,C,はそれぞれ蒸発,輻射,伝導・対流により体内外で移動した熱量,Sは蓄熱量で,平均体温の変化量に体重と体組織の比熱(0.83kcal/kg・℃)を掛けて求めることができ,この値が0の場合には体温が一定であることを示す.

ヘモグロビンA1C hemoglobin A1Cがなぜ血糖値と相関するのか

健康診断の血液検査の結果としてヘモグロビンA1Cの値が出ますが、これが高いということは、血糖値が高いと解釈されます。タンパク質と糖が化学結合して、糖化されたタンパク質が生じますが、血液中の糖(グルコース)と赤血球の中のヘモグロビンが化学結合してしまって糖化されたヘモグロビンすなわちヘモグロビンA1Cが生じます。HbA1cの数値は割合を示しています。

HbA1c(%) = 糖が結合したヘモグロビン量/すべてのヘモグロビン量

https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/ld/endocrinology/hba1c/

HbA1cの正常範囲は、糖尿病治療ガイドライン(日本糖尿病学会)で4.6〜6.2%です。特定保健指導の基準値は5.6%未満です。

https://www.kagayaki-naika.jp/hba1c/

ヘモグロビンA1Cの値が高さは、血糖値の高さを反映しています。

Why Is Hemoglobin A1c Important? Cleveland Clinic チャンネル登録者数 50.9万人

  1. HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)ってなに? 国立循環器病センター HbA1cは糖化ヘモグロビンがどのくらいの割合で存在しているかパーセント(%)で表したものです。HbA1cは過去1~2ヶ月前の血糖値を反映しますので、当日の食事や運動など短期間の血糖値の影響を受けません。HbA1c(%) = 糖が結合したヘモグロビン量/すべてのヘモグロビン量 

解糖系の講義動画

Glycolysis – Biochemistry (41:26) The Organic Chemistry Tutor チャンネル登録者数 765万人

Cellular Respiration Part 1: Glycolysis (8:11) Professor Dave Explains チャンネル登録者数 294万人

Metabolism | Glycolysis (34:32) Ninja Nerd チャンネル登録者数 293万人

Glycolysis Pathway Made Simple !! Biochemistry Lecture on Glycolysis (6:37) MEDSimplified チャンネル登録者数 137万人

Glycolysis Made Easy! Dr Matt & Dr Mike (28:11) チャンネル登録者数 67.7万人

化学構造をあまり表に出さないで解説しています。

神経誘導の分子シグナリング、神経板の形成

シュペーマンとマンゴールドによる両生類の原口背唇部の移植実験:誘導の発見とその概念の確立

シュペーマンHans SpemannとマンゴールドHilde Mangoldによるイモリを用いた移植実験で、原口背唇部(げんこうはいしんぶ)オーガナイザーと呼ばれる領域を胚の他の場所(胞胚腔など)に移植すると、周囲の組織に「誘導」をかけて二次の体軸が発生することが示されました。

  1. https://journals.biologists.com/dev/article/135/20/3321/19420/Induction-into-the-Hall-of-Fame-tracing-the Fig.1

The term ‘organization centre’ was first introduced by Hans Spemann (Spemann and Mangold, 1924)

the blastopore lip of the early gastrula of the newt Triturus taeniatus had the ability to cause the formation of a full axis when transplanted onto the opposite side of a similarly staged embryo of Triturus cristatus, a different unpigmented species.

the 1924 report could discern between the host and the graft by pigment differences, which revealed the important point that the ectopic tissue developed from the host tissue.

On the nature and function of organizers Alfonso Martinez Arias* and Ben Steventon* Development. 2018 Mar 1; 145(5): dev159525. PMCID: PMC5868996

移植された組織自体は、二次軸の体の主要な部分すなわち神経系や筋肉などにはなっておらず、脊索や体節の一部(つまり、もともと自分がなる運命だった組織)といった中胚葉性の組織になっていました。つまり、本来、神経系や筋肉などになる予定ではなかった部分が、移植片によって発生運命を変更されたというわけです。この論文報告は、ある組織が他の組織に働きかけて発生の運命を変える「誘導」という現象を初めてしめした、発生学において非常に意義のあるものでした。

Über Induktion von Embryonalanlagen durch implantation artfremder Organisatoren (PDF 1924年のドイツ語の論文)

この1924年の論文の実験でつくられた標本(ガラスプレパラート)が残っているみたいで、異所的につくられた2次胚の組織が高解像度で見ることができます。

Hilde Mangold: Original microscope slides and records of the gastrula organizer experiments Wolfgang Driever a b, Jochen Holzschuh a, Luise Sommer c, Roland Nitschke b d, Angela Naumann b d, Jenny Elmer c 1, Peter Giere c Cells & Development 28 February 2024, 203909

他の動物種でも同様の実験が行われて同様の結果が得られたことから、「誘導」という概念が確立しました。

  • the organizer is responsible for neural induction
  • the organizer dorsalizes the mesoderm

Induction into the Hall of Fame: tracing the lineage of Spemann’s organizer Richard Harland Author and article information 15 OCTOBER 2008 Development (2008) 135 (20): 3321–3323.

