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科研費制度の変遷 

平成30年度

基盤研究(A・B)「海外学術調査」を廃止し、国際共同研究強化(B)を新設

このたび、「海外学術調査」(※)の研究対象・方法を一般化する等の変更を行った上で「国際共同研究加速基金」の枠組みにおいて「国際共同研究強化(B)」を新設する予定です。本研究種目の平成30年度助成に係る公募は独立行政法人日本学術振興会(以下「振興会」という。)において本年4月上旬頃に実施される予定ですが、研究種目の設定の趣旨や基本的な考え方については、平成30年1月26日に開催された科学技術・学術審議会学術分科会研究費部会(以下「研究費部会」という。)における資料(「国際共同研究強化(B)(仮称)」の公募内容等について(資料2-1))に取りまとめられています。なお、資料2-1に添付している「重複制限一覧表」については、別紙1のとおり見直しを検討しています。(※)国外の特定地域におけるフィールド調査等を伴う研究を支援するに当たって、「基盤研究(A・B)」の応募区分として設けてきた「海外学術調査」については、今日的な学術動向・課題を踏まえて発展的に見直すため、昨年9月の平成30年度助成に係る公募を停止。(平成30年3月7日 関係各研究機関代表者 殿 文部科学省研究振興局学術研究助成課長 小桐間 徳 科学研究費助成事業(科研費)における変更点等についてhttps://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/1402050.htm)

連携研究者の廃止

現在、科研費における研究組織は、主に研究代表者、研究分担者、連携研究者、研究協力者から構成することとしていますが、このうち、連携研究者については、「科学研究費助成事業の審査システム改革について」(平成29年1月17日科学技術・学術審議会学術分科会)において、多数の連携研究者の参画により研究組織の肥大化が懸念される等の理由により、その在り方等について整理を要するとされていたところです。こうした状況を踏まえ、本年1月26日に開催された研究費部会における審議の結果、連携研究者を廃止し、現行の研究協力者に統合すべきと整理されましたので、本年4月1日以降従来の連携研究者を廃止する予定です。(平成30年3月7日 関係各研究機関代表者 殿 文部科学省研究振興局学術研究助成課長 小桐間 徳 科学研究費助成事業(科研費)における変更点等についてhttps://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/1402050.htm)

 

咳が長引くときに考えられる疾患

咳が3週間以上続くと遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう)、8週間以上続くと慢性咳嗽(まんせいがいそう)と呼ぶそうです。熱はなく、痰もからまず、呼吸時にゼーゼーするわけでもなく、咳だけが数週間も続いているとき、どんな疾患が考えられるのかを調べてみました。

長引く咳について(愛和クリニック)の説明が非常にわかりやすい。

咳の役割

咳)は気道内にある異物を排出するために起こる呼吸器の防御反応(済生会

風邪以外の可能性

気管支炎

ウイルスや細菌などが原因で気管支に炎症が起きている状態。風邪と気管支炎を見分けることは難しく、風邪と気管支炎が併発することも多い。咳や痰、発熱などの風邪と似たような症状。対処療法、自己治癒力によって自然に軽快。(参考:横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック

気管支炎と喘息のちがいとは?(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック)  2021/12/23

2週間を超えても治らない咳は、風邪ではない可能性があるそうです。

乾いたせきの原因:せきぜん息、アトピー咳嗽、百日咳、胃食道逆流症(GERD)、心因性のせきなど(環境再生保全機構

呼吸時の喘鳴の有無、咳が出るときの痰の有無で、原因と考えられる疾患が変わってくるそうです(参照:済生会)。痰が絡まない乾いた咳が長引く場合の可能性として、

  1. アトピー性咳嗽
  2. 百日咳菌やマイコプラズマの感染
  3. 胃食道逆流症(逆流性食道炎):胃液が胃の上部に逆流し食道さらには咽喉頭、気管支に慢性炎症を引き起こし長引く咳の原因に
  4. 心因性咳嗽(がいそう)
  5. 薬剤(降圧薬など)の副作用としてのせき
  6. 耳炎で起こるせき

などが考えられるそうです(参照:済生会)。

別の解説記事によれば、原因でわけると、①肺がん、②微生物による感染症(結核、マイコプラズマ肺炎など)、③アレルギーによるもの、④間質性肺炎、⑤肺気腫 などが考えられるそう(大道内科・呼吸器科クリニック)。

肺がん結核間質性肺炎心不全など重篤な病気の場合も(サワイ健康推進課

  • 肺結核
  • 肺炎球菌感染症
  • 原発不明がん
  • 間質性肺炎
  • 肺炎
  • 特発性肺線維症
  • 百日咳
  • 慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
  • 副鼻腔炎
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 肺がん
  • 肺腺がん(腺がん)
  • びまん性汎細気管支炎
  • 心不全

アレルギー性の咳

咳喘息

  1. 気管支拡張剤が効く。吸入ステロイドによる治療。せき喘息では3割がゼーゼーする喘息に移行する
  2. 咳ぜんそくは、放っておくと3人に1人は気管支ぜんそくに移行
  3. 咳ぜんそくは気道の粘膜に常に炎症が起こっている状態
  4. ホコリ、湯気、冷たい空気、香り、花粉などの刺激に敏感に反応して激しい咳が出てなかなか止まらない。花粉や天候、疲労やストレスが原因になることも。

