特許法184条の17 PCT外国語特許出願の国内移行後の審査請求

特許法184条の17 PCT外国語特許出願の審査請求についてだと思うけど、翻訳文を提出していることが審査請求の要件だよね。それって、翻訳文に基づいて審査が行われるってこと?国内出願の「外国語書面出願」の場合はどうだったっけ?それも翻訳文の提出が審査請求の要件だっけ?審査も翻訳文に基づく?似てるから並べて比較して整理して。

Claude Opus 4.7:

いい質問やね!この2つは似てるようでけっこう違うから、しっかり整理しとこか。ほな、しっかり並べて整理しよか。


ほんま似てるけど、構造はそっくり同じやで

質問の核心からいくと、両方とも「翻訳文=願書に添付した明細書等」とみなされて、その翻訳文に基づいて審査が行われるんや。これが大原則。順番に整理するで。


1.条文構造の対比

PCT外国語特許出願(184条の17関連) 外国語書面出願(36条の2関連)
翻訳文提出義務 184条の4第1項(優先日から2年6月以内) 36条の2第2項(出願日から1年4月以内)
審査請求の要件 184条の17:①184条の4第1項/4項の翻訳文提出 ②184条の5第1項の国内書面提出 ③195条2項の手数料納付 36条の2+48条の3:48条の3には明文の「翻訳文要件」はないが、翻訳文未提出だと出願が取下擬制(36条の2第5項)されて審査請求のしようがなくなる
翻訳文を明細書等とみなす規定 184条の6第2項:明細書の翻訳文=36条2項の明細書、請求の範囲の翻訳文=特許請求の範囲、etc. 36条の2第8項:外国語書面の翻訳文=願書に添付した明細書、特許請求の範囲、図面とみなす
審査の基礎 翻訳文に基づいて審査 翻訳文に基づいて審査

ここがポイントや。**両方とも「翻訳文=みなし明細書等」**になって、その翻訳文を基準に審査・新規性・進歩性・新規事項追加禁止が判断される。


2.審査が翻訳文に基づく根拠(同じ構造!)

PCT外国語特許出願の場合:

  • 184条の6第2項で、翻訳文が「36条2項の規定により願書に添付して提出した明細書」とみなされる
  • だから審査官は翻訳文を読んで審査する

外国語書面出願の場合:

  • 36条の2第8項で、翻訳文が「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面」とみなされる
  • だから審査官は翻訳文を読んで審査する

どっちも「翻訳文がみなし明細書等になる」という同じ仕組みや。原文(外国語書面・国際出願原文)は審査の基礎にはならへん。原文が出てくるのは誤訳訂正書を提出するとき原文新規事項違反(49条6号)の判断のときだけ。


3.「審査請求の要件」の細かい違い

ここが質問で気になってる部分やと思うんやけど、ちょっと整理が要るで。

PCT外国語特許出願(184条の17):

外国語特許出願については、184条の4第1項/4項(翻訳文)+184条の5第1項(国内書面)+手数料納付の後でなければ、審査請求できない

→ つまり翻訳文の提出は条文上明文で審査請求の前提要件になってる。

外国語書面出願:

  • 48条の3(審査請求)の条文自体には「翻訳文を提出してなければ審査請求できない」という明文はない
  • ただし、36条の2第5項で翻訳文を期間内に提出せえへんかったら出願が取り下げ擬制される
  • 取り下げ擬制された出願に対して審査請求はできへん(係属してへんから)
  • 結果として、事実上、翻訳文提出が審査請求の前提になる

つまり、結論は同じやけど、立て付けが違う。PCTのほうは「審査請求の時期」を定めた条文(184条の17)で正面から要件化してる、外国語書面出願のほうは「みなし取下げ」を経由する間接構造になってる、と。


4.なぜPCTだけ正面から要件化されてるか

立法趣旨的にはPCT23条・40条の制約があるからや。国内書面提出期間が経過するまで指定国は処理・審査を開始してはならない(PCT23条1項)というルールがあるから、それに合わせて時期制限を明文化してる。第三者の審査請求についても国内書面提出期間経過まで待たせる必要があるから、184条の17で正面から書いてあるんや。


5.横断比較まとめ表

論点 PCT外国語特許出願 外国語書面出願
翻訳文提出期限 優先日から2年6月(184条の4第1項) 出願日から1年4月(36条の2第2項)
翻訳文未提出の効果(明細書・請求の範囲) 取下擬制(184条の4第3項)/救済あり(4項) 通知→2月猶予→なお未提出で取下擬制(36条の2第3項~5項)/救済あり(6項)
翻訳文未提出の効果(図面の中の説明) 図面の中の説明はないものとして扱う(取下擬制ならず)
翻訳文未提出の効果(図面) 図面はないものとして扱う(取下擬制ならず)
翻訳文未提出の効果(要約) 補正命令→なお未提出で出願却下(184条の5第2項4号、3項) 補正命令で対応(取下擬制ならず)
翻訳文を明細書等とみなす規定 184条の6第2項 36条の2第8項
審査の基礎 翻訳文 翻訳文
審査請求の要件としての翻訳文 明文(184条の17) 間接(取下擬制を経由)
補正の基準 翻訳文等(184条の12第2項) 翻訳文(17条の2第3項括弧書)
誤訳訂正の制度 あり(184条の12第2項により17条の2第2項を読替適用) あり(17条の2第2項)

6.ひっかけ注意ポイント

ここ過去問でよう聞かれるところやで:

  1. 図面の取扱いが逆:PCTは「図面の中の説明」だけ翻訳必要(図面本体は国際出願日のものを使う)/外国語書面出願は図面全体の翻訳が必要(提出なければ図面なしになる)。〔H28-条5〕でズバリ問われてる。
  2. 新規事項追加の判断基準は「翻訳文」:H28-条5の4で「国際出願日における請求の範囲の翻訳文」じゃなく19条補正後の翻訳文が基準(184条の6第3項)。ひっかけ多い。
  3. 誤訳訂正書を出した後:補正の基準は「翻訳文等 又は 補正後の明細書等」のいずれでもOK(184条の12第2項、17条の2第3項括弧書)。「誤訳訂正書で補正したらもう翻訳文を基準にできない」みたいに誤読させる問題あるから注意。

一言でまとめると

両方とも「翻訳文がみなし明細書等になって、翻訳文に基づいて審査される」という同じ構造。 ただPCTのほうは184条の17で「翻訳文提出が審査請求の前提」と明文化されてて、外国語書面出願のほうは36条の2第5項の取下擬制を経由して同じ結論になる、っちゅう違いや。

語呂合わせで覚えるなら:

翻訳文 みなし明細 審査基礎 PCTは明文 書面は擬制で