ちなみに、発生学の実験において背側の組織、腹側の組織が形成されたといったときに実際に指しているのは具体的にいうと

  • dorsal: neural plate, notochord and somites
  • ventral:blood and gut

ちなみに中胚葉(脊索)→外胚葉に働きかけて神経系が誘導されたわけですが、そのオーガナイザー(中胚葉)自身もそもそも「誘導」によって生じています(ニュークープの実験)。

当然生じる次なる疑問は、誘導を実際に担っている分子的な実体は何か?ということで、この分子実体の探求が、分子生物学の隆盛後の発生学の主要な潮流になりました。

 

アフリカツメガエルの神経誘導

Spemann-Mangold organizer and mesoderm induction Makoto Asashima, Yumeko Satou-Kobayashi Cells & Development Available online 1 February 2024, 203903

上の図では中胚葉が外胚葉に働きかけて神経誘導を行うことが模式的に示されています。

  1. Introducing the Spemann-Mangold organizer: experiments and insights that generated a key concept in developmental biology Int. J. Dev. Biol. 45: 1-11 (2001) PDF

Spemann and Mangold () provided the initial insight showing that transplantation of dorsal lip mesoderm of the gastrulating amphibian embryo would induce an ectopic secondary axis that included a central nervous system (CNS). This led to the view that neural inducers emanate from dorsal mesoderm, a region also called Spemann’s organizer.

neural induction may start very early in development with signals mediated by the β-Catenin pathway. 

Neural Induction in the Absence of Mesoderm: β-Catenin Dependent Expression of Secreted BMP Antagonists at the Blastula Stage in Xenopus Oliver Wessely,1 Eric Agius,1,2 Michael Oelgeschläger, Edgar M. Pera, and E. M. De Robertis* Dev Biol. 2001 Jun 1; 234(1): 161–173. doi: 10.1006/dbio.2001.0258 PMCID: PMC3039525 NIHMSID: NIHMS43280 PMID: 11356027

外胚葉の一部がどのようなシグナルによって神経板になるのかについては、別記事にまとめました。

  1. 神経板の形成:神経誘導

頭部形成因子:Wntアンタゴニスト

神経発生に関与するシグナル分子はなかなか多彩で、BMPシグナリングだけでなくWntシグナリングも重要な役割を担っています。

Wnt antagonists, such as Cerberus (also inhibiting BMP and Nodal), Frizzled-related protein B (Frzb), and Dickkopf (Dkk), promote anterior neural development (Bouwmeester et al., 1996Piccolo et al., 1999Wang et al., 1997Glinka et al., 1998).

Spemann-Mangold organizer and mesoderm induction Makoto Asashima, Yumeko Satou-Kobayashi Cells & Development Available online 1 February 2024, 203903

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2667290124000044

  1. Head organizer: Cerberus and IGF cooperate in brain induction in Xenopus embryos agmur Azbazdar a, Edgar M. Pera b, Edward M. De Robertis a Cells & Development Available online 16 December 2023, 203897 Spemann later found that early dorsal blastopore lips induced heads and late organizers trunk-tail structures. Identifying region-specific organizer signals has been a driving force in the progress of animal biology. Head induction in the absence of trunk is designated archencephalic differentiation. Two specific head inducers, Cerberus and Insulin-like growth factors (IGFs), that induce archencephalic brain but not trunk-tail structures have been described previously.
  2. Neural and Head Induction by Insulin-like Growth Factor Signals Edgar M. Pera, Oliver Wessely, Su-Yu Li, E.M. De Robertis Developmental Cell Volume 1, Issue 5, November 2001, Pages 655-665 

尾部の神経誘導因子

Wntシグナルのアンタゴニストが頭部を形成する活性があったことの裏返しで、Wntシグナルは尾部の神経系の形成に関与しています。また、FGFやRA(レチノイン酸)も尾部の神経系の形成に関与しています。

FGF, RA, and Wnt signaling are required for posteriorization of neural tissues (Cox and Hemmati-Brivanlou, 1995Kengaku and Okamoto, 1995Lamb and Harland, 1995Durston et al., 1989Sive et al., 1990Blumberg et al., 1997McGrew et al., 1995Kiecker and Niehrs, 2001)

Spemann-Mangold organizer and mesoderm induction Makoto Asashima, Yumeko Satou-Kobayashi Cells & Development Available online 1 February 2024, 203903

