特065 補償金請求権の対象期間

特許法第65条(出願公開の効果等)における「補償金の支払いを請求できる期間(補償金請求権の対象期間)」は「警告をした時(または悪意の事実を知った時)」から「特許権の設定登録の日」までの間です。勉強ノート風に整理し、タイムラインとあわせて確認します。


## 補償金請求権の対象期間(いつからいつまで?)
特許権が発生するのは「設定登録」の後ですが、出願公開(出願から18ヶ月後)から登録までの間に、第三者が勝手に発明を実施してしまうと、出願人は不利益を被ります。その隙間を埋めるのが第65条の補償金請求権です。


期間の定義は以下の通りです。
1. 始期(いつから?)
以下のいずれか早い時点がスタート地点になります。
* 原則:警告をした時
   * 出願公開があった後、その特許出願の内容を記載した書面を提示して警告をした時。
* 例外:悪意(知っていた)の時
   * 警告をしなくても、第三者が「出願公開がされた発明であることを知って」業としてその発明を実施していた場合は、その事実を知った時。


2. 終期(いつまで?)
* 特許権の設定登録の日
   * 設定登録がなされると、そこからは正式な「特許権」に基づいて差止請求や損害賠償請求ができるようになるため、補償金請求権の出番はここで終わります。


## タイムラインでのイメージ
視覚的に整理すると以下のようになります。
| 時系列 | 手続き・状態 | 権利の状態 |
|—|—|—|
| 1. 出願 | 特許出願 | 権利なし |
| ↓ | (審査待ち・18ヶ月経過) |  |
| 2. 出願公開 | 内容が世の中に公開される | まだ請求できない |
| ↓ | ★警告(書面提示) | 【ここから計算スタート】 |
| 3. 実施期間 | 第三者が勝手に実施している期間 | 【この期間分のお金を請求できる】 |
| ↓ | 審査合格・登録料納付 |  |
| 4. 設定登録 | 特許権の発生 | 【ここで計算ストップ】 |
| 5. 登録後 |  | これ以降は「特許権侵害」として請求 |


## ⚠️ 注意すべき重要ポイント(試験によく出る点)
この論点で最も間違えやすいのが、「いつ計算するか」と「いつ請求(権利行使)できるか」の違いです。
* 計算の対象期間
   * 上記のとおり「警告~登録」までの期間です。
* 実際に請求できる時期(権利行使の時期)
   * 「設定登録の後」でなければ請求できません(法65条2項)。
   * つまり、「今まさに警告期間中だから、今すぐ金払え!」とは言えず、「特許になるまで待って、無事に登録されたら、さかのぼってあの時の分を請求する」という形になります。
知財の勉強において、この「隙間期間の保護」は非常に重要な概念です。

(Gemini)