投稿者「PhD」のアーカイブ

上級医とは

医師の方とメールのやり取りをしていたら、「上級医から、これこれしかじかのアドバイスを受けました。」という文言があり、上級医って先輩の医師のことかなと考えてしまいました。

上級医とは,「臨床研修医に対する指導を行うために 2年以上の臨床経験および能力を有している者で,指導医の要件を満たしていない医師のこと」をいうのだそうです。厳密に定義された言葉なんですね。

立場としては、指導医と研修医との中間に位置するようです。

  1. 指導医・主治医・上級医・担当医の定義と役割(学校法人 慈恵大学)

上級医とは

 

研修医の責任・上級医の責任

 

絶対に採択されない科研費計画調書(申請書)の特徴

科研費の季節なので、絶対に採択されない科研費計画調書(申請書)の特徴について考察してみたいと思います。

まず、余白が目立つもの、スカスカな印象を受けるもの、これは大抵読んでみても中身が薄いです。ページ数が多すぎてスペースを埋めるのに苦労しているようでは、採択はおぼつきません。書きたいことがありすぎてスペースが足りないので、無駄な表現を削って、削って、ギューッと濃縮して仕上げましたという申請書にするのがベスト。そういう計画調書って、読んだときにその濃縮度が読み手に伝わります。それくらいに濃縮度が高いにも関わらず、適度な余白があるので読み易い、そんな計画調書が理想です。

あと、本人がなぜ自分が落ちるのかわからないというタイプの採択調書の特徴は、研究目的が不明瞭なもの、つまり何をやりたいのかが読者に伝わらない調書です。研究目的のセクションには確かに、本研究目的はなになにしかじかですと書いてあります。しかし、だからといって目的が明確かというとそういうものでもないのです。研究目的の明確さは、申請書の隅々まで、一貫した主張になっているかどうかで決まります。研究目的の欄には〇〇をしますと書いていたのに、研究計画・方法のセクションを見ると、××をしますなどと、違うことを平気で書いていた李するのです下手すると、研究課題名に書いた内容が、計画欄には書かれていないということもあります。このように、研究課題名、研究目的、研究計画に書かれて内容が首尾一貫していない申請書、これが実に数多くあるのですが、こういったものは確実に不採択になると思います。別に自分は審査委員をやったことはないのですが、もし自分審査したら一発で落とすだろうと思いますし、きっと他の先生方も同じことを考えるでしょう。

科研費の書き方に関する記事

科研費計画調書「関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけ」欄の書き方

「着想の経緯」と、「動向・位置づけ」の2つに分けて書く

科研費申請書(研究計画調書)の「1研究目的、研究方法など」の(3)として、「本研究の着想に至った経緯や、関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけ」を書く欄があります。(3)は2つに分けて、「本研究の着想に至った経緯」、「関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけ」のそれぞれの項目を立てたほうが、審査委員にとって読みやすくなることでしょう。

なお、動向と位置づけは表裏一体なので、「動向」と「位置づけ」を分けて書くことはお勧めできません。

上手く書けていないことをセルフチェックで知る方法

さて、その「関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけ」をどう書くかについてですが、失敗例から考えるのがわかりやすいです。

一番初歩的なミスは、文献の引用が全く行われていないというもの。研究動向を説明する以上、発表論文の紹介がゼロというのはあり得ません。

次にありがちなのが、関連する論文の紹介の羅列になっているもの。~という報告がある。~という報告もある。と言った感じです。

自分を含めたその研究領域の共通の目標は何か

このセクションを書き始める前に考えるべきことは、一体関連論文というのは何に関連した論文ということか?ということです。それはもちろん、申請者の提案する研究計画に関連した論文です。言い換えると、申請者の研究目的と同じ研究目的をもった世界中の人たちは、どんな研究論文を発表しているのか、そんな中にあって申請者の提案する研究はどう位置づけられるのかを書かないといけないのです。競争がない研究というものはあまりありません。大抵の場合、世界中でみんなが同じようなことを考えて、同じような目標に向かって思い思いのアプローチで研究を進めているわけです。ですから、そういった他人の研究のアプローチの限界や弱点を指摘して、自分の研究アプローチの利点を明確に述べることによって自分の位置づけを明確にすることが求められているのです。。別に他人をディスれと言っているのではありません。他のアプローチの限界点を示し、自分がその限界をどう突破する研究方法を使うのかを書きなさいということです。

