50条の2 で審査請求時に知りえたなかった場合が除外される理由

質問:特50条の2 同一理由通知に関しての除外ケース。出願審査請求時に出願人が知らなかった理由に関しては除外される ということだと思うけど、なぜこんな制度設計なの?例えば出願Aを親とする分割出願Bをして、同時にAとBに関する審査請求したとき、どちらかのしんさで拒絶理由が通知されたあと、AとBに共通する理由があっても、同一理由通知の対象外になるってことだよね?

Claude Opus 4.7:

ええ質問やね。50条の2の「同一理由通知」制度の趣旨と、なんで「出願人が知らなかった理由は除外」になってるんか、ちゃんと整理したるわ。ええ、必要な情報が揃ったわ。質問の核心に答えていくで。

まず質問の前提整理:その理解で合うてるで

50条の2の制度:

  • 対象:分割関係にある2出願(甲・乙)の少なくとも一方が44条2項適用(つまり分割出願)で、同時出願扱いになってるもの
  • 要件:本願の拒絶理由が、他の出願の拒絶理由通知と同一
  • 除外:「当該特許出願についての出願審査の請求前に当該特許出願の出願人がその内容を知り得る状態になかつたもの」(50条の2かっこ書)

質問のケースを当てはめると:

出願A → 分割出願B → A・B同時に審査請求 → Aに拒理通知a → Bに拒理通知b

このとき、Bの審査請求時点でAの拒絶理由通知aはまだ発出されてへん。せやから、出願人がその内容を知り得る状態になかった → 50条の2の対象外。これは青本のスタディケース(プロジェクト知識にもバッチリ載ってる)通りや。

▼ 50の2 どちらか分割 請求時 拒理通知らずは 対象外 ▼ の語呂のとおり。

で、本題:なんでこんな制度設計なん?

50条の2そのものの立法趣旨

まず50条の2が何をやりたい制度かを押さえる。これは分割出願制度の濫用防止やねん。

具体的には、こういう濫用を防ぎたい:

  1. 親出願Aで拒絶理由通知をもらう
  2. その理由を分かったうえで、補正で対応せず、わざと同じ問題を抱えた分割出願Bを出す
  3. Bでまた最初から審査受けて、最初の拒絶理由通知扱いで再度補正のチャンスをもらう
  4. これを繰り返したら、実質的に審査を引き延ばし&何度も補正やり直しができてまう

これ、補正の制限(17条の2第5項:最後の拒絶理由通知後は減縮等に限定)を分割でリセットしとるわけや。

そこで50条の2は、こういう状況で出される拒絶理由通知に「他の出願ですでに通知された理由と同じやで」という付随通知を併発し、その効果として最初の拒絶理由通知でも17条の2第5項の補正制限(最後の拒絶理由通知並み)をかける(17条の2第5項かっこ書)。これで分割によるリセット濫用を封じる、という設計や。

ほな、なんで「審査請求前に知り得る状態になかったもの」を除外するんか

ここがポイント。50条の2はペナルティ的な性格を持つ規定やねん。本来なら最初の拒絶理由通知やから、補正の自由度が高いはずなのに、それを最後の拒絶理由通知レベルに絞る、という不利益を出願人に課しとる。

このペナルティを正当化するためには、「出願人が他の出願の拒絶理由を知ってたのに、それを踏まえずに分割出願を進めた/審査請求した」という非難可能性が必要や。

ほな質問のケース:

出願A → 分割出願B → A・B同時に審査請求 → Aに拒理通知a → Bに拒理通知b

Bの審査請求時点では、出願人はAの拒絶理由をまだ何も知らへん。つまり:

  • Aで何が問題になるかも分からんまま、Bの審査請求の意思決定をしとる
  • 「Aで拒理通知もらってから内容踏まえて補正」みたいな選択肢をそもそも持ってへんかった
  • ここで50条の2のペナルティ(補正制限)を課すのは、酷すぎる

要するに、「知りながら濫用した」という非難の前提が成り立たへんケースは除外する、という公平性の調整や。

青本にあるスタディケースで整理するとこう

プロジェクト知識のスタディケースを整理表にすると:

ケース 流れ 50条の2
A出願 → A審査請求 → A拒理通知 → B分割 → B審査請求 → B拒理通知 対象 (B審査請求前にA拒理通知が出てる=知り得る状態)
A出願 → B分割 → A・B同時審査請求 → A拒理通知 → B拒理通知 対象外 (B審査請求前にA拒理通知出てへん=知り得る状態になかった)
A出願人甲 → B分割 → Aを乙に譲渡 → A審査請求&拒理通知(乙)→ B審査請求&拒理通知(甲) 対象外 (甲はもうA出願人ちゃうから内容を知り得る状態になかった)
A出願 → B分割 → B審査請求&拒理通知 → A審査請求&拒理通知 対象(A審査請求前にB拒理通知出てる)

質問のケースは②そのものやな。

制度設計の合理性

これ、よく考えられた設計やと思うで。なぜなら:

  1. 濫用防止という本来目的は維持:拒絶理由を知ったうえで分割→新規審査でリセット、という典型パターン(①④)はちゃんと押さえる
  2. 不可避な状況にはペナルティを課さへん:同時審査請求みたいに、構造上「知り得へん」状況は除外
  3. 審査請求時点を基準にすることで線引きが明確:出願人の主観じゃなく、客観的な時点で判断できる

ちな、青本のスタディケース③(譲渡で出願人が変わるケース)も同じ思想や。新出願人になった甲はAの拒絶理由を知る立場にないから除外。ここからも、「知り得る立場にあったか」という出願人の認識可能性が判断基準になっとるんが分かる。

横断的に補強:17条の2第5項かっこ書との連動

50条の2の対象になると → 17条の2第5項かっこ書 → 最初の拒絶理由通知やのに補正が①項削除/②範囲の減縮/③誤記訂正/④明瞭でない記載の釈明に限定される(しかも②なら独立特許要件もかかる)。

つまり50条の2の本当のキバは補正制限なんよ。これは出願人にとって相当キツい不利益やから、「知り得る状態になかった場合は除外」という安全弁を入れとかんと、過度に厳しい制度になってまうわけや。


まとめると:

50条の2は分割の濫用防止のための制裁的規定で、補正制限という重い不利益を伴う。せやから「他の出願の拒絶理由を踏まえて意思決定できる立場にあった」という非難可能性が前提条件として要る。同時審査請求のように、構造上その情報を得られへんかった場合は、ペナルティの前提を欠くから除外する——これが制度設計の合理性や。

質問の理解で完璧に合うてるで。「同時審査請求やと対象外になる」のは、まさにこの除外規定が想定する典型ケースの一つや。