未分類」カテゴリーアーカイブ

Cohen のdとは

  1. Cohen のdをどう使うか?(専修大学人間科学部教授:大久保街亜) #その心理学ホント? 46 「こころ」のための専門メディア 金子書房 「こころ」のための専門メディア 金子書房 2023年2月1日 17:00 https://www.note.kanekoshobo.co.jp/n/n522f644f8abc Cohen のdは、2つ平均の差を標準偏差で割ったもの  (Cohen, 1969)  他に基準が何もない時にだけ使用することを勧める(Cohen, 1988, p. 25) 
  2. Cohen, J. (1969). Statistical power analysis for the behavioral sciences (1st ed.). Academic Press.
  3. Cohen, J. (1988). Statistical power analysis for the behavioral sciences (2nd ed.). Erlbaum.

ロジスティック回帰モデル

ロジスティック回帰分析の独立変数はどんな種類のデータか、また、従属変数はどんな種類のデータか?

ロジスティック回帰分析(logistic regression)は、**従属変数(目的変数)が2値(バイナリ)**のときに使われる回帰モデルです。たとえば「疾患あり(1)/なし(0)」のような分類問題に使います。


✅ ロジスティック回帰の特徴(整理)

  • 従属変数(目的変数):0または1(例:疾患の有無)
  • 独立変数(説明変数):連続変数またはカテゴリ変数(年齢、性別、血圧など)
  • 多変量か?:はい。複数の説明変数を同時に扱えます(=多変量ロジスティック回帰)

🏥 臨床データの具体例(Pythonコードつき)

例:糖尿病の有無(0=なし, 1=あり)を、年齢・BMI・HbA1c・性別から予測する

/*
import pandas as pd
import numpy as np
import statsmodels.api as sm
import seaborn as sns
import matplotlib.pyplot as plt

# ダミーデータの作成(50人分)
np.random.seed(0)
n = 50

df = pd.DataFrame({
    'Age': np.random.randint(30, 80, size=n),                   # 年齢(30〜79)
    'BMI': np.random.normal(25, 4, size=n),                     # BMI(平均25、SD4)
    'HbA1c': np.random.normal(5.8, 0.8, size=n),                # HbA1c(平均5.8%、SD0.8)
    'Sex': np.random.choice([0, 1], size=n),                    # 性別(0=女性, 1=男性)
})

# 糖尿病の有無を確率的に発生させる(従属変数)
log_odds = -5 + 0.05 * df['Age'] + 0.2 * df['BMI'] + 0.8 * df['HbA1c'] + 0.5 * df['Sex']
prob = 1 / (1 + np.exp(-log_odds))
df['Diabetes'] = np.random.binomial(1, prob)

# 説明変数に定数を追加(切片)
X = sm.add_constant(df[['Age', 'BMI', 'HbA1c', 'Sex']])
y = df['Diabetes']

# ロジスティック回帰モデル
model = sm.Logit(y, X)
result = model.fit()

# 結果の表示
print(result.summary())
*/

🔍 結果の読み方(要点)

  • coef列:各説明変数の係数(ログオッズ)
  • P>|z|列:p値(0.05未満で統計的に有意)
  • const:切片(intercept)

💡 応用例

  • 院内死亡の予測(従属変数:死亡=1、生存=0)
  • 手術後感染の予測(独立変数:年齢、術式、糖尿病の有無など)

必要なら scikit-learn を使った実装や、交絡因子の調整方法も説明できます。興味ある?

臨床研究における研究デザインの立て方、統計学的解析に関する教科書

 

 

 

科研費の申請書を作成するさい、研究デザインがうまく立てられたかどうかは、採否を決する重要なポイントになります。折角、研究の意義が高く評価されていても、研究デザインの記載が弱いと厳しい評価が下されます。論文投稿の際も勿論、統計学的な解析に欠陥があれば却下の理由になります。何を知りたくて、どんなデータを集めて、どう解析するのか?は案外難しい問題です。

何を知りたいのか?因果関係?相関(病勢を反映したバイオマーカー)?もちろん因果関係をもつバイオマーカーというものも存在します。

どんなデータを集めるのか?連続的な数値データなのか、カテゴリカㇽなデータなのか、連続的な数値データだが、高低で分けてカテゴリカㇽデータに変換するのか、などいろいろな場合があります。

どう解析するのか?多重性の回避、モデルの選択、などなど、悩ましいことだらけです。

サンプルサイズ?そもそも臨床研究の場合には、研究計画を立てる段階でサンプルサイズを決定しておく必要があります。

医療統計学の教科書は多数出版されていますが、一番知りたいことは研究計画を立てる段階で、どんな研究デザインを採用すべきなのか(つまり、どんな統計学的な解析手法を用いることができるのか)でしょう。知りたいことと測定項目が先にあって、どんな解析をすべきかが頭に浮かばないことには、研究計画を書けません。

