青森県立保健大学のウェブサイトで、科研費に採択された6人の先生方による座談会の記録が公開されていました。
青森県立保健大学 > 研究推進・知的財産センター > 座談会
科研費に応募する人の全てに役立つ内容だと思いますので、この座談会(平成28年7月)の記録の一部を紹介します。
科研費には応募すべき?
- 権利があるのだから、必ず科研費に出しなさい
- 大学で研究者としているのであればだれでも出すのは当然
- 出さないことには採択されない訳ですから、まずは挑戦してみよう!
- みんな、外れても、外れても毎年全員が科研費に出す
- 科研費を出さなければ、「クビ」
研究はやるべき?
- 研究をやらない人は、もう知らないよ。
- 研究というものをやらなきゃいけない責務というものを感じ
- 教育と研究と地域貢献は三本柱
研究を纏めることの重要さ
- 研究にとりかかるのは結構好きでやるのですが、それをまとめるのになかなか時間的余裕がないとうか、・・・時間は作ればいいんでしょうけれども、次の研究に入っていきたいっていう気持ちが大きいです。そこのところが問題
科研費を獲る意義
- 「保健大で認められた研究、科研費を取った研究。」という説明を加えると、参加してくれる方も「自分のデータがみんなにまた還元されるのね。」と思ってくれます。
- 非常に分かりやすいステータスになりますね。自分の研究が、一応、国で認めてもらえている
情熱・根性があるか
- どれだけ情熱を持って自分で実現可能な内容で計画を立てているか
様式に印刷された指示に従うこと
- 書き方のルールを守っているか
- 申請書の項目にそって書くというのは一番大事
紙面を埋めること
- 紙面がスカスカは、まずアウトです。
業績欄の書き方
- 規定のとおり論文だけしか書いていない先生と、そんなことをやっていたら「スカスカ」で見栄えが悪いから学会発表も含めて、全部書いた方が採択される、とにかく「埋めなさい」と言う先生がおりました。学会発表は、書いてはいけないことになっていますが、とにかく埋めたら採択されました。
見やすさ
- 「見やすく」書くということも大事です。一目見て読む気がしないと絶対アウトです。
- お年寄りで目が悪い人が読む
- 小さい字を読むのは嫌です
わかりやすく書く
- 中学生でも分かる内容にしなさい
- 「審査員は専門家ではない」と思わなければなりません。自分がやろうと思っている研究について、全然知らない人が研究計画書を読むのですね。つまり、研究計画書の内容がわからない人にもわかるように書くことです。
- 看護学の細目って、3つか4つしかないんですよね。だから、審査をする人は、基礎なら基礎でもさまざまな人が、さらに、さまざまな研究をしている人たちが、その細目に応募してきます。ですから、まずは、研究計画調書の文章がすんなり入ってくるかどうかっていうところがたいへん大事です。
- 研究計画書は、素人が読む
- その文章が何を問うているのかっていうのは、やっぱり、文章力ですよね。それが無いと審査員として、読み進んでいく気にならない。何回読んでも、読んでも、何を言っているのかが分からないというものは、専門用語を知らないというだけではないと思います。
研究テーマを選ぶ
- テーマ選択の重要性
新規性
- 新しい分野を自分で開拓すれば取れやすい
- 過去の文献等調べても全く行なわれていなかった分野なので、それにプラスして必要性が認められれば当たりやすい
論文業績の必要性
- とにかく論文を出して研究業績を増やしました
- これまでのテーマの発展的な内容なんだな、ということがわかってもらえるような研究業績があれば、採択の採否において違う
- 論文の業績はとにかく埋めないと、この人にお金を投資しても論文は出ないと見られるため、とにかく紙面を埋めた方がいい
- 研究業績があるかというのだけパっと見て、おおよそ研究業績欄が埋まっているかと見ることが第一
- 研究業績を増やすことは、論文を投稿するということ
研究種目をうまく選ぶ
- 栄養の分野でずっと応募していたのですが、やはり採択されませんでした。‥医学系の社会医学の分野で応募したら採択されました。
- ずっと神経内科学で申請していました。当然、専門領域ですから。ところが、ここは全国から研究者が参入してくるので、研究者の層が厚いのです。そうすると、簡単に採択されないんですね。ここは領域を変えるべきだと思って、リハビリテーションに変えました。それが一つ功を奏したということですね。
挑戦的萌芽研究について
- 挑戦的萌芽研究の審査の仕方というものがあって、審査員の中で全員の合意でなくても、一部の先生が非常にいいと思うといった課題については、最後まで残るというんですよ。だから、ある一部の人にだけでもすごくアピールする書き方でもいい
- アイデアで勝負ですから。研究業績があまり無くて困っているという人は、是非、挑戦的萌芽研究に挑戦ですね。
採点のされ方を知る
- 審査員の誰かが高得点をつけたら採択される
科研費と論文業績の正のサイクル
- 科研費にひとつ採択されると、研究業績を作ろうという気持ちが出て、その分業績が出るとまた採択されるという。「正の連鎖」に繋がる
科研費が獲れたら
- 「こつこつ、たんたんと」やっていくだけです。