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2667290124000044

上の論文の図では、神経誘導因子、頭部、尾部それぞれで働くシグナル経路がまとめられていてわかりやすいと思います。しかし、中胚葉誘導因子や神経誘導因子(シュペーマンのオーガナイザー分子)

神経板の分子マーカーSox2発現のメカニズム

  1. Sex-determining region Y-related HMG box 2 (SOX2)
  2. High-mobility group (HMG) box transcription factors

神経板が誘導される過程で働く分子シグナリングはかなり複雑のようです。下の論文はかなり詳細に分子シグナリングを報告して、その当時の既知の情報にもとづいた仮説(モデル)を提示しています。

  • the earliest definitive marker for the neural plate is the transcription factor Sox2.
  • N2, the earliest enhancer of Sox2
  • fibroblast growth factor 8 (FGF8)により誘導されるpre-neural genesSox3ERNI, , Churchill,Geminin (これらの遺伝子発現は、Sox2遺伝子発現に先行する)
  • FGF activity induces both ERNI [18,36] and Geminin (this study) in the epiblast.
  • Geminin binds to the chromoshadow-binding domain of Brm, displacing HP1α (Figure 4G).
  • the interaction of ERNI with Geminin recruits the transcriptional repressor HP1γ, thus continuing to prevent premature expression of Sox2 in the epiblast (Figure 7E).
  • FGF is required for both mesodermal [5154] and neural induction [36,55,56]. 同じシグナルを受けて異なる分化をとげるメカニズムは、受けて側のタイミングや場所の違いによると考えられる
  • BERT is up-regulated within the neural plate, where it binds to both ERNI and Geminin and displaces ERNI-HP1γ complexes away from Brm, freeing the latter to activate N2 and thus Sox2 expression (Figure 9M).
  • We propose that BERT disrupts the interaction between Geminin and ERNI, displacing HP1γ from the N2 enhancer and thus allowing Geminin/Brahma(Brm) to induce Sox2 expression.(Fig.9M)
  • FGF signaling activates ERNI as well as Sox3 and Geminin expression in the epiblast.
  • BERTはFGFで誘導されず、BMP antagonistsでも、 既知のどんな組み合わせのシグナル分子でも誘導されない。つまり、BERTが活性化される仕組みはまだ不明であり将来の課題である。

A Mechanism Regulating the Onset of Sox2 Expression in the Embryonic Neural Plate 2008年 https://journals.plos.org/plosbiology/article?id=10.1371/journal.pbio.0060002

上の論文では神経板の分子マーカー転写因子Sox2の発現制御が論じられていました。下の論文のアフリカツメガエルの胚のin situハイブリダイゼーションによる解析で、Sox2が神経板を見事に染めています。

Molecular Biology of the CellVol. 18, No. 6ArticlesFree Access The Activity of Pax3 and Zic1 Regulates Three Distinct Cell Fates at the Neural Plate Border This is the final version – click for previous version Chang-Soo Hong, and Jean-Pierre Saint-Jeannet Marianne Bronner-Fraser, Monitoring Editor Published Online:4 Apr 2007 https://doi.org/10.1091/mbc.e06-11-1047

分子シグナリング

  • the neural inducers, NogginChordin, and Follistatin  emanate from Spemann’s organizer.3,4,5
  • NogginChordin, and Follistatin directly bind to bone morphogenetic proteins, namely, BMP2/4/7, in the extracellular space and act as antagonists to block these BMPs from binding to the BMP receptor.6
  • the blockade of BMP signaling inhibits the phosphorylation of the carboxyl-terminal serine residues of the Smad1 protein, which is an intracellular mediator of the BMP signal, preventing the downstream genes of BMP signals from being activated.
  • the inhibition of the BMP signal induces the expression of a series of transcription factors, which in turn activate the downstream transcriptional network to further promote neural differentiation.
  • Fibroblast growth factors (FGFs) also have neural inducing activity.7,8,9
  • FGF promotes the phosphorylation of the intermediate linker domain of the Smad1 protein, instead of its carboxyl-terminal domain, and restricts the Smad1 activity.7
  • FGF directly induces the neural genes.8,9
  • the combination of BMP inhibitors and FGF is essential for directing naive cells toward the neural fate.
  • In mouse embryos, Chordin and Noggin homologues emanate from the node, or the anterior portion of the primitive streak, and t
  • Chordin/Noggin double mutants exhibit severe forebrain malformation at early embryonic stages,11,12 but the development of the posterior nervous system in the Chordin/Noggin double mutant mice is relatively normal (両生類のように神経誘導すべてが抑制されるのとは事情が異なる。
  • 哺乳類では、the anterior and posterior neural cells are already separated at the epiblast stage, and this differentiation progresses independently.13,14

 