母集団のある値の推定

  1. 95%信頼区間とは?やっと理解できた一番わかりやすい説明

因果に言及できるモデルの解説なども含めた、研究デザインの立て方(臨床研究寄り)の教科書としては、どのようなものがあるのでしょうか。

医学研究のための因果推論レクチャー

医学研究のための因果推論レクチャー  2024/4/8 井上 浩輔 杉山 雄大 後藤 温 (著)

頁:192 ISBN:978-4-260-05375-4 医学書院

 

Causal Inference: What If

Causal Inference: What If (Monographs on Statistics and Applied Probability) ハードカバー – 2025/7/30 英語版 Miguel A. Hernan (著), James M. Robins (著)

無料PDF https://content.sph.harvard.edu/wwwhsph/sites/1268/2024/01/hernanrobins_WhatIf_2jan24.pdf

 

Designing Clinical Research

Designing Clinical Research 第5版 2022/5/19 キンドル書籍 ¥15,751 Warren S Browner MD MPH (著), Thomas B Newman MD MPH (著), Steven R Cummings MD (著), Deborah G Grady MD MPH (著), Alison J Huang (著), ALKA M. KANAYA (著), MARK J PLETCHER (著)

第4版 2013/7/1 Stephen B Hulley (著), Steven R Cummings MD (著), Warren S Browner MD MPH (著), Deborah G Grady MD MPH (著), Thomas B Newman MD MPH (著

  1. https://tilda.tcd.ie/epidemiology-biostatistics-course/course-material/assets/Class2/Designingclinicalresearch_4th-edition.pdf

 

How to Read a Paper

第5版

  1. https://dca.org.sa/sites/default/files/users/2/How%20to%20read%20a%20paper.pdf

 

統計解析の教科書

Medical Statistics Made Easy 第4版 2020/12/15 Michael Harris (著), Gordon Taylor (著)  邦訳:たったこれだけ!医療統計学 第3版 金芳堂

  1. https://pubrica.com/wp-content/uploads/2021/07/Medical-Statistics-final.pdf 2003年

Understanding Statistics and Experimental Design: How to Not Lie with Statistics (Learning Materials in Biosciences) (English Edition)   Kindle free

Design of Observational Studies (Springer Series in Statistics) 2021/7/14 英語版 Paul R. Rosenbaum (著)

Medical Statistics: A Textbook for the Health Sciences  2021/2/4 英語版 Stephen J. Walters (著), Michael J. Campbell (著), David Machin (著 amazon higly evaluated

Medical Uses of Statistics (New England Journal of Medicine) ハードカバー – 2009/7/14 英語版 John C. Bailar (編集), David C. Hoaglin (編集)

基礎医学統計学(改訂第7版) 単行本 – 2019/4/2 加納 克己 (著), 高橋 秀人 (著)  Great book!

今日から使える医療統計 第2版 2024/12/26 新谷歩

Linear Mixed Models: A Practical Guide Using Statistical Software  2022/6/24 Brady T. West (著), Kathleen B. Welch (著), Andrzej T Galecki (著)

Multivariable Analysis: A Practical Guide for Clinicians and Public Health Researchers  2011/3/10  Mitchell H. Katz (著)

 

Research Design of Qualitative Research

30 Essential Skills for the Qualitative Researcher ペーパーバック – 2020/8/28 英語版 John W. Creswell (著), Johanna Creswell Baez (著)

Qualitative Research from Start to Finish, Second Edition ハードカバー – イラスト付き, 2015/7/17 英語版 Robert K. Yin (著)

ミトコンドリアDNAで個人を同定(鑑定)した歴史的な例

In the late 1990s, Mark Stoneking, a molecular anthropologist at the Pennsylvania State University, and his colleagues sought to finally put the century-long rumors to rest. They set out to analyze genetic material from the body buried in the grave marked as James’s. Specifically, they looked at DNA present in the bean-shaped powerhouses of the cell, the mitochondria. https://www.the-scientist.com/mitochondrial-dna-a-maternal-legacy-that-helps-trace-the-past-and-diagnose-the-future-72983

難治性創傷 hard-to-heal wounds とは

hard-to-heal wounds

Michael Longaker and Maksim Plikus will explore the potential of stem cells for repairing hard to heal wounds and skin conditions.  https://www.the-scientist.com/stem-cell-strategies-for-skin-repair-72857

