特068 特許権の効力 特許発明の実施をする権利を専有 越後製菓vsサトウ 角餅の切り込み

(特許権の効力)
第六十八条 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。ただし、その特許権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない。https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121#Mp-Ch_1

プロンプト:進歩性があったとしても、そのクレームの一部が過去の別の会社のクレームを含むものであったら、結局、侵害になっちゃうんだね。

Gemini:はい、その通りです。特許の世界では、「特許の成立(登録)」「特許の実施(侵害の有無)」は、別の基準で判断されるため、あなたが指摘された状況が起こりえます。

💡 特権の成立と侵害は別問題

1. 進歩性が認められ、特許が「成立」した理由

特許の成立(登録)は、特許庁の審査で判断されます。

  • 基準: 請求項(クレーム)に記載された発明が、先行技術(過去の特許や公知技術)と比較して、「新しいこと(新規性)」と「容易に思いつけないこと(進歩性)」があるかどうかです。

  • サトウのケース: 佐藤食品工業の特許(3620045号)は、「上下面の十字切り込み」など、越後製菓の特許にはなかった新たな構成と効果(均一な膨化など)を持っていたため、進歩性が認められ、特許として登録されました。

2. 実施が「侵害」になった理由

特許の実施(侵害の有無)は、他社の有効な特許権との関係で判断されます。

  • 基準: 自社が実施しようとする製品・技術が、他社の特許の請求項に記載された技術的範囲をすべて満たしているかどうかです。

  • 抵触の関係: 佐藤食品工業の製品は、「側面への切り込み」という構成を含んでいました。この「側面への切り込み」は、裁判所によって越後製菓の特許の技術的範囲に含まれると判断されました。

したがって、自社の特許に進歩性が認められて登録できたとしても、その特許を実施する行為が他社の先行特許の権利範囲に抵触する場合、その特許を自由に実施することはできず、特許侵害になります。

このような関係にある特許を、「改良発明特許」または「利用発明」と呼びます。改良発明を実施するためには、元の特許(基本特許)を持つ会社から許諾(ライセンス)を得る必要があります。