国際予備審査の請求ができる期間(PCT規則54の2.1(a))
次の(i)・(ii)のうち、いずれか遅く満了する期間まで請求できる:
| 起算点 | 期間 | |
|---|---|---|
| (i) | 出願人への国際調査報告(又はPCT17条(2)(a)の宣言)及び書面による見解の送付 | 3か月 |
| (ii) | 優先日 | 22か月 |
つまり、(i)と(ii)のどちらか遅い方の期限まで請求OKということやね。
なお、この期間経過後の請求は「提出されなかったものとみなされ、国際予備審査機関がその旨を宣言する」(同規則(b))。この場合、取扱手数料は払い戻される(PCT規則57.4(ii))。
規定の趣旨
ポイントは2つあるで。
① 出願人に十分な判断材料と検討時間を保障する
国際予備審査を請求するかどうかは、国際調査報告と書面による見解(ISA見解書)の内容を見てから判断するのが合理的やんか。新規性・進歩性に問題がなさそうなら予備審査は不要やし、反対に問題ありそうなら34条補正で潰しに行くために予備審査を活用したい——という判断は、見解書を見ないとできひん。
そやから「ISR・見解書の送付から3か月」という起算点を設けて、出願人が報告書を吟味してから請求するか決められるようにしてある。
② 30か月の国内移行期限から逆算した実務上の余裕の確保
優先日から22か月という期限は、国内移行期限(30か月)から逆算されてる。
予備審査報告(IPER)の作成期限は優先日から28か月(PCT規則69.2(i))。請求できる期間を22か月までにしておけば、IPER作成までの審査期間が確保でき、かつ報告書を見てから国内移行を判断する時間(28か月→30か月の2か月)も残せる、という設計。
過去問でも〔2020-条約3(ニ)〕で「優先日から30月」を引っかけに使ってきてるけど、30月にしてしもたら国内移行の判断に間に合わへん——ここが趣旨理解のキモやね。
出題ポイント(ひっかけ警戒)
⚠ 「いずれか遅く満了する期間」の処理ミス 〔H29-条4〕みたいに「ISR送付から3月経過前やけど、優先日から22月経過後」というケースで、3月以内なら請求OKと誤認させる出題パターンが定番。遅い方が基準やから、22月経過後はもうアウト。
⚠ 「優先日から20月にISRが送付された」パターン 〔H22-4〕。この場合、(ii)の22月より(i)の3月後(=23月)の方が遅いから、23月まで請求できる。22月超えても請求できる場面があるってこと、しっかり押さえとき。
PCT規則69.2の位置づけ
69.2 国際予備審査のための期間 国際予備審査報告を作成するための期間は、次の期間のうち最も遅く満了する期間とする。 (i) 優先日から二十八箇月 (ii) 69.1に規定する国際予備審査の開始の時から六箇月 (iii) 55.2の規定に従って提出された翻訳文を国際予備審査機関が受理した日から六箇月
これは国際予備審査機関(IPEA)に対する作成期限を定めたもの。「〇〇までに作成しなあかん」という機関側の義務を規律する規定やね。
ただし注意すべきポイント
⚠ 「いずれか遅く満了する期間」やから28月固定ちゃう
「優先日から28月」は3つの選択肢のうちの1つ。実際の作成期限は(i)〜(iii)のうち最も遅い時点。
たとえば:
- 翻訳文の提出が遅れた場合 → (iii)の「翻訳文受理から6月」が最遅になる可能性
- 予備審査の開始が遅れた場合 → (ii)の「開始から6月」が最遅になる可能性
そやから「機関は28月までに必ず作成せなあかん」って言い切ると不正確。「28月、開始から6月、翻訳文受理から6月のうち最も遅い時点までに作成する義務がある」が正確な理解。
⚠ 趣旨との関係
前回話した「30月の国内移行期限から逆算」という趣旨は、(i)の28月という数字の説明や。標準的なケース(翻訳文不要・予備審査が通常の時期に開始)では(i)が最遅になることが多いから、実務上は28月が目安として機能する、という理解でええ。
横断比較で押さえとくと得
似たような「機関側の作成期限」規定として:
| 規定 | 起算点・期限 | |
|---|---|---|
| 国際調査報告(ISR) | PCT規則42.1 | 調査用写しの受領から3月、又は優先日から9月のいずれか遅い方 |
| 国際予備審査報告(IPER) | PCT規則69.2 | 上記3つのうち最も遅い時点 |
ISRの方は「3月 or 9月、遅い方」、IPERは3要素の最遅——構造が違うから区別して覚えとき。