  1. Reorganizing the Organizer 75 Years On M.Angela Nieto Cell VOLUME 98, ISSUE 4, P417-425, AUGUST 20, 1999 https://www.cell.com/fulltext/S0092-8674(00)81971-6
  2. The Organizer and Its Signaling in Embryonic Development Vijay Kumar,1 Soochul Park,2 Unjoo Lee,3,* and Jaebong Kim1, J Dev Biol. 2021 Dec; 9(4): 47. Published online 2021 Nov 1. PMCID: PMC8628936 
  3. Cell communication with the neural plate is required for induction of neural markersby BMP inhibition: evidence for homeogenetic induction and implications forXenopus animal cap and chick explant assays Claudia Linkera,⁎,1, Irene De Almeidaa, Costis Papanayotoua, Matthew Stowera, Virginie Sabadob,Ehsan Ghorania, Andrea Streitb, Roberto Mayora, Claudio D. Stern Developmental Biology 327 (2009) 478–486  ResearchGate

BMPとTGF-beta signaling

Bone morphogenetic proteins (BMPs) are members of the transforming growth factor-β (TGF-β) superfamilyBMPs were originally identified from bone matrix using an ectopic bone formation assay.

https://www.sciencedirect.com/topics/pharmacology-toxicology-and-pharmaceutical-science/bone-morphogenetic-protein

About 60 TGF-β family members have been identified so far with two general branches: (i) BMP/growth and differentiation factor (GDF) and (ii) the TGF-β/activin/nodal branch/mullerian-inhibiting substance or anti-mullerian hormone.

TGF-β/BMP signaling and other molecular events: regulation of osteoblastogenesis and bone formation Rahman et al., Bone Res. 2015; 3: 15005. PMCID: PMC4472151

  1. The dorsalizing and neural inducing gene follistatin is an antagonist of BMP-4 Fainsod et al., Mechanisms of Development Volume 63, Issue 1, April 1997, Pages 39-50 Mechanisms of Development https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0925477397006734
  • The transforming growth factor-beta (TGF-β) family of cytokines, including TGF-β, bone morphogenic proteins (BMPs), and activin/inhibin, plays crucial roles in embryonic development, adult tissue homeostasis and the pathogenesis of a variety of diseases.
  • The highly conserved core of the canonical TGF-β/BMP signaling is a simple linear cascade that involves the TGF-β/BMP ligands, two types of receptors (type I and II) and the signal transducers, Smads.
  • On activation, the receptor complex phosphorylates the carboxy-terminus of receptor-regulated Smad proteins (R-Smads), including Smad1, 5 and 8 for BMP signaling and Smad2 and 3 for TGF-β signaling.
  • Activated R-Smads interact with the common partner Smad, Smad4, and accumulate in the nucleus, where the Smad complex directly binds defined elements on the DNA and regulates target gene expression together with numerous other factors [].

Signaling cross-talk between TGF-β/BMP and other pathways Guo and Wang  Cell Res. 2009 Jan; 19(1): 71–88.  PMC3606489

We have identified a new member of the transforming growth factor-beta (TGF-beta) superfamily, growth/differentiation factor-10 (GDF-10), which is highly related to bone morphogenetic protein-3 (BMP-3).

Growth/differentiation factor-10: a new member of the transforming growth factor-beta superfamily related to bone morphogenetic protein-3 N S Cunningham 1, N A Jenkins, D J Gilbert, N G Copeland, A H Reddi, S J Lee  Growth Factors . 1995;12(2):99-109. doi: 10.3109/08977199509028956.  https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8679252/

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10232782/figure/F1/

  1. Bone morphogenetic protein signaling: the pathway and its regulation Takuya Akiyama, Laurel A Raftery, Kristi A Wharton Author Notes Genetics, Volume 226, Issue 2, February 2024, iyad200, https://doi.org/10.1093/genetics/iyad200
  2. BMP signaling during craniofacial development: new insights into pathological mechanisms leading to craniofacial anomalies Hiroki Ueharu and Yuji Mishina Front Physiol. 2023; 14: 1170511. 2023 May 18.
  3. Calreticulin is a secreted BMP antagonist, expressed in Hensen’s node during neural induction Irene De Almeida a, Nidia M.M. Oliveira a, Rebecca A. Randall c, Caroline S. Hill c, John M. McCoy b 1, Claudio D. Stern a Developmental Biology Volume 421, Issue 2, 15 January 2017, Pages 161-170
  4. https://www.sciencedirect.com/topics/neuroscience/noggin

 

神経堤細胞(しんけいていさいぼう)neural crest cellsとは?