関連する国内外の研究動向は、研究のゴールを意識していないと書けません。そしてここでいう「研究のゴール」の捉え方は、広くもとれるし、狭くもとれます。例えば、がんの遺伝子治療に関する科研費テーマで申請書を書いているとします。そのとき研究のゴールは、「がんの治療」と大きくとらえることもできますし、「がんの遺伝子治療」と狭めることもできます。さらに自分の計画が遺伝子治療の中でもウイルスベクターを用いるものなのであれば「ウイルスベクターを用いたがんの遺伝子治療」にまで狭めることもできます。ゴール設定の大きさによって、紹介すべき関連論文も変わってきます。

このセクションの書き方でよくある失敗として、もう一つあげるなら、それは研究のゴールがズレた内容に関して書いてしまっているというもの。書いている本人は、関連した内容を書いているので案外気付かないのです。例えば、がんの遺伝子治療について書かないといけないのに、なぜか、がんの疫学的研究を紹介しているといった具合です。フォーカスする内容がちょっとズレるだけで、説得力が激減するので要注意です。

科研費の教科書

  

科研費申請書の書き方

「特発性」(idiopathic)とは? その疾患の発症の原因が特定できないという意味【医学用語】

病気の名前で、特発性(idiopathic)~という言い方を良く見かけます。通常の日本語の国語辞典的な意味とは異なる、独特な医学用語です。「特発性」(idiopathic)とは その疾患の発症の原因が特定できないという意味になります。

例えば、「流涙症」という病気の原因の一つに「鼻涙管排泄の減少」があり、鼻涙管排泄が減少する原因として加齢に伴う特発性の鼻涙管狭窄が挙げられます。

特発性に似た用語に「孤発性」(sporadic)というものもあります。これは遺伝する病気はなくて、散発的に個人に発症する病気の場合の言い方です。

  1. IPF(特発性肺線維症)ってどんな病気?  IFP.jp
  2. 用語:孤発性 (こはつせい) 難病センター
  3. 流涙 MSDマニュアルプロフェッショナル版

腫瘍免疫(tumor immunity)とは

 

腫瘍免疫(Tumor Immunity)とは、癌細胞に対して働く免疫機構のことです(参照:ウィキペディア)。免疫機構が、がん細胞を取り除いてくれるわけですね。がん細胞は自分自身の細胞ががん化したものですが、それを異物として排除してくれるという精緻な仕組みを私たちは体の中に持っているわけです。たいした自然治癒力だと思います。免疫系の働きを上げることによって、がん細胞を叩く(がんを治癒させる)という試みは、1891年の外科医W.B.コーリーによるものが最初らしいです。コーリー医師は細菌由来毒素(コーリートキシン;Coley Toxin)を癌患者に投与し、免疫を賦活させて癌を治癒させることに成功したそう(参照:ウィキペディア)。免疫系の働きでがん細胞が除去されるという実験的な証拠としては、2001年に、免疫グロブリンの多様性に関与するRAG遺伝子を欠損したマウスを用いた実験で、RAG遺伝子の欠損が癌の発症率を上昇させるという報告があります(Nature. 410,1107-11)。

参考資料

  1. 腫瘍免疫(tumor immunity)ウィキペディア

心不全Heart Failure (HfpEF & HFrEF) とは

心不全Heart Failure (HfpEF & HFrEF)

下の心不全の概論レクチャーはわかりやすい。

Heart Failure (HfpEF & HFrEF) diagnosis and aetiology -Dr Sudhir Kushwaha/ Mayo clinic & BSC 2021/06/10 doctor glob tube

Heart Failure with Preserved Ejection Fraction (HFpEF), by Mariana Lamacié, MD, MSc, FRCPC 2020/01/07 University of Ottawa Heart Institute