喘息

  1. ハウスダスト、ペットの毛、ダニといったアレルギー物質などがきっかけ
  2. NOは喘息で特異的に上昇
  3. 症状:咳き込む 呼吸時にのどが「ゼーゼー、ヒューヒュー」いう喘鳴(ぜんめい)が出る 呼吸困難(呼吸が苦しくなる)発作性の激しい咳、痰がでる 急に動けなくなる夜間や早朝に咳や喘鳴などの症状が出やすい喘息症状で夜間、目が覚める 胸の痛み 動悸、息切れ 背中の張り 空咳(呼気NO検査 つるはら耳鼻科)
  4. 喘息は、慢性的な気道の炎症(アレルギーやタバコの煙など)によって、咳や痰、場合によっては呼吸困難感などの重篤な症状が出る疾患。
  5. 喘息の発作を繰り返していくうちに気道の回復が困難に(気道のリモデリング)。治療では、原因である「気道の炎症」を取り除くため、吸入ステロイドと呼ばれる吸入薬が用いられる。対処療法による自然寛解を目指す気管支炎とは異なり、喘息の治療では、吸入ステロイド薬によって気道の炎症を取り除き、長期的に喘息発作を予防することが目標。(参考:横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック

アトピー咳嗽

  1. ハウスダストや花粉などアレルゲンによってアレルギー性のせきが続く。気管支拡張剤が効かず、抗アレルギー剤が効く。アレルゲンを突き止め、発生する季節のみ、咳止め抗アレルギー剤を服用す。

(参考:大道内科・呼吸器科クリニック

COPD(慢性閉塞性肺疾患)

 

検査方法

胸部X線(胸部レントゲン):一方向から放射線を照射して画像化。

肺CT検査:では、らせん状に放射線を照射して画像を得るため、肺を数ミリ幅で輪切りにしたような画像を得る。

呼気NO検査(一酸化窒素検査):呼気に含まれる一酸化窒素(NO)の濃度を測定。喘息(ぜんそく)の有無を診断。日本人の成人健常者における呼気NO濃度の正常値は約15ppb、正常値の上限値は約37ppb。喘息患者さんの気道には炎症があり、炎症性刺激により、主に気道上皮のNO合成酵素(INOS)が誘導され、大量のNOが産生されている。呼気中NO濃度で好酸球性気道炎症の存在や程度がわかる。

 

参考サイト

長引く咳

心筋梗塞のカテーテル治療 Door to Baloon

心不全とは

  1. 心不全は個別の疾患名ではなく、さまざまな原因疾患が引き起こす心臓機能弱化の症候群のこと 心臓のポンプ機能が悪くなり、ちゃんと働かなくなった状態 ニューハート・ワタナベ国際病院

心不全の種類

  1. 種類分けの2つの観点:左心系か右心系か。急性か慢性か。
  2. 虚血性心不全:心臓から送り出される血液量が少なくなっているか、末梢血管から心臓に血液が戻る力が弱くなっている状態
  3. ニューハート・ワタナベ国際病院

心不全の原因疾患

  1. 虚血性心疾患:虚血性とは血液が不足した状態のこと。冠動脈が動脈硬化を起こし、狭まったり(狭心症)、詰まったり(心筋梗塞)すると、心筋に血液が届かなくなり、心筋が弱ったり壊死したりして、心臓のポンプ機能が低下します。
  2. 高血圧性心疾患
  3. 弁膜症
  4. 心筋症:心筋が拡大したり肥大したり硬くなったりする病気。拡張型心筋症:左室が拡大し心室の容量が増大、肥大型心筋症:左室の心筋が肥大するもの。
  5. 心筋炎
  6. 先天性心疾患:心房中隔欠損症:左右の心房を隔てる壁に穴が空いている状態
  7. 不整脈:不整脈(規則的でない脈)は心不全の危険因子。特に、頻脈発作を起こすような不整脈では、心筋が常に活発に働かざるをえなくなり、やがて心筋が疲労して、心不全を発症。
  8. 肺疾患:肺高血圧症、肺血栓塞栓症、肺性心などの肺の疾患が心不全の原因になりえる。
  9. 薬剤性

(参照:ニューハート・ワタナベ国際病院

 

心筋梗塞とは

心臓を動かすために酸素や栄養を心筋へ送る冠動脈が閉塞して、心筋が酸素不足になって壊死している状態(しまむらファミリークリニック

心筋梗塞の治療の種類

  1. 薬物療法:血栓溶解薬tPA
  2. 冠動脈血行再建法(カテーテル・インターベンション):カテーテルを使って閉塞を解消。バルーン(風船)で血管を拡張したり、ステントを入れたりする。
  3. 外科的治療:冠動脈バイパス術。薬物療法で十分な効果が得られず、冠動脈血行再建法も困難な場合に行われる。冠動脈の狭窄・閉塞部分を迂回するように自己血管でバイパスを作って十分な心筋への血流を確保します。

(参照:しまむらファミリークリニック

心筋梗塞による死亡数

  1. 急性心筋梗塞 3万4,950人 平成29年(2017) 「人口動態統計(確定数)の概況」より(日本生活習慣病予防協会

Door-to-balloon time(DTBT)

Door-to-balloon time(DTBT)とは、急性心筋梗塞の患者さんが病院に到着してから再潅流療法(閉塞した冠動脈の血流を再開させる治療)が開始されるまでの時間

ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)ではDTBTが30分遅れる毎に7%程死亡率が上昇し、DTBTは短いほど予後が良いと報告されており、1分でも1秒でも早くカテーテル治療を行い、冠動脈の血流を再開させることが重要です。日本循環器学会のガイドラインでは、DTBT 90分以内が推奨されています。(saiseikai-hp.chuo.fukuoka.jp