難治性創傷とは

難治性創傷とは、標準的な治療では治らない創傷と定義される。

https://utokyonursing.m.u-tokyo.ac.jp/news-events/effectiveness-of-vibration-therapy-for-hard-to-heal-wounds-in-clinical-study-a-scoping-review-2/

創傷の分類

  • 臨床現場では創傷を急性創傷(acute wound) と慢性創傷(chronic wound)の2種類に分けて 対処するのが実践的である.
  • 急性創傷は新鮮な 外傷,手術縫合創,採皮創など正常の創傷治癒機転が自然と働いて治癒が期待できる創傷であ る.
  • 何らかの原因で創傷治癒過程 が進行せず治り難くなった創傷を慢性創傷また は難治性創傷(hard-to-heal wound)と呼ぶ.褥 瘡糖尿病性足潰瘍がその代表である.https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/111/12/111_2399/_pdf

難治性潰瘍

皮膚にできた「創傷」、いわゆる「キズ」は、通常であれば特殊な治療を要さずに治すことができますが、感染・血管障害・知覚障害といった異常な要因があるために、「キズ」が治らなくなった状態を「難治性潰瘍」と言います。https://www.kakohp.jp/section/plastic_surgery_intractable_ulcer/

褥瘡について

褥瘡国際ガイドラインは米国,ヨーロッパ,日本を含む環太平洋地域の代表組織から合同で出版され,褥瘡を示す英語はPressure ulcerからPressure injuryへと変わり,治癒しない創傷であるChronic wounds(慢性創傷)から,適切に治療することで治癒へ向かわせることのできる可能性を持たせたHard-to-heal wounds(難治性創傷)へと変貌を遂げた.https://www.ishiyaku.co.jp/search/details_1.aspx?bookcode=740980

バイオフィルムとは

創傷が治りにくい場合、治癒過程の中断は頑強なバイオフィルム(多種類の微生物(細菌)の共同体)の存在と大きく関係しています。他の宿主因子も治癒の障害となる可能性がありますが、治癒していない創傷の大部分(すべてではないにせよ)にはバイオフィルムが含まれており、これが治癒の大きな障害となっていることがますます認識されるようになってきています15,16。https://www.woundhealing-center.jp/seihin/images/woundhygiene.pdf?v=022750

Wound hygiene(創傷衛生)

創傷管理の新しい概念「Wound hygiene(創傷衛生)」が注目されています。これは、2020年に英国の創傷管理の専門雑誌『International Wound Journal』に掲載されたコンセンサスドキュメントにより広く知られるようになったものです1。https://www.almediaweb.jp/pressureulcer/maruwakari/newpart3/03.html

創傷治癒過程

創傷治癒過程は血液凝固期、炎症期、増殖期、成熟期の4つの段階に分けられ、各段階で創傷の状態や症状も異なります。https://karu-keru.com/info/job/ns/wound-healing-process-nursing

 

水酸基ーOHが結合するのも酸化反応なのか?

質問:CH4がCH3OHになったとき、メタンは酸化されたというか?

チャットGPTの回答:

CH₄→CH₃OH の転換は メタンの酸化反応 です。その理由を酸化数の変化で見てみましょう。

  1. 酸化数の変化
    • CH₄ 中の炭素の酸化数:-4
    • CH₃OH 中の炭素の酸化数:-2
  2. 酸化数が –4 → –2 に 増加 しているので、炭素が 2電子分失っている(=酸化された)ことになります。

電子の行き先
代表的には以下のような酸化剤(たとえば O₂)が関わります。
CH₄ + ½ O₂ → CH₃OH

  1. このとき
    • メタンの炭素から奪われた 2e⁻ は
    • 酸素(O₂)の 0 価 → 2価(O²⁻)への還元に使われ、結果的に H–O 結合を作るのに寄与します。
  2. 具体的には、O₂ が ½ モルあたり 2e⁻ を受け取って H₂O の酸素状態に近い形(酸化数 –2)となり、電子を“受け取る”ことで還元されます。

――まとめると、CH₄→CH₃OH は炭素の酸化数が –4→–2 と上がる「酸化反応」であり、奪われた 2 個の電子は主に酸素系の酸化剤に渡って還元反応を引き起こします。

 

質問:水素の数が減っていないことについて?