発生学の勉強をすると、外胚葉、内胚葉、中胚葉がでてきてそれぞれ将来どんな臓器や器官になるのかを学びます。しかしこの三胚葉に加えて、もうひとつ重要な細胞があります。それが、神経堤(しんけいてい)細胞です。英語はneural crest cellsで、それを直訳すると神経冠(しんけいかん)細胞となります。昔は、神経堤細胞という呼び方よりも、神経冠細胞という呼び方のほうが多かったように記憶しています。どちらも同じものを指しています。

  1. WNT signaling, the development of the sympathoadrenal–paraganglionic system and neuroblastoma (ResearchGate.com) March 2018 Cellular and Molecular Life Sciences 75(9–10) DOI:10.1007/s00018-017-2685-8

生物学を学ぶ上での落とし穴は、似た名前なのに全く別物を指していることもあれば、同一のものなのに違った複数の呼び名があったりすることです。初めて学ぶ人は混乱して大変なのですが、なぜかそのへんをきちんと説明しくれていなかったりします。

神経堤細胞は非常に重要な細胞の一群なのですが、自分の中ではどうもふわふわとした、あいまいな存在でした。今ひとつ、何をやっている細胞たちなのかがバシッとつかめていなかったのです。それは当然といえば当然で、実にいろいろな器官を形成するからなのです。しかも神経堤細胞の「起源」も曖昧で、神経管が閉じるまえの土手の部分、つまり『堤」の部分に起源があります。神経管が閉じるころに、そこから内部に入ってきて胚の中を移動して目的地に達したらそこで分化する細胞たちです。移動していく細胞なので、発生学の教科書の図によっては、どの時期の神経堤細胞を描写したのかによって、描かれている存在場所や様子が異なっていたりして、それがまた理解を曖昧にさせる要因だと思います。

  1. The Emerging Roles of the Cephalic Neural Crest in Brain Development and Developmental Encephalopathies Emmanuel Bruet,† Diego Amarante-Silva,† Tatiana Gorojankina, and Sophie Creuzet*  Int J Mol Sci. 2023 Jun; 24(12): 9844. Published online 2023 Jun 7. doi: 10.3390/ijms24129844 PMCID: PMC10298279 PMID: 37372994

神経堤細胞の起源はどの部位か

神経堤細胞は、細胞移動を開始する前にはどの部分にいたのか?というと、それは、神経版と表皮の間の領域です。神経板が分化する前は、表皮だけですが、その一部が「神経誘導」によって将来神経管になるべき部分、すなわち神経板になります。すると神経版と表皮はひとつづきの平面ですから、両者には境界が存在します。この境界部分に存在する細胞が、周りから分子シグナルを受けて、神経堤細胞になるべき細胞が分化してくるようです。

According to the most recent data, the earliest stages of neural crest induction may occur as early as gastrulation, but according to the classical model, the neural crest arises as the result of inductive actions by the adjacent non-neural ectoderm and possibly nearby mesoderm on the neural plate (Fig. 12.1). The ectodermal inductive signals are bone morphogenetic proteins (BMPs) and WntsFibroblast growth factor-8 (FGF-8) from mesoderm plays a role in neural crest induction in amphibians, and it seems to be involved in mammals as well. https://basicmedicalkey.com/neural-crest/

 

この論文 Insights into neural crest development and evolution from genomic analysis. Simões-Costa M 1 , Bronner ME Author information Genome Research, 01 Jul 2013, 23(7):1069-1080 https://doi.org/10.1101/gr.157586.113 PMID: 23817048 PMCID: PMC3698500 のFigure 1

An external file that holds a picture, illustration, etc. Object name is 1069fig1.jpg

がわかりやすいと思います。緑色に着色された細胞が神経堤細胞(将来神経堤細胞になる細胞)です。

  1. Distribution of fibronectin in the early phase of avian cephalic neural crest cell migration J L Duband, J P Thiery Dev Biol . 1982 Oct;93(2):308-23. doi: 10.1016/0012-1606(82)90120-8. この論文の図が『神経堤細胞』(東京大学出版会 UP BIOLOGY)5ページ図1.3に紹介されているみたいですが、ネットで無料で見られるわけではないため論文の中身が確認できませんでした。
  2. https://jackwestin.com/resources/mcat-content/embryogenesis/stages-of-early-development-order-and-general-features-of-each

神経堤細胞の起源と生じるタイミング

教科書によっては神経堤細胞は閉じた直後の神経管の上部からできると書いていたり、神経板の両端の部分からできてくると書いていたりまちまちなように思います。図で描かれているものを見てもその両者があって、どっちが正しいのか判然としません。下の図をみると、神経板が神経管に閉じるときにちょうど閉じ合わされる部分に神経堤の予定細胞があるので、そのまま上皮間葉転換を起こすのだとすれば、どちらからという議論がそもそも不要な気がします。

https://www.sciencedirect.com/topics/immunology-and-microbiology/neurulation

神経堤細胞は、いつ上皮-間葉転換をするのでしょうか?神経板の縁が合わさろうとするタイミングでEMTが生じれば、そのまま残りの表皮がそれぞれ閉じられそうな気がします。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S092547730100394X

