eGFRスロープとは、**estimated Glomerular Filtration Rate(推算糸球体濾過量)の時間的変化、つまりeGFRが時間とともにどの程度の速さで低下または改善しているかを示す傾き(slope)**のことです。単位は「mL/min/1.73m²/year」などで表されます。
🔬eGFRスロープとは?
- eGFRは腎機能を表す指標で、値が高いほど腎機能が良好。
- eGFRスロープは「年間何mL/min/1.73m²のペースでeGFRが変化しているか」を示す。
- 通常、慢性腎臓病(CKD)ではeGFRは徐々に低下していくので、スロープはマイナスになります。
💊SGLT2阻害薬とeGFRスロープの関係
SGLT2阻害薬(例:ダパグリフロジン、エンパグリフロジンなど)は、糖尿病治療薬として使われるだけでなく、腎保護作用があることが多数の臨床試験で示されています。
✔︎ どのように関係するの?
- 初期にeGFRが一時的に低下(「dip」または「初期drop」)することがある。
- しかし、その後のeGFRの低下スピード(スロープ)が緩やかになる。
- つまり、長期的にはeGFRスロープが改善(フラットになる)=腎機能の悪化を遅らせる。
📈eGFRスロープがどうだと、どうなの?
スロープの傾き | 腎機能の状態 | 臨床的な意味 |
---|---|---|
急なマイナス(低下が早い) | 腎機能が急速に悪化 | 末期腎不全や透析リスクが高まる |
緩やかなマイナス(低下が遅い) | 腎機能がゆっくり悪化 | 治療介入の効果あり |
0に近い or プラス(安定または改善) | 腎機能が安定、または改善 | 治療が極めて有効、または自然回復 |
🧪臨床試験での活用
例えば、SGLT2阻害薬の大規模試験(CREDENCE, DAPA-CKDなど)では、プラセボ群と比較して、eGFRスロープが有意に改善したことが示されています。これは、腎保護作用の有力な証拠の一つです。
✍️まとめ
- eGFRスロープ = 腎機能の低下スピードを示す指標。
- SGLT2阻害薬はこのスロープを改善し、CKDの進行を抑える。
- スロープが急なら悪化、緩やかなら安定、フラット~プラスなら腎機能が維持または回復。
(ChatGPT 4o)
eGFR は、
estimated Glomerular Filtration Rate(推算糸球体濾過量)
の略で、腎臓の働き(特に糸球体のろ過能力)を推定する指標です。
1. 何を表すのか
- 腎臓の糸球体で、1分間にどれくらいの血漿がろ過されるかをmL/分/1.73m²で表します。
- 正常では 90〜120 mL/min/1.73m² 程度。
- 腎機能が低下すると数値が下がります。
2. なぜ「e」なのか
- 実際にGFRを測るには、イヌリンクリアランスなどの複雑な検査が必要。
- 日常臨床では、血清クレアチニン値・年齢・性別(場合によっては人種)を使った計算式で推定(estimated)します。
- 日本では日本人向け補正式が使われています。
3. 臨床での位置づけ
- 慢性腎臓病(CKD)の診断・重症度分類に必須。
- G1:eGFR ≥90(正常〜高値)
- G2:60〜89(軽度低下)
- G3a:45〜59
- G3b:30〜44
- G4:15〜29
- G5:<15(腎不全)
- 高血圧や糖尿病患者の経過観察にもよく使われます。
💡 読み方
- 日本の医療現場:ほぼ 「イー・ジー・エフ・アール」 とアルファベット読み。
- 略さず言うことはほぼありません。
BUN・クレアチニン(Cr)・eGFRの違いと臨床での使い分け
1. それぞれの意味と特徴
BUN(血中尿素窒素)
- 何を測っているか
タンパク質代謝の最終産物である尿素に含まれる窒素量。 - 影響を受けやすい要因
腎機能だけでなく、脱水、消化管出血、高蛋白食、肝機能などでも上下します。 - 特徴
腎機能の指標にはなるが、非腎性要因で変動しやすく特異性が低い。
クレアチニン(Creatinine, Cr)
- 何を測っているか
筋肉中のクレアチンが代謝されてできる老廃物。ほぼ一定速度で産生され、腎臓から排泄される。 - 影響を受ける要因
腎機能の低下で上昇。筋肉量の多少(高齢者ややせ型では低値)にも影響。 - 特徴
腎機能の評価にBUNよりは信頼できるが、腎機能が半分くらい落ちるまで上昇しにくい(感度が低い)。
eGFR(推算糸球体濾過量)
- 何を測っているか
クレアチニン値・年齢・性別から糸球体のろ過能力を推定した値(mL/min/1.73m²)。 - 影響を受ける要因
基本的には腎機能依存。筋肉量の影響はCrより軽減されるが完全ではない。 - 特徴
CKDの診断や重症度分類の基準として国際的に使用される標準指標。
2. 臨床的な使い分け
- BUN
- 脱水か腎機能障害かの鑑別に有用(BUN/Cr比を見る)
- 消化管出血や高蛋白食など腎臓以外の要因評価にも使える
- クレアチニン
- 腎機能の変化を比較的鋭敏に反映
- 急性腎障害(AKI)の診断基準にも含まれる
- eGFR
- 腎機能の定量的評価と長期フォローアップに最適
- CKDの診断・進行度分類に必須
- 薬剤の腎排泄能に応じた投与量調整の参考にも使う
💡 まとめると
- BUN:幅広く変動 → 脱水や代謝状態の評価にも
- Cr:腎機能の変化を反映するが筋肉量に左右される
- eGFR:腎機能の国際的な標準評価指標
(ChatGPT 5)