チャットGPTの回答:

酸化というのは必ずしも「水素が除かれる」ことを指すわけではなく、広義には「原子が電子を失う(酸化数が上がる)」反応をいいます。CH₄→CH₃OH の場合を改めて見ると:

  1. CH₄→CH₃OH での炭素の酸化数変化
    • CH₄ 中の C:酸化数 –4
    • CH₃OH 中の C:酸化数 –2
      → 炭素の酸化数が –4→–2 と上がっているので、炭素は 2e⁻分失っている(=酸化されている)
  2. “水素除去”ではない理由
    • 実際、CH₄→CH₃OH の際に炭素から水素 H が奪われているわけではありません。
    • 代わりに、炭素–水素結合の電子対をより電気陰性度の高い酸素へ引き寄せられることで、炭素は電子密度を失います。
  3. 酸化数の定義と電気陰性度
    • 酸化数は「結合電子をより電気陰性度の高い側が独占すると仮定して計算する数値」です。
    • O(酸素)は C より電気陰性度が高いので、C–O 結合では電子対がおおむね O 側に偏り、炭素は部分的に電子を失った(酸化された)とみなされます。
  4. まとめると
    • 「水素を取られる」=「還元剤から水素が供給される」モデルは古典的ですが、現代の化学では 「電子の移動(酸化数変化)」 を中心に考えます。
    • CH₄→CH₃OH は炭素側から見ると電子を奪われているので、水素が取られていなくても十分に酸化反応です。

もし「水素が除かれる」基準で酸化を考えるときは、アルコール→アルデヒド(CH₃OH→H₂CO)やアルデヒド→カルボン酸(H₂CO→HCOOH)など、水素除去を伴う酸化反応が該当します。
しかし、酸素付加反応も立派な酸化です。

 

質問:半反応式で説明して。

チャットGPTの回答:

思考時間: 2 ~ 3 秒

以下に酸性条件下での半反応式を示します。電子数を合わせるため、酸化側では 2e⁻、還元側も 2e⁻の反応で表記します。

1. 酸化半反応(メタンの酸化)

CH₄ + H₂O → CH₃OH + 2H⁺ + 2e⁻

  • 炭素の酸化数:–4 → –2
  • 電子が 2 個放出されます。

2. 還元半反応(酸素の還元)

½ O₂ + 2H⁺ + 2e⁻ → H₂O

  • 酸素(酸化数 0)が –2 に還元され、水が生成します。

これらを組み合わせると、全反応として

CH₄ + ½ O₂ → CH₃OH

が得られます。

水がいきなり出てきて戸惑われたと思いますが、これは「酸化半反応」を酸性条件でバランスさせるための手順です。以下のように考えます。

半反応式のバランス手順(酸化側:CH₄ → CH₃OH)

  1. 原子数のバランス
    • 元の反応:CH₄ → CH₃OH
    • C:1 → 1 ✔
    • H:4 → 4 (CH₃OH の H は 3 + OH の H 1) ✔
    • O:0 → 1 ✕

→ まず O をそろえるため、左辺に H₂O を1つ置いて O を供給します。
CH₄ + H₂O → CH₃OH

  1. すると O:1 → 1 で合います。
  2. 水素数の再バランス
    • 左辺の H:4 (CH₄) + 2 (H₂O) = 6
    • 右辺の H:4 (CH₃OH)
      → H が左に余っているので、余分な H₂ を H⁺ に変えて右辺に移します。

CH₄ + H₂O → CH₃OH + 2H⁺

  1. これで H:6 → 4 + 2 = 6 でバランス。
  2. 電荷のバランス(電子の出入り)
    • 左辺の総電荷:0
    • 右辺の総電荷:+2 (2H⁺)
      → 電荷をそろえるために、右辺に 2e⁻ を放出(–2)させます。

CH₄ + H₂O → CH₃OH + 2H⁺ + 2e⁻

こうして「CH₄ を CH₃OH に酸化するとき」に必要な酸素を H₂O で補い、最終的に H⁺ と e⁻ を出す半反応式が完成します。
――要点は「CH₃OH 側に O があるので、それを供給するために H₂O を左辺に置く」というバランス調整の手順です。

 

エネルギー貯蔵(脂肪酸合成など)の化学反応にエネルギーを使って(NADPHなど)、エネルギーを取り出すときにちゃんとそれ以上のエネルギーが取り出せるのかについて

エネルギー貯蔵(脂肪酸合成など)の化学反応にエネルギーを使って(NADPHなど)、エネルギーを取り出すときにちゃんとそれ以上のエネルギーが取り出せるのかについて、ChatGPTに訊いてみました。

質問:グルコースが過剰だと解糖系でピルビン酸にしてアセチルCoAにして、NADPHなどを使って脂肪酸をつくっていくが、そのときエネルギーを使う。だとしたら、最後、中性脂肪までしたときに使ったエネルギーと、将来、中性脂肪を利用する際に分解してエネルギーを取り出すときのエネルギーとで、取り出せるエネルギーの方が大きいのか?