しかし下の論文の文章を読むと神経管の上部から神経堤細胞ができるかのように書かれていました。

Neural crest precursors are born in the ectodermal epithelium constituting the tip of the neural fold. During and after the closure of the neural fold, neural crest cells emerge from the future roof plate region of the neural tube, undergoing epithelial-mesenchymal transformation. Many factors and genes, such as Pax3 (Tremblay et al., 1995), slug (Nieto et al., 1994), AP-2 (Zhang et al., 1996; Schorle et al., 1996), and Wnt-1/3a (Ikeya et al., 1997) are expressed in the dorsal most region of the neural tube, and have been shown to be involved in the generation of neural crest cells. https://journals.biologists.com/dev/article/125/15/2963/39922/Neural-crest-emigration-from-the-neural-tube

カドヘリンなどの細胞接着因子も変化するようです。

 The early dorsal ectoderm expresses L-CAM (chicken E-cadherin) (Thiery et al., 1984). During neural plate invagination, the L-CAM expression is gradually replaced by that of N-cadherin (Hatta and Takeichi, 1986). At the same time, cadherin-6B (cad6B) begins to be expressed in the invaginating neural plate, most strongly at the neural crest-generating area (Nakagawa and Takeichi, 1995). In the neural tube that has just closed, N-cadherin and cad6B are co-expressed in the dorsal portion. When neural crest cells emerge from the neural tube, these cadherins become scarcely detectable, instead, cadherin-7 (cad7) appears (Nakagawa and Takeichi, 1995).  https://journals.biologists.com/dev/article/125/15/2963/39922/Neural-crest-emigration-from-the-neural-tube

下の論文の説明をよく読むと、神経管が閉じた「後」とは言っていないようです。

After neural crest cells have been determined at the beginning of neurulation when the neural tube closes and pinches off from the ectoderm, they undergo an epithelial to a mesenchymal cell type change at the dorsal neural tube and transform into a migratory population that moves extensively throughout the developing embryo (Garcia-Castro and Bronner-Fraser, 1999).  https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0065128115000495

下の記述だとやはり神経管ができたあとで神経堤細胞ができてくるようです。

Many factors and genes, such as Pax3 (Tremblay et al., 1995), slug (Nieto et al., 1994), AP-2 (Zhang et al., 1996Schorle et al., 1996), and Wnt-1/3a (Ikeya et al., 1997) are expressed in the dorsal most region of the neural tube, and have been shown to be involved in the generation of neural crest cells. https://journals.biologists.com/dev/article/125/15/2963/39922/Neural-crest-emigration-from-the-neural-tube

下の論文も同様。ニワトリの場合ですが、神経管完成後に神経堤細胞が出現するようです。

In the neural tube that has just closed, N-cadherin and cad6B are co-expressed in the dorsal portion. When neural crest cells emerge from the neural tube, these cadherins become scarcely detectable, instead, cadherin-7 (cad7) appears (Nakagawa and Takeichi, 1995).  https://journals.biologists.com/dev/article/125/15/2963/39922/Neural-crest-emigration-from-the-neural-tube

下の論文の写真データをみると、たしかに神経管が完成したあとの上部で神経堤特異的発現を示す分子(slugなど)が観察されています。

Nonpolarized distributions of cadherin 6B and β-catenin in pre-migratory neural crest cells. Immunohistochemistry was performed on cryosections of 10-13 ss embryos for pairs of proteins in each panel. Both the open neural plate at posterior levels (A-C,G-I,M-O) and the closed neural tube at more anterior levels (D-F,J-L,P-R) were examined. Immunohistochemistry for Slug (green)/β-catenin (red) (A-F), β-catenin (green)/N-cadherin (N-cad, red) (G-L), cadherin 6B (Cad6B, green)/β-catenin (red) (M-R) were performed. The white boxed regions in C,F,I,L,M,P are magnified in C’,F’,I’,L’,M’P’, respectively. The most representative images are shown (at least three random sections per each embryo and at least seven embryos were analyzed). Scale bar: 25 μm. 15 August 2010 Cadherin 6B induces BMP signaling and de-epithelialization during the epithelial mesenchymal transition of the neural crest Ki-Sook Park, Barry M. Gumbiner Author and article information Development (2010) 137 (16): 2691–2701. https://journals.biologists.com/dev/article/137/16/2691/43888/Cadherin-6B-induces-BMP-signaling-and-de

下の総説論文でもデルマトームが神経堤細胞の移動時期を決めると書いてあり、神経堤細胞は神経管から出ていくということのようです。また、吻側側と尾側では誘導の有無に関して違いもあるそうです。