「ST上昇」とは心電図のST部分が上方に偏位している所見のことで、冠動脈が完全に閉塞して心筋壊死が進行していることを強く示唆する所見です。(丸山病院

緊急対応

  1. JT M.D., Ph.D. クラーケン002 @JTMDPhD1 · May 7 Replying to @BB45_Colorado 七尾では心カテ,脳外科緊急手術、緊急TPA(tissue plasminogen activator), 緊急透析可能でしたが,それ以北では厳しかったです。 穴水から心カテできる医師が退職しだ後は、心筋梗塞で死者が出ています。
  2. 念仏の鉄 @mmanj3xGl9cFFAb · Jul 4, 2021 一か月前、胸痛、呼吸苦で受診。急性心筋梗塞救急搬送されて心カテの緊急処置。
  3. nob @nob57642009 · Sep 1, 2020 Replying to @yocchimotovlogs 外から失礼します😌 私も心筋梗塞で職場で倒れて、救急車で運ばれて緊急心カテしました。その後の検査でも他の部分で冠動脈の詰まりがあり、再心カテしました。

生体の構成要素

 

生体分子 biomolecules

  1. Introduction to biomolecules | Biomolecules | Biology | Khan Academy (19:03) Khan Academy India – English チャンネル登録者数 40.6万人

元素

この世にいくつの元素が存在しているのでしょうか。天然には存在しないが、人工的に作り出されたものも含めると、元素は118種類あるとされています。

  1. 水素
  2. ヘリウム
  3. リチウム
  4. ベリリウム
  5. ホウ素
  6. 炭素
  7. 窒素
  8. 酸素
  9. フッ素
  10. ネオン
  11. ナトリウム
  12. マグネシウム
  13. アルミニウム
  14. ケイ素
  15. リン
  16. 硫黄
  17. 塩素
  18. アルゴン
  19. カリウム
  20. カルシウム
  21. スカンジウム
  22. チタン
  23. バナジウム
  24. クロム
  25. マンガン
  26. コバルト
  27. ニッケル
  28. 亜鉛
  29. ガリウム
  30. ゲルマニウム
  31. ヒ素
  32. セレン
  33. 臭素
  34. クリプトン
  35. ルビジウム
  36. ストロンチウム
  37. イットリウム
  38. ジルコニウム
  39. ニオブ
  40. モリブデン
  41. テクネチウム
  42. ルテニウム
  43. ロジウム
  44. パラジウム
  45. カドミウム
  46. インジウム
  47. スズ
  48. アンチモン
  49. テルル
  50. ヨウ素
  51. キセノン
  52. セシウム
  53. バリウム
  54. ランタン
  55. セリウム
  56. プラセオジム
  57. ネオジム
  58. プロメチウム
  59. サマリウム
  60. ユウロピウム
  61. ガドリニウム
  62. テルビウム
  63. ジスプロシウム
  64. ホルミウム
  65. エルビウム
  66. ツリウム
  67. イッテルビウム
  68. ルテチウム
  69. ハフニウム
  70. タンタル
  71. タングステン
  72. レニウム
  73. オスミウム
  74. イリジウム
  75. 白金
  76. 水銀
  77. タリウム
  78. ビスマス
  79. ポロニウム
  80. アスタチン
  81. ラドン
  82. フランシウム
  83. ラジウム
  84. アクチニウム
  85. トリウム
  86. プロトアクチニウム
  87. ウラン
  88. ネプツニウム
  89. プルトニウム
  90. アメリシウム
  91. キュリウム
  92. バークリウム
  93. カリホルニウム
  94. アインスタイニウム
  95. フェルミウム
  96. メンデレビウム
  97. ノーベリウム
  98. ローレンシウム
  99. ラザホージウム,
  100. ドブニウム
  101. シーボーギウム
  102. ボーリウム
  103. ハッシウム
  104. マイトネリウム
  105. ダームスタチウム
  106. レントゲニウム
  107. コペルニシウム
  108. ニホニウム
  109. フレロビウム
  110. モスコビウム
  111. リバモリウム
  112. テネシン
  113. オガネソン

これらの番号は、原子番号と呼ばれていて各元素の原子に含まれる陽子の数を表しています。炭素の原子核には陽子が6個あるので6番というわけです。炭素の原子核は陽子6個と中性子6個とからなります。陽子と中性子を合わせた数が質量数と呼ばれます。ただし、陽子の数とは異なる中性子の数を持つ場合があり、それは同位体と呼ばれます。水素の原子核は陽子が一つのみで、中性子はありません。炭素は質量数が12(すなわち中性子の数が6個)の原子である12Cが大多数(98.93%)ですが、中性子が7個ある13Cが微量(1.07%)、自然界に存在します。さらにごくわずかに14Cも存在しています。原子量は、炭素原子がアボガドロ数個(6.02214076×10^23個、1mol)あったときの質量で、同位体の存在比が加味されて計算されます。炭素の原子量は12.01です。陽子と中性子の質量が非常に近い値なので、同位体が多くない元素の場合は、原子量から陽子と中性子との合計の数がわかり、原子番号がわかっていれば中性子の数がわかります。水素の原子量=1.00798なので、中性子はゼロ。ヘリウムの原子量=4.0026なので、質量数が4、原子番号2なので中性子の数は2個。原子番号3のリチウムの原子量は6.968でおよそ7ですから、中性子が4個あるとわかります。

有機物の構成元素

官能基

有機化合物の反応

生物のからだの構造

細胞の内部構造

心筋における脂肪酸代謝と代謝異常が原因となる疾患:中性脂肪蓄積心筋血管症(Triglyceride deposit cardiomyovasculopathy, TGCV),

生化学の教科書を読んだ自分の理解では、中性脂肪(トリアシルグリセリド)は脂肪細胞に蓄積されていて、必要に応じて脂肪細胞内で脂肪酸に分解されて、運びだされ、他の細胞の中に取り込まれて利用されると考えていました。