  1. Heart failure with preserved ejection fraction: everything the clinician needs to know Patricia Campbell MD a, Prof Frans H Rutten MD b, Matthew MY Lee PhD c, Nathaniel M Hawkins MD d, Prof Mark C Petrie MD c The Lancet Volume 403, Issue 10431, 16–22 March 2024, Pages 1083-1092 DOI: 10.1016/S0140-6736(23)02756-3
  2. HFpEF・臨床医が知るべき全て 仲田 和正 2024年06月25日 05:00 MedicalTribune 「HFpEF、臨床医が知るべき全て」なんて、まるで大学受験の参考書みたいなキャッチコピーです。 Lancet「HFpEF、臨床医が知るべき全て」の最重要点は下記11点です。
    1. HFpEFにSGLT2阻害薬は2023年欧州心臓学会ガイドラインで「Class 1a」の推奨!
    2. 体液過剰のHFpEFで利尿薬(ループ利尿薬、サイアザイド、アルダクトン)はうっ血改善の鍵
    3. HFpEFは単なる左室拡張障害でなく炎症が鍵。肥満、糖尿、加齢、全身疾患が影響
    4. HFpEFにGLP-1受容体作動薬はエビデンス不足、エンレスト、アルダクトンはClass 2b推奨。β遮断薬、硝酸は無効
    5. 心外膜脂肪組織増加でアディポサイトカイン分泌、心筋の炎症、硬化を起こす
    6. HFpEFは心不全(+)でLVEF≧50%、BNP高値。臨床試験では定義単純化(LVEF≧40%)
    7. 先進国で心不全の半数はHFpEF。加齢、女性(糖尿病、肥満多い)、合併症の相乗効果
    8. HFpEFはHFrEFに比べて予後が良いわけではない
    9. HFpEFの2割はBNP(左室拡張で分泌、心室壁厚と逆相関、Na利尿)が上昇しない
    10. 診断:CHFでEF≧50%、BNP高値、RWT>0.42、LVMI≧95、LA拡大、E/e’>9、TR>2.8m/秒、HFpEF diagnostic algorism、HFA-PEFF、H2FPEP score
    11. HFpEFの類似疾患多い:アミロイドーシス、サルコイドーシス、ファブリー病、心膜疾患、PH、右室不全など。若年者は注意

自己調整学習(Self-regulated learning)とは?

「自己調整学習」は,1990年代からアメリカの教育心理学者,バリー・ジマーマン(Barry Zimmerman)らが中心となって提案している新しい教育心理学の理論体系です。(SRL研究会

自己調整学習: 学習者が〈動機づけ〉〈学習方略〉〈メタ認知〉の3要素において自分自身の学習過程に能動的に関与していること

引用元: 「自ら学ぶ力」を育てる方略 インタビュー 伊藤崇達[愛知教育大学教育学部准教授

科研費の応募で研究分担者を置くべきかどうか、採否への影響は?

科研費を応募する際、申請書を作成していて頭を悩ませることの一つが、「研究分担者」を置くべきかどうかです。分担者がいたほうが採択される可能性が上がるのか?あるいは下がるのか?などと考える人がいることと思います。答えは、「単純に採択されやすくくなるということはない」です。それよりも大事なのは、なぜ分担者を置く必要があるのかです。分担者を置く必然性があればOK,なければNGなのです。

 

分担者を置くことで、採択可能性が下がる例

助教や講師、准教授が研究代表者で、教授を研究分担者とし、教授に対する役割として「ご指導を仰ぐ」ためと書く。こう書けば、申請書の他の部分がどれほどよくても、一発で落ちることでしょう。

研究分担者を置いているのに、計画欄のところで分担者の役割を全く書いていない計画調書もありますが、これもなぜ分担者が必要なのかが不明瞭なので、かなり印象が悪くなります。

 

分担者を置かないほうが不自然な例

例えば臨床医とAIの専門家がそれぞれ専門知識を生かして研究プロジェクトを計画したとします。臨床医が研究代表者になるのなら、AIの専門家が研究分担者として参加していないと、実験計画の実現可能性は低く感じられることでしょう。

 

研究分担者を置くほどのこともない例

「研究分担者」は、科研費に採択されたときに研究費を分けあうわけですから、お金が対してかからないような役割しか担っていないのであれば、わざわざ研究分担者にするのは不自然でしょう。その場合、「研究協力者」として、本文中に役割を記載するにとどめれば十分です。完全に一人でできる研究などそうそうなく、たいてい、複数の人達の協力によって研究がなりたっています。ですから、論文を書くときには単著ということはあまりなくて、たいてい共著論文になります。共著者たちがかならず研究分担者になっていないとおかしいということはありません。

 