ChatGPTの回答:

中性脂肪(トリアシルグリセロール)を合成するときに使うエネルギー量より、その脂肪を分解してβ-酸化/TCA回路でATPに換えたときに得られるエネルギー量のほうが大きくなります。これは「脂肪は高効率なエネルギー貯蔵分子」であるゆえんです。以下に大まかな流れとエネルギー収支の理由を示します。


1. 脂肪合成に要するエネルギー(例:パルミチン酸 C₁₆ の場合)

  1. グルコース→ピルビン酸→アセチルCoA
    • 解糖系でグルコース1分子あたり 2ATP(実質)+2NADH(≒5ATP分相当)を得るが、これをすべて脂肪酸前駆体に使うと考えると実質的にATPは中和される。
  2. アセチルCoA→マロニルCoA
    • ACC(アセチルCoAカルボキシラーゼ)反応で ATP 1分子を消費
  3. 脂肪酸合成反応(脂肪酸シンターゼ)
    • 2炭素伸長ごとに NADPH を 2 分子消費
    • パルミチン酸(C₁₆)合成にはアセチルCoA 1+マロニルCoA 7 → 合計 7 回の延長 → NADPH 14 分子消費
  4. NADPH の供給コスト
    • 主にペントースリン酸回路で作る場合、グルコース6-P 1分子あたり NADPH 2 分子を生成。NADPH 14 を作るにはグルコース6-P およそ 7 分子分を割り当て → 解糖系由来ATPが減少。

――これらをまとめると、パルミチン酸1分子合成には

  • ATP:7(ACC)+ペントース回路の機序で実質数ATP相当のロス
  • NADPH:14分子分(≒14×2.5ATP相当=約35ATP相当)
    …という大きなエネルギー投資が必要です。

2. 脂肪酸の分解(β-酸化+TCA回路)で得られるエネルギー

パルミチン酸(C₁₆)1分子あたりの標準的な収支は:

  1. β-酸化
    • 7サイクルで:FADH₂ 7、NADH 7 を生成
  2. TCA回路
    • 8アセチルCoA → 各1サイクルで:GTP(ATP相当)8、NADH 24、FADH₂ 8
  3. 電子伝達系換算
    • NADH 1 → 約 2.5 ATP、FADH₂ 1 → 約 1.5 ATP

――合計するとパルミチン酸1分子あたり約106 ATP が得られます。


3. なぜ “取り出せるエネルギー” のほうが大きいのか?

  • 高度に還元された炭素鎖
    • 脂肪酸は炭素が水素で満たされた「飽和・長鎖構造」で、酸化還元反応によって大量のNADH/FADH₂を生み出せる。
  • 貯蔵時の投資 vs. 取り出し時の回収効率
    • 合成時にはNADPH(電子供与体)を使うが、分解時にはNADH/FADH₂(より高い還元電位)を生成する。NADPH生成コスト(ペントース回路)のATP換算より、NADH/FADH₂からのATP合成量のほうが大きいため、純粋に「回収量>投資量」となる。
  • 生理学的意義
    • 生体は余剰エネルギーを最も高効率で貯蔵し、必要時に大きなエネルギーを一気に取り出せるようにこの仕組みを発達させてきたのです。

まとめ:脂肪合成には大量のATP&NADPHを“前払い”しますが、分解時にはそれを遥かに上回るATPを“回収”できるため、脂肪は極めて効率的なエネルギー貯蔵形態となります。

 

質問:出発点であるアセチルCoAの段階での比較をした場合はどうなる?

ChatGPTの答え:

脂肪酸合成に要するエネルギー vs. β-酸化で得られるエネルギー(Acetyl-CoA まで)

ここでは代表としてパルミチン酸(C₁₆)を例に、合成側と分解側の「Acetyl-CoA まで」のΔG を比較します。

(A)パルミチン酸合成のエネルギー投資

  1. NADPH 使用量:14 mol NADPH × ΔG₁ =
    ΔG₁ ≒ −n·F·E = −2 e⁻×96.5 kJ/V·mol×(−0.370 V) ≈ +71.4 kJ/mol
    → 14×71.4 ≈ +1 000 kJ
  2. ATP 使用量:7 mol ATP × 約+30 kJ/mol = +210 kJ

