特異度、感度、陽性的中率とは

医療ベンチャー企業の起業に関するプレスリリースを見ていたら、ある細菌の有無でがんのリスクを調べるという説明がありました。そのがんに罹患している人の70%がその最近の保有者だからがんのリスクの検査に使えるという説明です。ここでいう70%は感度ということになります。検査が陽性だった人の何パーセントがその病気を罹患しているかという数字が70%だというわけです。

この説明を読んで、これって全然説明になっていないのでないかと思いました。がんではない人の場合、何パーセントがそのテストで陽性になるのか(今の場合、その菌の保菌者なのか)が書いていなかったからです。極端な場合、がんじゃない人でも70%の人がその菌の保有者かもしれませんん。

医学における検査では、感度、特異度、陽性的中率といった数字を見る必要があります。

がん 無し がん 有り(8.3%) 小計
菌 有り 98人(20%) 70人(70%) 168人
菌 無し 390人 30人 420人
小計 488人 100人 合計:588人

上の場合、

感度=検査陽性/疾患有り = 70/100=70%

特異度=検査陰性かつ疾患なし/検査陰性 = 390/488=80%

陽性的中度=疾患あり/検査陽性 = 70/168=42%

となります。陽性的中度はどの程度の数字ならOKと言えるのかは、その病気の深刻さにもよるでしょう。手遅れになったら必ず死ぬ病気の場合は、陽性的中率10%の低さでも、陽性になったら精密検査を受けて白黒はっきりさせたいと思うでしょう。

 

特異度とは

特異度というのは、検査で「陰性」のものを正しく「陰性」と判断できる割合のことです。式で書けば、

特異度 = 実際に陰性でしかも検査でも陰性と判断された人の数 / 実際に陰性の人の数 

ちなみに、

実際に陰性の人の数 = 実際に陰性で、検査でも陰性と判断された人の数 + 実際は陰性なのに陽性と判断された人の数

もっとすっきりと書けば、

陰性の数 = 真陰性の数 + 偽陽性の数

特異度 = 真陰性の数 / (真陰性の数 + 偽陽性の数)

  1. 特異度(ウィキペディア)

感度とは

感度というのは、陽性の人の内、正しく陽性と判断できた割合のことです。式で書けば、

感度 = 実際に陽性で検査でも陽性と判定された人の数 / 実際に陽性の人の数

ちなみに、

実際の陽性の人の数 = 陽性と判定された人の数 + 間違って陰性と判定された人の数

もっと簡潔に書けば、

陽性 = 真陽性 + 偽陰性

感度 = 真陽性/ (真陽性 + 偽陰性)

とも言えます。

  1. 特異度(ウィキペディア)