令和8年度弁理士試験短答式問題
【意匠】6
日本を指定締約国とするハーグ協定のジュネーブ改正協定の規定による国際出願に係る
国際登録に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
1 国際意匠登録出願の出願人は、その国際登録に係る意匠を秘密にすることを請求する
ことができる場合がある。
(枝2以下省略)
解答・解説
秘密意匠あり得へん、で合ってる。〇や。根拠は意匠法60条の9。
国際意匠登録出願の出願人については、第14条(秘密意匠)の規定は、適用しない。
ただ、これを「適用なし」って丸暗記すると初見の枝で死ぬから、構造で押さえよ。
なんで秘密にできへんのか(理解の核)
国際意匠登録は、ジュネーブ改正協定10条でWIPO国際事務局が「国際公表」する仕組みが大前提になっとる。で、それが日本に入ってくると、この国際公表が日本の**「出願公開」とみなされる(60条の6第1項)**。
つまり——日本の特許庁が実体審査する時点で、その意匠はもう世界に晒されとる。
一方、14条の秘密意匠は「設定登録の日から最長3年、意匠を秘密にできる」制度やろ。すでに公表されてもうたモンを後から「秘密にして」言うても、そら物理的に無理。だから14条まるごと適用除外。青本の趣旨もそのまま「国際公表されており秘密にすることがそもそも不可能」言うとる。
👉 この「国際公表が前提」という一点さえ握っとけば、関連する枝は全部ここから演繹できる。
国際意匠登録の流れ
| 段階 | 中身 | 条文 |
|---|---|---|
| ① 国際出願 | WIPO国際事務局へ。**直接出願 or 間接出願(自国官庁経由)**を選べる | 4条(1) |
| ② 言語 | 英・仏・西から選択(自国語ちゃう⚠) | 6規則 |
| ③ 出願内容 | 1出願で複数指定国・最大100意匠まで(ロカルノ同一類が条件) | 5条(4) |
| ④ 方式審査 | 国際事務局が方式審査。不備→補正命令、応じんと放棄みなし | 8条 |
| ⑤ 国際登録 | 国際登録簿に記録。国際登録日=原則、国際出願日 | 10条(1)(2) |
| ⑥ 国際公表 | 原則、国際登録日から6月後。請求で登録後すぐ/延期も可 | 10条(3)・17規則 |
| ⑦ 各指定国の実体審査 | 日本では国際公表=出願公開みなし | 60条の6 |
| ⑧ 拒絶の通報 | 国際公表から6月以内(宣言国は12月以内) | 12条・18規則 |
| ⑨ 保護確定 | 通報なし→期間経過で保護/拒絶取下げ・保護付与の声明で効果発生 | 14条 |
弁理士試験の狙われどころ
狙われどころ①:秘密意匠 vs 関連意匠(横断)
これ、判断軸ひとつで割り切れる。
| 制度 | 国際意匠登録出願 | 条文 |
|---|---|---|
| 秘密意匠(14条) | ✕ 適用なし | 60条の9 |
| 関連意匠(10条) | 〇 適用あり | 60条の8 |
なんで分かれるか?基準は「国際公表前提とケンカするか否か」だけ。
- 秘密意匠=非公開にする制度 → 公表前提と真っ向衝突 → ✕
- 関連意匠=権利範囲を広げる制度 → 公表とは無関係 → 〇
この軸を持っとけば、初見の組合せ枝でも切れる。
狙われどころ②:公表の時期は「6月後」 原則は国際登録日から6月後(17規則(1)(iii))。これを18月(特許の出願公開)や1年4月(条約)と混ぜてくる。「請求で登録後すぐ公表」も〇な。
狙われどころ③:公表の延期 ≠ 秘密意匠(混同罠の本命)
- 公表の延期(11条)=公表前に最大30月遅らせるだけ。いずれ必ず公表される。
- 秘密意匠(14条)=設定登録後=権利発生後に秘密にする。
時間軸がそもそも別モン。「延期できるなら実質秘密意匠やん」は**✕**。延期は遅らせるだけで、秘密権利にはならへん。
狙われどころ④:書面の提出時期 新規性喪失の例外(4条2項)を受けたいとき、書面は出願と同時ちゃう。国際公表後30日以内に特許庁長官へ(60条の7、施規1条の2)。「出願と同時に提出しなければ受けられない」は過去問頻出の✕枝や。
まとめると、「国際公表が前提」という1本の柱から、秘密意匠✕・関連意匠〇・公表延期との区別・書面提出時期、全部ぶら下げて理解できる。暗記すんのはこの柱だけでええ。
意匠法の条文
(国際登録出願)
第六十条の三 日本国民又は日本国内に住所若しくは居所(法人にあつては、営業所)を有する外国人は、特許庁長官に意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定(以下「ジュネーブ改正協定」という。)第一条(vii)に規定する国際出願(以下「国際出願」という。)をすることができる。この場合において、経済産業省令で定める要件に該当するときは、二人以上が共同して国際出願をすることができる。
2 前項の規定による国際出願(以下「国際登録出願」という。)をしようとする者は、経済産業省令で定めるところにより外国語で作成した願書及び必要な物件を提出しなければならない。
(秘密意匠の特例)
第六十条の九 国際意匠登録出願の出願人については、第十四条の規定は、適用しない。