  1. 脂肪の代謝とその調節 ―からだのエネルギーバランス― 大学院生命理学研究科 教授 大隅 隆

しかし、心臓(心筋細胞)では、細胞内に運び込まれた脂肪酸は直接ミトコンドリアに運ばれてベータ酸化を受けるものもあれば、再び中性脂肪になって、細胞内で貯蔵もされるものもあるそうです。また、中性脂肪を代謝する酵素が働かない疾患では、心筋細胞などの内部に中性脂肪が異常に蓄積されてしまうこともあるそうです。

Excessive fatty acid (FA) uptake by cardiac myocytes is often associated with adverse changes in cardiac function. This is especially evident in diabetic individuals, where increased intramyocardial triacylglycerol (TG) resulting from the exposure to high levels of circulating FA has been proposed to be a major contributor to diabetic cardiomyopathy.

Cytoplasmic long-chain acyl-CoA esters that are not immediately diverted to acylcarnitines are incorporated into TG and phospholipids (159)

論文159:van der Vusse GJ, Glatz JF, Stam HC, Reneman RS. Fatty acidhomeostasis in the normoxic and ischemic heart. Physiol Rev72: 881–940, 1992

(Shedding light on the enigma of myocardial lipotoxicity: the involvement of known and putative regulators of fatty acid storage and mobilization 01 MAY 2010 https://journals.physiology.org/doi/full/10.1152/ajpendo.00509.2009 全文PDF)

別の論文から。

  • Sharma and colleagues described high intramyocardial lipid content in LV tissue sections from patients with advanced non-ischemic HFrEF, with the highest content detected in patients with HFrEF and diabetes.
  • myocardial TAG content correlated inversely with regional systolic function in healthy volunteers using 1H-magnetic resonance spectroscopy
  • Two recent studies in HFpEF patients demonstrated significantly enhanced myocardial TAG accumulation compared to controls assessed by 1H-cardiac magnetic resonance spectroscopy
  • in diabetic and obese mice, in which the cardiomyocyte-specific overexpression of ATGL reduced intramyocardial TAG levels, reduced lipotoxicity, and improved systolic and diastolic functional parameters, including EF, E/A ratio, or isovolumic relaxation time
  • 引用元論文:The Role of Adipose Triglyceride Lipase and Cytosolic Lipolysis in Cardiac Function and Heart Failure

中性脂肪蓄積心筋血管症(Triglyceride deposit cardiomyovasculopathy, TGCV)に関する厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 中性脂肪蓄積心筋血管症研究班のウェブサイトにもわかりやすい図がありました。TGCVでは、心筋細胞、血管平滑筋細胞、内皮細胞、骨格筋細胞、多形核白血球、腎尿細管上皮細胞、膵島細胞等に中性脂肪 (TG) が蓄積するそうです。TGCV336例のうち10例では細胞内TG分解の必須酵素adipose triglyceride lipase (ATGL) をコードするPNPLA2遺伝子のホモ型変異が確認されているそうです。

別の論文の図も紹介。

  • Within the cardiomyocytes the FAs are esterified to CoA and either stored in the lipid droplet (LD) or used for energy.
  • At least four lipid-droplet proteins (perilipins; PLINs) are expressed in the heart.
  • The lipid droplet supplies some oxidized FAs via the actions of adipose triglyceride lipase (ATGL)/desnutrin and hormone-sensitive lipase (HSL). CGI58 is the ATGL coactivator.
  • 引用元論文:Lipid Metabolism and Toxicity in the Heart

日本の研究成果のプレスリリースから。

中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)は、脂肪酸代謝異常で増加した中性脂肪が心筋冠動脈に蓄積することで、心不全を引き起こす原因の一つではないかと考えられるようになってきました(図1) 。

(引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000387.000021495.html)

関連記事

  1. 肥満心筋症 名前上は肥大型心筋症と紛らわしい 高度肥満があることが大前提 心筋細胞の内側にも外側にも中性脂肪が蓄積し、それらがいわゆる脂肪毒性を発揮して心筋の収縮力を落としたり、結果的にはリモデリングを起こして線維化をきたして心筋の収縮力が悪くなる おそらく脂肪酸の利用障害がこの病態にかかわっているのではないか

高校化学の熱化学方程式に出てきた熱エネルギーと、大学で習う内部エネルギー、エンタルピー、エントロピー、ギブスの自由エネルギーとの関係

高校の化学では熱化学方程式というものが出てきて、化学反応式に熱エネルギーの項もあり、方程式を足したり引いたりして最終的な反応を求めると言ったことをやっていた記憶があります。ところが、大学に入るとなぜか熱化学方程式に出会うことは二度とありませんでした。あの熱化学方程式の中に出てきたエネルギーとは、一体何だったのでしょうか。大学の熱化学で習う熱エネルギーとしては、エンタルピー、ギブスの自由エネルギー、ヘルムホルツの自由エネルギーなどがありましたが、これらとの関係はどうなっていたのでしょう。

ヘスの図の表などでは、縦軸の「エネルギー」のところを、「エンタルピー」と書いてもいい。 「だったらエネルギーでもいいのでは?」と思う高校生読者もいるだろう。 なので実際、以前の化学I〜化学II 方式の教科書では「エンタルピー」という用語は用いていない。 ‥ 欧米の化学者たちは、慣習的に、ヘスの法則の計算で使うエネルギーのことを「エンタルピー」と読んでいる。wikibooks.org