Figure 1

Epithelial–Mesenchymal Transitions during Neural Crest and Somite Development Chaya Kalcheim 1 J Clin Med. 2015 Dec 23;5(1):1. doi: 10.3390/jcm5010001

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4730126/

下の総説によれば、ニワトリは確かに神経管からEMTにより神経堤細胞が出ていくようですが、哺乳類は若干状況が異なるようです。マウスやヒトでは神経管が閉じていないのに神経堤細胞がEMTを起こして移動を開始している図が描かれています。

Fig. 2. Organismal differences in NCC EMT. The process of NCC EMT varies based on the organism as well as at different axial levels. In avian species, NCCs must delaminate from the neural tube before emigrating (Monroy et al., 2022). In other species, such as zebrafish (Rajan et al., 2018; Wang et al., 2019) and frogs (Lee and Saint-Jeannet, 2011), NCCs arise adjacent to the neural tube before emigrating laterally. Mouse NCCs lack collective migration and instead quickly mesenchymalize for individual migration before the neural tube has closed (Lee et al., 2013). Human cells appear to migrate similarly to both rodents and avians (Betters et al., 2010). Figure created using BioRender.com.

Time to go: neural crest cell epithelial-to-mesenchymal transition July 2022Development 149(15) DOI: 10.1242/dev.200712 LicenseCC BY 4.0 https://www.researchgate.net/publication/362358835_Time_to_go_neural_crest_cell_epithelial-to-mesenchymal_transition/citations

  1. Analysis of early human neural crest development Developmental Biology Volume 344, Issue 2, 15 August 2010, Pages 578-592ヒト胚で神経堤細胞分子マーカーの局在を調べた論文

delaminationとは

神経堤細胞の論文を読むとdelaminationという言葉がよく出てきますが、特に定義されて使われるわけではないので、一般的な単語のようです。医学用語としては、

「腱板断裂において層間剥離(delamination)とは断端が肉眼的に深層と浅層の二層に分かれていることと定義される.」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/katakansetsu/45/1/45_79/_article/-char/ja/)

といった使われ方もありますが、今の場合は一般単語で、

delamination :

the process of a material breaking or being broken into thin layers, or an example of this https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/delamination

層でなくなるという意味でしょう。下の論文での表現を読むと、それが明らかです。単に上皮性だったものがバラバラになるという意味のようです。

An important feature of NCC development is their delamination from the neuroepithelium via EMT, following which NCC migrate throughout the embryo and undergo differentiation.

Identification and characterization of intermediate states in mammalian neural crest cell epithelial to mesenchymal transition and delamination https://doi.org/10.7554/eLife.92844.2

神経堤細胞の分子マーカー

HNK1

  1. Chicken trunk neural crest migration visualized with HNK1 Acta Histochemica Volume 117, Issue 3, April 2015, Pages 255-266 Acta Histochemica https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0065128115000495#bib0110
  2. Neural crest emigration from the neural tube depends on regulated cadherin expression Shinichi Nakagawa, Masatoshi Takeichi Author and article information Development (1998) 125 (15): 2963–2971. https://doi.org/10.1242/dev.125.15.2963 https://journals.biologists.com/dev/article/125/15/2963/39922/Neural-crest-emigration-from-the-neural-tube Immunostaining detection of cadherins in neural crest cells. (A-D,G-K) Stage-16 embryos; (E,F) stage 22 embryos. (A) N-cadherin. (B) cad6B. (C-F) Double-staining for cad7 (C,E) and HNK1 (D,F). Arrows in E and F point to cells entering the dorsolateral pathway, which express both cad7 and HNK1 antigen. dm, dermamyotome. (G-I) Double-staining for N-cadherin (red) and cad6B (green) (G), N-cadherin (red) and cad7 (green) (H), and cad6B (red) and cad7 (green) (I). Photographed under confocal microscopy. In H and I, arrows indicates cells that have just detached from the neural tube, which express cad7 only, and arrowheads, sites in which both cadherins are detected as yellow signals. (J,K) Nomarsky optics micrographs of the dorsal-most region of the neural tube (J), and cad7 staining of the same section (K). Note that cad7 signals are localized in cells at the luminal side of the roof plate in addition to a cell located outside the neural tube.

Double-staining for cad7 (C,E) and HNK1 (D,F).