合計投資 ΔG ≒ +1 210 kJ

(B)β-酸化(Acetyl-CoA まで)で得られる還元当量

  1. NADH 生成:7 mol × (−2 e⁻×96.5 kJ/V·mol×(−0.280 V)) ≈ −7×54 = −378 kJ
  2. FADH₂ 生成:7 mol × 約−43 kJ/mol = −301 kJ
  3. ATP 投資(アシルCoA合成で AMP + PPi = 2 ATP 相当の消費)= +60 kJ

合計回収 ΔG ≒ (−378) + (−301) + (+60) = −619 kJ


結論

  • 合成投資 (+1 210 kJ) > 分解回収 (−619 kJ)
  • 「Acetyl-CoA まで」の段階では、エネルギー投資のほうが大きく、トントンにはなりません。
  • β-酸化で生成した NADH/FADH₂ を電子伝達系で酸化しATPに換える(さらに Acetyl-CoA をTCA回路で完全酸化する) ことで、初めて 全体として正味の大きなエネルギー回収(約+2 000 kJ)が実現します。

――以上より、「中性脂肪を分解して Acetyl-CoA にするまで」の段階では投資>回収ですが、その先のTCA回路+電子伝達系を通じて得られるエネルギーこそが、脂肪を高効率なエネルギー貯蔵形態にしている、というわけです。


  1. 脂肪合成までの投資(パルミチン酸 C₁₆ 合成を例に)
    • ATP:7 mol × 約 +30 kJ/mol = +210 kJ
    • NADPH:14 mol × 約 +71 kJ/mol = +1 000 kJ
    • 合計投資 ≒ +1 210 kJ
  2. β-酸化で Acetyl-CoA まで回収できるエネルギー
    • NADH:7 mol × (−54 kJ/mol) = −378 kJ
    • FADH₂:7 mol × (−43 kJ/mol) = −301 kJ
    • ATP 投資(活性化コスト):+60 kJ
    • 合計回収 ≒ −619 kJ

Acetyl-CoA まででは投資 (+1 210 kJ) > 回収 (619 kJ)
この段階ではまだ赤字です。

  1. 完全酸化(TCA 回路+電子伝達系)での最終回収
    • 上記 Acetyl-CoA 8 mol × TCA+ETC による ATP 収量を足すと
      約 −2 000 kJ(ネットのプラス)となり、
    • ここで初めて「回収量 > 投資量」の高効率が実現します。

ですので「Acetyl-CoA までの段階ではトントンではなく赤字」「TCA+ETC を含めることでネットで大きなプラスになる」

 

補足


1. NADP⁺/NADPH と NAD⁺/NADH の標準(生理学的)還元電位

カップル E′°(pH 7, V) 注記
NADP⁺ + H⁺ + 2 e⁻ ⇄ NADPH −0.370 生理学的条件下の見かけの値(NADPH/NADP⁺ 比 ≒ 50:1) (Wikipedia)
NAD⁺ + H⁺ + 2 e⁻ ⇄ NADH −0.280 生理学的条件下の見かけの値(NADH/NAD⁺ 比 ≒ 30:1) (Wikipedia)
  • ΔE = E(e⁻ 受容) − E(e⁻ 放出) の観点で、NADPH のほうがより負の電位をもち、より強い還元剤(電子供与体)です。

インスリンの働き

インスリンは血液中のグルコースを末梢組織の細胞が取り込むようにします。具体的にはインスリン依存性のグルコーストランスポーターを活性化します。では、取り込まれた糖はその後、どうなるのでしょうか。エネルギー代謝を勉強した人は、解糖系が回って、クエン酸回路、電子伝達系が働いてATPがたくさんできると考えるかもしれません。しかしエネルギーが十分にある状態なので、ATPをさらにつくるよりも、むしろ、グルコースを貯蔵に回す、もしくは解糖系の産物であるピルビン酸からできたアセチルCoAを脂肪酸の材料として脂肪酸合成にまわすなどして、グリコーゲンや中性脂肪という形でエネルギー貯蔵に向かわせることが、インスリンの重要な働きといえるでしょう。その際、インスリンの細胞内情報伝達機構は、様々な酵素や酵素活性を制御する因子に働きかけて、どの代謝経路を働かせるかを制御しています(つまり、エネルギー貯蔵に向かうような代謝経路を選ぶ)。

そのあたりのことをChatGPTに解説してもらいました。

 

質問:インスリンの働きは、末梢に血糖を取り込ませて解糖系、クエン酸回路を回してATPを作らせるため という主張は正しいか?