結論

研究分担者をおくべきかどうかの判断は、実験計画との整合性で決めるのが良いでしょう。分担者を置く理由が言えないのなら、置くべきではない。分担者がいないと研究計画が実行できないのなら、共著者になるのか、お金が必要かなども含めて考えたうえで、分担者を置くかどうかを考えればよいのです。

 

免疫学の教科書(大学レベル)

免疫学は、高校のときに生物をとっていなかったこともあり、また、内容が複雑であることもあり、とても勉強しにくい学問です。いい教科書があればいいのですが、図書館に行っても分厚い教科書しかなくて、とても読む気が起きませんでした。そんなとき、ひょんなことから見つけたのが、河本 宏『もっとよくわかる!免疫学』です。最初河本先生をしったのは、高校生物の解説サイトでした。

  1. NHK高校講座 | 生物基礎 | 第25回 免疫のシステム
  2. NHK高校講座 | 生物基礎 | 第26回 適応免疫 (1) ~細胞性免疫~
  3. NHK高校講座 | 生物基礎 | 第27回 適応免疫 (2) ~体液性免疫~
  4. NHK高校講座 | 生物基礎 | 第28回 免疫とヒト

説明がわかりやすく、挿絵もかわいいので、すっかり魅了されてしまいました。

さて、やはり大学レベルの教科書を通読しない限り、自分の中で自信が生まれてきません。教科書レベルのことは理解しているという自負があって初めて、セミナーなどで疑問に思ったことを質問できようってものです。

新しい免疫入門

審良 静男, 黒崎 知博『新しい免疫入門 自然免疫から自然炎症まで』 (ブルーバックス) 2014/12/19

免疫学の大家による教科書がブルーバックスで読めるというのは日本人としては最高の幸せなのではないでしょうか。なにしろブルーバックスの読み物として教科書がまとめられているので、まず最初の一冊として非常にお勧めです。自分は免疫学の教科書を数冊買い、図書館でも何冊も借りていろいろ読み比べましたが、このブルーバックスの本が、一番頭に入ってきました。ブルーバックスだとあなどるなかれ、これ以上わかりやすく説明してくれる免疫学の教科書はないです(少なくとも自分の場合)。2014年の時点で、免疫学における未解明のトピックが何なのかが述べられていて、研究テーマを考える人にも良い本だと思います。

河本 宏

河本 宏『もっとよくわかる!免疫学』 (実験医学別冊) 2011/2/4

イラストが楽しいし、説明が平易で読み物として楽しめます。ブルーバックスの『新しい免疫入門』よりも先に、読んだ本です。読みやすくて良かったのですが、そうはいっても免疫学は複雑で、読むのに骨が折れました。自分の場合、『新しい免疫入門』を読破したあと、参考図書としてこの本が紹介されていたので、久しぶりにこの本を再度読み返しました。すると、こんどはかなり読みやすくなっていました。『もっとよくわかる!免疫学』の魅力はなんといっても、このイラストです。このかわいいイラストでいやされると、免疫学の難しさのハードルがかなり下がり親しみがわきます。

リッピンコット

リッピンコットシリーズ イラストレイテッド免疫学 原書第2版 監訳 矢田純一/高橋秀美 丸善出版 平成25年  384ページ

とにかく大学レベルの免疫学の教科書を通読したいと思い、リッピンコットを図書館で借りて読みました。なんとか読み切りました。章末に簡単なクイズがあるので、自分がぼーっと読んで読み飛ばしていなかったかどうかの確認ができます。どういう説明をしてもらえれば頭に入ってきやすいかが人によって異なると思いますが、自分はリッピンコットの説明(文章、レイアウトや図などすべて含めて)が一番「ひっかかり」があって頭に残りやすく感じました。

原書では、第2版は2013年で、第3版が2021年に出ています。リッピンコットが気に入ったので、次は原書の最新版を読んでみようかと思います。

Lippincott Illustrated Reviews: Immunology Third Edition 2021/4/20 

このくらいの薄さなら、読破できそう。免疫学は、まず一冊、通読したいですね。第2版の邦訳を図書館で借りて読んでいるのですが、同じ内容を繰り返し説明していることも多いので、実際の厚さよりも内容量はすくなく、通読できそうです。前書きにも学生が通読できる免疫学の教科書というコンセプトで編集したとい書いてありました。章末に理解をチェックする平易な選択問題がついていて、独習者は確認に便利です。自分はこの本の説明の仕方、文章、図が割と気に入っています。やはり自分が読む気が起きるかどうかという相性が大事です。いい本でも読まなかったら持っている意味がないですし。完璧でなくても読み切れる本ならそのほうがいいと思います。そういう意味で、リッピンコットは最初の一冊、通読する免疫学の教科書として、自分に合っています。