望ましい高校化学 3) 渡辺正氏 入試で定番の「熱化学方程式」がムラ文化の筆頭だろう。日本の大学でも,海外の高校でも,ああいう表記はせず,「反応式」と「エンタルピー変化」を横または縦に並べて書く。

高等学校化学で用いる用語に関する提案(2) 日本化学会 化学用語検討小委員会 見直すべき表現法 4)【現状】日本の高校では,N 2(g)+3H 2(g)=2NH 3(g)+92 kJのような表記を「熱化学方程式」と呼び,発熱を正値吸熱を負値で表す。【案】(中長期的な視点に立てば)化学反応で出入りする熱は,エンタルピー変化ΔHで表すのが望ましい。【理由・背景】大学の化学熱力学ではΔHを使うため,発熱・吸熱の符号が逆転する。日本の「熱化学方程式」は,古いPauling『一般化学』などの表記を引き継いだものだろうが,いま欧米では高校でもΔHを使い,日本と同じ表記法の教科書は見当たらない。[反応式(N 2(g)+3H 2(g)→2NH 3(g))とエンタルピー変化(ΔH=-92 kJ)のセットをthermochemical equation”と呼ぶ]。 エンタルピーを教える手間は増すものの,本件では大学への接続を主眼とするのが望ましい。https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/66/9/66_454/_pdf

高校の熱化学方程式のエネルギーの正体は、大学で習うエンタルピー変化のことでした。なお、高校の化学と大学の化学とで教え方に差があると混乱を招くということで、今後はエンタルピーに統一されるようです。

高校化学の熱エネルギーは大学の化学のエンタルピー

さて、なぜ熱化学方程式で出てくる熱エネルギーがエンタルピー変化のことだといえるのでしょうか。そもそもエンタルピーとは何だったかというと定義は、

エンタルピー H=U+pV (Uは内部エネルギー、pは圧力、Vは体積)でした。エンタルピー変化ΔHは、ΔH=ΔU+pΔV+VΔp これはただの数学。

ここで熱力学の第一法則を思い出すと、内部エネルギー変化は与えられた熱量と加えられた仕事の和でした。すなわち、 ΔU=ΔQ+ΔW

ここで、ΔW = -pΔV ですから、

ΔU=ΔQ-pΔV これを上のエンタルピー変化の式に代入すると

ΔH=ΔU+pΔV+VΔp = ΔQ-pΔV+pΔV+VΔp = ΔQ+VΔp

今、定圧過程とすると圧力変化はゼロなのでΔp=0 すなわち +VΔp  の項がゼロで、結局、

ΔH=ΔQ

となります。高校の熱化学方程式に出てきた熱エネルギーは、定圧という条件が必ず付いていたことと思います。定圧という条件下で、熱化学方程式に出てきた反応熱とはエンタルピーそのものであることが自分でも確かめられました。

反応熱について

高校化学の熱化学方程式は大学ではお目にかからないものと思っていましたが、大学のウェブサイトにも、丁寧でわかりやすい説明がありました。

化学反応や状態変化に伴って出入りする熱エネルギーの量を熱量といい、単位ジュール(記号はJ)であらわす。化学反応に伴って放出または吸収される熱量を反応熱という。通常は、1 molの物質の反応熱を25℃,1気圧(1.013 X 105 Pa)に換算して示す。熱を放出する反応は発熱反応、吸収する反応は吸熱反応である。

たとえば、H2(気体)1モルがO2(気体)0.5モルと反応してH2O(液体)1モルが生じる反応は次のような式で表される発熱反応である。
H2(気)+ ½O2(気)=  H2O(液)+ 286 kJ

また、赤熱した黒鉛と水蒸気の反応は吸熱反応で、一酸化炭素と水素が発生するとともに、131 kJの熱が吸収される。
C(黒鉛)+ H2O(気)=  CO(気)+ H2(気)− 131 kJ

上の例のように、化学反応式の右辺に反応熱を書き加え、左辺と右辺を等号で結んだ式を熱化学方程式という。熱化学方程式では、反応熱の符号が (+) のものは発熱反応を,(-) は吸熱反応を表す。https://www.toho-u.ac.jp/sci/biomol/glossary/chem/heat_of_reaction.html

  1. http://fnorio.com/0088thermochemical_equation1/thermochemical_equttion1.html

新学習指導要領

2023(令和5)年度から高校では,新学習指導要領がスタートする。‥ これまで用いられてきた高校化学で,「熱化学方程式」という言葉が姿を消した。「 熱 化 学 方 程 式 」 は ,日本の高校化学だけの特殊ルールであり,高大接続の視点や社会に開かれた教育課程の視点,グローバルの視点から,これまでも改訂の度に,学問領域から強い批判を浴び続けられてきた。https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssep/45/0/45_225/_pdf

ギブスの自由エネルギー

発熱反応は、エネルギーが低い状態になるように反応し、余分なエネルギーが熱として放出されるというものです。エネルギーが低いほうにむかう発熱反応は、自然に起こると理解できそうですが、実際には、エネルギーが高いほうにむかう吸熱反応であるにも関わらず、自然に起こる例があります。つまり、エンタルピーは、反応式が右辺に向かうのか左辺に向かうのかを必ずしも教えてくれないのです。反応がどちらに進むかはエンタルピーだけでは決まらず、エントロピーとの差し引きできまります。ΔG=ΔH-TΔS <0 となる反応なら自発的に起こるというわけです。-TΔSは負の符号が頭についていますので、温度Tは必ず正であることを考えると、エントロピー変化ΔSがプラスであれば、この項はマイナスになります。ΔHがかりにプラス(つまり吸熱反応)であっても、項-TΔS と合わせたときに全体がマイナスであれば(すなわちギブスの自由エネルギー変化ΔGがマイナスとなれば)、反応は自発的に起きるというわけです。そんな例があるのかというと、例えば、エタンがエチレンと水素になる反応:

C2H6(気)→ C2H4(気)+ H2(気) ΔH=137 KJ/mol

この反応は吸熱であるにも関わらず、エントロピーが増大する結果ΔG=ΔH-TΔS <0 が成り立つため自発的に右方向に飯能が進みます。もっと良い例だと思うのが、氷が溶けて水になる反応です。

H2O(固)→ H2O (液) ΔH=6.0 KJ/mol

ΔG=ΔH-TΔS <0となる条件なら、氷は水になります。ΔHが正なので、反応が右向きに進むためには、-TΔS  がそれを打ち消すくらいに大きくマイナスに傾かないといけません。個体が液体になるので水分子の自由度が増しますからエントロピー変化は正です。この場合は、温度Tの寄与がわかりやすいと思います。常識的に温度が高いと氷は溶けて水になりますし、温度が0度以下だと氷は溶けません(1気圧で)。T次第で変化が起きるかどうかが、ギブスの自由エネルギーの式から読み取れるというわけです。

参考 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssep/45/0/45_225/_pdf

ヘスの法則

化学反応に伴い生成または吸収する熱すなわち反応熱は反応のはじめと終りの状態のみで決まり,途中の経路には関係 しない.この関係は1840年に多くの反応熱の測定によりHessがみい だした.このHessの法則を利用すると,既知の反応とその反応熱の組み合わせにより、未知の反応の反応熱が求められる.https://chemeng.web.fc2.com/bce/bce_bunb.html

雑感

高校化学での熱化学方程式におけるエネルギーの表記に対しては高大接続の観点から強い批判があったようです。個人的には、「高校化学で習った熱化学方程式に出てきたエネルギーは、大学でならったエンタルピー変化のこと」とさえ教えてもらえれば、それほど混乱させられることもないように思います。高校のときに、文字通り方程式のように扱って、未知の反応の発熱・吸熱エネルギーを計算できて面白いと思いましたし、便利だったと思います。

その他の参考記事

  1. https://note.com/ktom0525/n/n2429f3e7507f

系統看護学講座

医学書院が発行する『系統看護学講座』シリーズの教科書籍タイトル一覧です。看護学部の学生は勉強することが多くて大変ですね。

専門分野

基礎看護学[· 1]··看護学概論
基礎看護学[· 2]··基礎看護技術Ⅰ 2021年改訂
基礎看護学[· 3]··基礎看護技術Ⅱ 2021年改訂
基礎看護学[· 4]··臨床看護総論2022年改訂
地域・在宅看護論[· 1]··地域・在宅看護の基盤2022年新刊
地域・在宅看護論[· 2]··地域・在宅看護の実践2022年新刊
成人看護学[· 1]··成人看護学総論2022年改訂
成人看護学[· 2]··呼吸器
成人看護学[· 3]··循環器
成人看護学[· 4]··血液・造血器
成人看護学[· 5]··消化器
成人看護学[· 6]··内分泌・代謝
成人看護学[· 7]··脳・神経
成人看護学[· 8]··腎・泌尿器
成人看護学[· 9]··女性生殖器
成人看護学[· 10]·運動器
成人看護学[· 11]アレルギー··膠原病··感染症
成人看護学[· 12]·皮膚
成人看護学[· 13]·眼
成人看護学[· 14]·耳鼻咽喉
成人看護学[· 15]·歯・口腔
老年看護学
老年看護·病態・疾患論
小児看護学[· 1]小児看護学概論··小児臨床看護総論
小児看護学[· 2]小児臨床看護各論
母性看護学[· 1]母性看護学概論2021年改訂
母性看護学[· 2]母性看護学各論2021年改訂
精神看護学[· 1]精神看護の基礎2021年改訂
精神看護学[· 2]精神看護の展開2021年改訂
看護の統合と実践[· 1]看護管理
看護の統合と実践[· 2]医療安全
看護の統合と実践[· 3]災害看護学・国際看護学

専門基礎分野

人体の構造と機能[· 1]解剖生理学 2022年改訂
人体の構造と機能[· 2]生化学
人体の構造と機能[· 3]栄養学
疾病のなりたちと回復の促進[· 1]病理学 2021年改訂
疾病のなりたちと回復の促進[· 2]病態生理学
疾病のなりたちと回復の促進[· 3]薬理学 2022年改訂
疾病のなりたちと回復の促進[· 4]微生物学 2022年改訂
健康支援と社会保障制度[· 1]·医療概論 2021年新刊
健康支援と社会保障制度[· 2]公衆衛生
健康支援と社会保障制度[· 3]社会保障・社会福祉 2022年改訂
健康支援と社会保障制度[· 4]·看護関係法令 2022年改訂

基礎分野

物理学
化学
生物学
統計学
社会学
心理学
教育学 2021年改訂
文化人類学 2021年改訂
人間関係論

別巻

臨床外科看護総論
臨床外科看護各論
救急看護学
がん看護学2022年改訂
クリティカルケア看護学
リハビリテーション看護
緩和ケア
家族看護学
栄養食事療法
臨床検査
臨床放射線医学2021年改訂
臨床薬理学
看護史
総合医療論2022年改訂
看護倫理
看護研究
看護情報学2021年改訂
精神保健福祉2022年改訂

参照ページ:https://www.igaku-shoin.co.jp/application/files/3816/3670/0895/2022.pdf)

看護師国家試験出題基準と過去に出題された問題【人体の構造と機能】大項目12.代謝

看護師国家試験過去問題を纏めておきます。

看護師国家試験出題基準
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002ylby-att/2r985200000311lx.pdf

