意匠法第60条の3から第60条の23までは、ジュネーブ改正協定(ハーグ協定のジュネーブ改正協定)に基づく特例に関する条文です。弁理士法短答試験でも取り上げられているトピック。
令和8年度短答式試験【意匠】6 日本を指定締約国とするハーグ協定のジュネーブ改正協定の規定による国際出願に係る 国際登録に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
枝4 2つの意匠を包含する国際出願が、国際登録の対象である意匠ごとにされた意匠登録 出願とみなされた。これらの2つの意匠が互いに類似するものであるとき、意匠登録出願人に、意匠法第9条第2項の協議をしてその結果を届け出るべき旨が命じられる場合 がある。
問題文(枝の文)の読解の困難さ:
- 「2つの意匠」を包含する国際出願?2つの国際出願??
- 国際登録の対象である意匠ごとにされた意匠登録 出願 は一つの出願?2つの出願?
- 意匠登録出願人に、意匠法第9条第2項の協議をし 一つの出願の中の2つの意匠で一人の出願人?自分で自分と協議するの??
解説
GoogleAI による概要
「複数の意匠を包含する国際出願」とは、1つの国際出願手続きの中に複数のデザイン(意匠)をまとめて含めて出願することを指します。
この出願について、疑問を解決するためのポイントを3つに整理して分かりやすく解説します。
1. 「2つの意匠を包含する国際出願」とは?
ひとつの願書(国際出願)の中に、2つのデザイン(意匠)をまとめて詰め込んで提出した状態を指します。日本では「1つの出願につき1つの意匠」というルール(一意匠一出願の原則)があります。そのため、この出願が日本に到達した際は、「意匠1」の出願と「意匠2」の出願という、計2つの独立した出願に分割(みなす)されて審査されることになります。
2. 意匠登録出願人に「協議」が命じられるのはなぜ?
日本では「同じ人」が「同じ日」に似たようなデザイン(類似する意匠)を2つ以上出願した場合、どちらか1つしか登録できないルールになっています(意匠法第9条第2項)。そのため、特許庁の審査官から出願人に対し、「2つのうち、どちらをメインとして登録したいか選んで(協議して)結果を教えてください」という命令(協議指令)が来ます。
3. 自分で自分と「協議」するの?
はい、その通りです。「2つの出願人」が別人であればお互いに話し合って決めますが、出願人が同じ人(自分一人)の場合でもルールは同じです。自分の中でどちらか一方の意匠(または関連意匠)を選ぶ手続きをしなければならないため、実質的に「一人で協議の結果を回答する」ことになります。
関連する条文
意匠法
(国際出願による意匠登録出願)
第六十条の六 日本国をジュネーブ改正協定第一条(xix)に規定する指定締約国とする国際出願であつて、その国際出願に係るジュネーブ改正協定第一条(vi)に規定する国際登録(以下「国際登録」という。)についてジュネーブ改正協定第十条(3)(a)の規定による公表(以下「国際公表」という。)がされたものは、経済産業省令で定めるところにより、ジュネーブ改正協定第十条(2)に規定する国際登録の日にされた意匠登録出願とみなす。
2 二以上の意匠を包含する国際出願についての前項の規定の適用については、同項中「された意匠登録出願」とあるのは、「国際登録の対象である意匠ごとにされた意匠登録出願」とする。
3 第一項(前項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定により意匠登録出願とみなされた国際出願(以下「国際意匠登録出願」という。)に係るジュネーブ改正協定第一条(viii)に規定する国際登録簿(以下「国際登録簿」という。)に記録された次の表の上欄に掲げる事項は、第六条第一項の規定により提出した願書に記載された同表の下欄に掲げる事項とみなす。
国際登録の名義人の氏名又は名称及びその住所 | 意匠登録出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
国際登録の対象である意匠の創作をした者の氏名及びその住所 | 意匠の創作をした者の氏名及び住所又は居所
国際登録の対象である意匠を構成する一若しくは二以上の製品又は国際登録の対象である意匠が使用されることとなる一若しくは二以上の製品 | 意匠に係る物品又は意匠に係る建築物若しくは画像の用途(上欄に掲げる製品が建築物又は画像である場合において、当該製品に係る国際登録簿に記録された事項から当該建築物又は画像の用途を認識することができるときに限る。)
4 国際意匠登録出願に係る国際登録簿に記録された意匠は、第六条第一項の規定により提出した図面に記載された意匠登録を受けようとする意匠とみなす。
(先願)
第九条 同一又は類似の意匠について異なつた日に二以上の意匠登録出願があつたときは、最先の意匠登録出願人のみがその意匠について意匠登録を受けることができる。
2 同一又は類似の意匠について同日に二以上の意匠登録出願があつたときは、意匠登録出願人の協議により定めた一の意匠登録出願人のみがその意匠について意匠登録を受けることができる。協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、いずれも、その意匠について意匠登録を受けることができない。
(以下、略)