解糖系のまとめ
解糖系の出発材料はグルコースで、最終産物はピルビン酸です。2分子のNADHと2分子のATPが産生されます。
C6H12O6(グルコース)+2NAD+ → 2C3H4O3(ピルビン酸)+2(NADH+H+)+2ATP
覚えておこう!
- 解糖系ではグルコース1分子から2分子のATPが産生される。
- 解糖系でエネルギー(ATP)を作りだすとき、酸素は必要ない。
TCA回路のまとめ
解糖系の最終産物ピルビン酸はアセチルCoAni変換されてTCA回路に入ります。TCA回路では8分子のNADHと2分子のFADH2が産生されるほか、産生されるGTPがその後ATPに変換されるため、ピルビン酸2分子(つまりグルコース1分子)あたり2分子のATPが結果的に産生されます。
2C3H4O3(ピルビン酸)+6H2O+8NAD++2FAD → 6CO2(二酸化炭素)+8(NADH+H+)+2FADH2+2ATP(間接的に)
覚えておこう!
- TCA回路では酸素は必要ない。
- TCA回路では二酸化炭素が産生される。人間が呼吸で吐きだす息に二酸化炭素が含まれるが、それがこれ!
- TCA回路ではATPは直接は産生されない(産生されるのはGTPで、これがATPに変換される)
電子伝達系のまとめ
電子伝達系(酸化的リン酸化とも呼ばれる)においては、10分子のNADHと2分子のFADH2が電子供与体となり、その電子は酸素分子が受取り、プロトン(H+)勾配が形成され、その勾配を利用して最大34個のATPが産生されます。
10(NADH+H+)+2FADH2+6O2(酸素)→12H2O+10NAD++2FAD+最大34ATP
さて、トータルで産生されるATPの数はというと、解糖系で2分子、TCA回路で2分子、電子伝達系で(最大)34分子、なので合わせて(最大)38分子のATP産生ということになります。人間は肺呼吸で酸素を吸い、二酸化炭素を吐き出すわけですが、その酸素は、この細胞呼吸において使われ、二酸化炭素が産生されて排出されるということになります。
覚えておこう!
- 電子伝達系は、酸化的リン酸化とも呼ばれる。
- 電子伝達系では、電子が受け渡されていくが、電子を与える「電子供与体」はNADHとFADH2である。
- 電子伝達系で、電子を受け取るのは「酸素」である。
- 電子伝達系では、酸素が必要。だから人間は常時呼吸によって酸素を体内に取り入れているのです。
- 酸化的リン酸化では(グルコース1分子あたり)ATPが34個もできる。それに対して解糖系でできるATPはたったの2個だった。
- がん細胞では、酸素が存在していても酸化的リン酸化ではなく解糖系だけでエネルギー産生(ATP産生)を行っている(好気的解糖と呼ぶ)。これは発見者にちなんでワーブルグ効果とも呼ばれる。
細胞内呼吸(解糖系+TCA回路+電子伝達系)
C6H12O6(グルコース)+6O2(酸素)→ 6CO2(二酸化炭素)+6H2O(水)+エネルギー(38ATP)
ADPとリン酸を左に書いていませんでしたが、実際には38ADP+38リン酸⇒38ATPということになります。
自分が息を吸って吐くたびに、こうやってATPが産生されているのかと思うと、不思議ですね。
覚えておこう!
- 解糖系、TCA回路、酸化的リン酸化全部あわせると、結果として3グルコース1個あたり38個のATPが産生される。
- C6H12O6(グルコース)+6O2(酸素)→ 6CO2(二酸化炭素)+6H2O(水)+エネルギー というのは、植物が行っている光合成の逆反応。つまり人間や動物は酸素をつかってグルコースからエネルギーを取り出し、二酸化炭素と水が副産物として産生される。植物は逆に、太陽エネルギーをつかって二酸化炭素と水から、酸素とグルコースを産生している。
参考サイト
- リメディアル教育2021 第7回 日本大学