神経堤細胞の移動

神経堤細胞はもともと上皮系の細胞だったわけですから、上皮系細胞の特徴としてきっちりと隣同士と細胞接着していて、裏打ちとして基底膜 basal membraneがあるわけです。そこから内部に細胞移動するということはすなわち、移動する部分において基底膜が破壊されて細胞が内部に移動することになります。

この論文 Eric Theveneau, Roberto Mayor, Neural crest delamination and migration: From epithelium-to-mesenchyme transition to collective cell migration, Developmental Biology, Volume 366, Issue 1, 2012, Pages 34-54, ISSN 0012-1606, https://doi.org/10.1016/j.ydbio.2011.12.041. に、そのステップに関するわかりやすい図がありました。がん化した上皮細胞が転移するために細胞の中に移動していくのと非常に似たことが起きているというわけです。

神経堤細胞の移動を説明する図はたいていの教科書では断面図を見せていますが、神経堤細胞は体軸方向に広い範囲で生じていますので、断面図だけだと今ひとつイメージがわきにくいと思います。上と同じ論文の中の、上からみた神経堤細胞の移動の様子の図がわかりやすいと思います。

月経・生理周期の仕組み

下垂体前葉が性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)を分泌することを指令するための、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(ゴナドトロピン放出ホルモン)が視床下部から出されます。

視床下部からのこの指示を受けて、下垂体前葉は、性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)の一種である卵胞刺激ホルモン(FSH)を分泌します。卵巣においては、FSHに刺激されたことで卵胞が発育します。

発育し成熟した卵胞は卵胞ホルモン(エストロゲン)を分泌します。エストロゲンは子宮内膜を肥厚させる働きがあります。

エストロゲンは下垂体前葉に対してネガティブフィードバックの働きをして、FSH分泌を抑制させます。また視床下部に対して働きかけて性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)を再度分泌させて、その結果としてそれを受けた下垂体前葉から今度はもうひとつの性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)である黄体形成ホルモン(LH)を分泌させます。

ホルモンの量を経時的に示したグラフを見ると、まずエストロゲンが大きなピークを示して、それに続いてLHが大きなピーク(LHサージ)を示します。

LHの分泌(LHサージ)により排卵が起きます。排卵後の卵胞は黄体へと変化します。黄体は黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌し続けます。プロゲステロンは子宮内膜に働きかけて、子宮内膜をやわらかくして受精卵が着床しやすくする働きがあります。プロゲステロンにはまた体温を高くする作用もあります。女性が基礎体温をつけたときに、排卵が起きたあとから体温が少し上昇した状態になるのはプロゲステロンが分泌され続けているためです。高温期に入るまえに体温が少し落ち込む場合があり、その下がった時点もしくはその直前が排卵のタイミングになっていることが多いようです。

  1. まずは基礎体温。基礎体温をつけて毎日チェック 赤ちゃんが欲しくなったら オムロン式美人

受精が生じなかった場合は黄体(おうたい)は白体(はくたい)に変化します。

ちなみに、性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)は、どちらもコレステロールからつくられるステロイドホルモンです。

月経周期(生理周期)の説明動画

下の動画が実にわかりやすい説明でした。こんな解説をしてもらえると、頭にはいりやすいくて良いです。

月経のホルモン、これで十分! mamken チャンネル登録者数 970人

上の動画とほぼ同じ内容ですが、英語サイト(Lecturio Nursing)の動画

The Hypothalamic Pituitary Ovarian Axis | Menstrual Cycle Part 1 Lecturio Nursing チャンネル登録者数 9.51万人

卵巣周期 ovarian cycle:卵胞期 follicular ー 排卵 ovulation ー 黄体期 luteal

卵巣の変化に着目して「卵巣周期」という時期の分類がなされています。月経周期が全部で28日(もちろん個人差があります)とした場合、排卵がおこる14日目までが卵胞期、そのあとが黄体期と呼ばれます。卵胞が発育する時期と、黄体(排卵後の卵胞が変化したもの)が形成されている時期の2つなので、名前が内容をそのまま表しており、覚えやすいと思います。

The Ovarian Cycle | The Menstrual Cycle Part 2 Lecturio Nursing チャンネル登録者数 9.51万人

子宮内膜の周期的な変化 Endometrial Cycle

卵巣の変化に着目したのが「卵巣周期」(卵胞期ー黄体期)でしたが、子宮の変化に着目したのが「子宮周期」です。1~7日めが月経期、7日目~14日目が増殖期、14日得m~28日目が分泌期と呼ばれます。卵巣周期と対応しているので(卵胞期=「月経期+増殖期」、黄体期=分泌期)、それほどややこしくもないと思います。

 

動画リンク集

  1. The Menstrual Cycle Nemours KidsHealth 245K subscribers (2:26) 月経(生理)に関する非常に簡単な説明。おそらく子供向けの解説。
  2. How menstruation works – Emma Bryce TED-Ed 19.7M subscribers (4:11) ホルモンにまで言及した生理に関する簡単な説明(一般向け)
  3. Understanding the Menstrual Cycle Zero To Finals 731K subscribers (9:52)
  4. Female Reproductive System – Menstrual Cycle, Hormones and Regulation Armando Hasudungan 2.53M subscribers (15:12)
  5. Why do women have periods? TED-Ed 19.7M subscribers (4:45)