ChatGPTの回答:

Insulinの働きについて考察

インスリンは確かに骨格筋や脂肪組織といった末梢組織でのグルコース取り込みを促進し、その結果、細胞内での解糖系→ピルビン酸→アセチルCoA→クエン酸回路→酸化的リン酸化といった流れでATP産生を支援します。ですが、これだけがインスリンの役割ではありません。

  1. グルコース取り込みの機構
    • インスリンは主に骨格筋・脂肪細胞の細胞膜上にあるGLUT4トランスポーターを細胞内の貯蔵ヴェシクルから細胞膜へ移動(トランスロケーション)させ、血中のグルコースを速やかに取り込ませます。
  2. エネルギー産生以外の“貯蔵・合成”シグナル
    • インスリンは取り込んだグルコースをすぐにATPに変えるよりも、まずはグリコーゲン合成(肝・筋)、脂肪合成(肝・脂肪組織)、蛋白質合成(筋)などの「同化的代謝」を活発化させるホルモンです。
    • これにより、エネルギー源としてのグルコースを貯蔵分子へ変換し、血糖を恒常的に低く保つことが最優先されます。
  3. 糖新生・リポリシスの抑制
    • 同時にインスリンは肝臓での糖新生(グルコース新生)や脂肪組織でのリポリシス(脂肪分解)を抑制し、血糖値と遊離脂肪酸の上昇を防ぎます。
  4. ATP産生との関係
    • 確かに解糖系とクエン酸回路を通じたATP産生は起こりますが、インスリンの本質的な「目的」は①過剰な高血糖の是正と②同化的貯蔵反応の促進にあります。運動時のATP需要に応じたエネルギー供給は、糖取り込みだけでなくアドレナリンやAMPKなど別のシグナルが大きく関与しています。

まとめると
「インスリンは末梢に血糖を取り込ませてATPを作らせるためのホルモン」という表現は、一面では正しいものの “ATP産生” を主目的とするホルモン というには不十分で、むしろ 血糖を同化的代謝(貯蔵・合成)に回すことで、血糖値を適正に維持する” という働きが中心、というのがより正確です。

 

インスリンは単にグルコース取り込み量を増やすだけでなく、取り込まれたグルコースがどの代謝経路に振り分けられるか(解糖→TCA 回路、脂肪合成、グリコーゲン合成など)の「分岐点」をホルモンシグナルによってダイナミックに制御します。以下、代表的な仕組みと実例を示します。


1. 解糖 vs. グルコース新生の分岐:PFK-2/F-2,6-BP 系

  • 仕組み
    • インスリンが肝細胞内で PP2A(Protein Phosphatase 2A)を活性化→PFK-2(6-ホスホフルクトキナーゼ-2)を脱リン酸化して活性化
    • PFK-2 活性化により F-2,6-BP(フルクトース-2,6-ビスリン酸)が上昇
    • F-2,6-BP は解糖系の律速酵素 PFK-1(6-ホスホフルクトキナーゼ-1)を強力に活性化し、同時に FBPase-1(フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ)を抑制 → 解糖系へ流量シフト (Wikipedia, Diabetes Journals)
  • 生理的意義
    • 摂食直後、肝臓でのグルコース取り込みと解糖系促進により、ATP 産生および中間代謝物(G3P 以降)が十分に供給され、脂肪合成やアミノ酸合成の前駆体が得られる (サイエンスダイレクト)

2. 脂肪酸合成への振り分け:ACC(アセチルCoAカルボキシラーゼ)の制御

  • 仕組み
    • インスリンシグナルは Akt→PP2A を介して ACC を脱リン酸化・活性化
    • 活性化 ACC はアセチルCoA からマロニルCoA を生成し、脂肪酸合成を開始
    • さらに、細胞内クエン酸の蓄積は ACC のアロステリック活性化因子として働き、脂肪合成フローを一層促進 (PMC, Physiology Journals)
  • 生理的意義
    • 食後に取り込まれたグルコースはまず解糖系でピルビン酸→アセチルCoA へ変換され、余剰エネルギーは主に中性脂肪として肝および脂肪組織に貯蔵される

3. グリコーゲン合成への振り分け:GS(グリコーゲンシンターゼ)の制御

  • 仕組み
    • インスリンは PI3K/Akt 経路を介して GSK-3(グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3)を不活化
    • また、インスリンは PP1(Protein Phosphatase 1)を活性化し、
      • グリコーゲンシンターゼ(GS) を脱リン酸化して活性化
      • グリコーゲンホスホリラーゼ を脱リン酸化して不活化 → グリコーゲン合成を優先 (PubMed, Endocrine.org)
    • 加えて、G6P(グルコース-6-リン酸)が GS のアロステリック活性化因子として働き、グリコーゲン合成をさらに促進 (Wikipedia)
  • 生理的意義
    • 摂食直後の高血糖時に、一時的なエネルギー貯蔵庫としてグリコーゲンを速やかに合成・蓄積し、血糖値の急激な上昇を抑制

まとめ

  • インスリンは「酵素のリン酸化状態」や「アロステリックエフェクター」を操作することで、同じグルコース取り込み後の中間体を ①解糖系(ATP・前駆体生成) ②脂肪合成 ③グリコーゲン合成 にダイナミックに振り分けます。
  • これにより、摂食状態に応じたエネルギー恒常性と同化的貯蔵が効率的に行われています。

 

α-リポ酸 lipoic acidとは

  1. 脂肪酸合成の場所は細胞質?ミトコンドリア?

