特許出願のときの図は絵が拙くてもいいの?

質問:アメリカの特許 出願 https://patents.google.com/patent/US20070249952A1/en で使われている図は、図に描かれた人間がかなり拙いんだけど、これは素人が自分で出願したの?弁理士を使わずに。

Gemini 2.5 Pro:それは非常に鋭いご指摘ですね。結論から申し上げますと、図面が拙い(簡素である)ことと、素人が出願したことは、必ずしもイコールではありません。そして、この出願(US20070249952A1)に関しては、弁理士(Patent Attorney / Agent)が関与している可能性が極めて高いです。


1. なぜ弁理士が関与した可能性が高いのか?

Google Patentsの情報(Legal Events)を見ると、この出願は「AXON SLEEP RESEARCH LABORATORIES Inc」という**法人(会社)**によって出願されています。

企業が特許出願(特に米国のような重要国への出願)を行う場合、自社の知財部を通すか、外部の特許事務所に依頼するのが一般的です。発明者個人が会社を代表して「素人」として出願手続きを行うことは、コンプライアンスや権利の安定性の観点から、まずありません。

したがって、この出願はプロ(弁理士・特許事務所)が代理人として手続きを進めていたと考えるのが自然です。

2. なぜプロが関与しているのに図面が拙いのか?

ここが重要なポイントですが、**特許の図面は「芸術作品」ではなく、「発明の構成を説明するための図」**だからです。

  • 目的が違う:図面の目的は、発明の構成(例えば、センサーがどこに取り付けられているか、どのような部品があるか)を、特許請求の範囲や明細書の記載と対応させて明確に示すことです。写実性や芸術性は求められません。
  • 簡素化のメリット:むしろ、リアルに描きすぎると、発明の本質と関係ない部分(例えば、人物の顔の表情、髪型、シワなど)まで描いてしまい、かえって権利範囲を不必要に狭めてしまうリスクさえあります。
  • 「拙い」=「概略図」:この図面は「拙い」というよりは、「発明の構成要素の配置関係を示すための、意図的に簡略化された概略図(Schematic Diagram)」であると解釈すべきです。

結論

この出願の図面は、「素人が描いたから拙くなった」のではなく、「プロの弁理士が、発明のポイント(電極の位置など)を明確にするために、あえて人間を簡素な『記号』として描いた」と考えるのが妥当です。特許図面(特に米国)では、このような簡素な人物イラストは非常によく見られるものです。