出題項目は内容的に重複しそうな場合もありますので、実際の項目にこだわらずに関連することは下の分類に纏めておきます。

大項目12.代謝

中項目A.栄養とエネルギー代謝

a.栄養所要量

b.基礎代謝

中項目B.物質代謝

a.同化作用と異化作用

b.酵素

c.炭水化物の代謝

第109回午後81 健常な成人において、血液中のグルコース濃度が低下した時に、グルカゴンの働きでグリコーゲンを分解してグルコースを生成し、血液中に放出するのはどれか。 1. 肝臓  2. 骨格筋  3. 脂肪組織  4. 心臓  5. 膵臓

  1. https://www.tokyo-ac.jp/blog/176145/

d.脂肪の代謝

第102回 午後28問 低値によって脂質異常症と診断される検査項目はどれか。 1. トリグリセリド  2. 総コレステロール  3. 低比重リポ蛋白コレステロール〈LDL-C〉  4. 高比重リポ蛋白コレステロール〈HDL-C〉

  1. https://www.kango-roo.com/kokushi/kako/detail/772/1

e.蛋白質の代謝

f.核酸の代謝

第109回(2020年度)午前77N02 最終代謝産物に尿酸が含まれるのはどれか。 1.核酸 2.リン脂質 3.中性脂肪 4.グルコース 5.コレステロール

  1. https://nurseful.jp/student/contents/kokushi/kakomon/2020/077
  2. 高尿酸血症・痛風激痛!痛風を予防する「尿酸」って何ですか? 三和化学 核酸の構成成分プリン体ですので古くなった細胞を分解する新陳代謝の過程でこの核酸からプリン体が出てきます。プリン体は細胞の中にあるものですから,動物・植物いずれの食品からも体内に入ります。これらのプリン体は主に肝臓で分解され尿酸となり
  3. 核酸は肝臓でつくられる ドゥノボ合成 アミノ酸やビタミンから新しく核酸をつくる道。肝臓で行われます。サルベージ合成 核酸の分解物を使って合成する道。骨髄や腸粘膜など細胞分裂が激しいところでは優先的に行われます。
  4. プリン体の測定と食事療法への応用 Gout and Uric & Nucleic Acids Vol.43 No.1(2019)

g.ビタミン・ミネラルの代謝

マークス臨床生化学 医学書院 正誤表

マークス臨床生化学は第5版の邦訳(原書は第6版まで出ている)。図書館で借りて読み始めて、説明がとてもわかりやすくしっくり来たので自分で買って読むことにしました。自分が購入したものは邦訳第一版第一刷です。

マークス臨床生化学(邦訳第一版第一刷) 正誤表

4ページ
これらのエネルギー源が細胞でCO2とO2まで酸化される(異化のプロセス)。
誤:O2
正:H2O

大学の生化学の教科書のお勧め 医学部学生向け、看護学部学生向け、栄養学科向け、臨床医学寄り、理学系・化学寄り

大学で学ぶ生化学の教科書として何がおすすめかは、どんな学部・学科で何をどの程度学びたいかによって変わってきます。生化学は文字通り生体物質の化学ですが、ギブスの自由エネルギーなど物理化学の説明をあまり詳しく取り扱っていない生化学の教科書もあります。

  1. 可逆反応か不可逆反応かを決めるものは何か 五十嵐・志村『改訂 生化学』(光生館)はギブスエネルギーや化学平衡、可逆反応・不可逆反応の説明が詳細だと思います。

また、最近の生化学は細胞生物学を取り込んでおり、エネルギー代謝や物質代謝だけでなくかなりの部分を細胞生物学(細胞分裂、遺伝子発現、細胞内情報伝達機構、最近のライフサイエンステクノロジー)に割いているものを多くなっています。

分量でいうと、大学の標準的な教科書を想定した200~300ページ程度のものと、網羅的に解説した600~1000ページ程度のものに二分されます。

看護学部の学生向けの生化学の教科書

畠山 鎮次『人体の構造と機能〈2〉生化学』 第14版 (系統看護学講座 専門基礎分野)  2019/1/8 医学書院 13版(2014/1/6 三輪 一智)とは著者が変わり、内容も一新されているようです。最近の生化学の教科書の傾向として、代謝回路などの古典的な生化学の範囲が3分の2くらいでのころ3分の1は細胞内情報伝達機構なども含めた細胞生物学の内容になっていると思います。

石堂一巳『生化学』 (看護学テキストNiCE) 2021/12/23 南江堂 158ページ

 

栄養学科の学生向けの生化学の教科書

教科書をパラパラと見てみると、看護学部の学生向けに書かれた生化学の教科書よりも、栄養学科の学生向けに書かれた生化学のほうが内容が一段詳細のようです。各出版社からそれぞれ200ページ前後の大学の講義で使われていそうな標準的な教科書が出版されています。生化学は知識の量が膨大で何を覚えればいいのか途方に暮れる科目ですが、管理栄養士国家試験で出題される内容と割り切ってしまえば、目標が明確になって頑張れるでしょう。教科書は古くから出版されていますが、ここ10年くらいの本を紹介します。

生化学・基礎栄養学

小林美里 ほか『生化学・基礎栄養学 第3版』 (栄養科学ファウンデーションシリ―ズ) 2022/9/9 池田 彩子, 石原 堅固, 2022/9/9 朝倉書店 192ページ 第2版(2017/9/25)を図書館で借りて読みましたが、管理栄養士国家試験に出題された部分が教科書の本文中に示されており(回と問題番号)、何回も出題されている重要箇所も一目でわかりますので、勉強する際にメリハリがついてよいと思います。2色刷り(ピンクの濃淡だけ)で、図などはカラーではありません。

