クレアチニンとは?腎臓機能の指標となる理由

窒素の排出

人間の体からは、生体に不要な物質は尿などによって外に排出されます。窒素を含んだ化合物で尿から排出される物質としては、尿素、尿酸、アンモニア、クレアチニンがあります。尿中に排出される窒素の形態としては、90%が尿素です。

  1. マークス臨床生化学 VI編 窒素代謝 523ページ

クレアチニンとは

筋肉においてATP再生にクレアチンリン酸が使われますが、クレアチンリン酸の代謝物がクレアチニンです。クレアチニンは筋肉から血中に入り、腎臓で尿に排出されます。

  1. クレアチニン(ウィキペディア)

クレアチニンは筋肉内で、クレアチン及びクレアチンリン酸から非酵素的に産生される最終代謝物で、血液を介して腎臓に運ばれた後、尿中に排泄されます。健常人では体内のクレアチン及びクレアチンリン酸全体の一定量 (1-2 %) が毎日排泄されます。(クレアチニン 解析 医化学創薬株式会社)

クレアチンの合成(肝臓)

余談ですが、クレアチンcreatine)は、肝臓においてグリシン(glycine)から生合成されます。

グリシン NH2-CH2-COOH にグアニジノ基(guanidno group)  NH2-C(=NH)-NH- が結合して、

guanidinoacetic acid (H2N)2-C(+)-NH-CH2COOH となり、さらにS-adenosyl-methionine (SAM)からメチル基を貰って、クレアチン (H2N)2-C(+)-N-(CH3)-CH2COOH となります。クレアチンは、リン酸化されてクレアチンリン酸(creatine phosphateまたはphosphocreatine) HOOC-CH2-N-(CH3)-C(+)-(NH2)(HN-PO3) になります。

クレアチニンの生成(クレアチンリン酸の代謝)(筋肉)

肝臓で作られたクレアチンリン酸は血液を通って、筋肉へと運ばれます。クレアチンリン酸は、非酵素的に分解されます。リン酸が外れ、水(H2O)もとれて、環状になり5員環のクレアチニンが生じます。

(化学構造式の図はChemSketchで自作)

  1. Creatine Phosphate (ScienceDirect)
  2. What is the difference between creatinine, creatinine clearance and creatin? (Quora)

腎機能の指標としてのクレアチニン

クレアチニンは筋肉で産生され、血中を通って腎臓に運ばれ、腎臓で尿中へと排出されます。もし腎臓の機能が低下していてクレアチニンがちゃんと尿中に排出できないでいると、血中のクレアチニンの濃度が上昇することになります。そういう理由で、血液検査のひとつの指標にクレアチニンがあります。クレアチニンの略号は、CrまたはCre。

筋肉の量の指標としてのクレアチニン

クレアチニンは筋肉で産生されるため、筋肉量の指標にもなります。男性のほうが女性よりも筋肉質なので、クレアチニンの値も高めになります。また、同年代であれば筋肉が多い人のほうが高い値になります。

年齢の増加に伴うクレアチニンの変化について

年齢が増すと、筋肉の量が減っていく影響ででクレアチンの値が減少する方向に作用しますが、年齢のせいで糸球体ろ過率が低下するのでその影響ではクレアチンの値が高いほうに変化します。つまり、これらの2つの事柄が相反するため、実際には年齢の増加による血清クレアチニン量の変化は「微増」ということになります。

  1. クレアチニン(コトバンク)

血中クレアチニンの正常値

基準値

男性:0.65~1.09 mg/dL

女性:0.46~0.82 mg/dL

おしっこと採血から分かること 腎らいぶらり)