内容を絞っている分、説明があまり十分とは思えないところなどもあります。例えばトル様受容体(Toll-like receptors)の説明は、1から11までリストを示しているわりには、文章による説明があっさりしていて、審良 静男, 黒崎 知博『新しい免疫入門』に見られるようなド迫力の説明はありません。

また、原書が内容的に古くなっていたのか、訳注によって、現在の知識では~という部分がいくつもあります。免疫学の進展は目覚ましいものがありますし、それによって診療も変わる可能性があるので、ちょっとこの古さが気になるところですが、あくまで、免疫学の基本的な概念を押さえておくという目的で読むのであれば問題ないでしょう。

この本を最初の一冊にするにしても、再度読み直して知識を定着させたり、詳しい本を一冊選んで次に読むということは必須だと思います。

Janeway’s

Janeway’s Immunobiology  10th Edition 2022/7/12 Kenneth M. Murphy, Casey Weaver, Leslie J. Berg   960ページ

免疫学の研究者に、免疫学を勉強するならどの教科書がいいですかと聞いたときに、名前が挙がったのがジャンウェイの免疫学でした。いい本だからといって、自分が読めるかどうかはまた別問題。しかし、ある抗原を認識したB細胞の増殖を促すヘルパーT細胞はどうやってその同じ抗原を認識できるのかと疑問に思ってこの教科書を紐解いてみたら、非常にしっかりとした説明があって気に入りました。『新しい免疫入門 自然免疫から自然炎症まで』 の巻末にも参考図書として挙げられていました。邦訳がいつ出るかわかりませんが、大著を一冊だけ選ぶならジェンウェイに落ち着きそうです。第10版を英語で買って読んでみようと思います。これ一冊を読破すれば、免疫学の研究セミナーを聞いてもだいぶ理解しやすくなるはず。

標準免疫学

標準免疫学 第4版 単行本 – 2021/4/19 宮坂 昌之 (著) 医学部の教科書シリーズの中の一つ。それほど厚い本でもなく、びっしりと字で埋めているわけでもなくて、イラストや写真が豊富で余白も結構あって、読みやすいです。なにしろ頻繁に改訂しているので内容は最新だと思います。立ち読みしたのですが、CD8やCD4分子がMHCクラスI分子やMHCクラスII分子にどのように結合しているのか(どの部分がどこに結合しているのか)まで解説されていて驚きました。細かい説明があったほうが、ざっくりと書かれるよりも頭に入りやすいと思います。

Paul’s

Paul’s Fundamental Immunology Eigth Edition 2022/10/19 Martin Flajnik著 1748ページ これは大著ですが、イラストもわかりやすそうですし、アメリカで定評があるのもわかる気がします。ポールさんんは亡くなられていますが、数人の著者があとをつぎ、実際の執筆陣(コントリビューター)は数十人いるみたいです。アマゾンの書籍紹介の受け売りになりますが、免疫が関係する診療科の医師や免疫の研究者になるような人には最高の本かもしれません。

ポールの免疫学は少し版が古いのなら図書館にあったので見てみましたが、字がびっちりとページを埋めていて、自分にはとても読める気がしませんでした。

矢田 純一

矢田 純一『医系免疫学 改訂16版』  2021/11/17 1052ページ

単著でこの厚さで、しかも数年ごとに改訂しているという、執筆者の熱意が感じられるものです。一人の人の文章だと、一貫性があって、しかもその人の自然観が感じられて、読んでいて楽しいです。

Cellular and Molecular Immunology

Cellular and Molecular Immunology 2021/5/20 Abul K. Abbas MBBS (著), Andrew H. Lichtman MD PhD (著), Shiv Pillai MBBS PhD (著)

Kuby

Kuby Immunology: International Standard Edition IX (English Edition) Kindle版 英語版 Thomas J.Kindt (著), Barbara A.Osborne (著)

Roitt’s

Roitt’s Essential Immunology