科研費申請書作成の疑問:「着想に至った経緯」や「国内外の研究動向と本研究の位置づけ」は、「本研究の学術的背景」とどう書き分ければよいのか?

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科研費の申請書を書いている研究者の方々の多くが悩んでいることの一つが、「着想に至った経緯」や「国内外の研究動向と本研究の位置づけ」は、「本研究の学術的背景」とどう書き分ければよいのか?という点です。背景も経緯も似たようなものですし、背景と動向も似たようなものです。内容がそもそも被っているからといって同じことを繰り返し書いてもいいのでしょうか。全く同じことを書くのは、芸が無さすぎです。審査委員だって、同じような記述が2回も3回も繰り返されていたら、面白くないでしょう。

さて、経緯や動向と背景とをどう書き分ければいいのかという疑問を抱くのは当然のことです。というのもこの悩みは2018年度科研費の様式の変更に伴って必然的に発生したものだからです。変更前の2017年度の科研費の申請書を見てみると、セクションの割り振りが今とは大きく違っていて、最初の2ページは「研究目的」を書くページです。指示としては3つのことを書くようになっていて、①研究の学術的背景(本研究に関連する国内・国外の研究動向及び位置づけ、応募者のこれまでの研究成果を踏まえ着想に至った経緯、これまでの研究を発展させる場合にはその内容等) と明確な指示がありました。つまり、様式を作った側も、動向や位置づけ、着想を学術的な背景の中身として考えていたのです。もともと同じ場所に書く内容だったのですから、同じに感じるのは当たり前。

このような科研費申請書の様式の変遷を考えれば、多少の内容のオーバーラップは当然だと思います。しかし、同じことを3回繰り返し記述するのはばかげていますので、やはり書き分けたいところです。書き分けるヒントですが、同じことでも違う角度で見れば、違うものように見えます。同じこと内容を書くにしても、書く目的が異なればおのずと力点を置く場所が変わってきます。

書き分けるべきは、「内容」ではないのです。内容は同じでいい、いやむしろ同じでないとおかしいのです。変えるべきは、何をそこでアピールしたいのかということです。

「背景」でアピールしたいことは、自分が立てた「学術的問い」の妥当性です。

「動向」でアピールしたいことは、自分がその問い答えるべきベストの人間だということです。

「着想」は動向・位置づけの中に混ぜ込んで書いてもいいし、分けて書いてもいいと思います。ただし、着想というくらいですので主観的な書き方が許されますし、主観的に書かれていることゆえ客観的な評価の対象とはなりにくいのではないかと思います。なんでこんな面白いこと考え着いたんだろう?という読み手の疑問に答えてあげる程度でいいんじゃないでしょうか。

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