【決着!】内分泌の読み方は「ないぶんぴ」か「ないぶんぴつ」か?

内分泌と書いて、昔、数十年前、すなわち自分が子供の頃は、「ないぶんぴ」と呼んでいたような気がします。しかし、近年は、「ないぶんぴつ」の読み方のほうが一般的で、「ないぶんぴ」という言い方を耳にすることは無くなっていました。ところが、大学生と話していたときにその大学生が内分泌を「ないぶんぴ」と読んだので、あれ?まだ高校では「ないぶんぴ」なのか?と不思議に思いました。

NHKではこれまで「ぶんぴ」を優先してきましたが、「ぶんぴつ」を優先に変更しました。もともと、戦前の辞書では「ぶんぴ」を主見出しにするものが多く、医学用語としても『メインはぶんぴで、ぶんぴつでもよい』という扱いです。しかし、平成20年に放送文化研究所が行った調査では、60歳以上はほぼ半々ですが、若い人ほど「ぶんぴつ」が増え、20代では70%以上になっています。ですから、今後も「ぶんぴつ」が優勢になる傾向がはっきりしたのです。「ひつ」が増えた理由は、つくりの「必」は「ひつ」としか読まないため、字にひきずられてこう読む人が増えていると考えられています。(NHK アナウンスルーム「放送用語の変更③~〝分泌〟ぶんぴ?ぶんぴつ?~」 2014年8月6日)

上の説明によれば、泌を誤読して「ひつ」が広まったとのことです。これは知りませんでした。

  1. 内分泌 ないぶんぴつ GOO辞書

正式には、「ないぶんぴつ」らしいが、医学の世界では以前より、「ないぶんぴ」という慣用的な読み方が普通である。しかし、「ホルモンを分泌する(ぶんぴつする)」のようにするつけて動詞的に扱う場合には、ぶんぴつという読み方が普通である。 https://ameblo.jp/medical-word/entry-11759759211.html

名詞として使うか、動詞として使うかで読み方が異なるというのもまたまた悩ましい話です。

ないぶんぴつせん【内分泌腺】 学研KIDSネット

「糖尿病の最先端医療」 山口大学医学部附属病院第三内科 副科長 太田康晴 准教授 山口大学広報室 チャンネル登録者数 4700人

上の動画では大学医学部の先生が、「インスリン分泌 いんすりんぶんぴつ」と読んでいます。

  1. 第20回 内分泌系による情報伝達 生物基礎 NHK高校講座

上のNHK高校講座のこの動画では、「分泌する ぶんぴする」、「ホルモンの分泌 ほるもんのぶんぴ」、「分泌物 ぶんぴぶつ」、「内分泌系 ないぶんぴけい」と読んでいます。高校では、「分泌 ぶんぴ」なんですね。

フジタビト file08 内分泌・代謝・糖尿病内科学 鈴木 敦詞 教授 藤田医科大学【公式】 FUJITA HEALTH UNIVERSITY チャンネル登録者数 3260人

上の「内分泌・代謝・糖尿病内科学」専門の教授は、「内分泌 ないぶんぴつ」と読んでいます。

糖尿病・内分泌内科学/熊代尚記教授 金沢医科大学オフィシャルチャンネル チャンネル登録者数 645人

上の動画の先生も「糖尿病・内分泌内科学 とうにょうびょう ないぶんぴつないかがく」と読んでいます。

糖尿病・内分泌内科学/中川淳臨床教授 金沢医科大学オフィシャルチャンネル チャンネル登録者数 645人

上の動画の教授もそうですが、なにしろ医学部の「内分泌内科学」の先生が「ないぶんぴつないかがく」と読んでいるのですから、分泌は「ぶんぴつ」と大学の医学部の世界では読まれるということで間違いないと思います。

糖尿病・内分泌内科 名古屋大学医学部創基150周年記念行事Webオープンキャンパス チャンネル登録者数 204人 チャンネル登録 10 共有 オフライン

上の動画の先生も「糖尿病 内分泌内科 とうにょうびょう ないぶんぴつないか」でした。

獨協の中心で愛を叫ぶ #27 内科学(内分泌・代謝)講座 主任教授 麻生 好正 獨協医科大学病院 臨床研修センター チャンネル登録者数 268人

糖尿病・内分泌内科学/生駒麻貴医員 金沢医科大学オフィシャルチャンネル チャンネル登録者数 645人

上の若い医師の先生も「ないぶんぴつ」でした。

弘前大学大学院医学研究科 若手研究者紹介(内分泌代謝内科学講座・村澤真吾先生編) 弘前大学 Hirosaki University チャンネル登録者数 1690人 チャンネル登録 3 共有 オフライン クリップ