生化学

佐々木康人, 薗田勝, 中村彰男 『生化学第5版 (サクセス管理栄養士・栄養士養成講座) 2021/8/31 一般社団法人 全国栄養士養成施設協会 (監修), 公益社団法人 日本栄養士会 (監修), 第一出版; 179ページ 直近5回の管理栄養士国家試験で出題された語句や内容について、出題番号を併記。

生化学

薗田 勝 (編集)『生化学 第3版』 (栄養科学イラストレイテッド)  2017/12/14  羊土社 ‎ 256ページ

生化学: 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

石堂 一巳, 福渡 努  編『生化学: 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち 』(健康・栄養科学シリーズ)  2019/9/25 南江堂 311ページ

生化学: 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

福田 満『生化学(第2版): 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち』 (新食品・栄養科学シリーズ)  2012/4/11 化学同人 187ページ

栄養生化学 人体の構造と機能

加藤 秀夫, 中坊 幸弘, 宮本 賢一 『栄養生化学 人体の構造と機能』 (栄養科学シリーズNEXT)  2012/4/3 講談社 192ページ

生化学

大塚 譲, 藤原 葉子, 本田 善一郎, 脊山 洋右『生化学』(新スタンダード栄養・食物シリーズ2) 2014/3/28 東京化学同人 242ページ

 

医療関係学部向けの生化学の教科書

Lippincott Illustrated Reviews: Biochemistry 649ページ April 20, 2021

生化学は我々の体がどうやって栄養となる物質を利用して体を作り、エネルギーを取り出し、信号となる物質を作っているかです。また体の中の化学物質をどうやって変換したり除去したりするかです。生化学は暗記すべき膨大な知識のリストではなく、コンセプトとして勉強する必要があります。

 

医学部の学生向けの生化学の教科書

マークス

Michael A. Lieberman PhD, Alisa Peet MD『Marks’ Basic Medical Biochemistry: A Clinical Approach』 6th edition 2022/7/14 1123ページ (5th Edition June 13, 2017)

医学部の学生向けに書かれた生化学の教科書。本文の言葉による説明が非常に明解で、頭に入ってきやすいです。読み物として読むのが楽しい本。

■ 生化学を人間の健康と疾患に結びつける、豊富な患者エピソード
■ 患者の症状や徴候を解説するClinical Notes(臨床ノート)、および生化学を診断時の臨床検査に関連づけるMethod Notes(メソッド・ノート)
■ 生化学的動態を治療オプションや患者アウトカムと関連づけるClinical Comments(臨床的解説)

邦訳:マークス臨床生化学横溝岳彦・訳 髙陽堂書店

ハーパー

Harper’s Biochemistry (Harper’s Illustrated Biochemistry)  2022/9/7 Ph.D. Kennelly, Peter J. , Ph.D. Botham, Kathleen M. , Ph.D. Mcguinness, Owen P., Ph.D. Rodwell, Victor W. , Ph.D. Weil, P. Anthony  802ページ(アマゾン商品サイト) 第32版が2022年に発行されています。

Harper’s Illustrated Biochemistry Paperback – Illustrated, 31st Edition May 28, 2018 ハーバーの生化学 第31版!です。777ページ。

 

理学部向けの生化学の教科書

LibreTexts

Biochemistry LibreTexts これはウェブ教科書でPDF版も用意されていますが、紙での出版はないようです。

  1. Fundamentals of Biochemistry (Jakubowski and Flatt) https://bio.libretexts.org/Bookshelves/Biochemistry/Fundamentals_of_Biochemistry_(Jakubowski_and_Flatt)
  2. Fundamentals of Biochemistry Vol. II – Bioenergetics and Metabolism https://bio.libretexts.org/Bookshelves/Biochemistry/Fundamentals_of_Biochemistry_(Jakubowski_and_Flatt)/02%3A_Unit_II-_Bioenergetics_and_Metabolism これは原理的な説明が明解で、頭に入りやすいと思いました。自分は愛読しています。

ストライヤー生化学

ヴォ―ト生化学

化学者と生化学舎の夫妻による生化学の教科書で、医学の理解の助けになる事柄にもけっこう言及しています。膜輸送(membrane transport)のチャプターもあるのは特徴的。問題も豊富に盛り込んであって、読むだけでなく理解することを重視した教科書。複雑な生化学の反応式も、カラーで見やすく描かれていて、いい教科書だと思います。読む気が起きる教科書。といっても、ヴォート基礎生化学 第5版 東京化学同人 A4変の大きさで、792ページもあるんですね。他の大著よりは少し薄いのですが。

 

そのほか

Lee W. Janson, Marc Tischler『The Big Picture: Medical Biochemistry (Lange the Big Picture)』February 17, 2012

Gerhard Meisenberg PhD『Principles of Medical Biochemistry』2016/12/12

Thomas M. Devlin編『Textbook of Biochemistry with Clinical Correlations』 (Edition 7) 1240ページ ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0470281734

V. S. Ghalaut, A. Sachdeva 『Clinical Biochemistry: Questions and Answers June 30, 2015 』質問と答え、という論述形式のテストみたいな構成なので、自分がどれだけこたえられるかというチャレンジになっていてよい。

Robert H. Glew, Miriam D. Rosenthal 編『Clinical Studies in Medical Biochemistry』3rd Edition 392ページ

Peter Rae, Mike Crane, Rebecca Pattenden『Clinical Biochemistry (Lecture Notes)』 October 2, 2017 疾患ごとの解説になっていてかなり臨床寄りの内容。