こちらの若い先生も「ないぶんぴつ」でした。

と思っていろいろ見ていると、「ないぶんぴ」と読まれる先生もいらっしゃるようです。

大分大学研究紹介:医学部医学科 内分泌代謝・膠原病・腎臓内科学講座 教授 柴田 洋孝 大分大学研究マネジメント機構 産学官連携推進センター チャンネル登録者数 192人

上の動画の教授は「内分泌代謝 ないぶんぴたいしゃ」と読んでおられました。

【健康シリーズ 第27回】『ゲスト:山岸 昌一 様(昭和大学 医学部 内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌内科学部門 教授)』 長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル チャンネル登録者数 33.5万人

上の番組でも紹介する人が、「内分泌内科学部門 ないぶんぴ ないかがく ぶもん」と読んでいました。

さてランダムにYOUTUBEから10動画を見てみましたが、ないぶんぴつ:ないぶんぴ=8:2という結果でした。

間脳の視床下部には、ホルモンを分泌する神経細胞があり、これを神経分泌細胞(しんけい ぶんぴつ さいぼう、neurosecretory cell)という。また、このように神経がホルモンを分泌することを神経分泌(しんけい ぶんぴつ)という。

https://ja.wikibooks.org/wiki/高等学校理科_生物基礎/ホルモンによる体内環境の調節

上のウィキは高校生向けの教材ですが「ぶんぴつ」と読ませています。

中学、高校での教育と、大学以降の教育で読み方の主流派が変わっているようです。

「分泌」に「ぶんぴ」とルビがありますが、「ぶんぴつ」ではないでしょうか。教科書の表記は、文部科学省『学術用語集(医学編)』を参考にしており、ここでは「分泌」の読みは「bunpi〔tu〕」という表記で示されています。また、『生物教育用語集』(日本動物学会/日本植物学会編)においても、「分泌(ぶんぴ)」として立項されています。これを受けて、「新しい保健体育」や東京書籍の他の教科書(高校生物など)でも現在は「ぶんぴ」という読みで統一しています。しかしながら、「ぶんぴつ」の読みが誤りであるとは言えませんので、今後の教科書表記が変更される可能性はあります。

Q&A 中学校 保健体育 東京書籍

なかなか悩ましい状況です。中学から高校にかけて、一生懸命生物の勉強をして「ぶんぴ」と覚えたのに、大学に入ったら「ぶんぴつ」と言われても戸惑う人が多いのではないでしょうか。

「分泌」の読み方は「ぶんぴ」または「ぶんぴつ」。どちらかといえば「ぶんぴつ」と読まれることが多い。かつては「ぶんぴ」が正しい(本来的な)読み方とされてきたが、現代においては「ぶんぴつ」と読む人の割合が増え、いまや慣用的な読み方として完全に定着している。放送業界でも「ぶんぴつ」と読まれるようになっている。

《分泌》の正しい読み方 実用日本語表現辞典 https://www.weblio.jp/

結論として、高校では、「ないぶんぴ」かもしれませんが、大学だと「ないぶんぴつ」がメジャーで、「ないぶんぴ」と読む先生もいらっしゃるということのようです。

高校と大学で、言葉遣いが変わるというのはわりとありますので、あまりこだわらずに、自分が今いる場所で周りのみんなが使っている言葉を使うのがよいと思います。

下の動画はTRYという学習塾のサイトで高校生向けの解説ですが、「ぶんぴつ」と読んでいます。

【生物基礎】 体内環境の維持39 ホルモン:内分泌腺と外分泌腺 (12分) 映像授業 Try IT(トライイット) チャンネル登録者数 73.7万人

ホルモンはからだのはたらきを調整しているんじゃな。
内分泌腺(ないぶんぴつせん)で作られているぞ。https://www.chugai-pharm.co.jp/ptn/medicine/karada/karada021.html 中外製薬

製薬会社の説明サイトも「ぶんぴつ」でした。

結論

本来は「ぶんぴ」が正しい読み方だったので、今でも「ぶんぴ」と読む人がおり、もちろんその読み方は正しいのですが、間違った読み方であったはずの「ぶんぴつ」が世の中に完全に定着してしまっているので、今となっては「ぶんぴつ」のほうが多数派であるといえましょう。