脂肪酸は通常、細胞質で合成されますが、特殊なケースとしてミトコンドリアで合成される脂肪酸があります。ミトコンドリアで合成される脂肪酸は、リポ酸などの補酵素脂肪酸です。

α-リポ酸は下のような構造をしています。別名、チオクト酸だそうで、チオール基(-SH)が2つあって、ジスルフィド結合をして環を形成しており、オクタンの名前の通り炭素8個が繋がっています。そして、酸というとおり、カルボン酸です。炭素鎖と環の分岐に位置する炭素は、4本の手がそれぞれ異なる分子と結合する「不斉炭素」なので、向きまで指定された構造式が描かれています。

  1. https://ja.wikipedia.org/wiki/Α-リポ酸

α-リポ酸は、糖代謝においてピルビン酸からアセチルCoAができる際の酵素である、「ピルビン酸デヒドロゲナーゼ」の補酵素のうちの一つとして働きます。ヒトの体内でも合成されるので、「ビタミン」とは言えませんが、「ビタミン様(よう)」物質と言われることがあります。

  1. https://lpi.oregonstate.edu/jp/mic/食事性因子/リポ酸
  2. http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/tca_cycl.htm

ChatGPT:

**α-リポ酸(α-lipoic acid)は、補酵素として働くときに「還元型(ジヒドロリポ酸)」から「酸化型(リポ酸)」へ戻る=つまり、「還元型が酸化される」**という反応が起こります。


🔬 α-リポ酸の酸化還元サイクル

🧪 構造的に見ると:

  • 酸化型リポ酸(lipoic acid)
    • 環状ジスルフィド構造(–S–S–)
    • 酸化されている形
  • 還元型リポ酸(ジヒドロリポ酸, dihydrolipoic acid)
    • ジスルフィドが開いて2つのチオール基(–SH, –SH)になる
    • 還元された形

🔁 反応の流れ(例:ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体)

  1. α-リポ酸は酸化型(–S–S–)で存在
  2. 基質(例:ピルビン酸)からアセチル基が転移 → α-リポ酸の一部が**還元型(–SH, –SH)**になりながらアセチル基を受け取る
  3. アセチル基はCoAへ渡され、α-リポ酸はジヒドロリポ酸のままになる(還元状態)
  4. ジヒドロリポ酸は、FADやNAD⁺を介して再び酸化型(–S–S–)に戻る

⚙️ まとめ表

状態 構造 機能
酸化型リポ酸 ジスルフィド環(–S–S–) アセチル基を受け取る(反応前)
還元型リポ酸 2つのチオール(–SH, –SH) アセチル基を運搬、反応後に戻る必要あり

💡ポイント

  • α-リポ酸は酸化還元を繰り返しながら、アシル基や電子をやり取りする「シャトル」のような存在
  • そのため「還元型 → 酸化型へ戻る」のはまさに補酵素としての役割そのもの

質問:ジヒドロリポ酸は、FADやNAD⁺を介して再び酸化型(–S–S–)に戻る ということは、このステップで、NADHやFADH2が産生されるの?生化学の教科書にそんなこと書いていたっけ??

ChatGPT:

 

🔬 結論から言うと:

はい、NADHが産生されます(ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体などにおいて)

しかし、FADH₂は解放されません(酵素内で使われる)


🧬 例:ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(PDH複合体)

この複合体は以下の3つの酵素で構成されています:

サブユニット 酵素名 補酵素
E1 ピルビン酸脱炭酸酵素 TPP(チアミンピロリン酸)
E2 ジヒドロリポイルトランスアセチラーゼ リポ酸, CoA
E3 ジヒドロリポイルデヒドロゲナーゼ FAD, NAD⁺

🔁 還元の流れ(重要ポイント)

  1. ピルビン酸がアセチル基になり、E2のリポ酸に転移される
    → この時、リポ酸は**還元型(ジヒドロリポ酸)**になる。
  2. 還元されたジヒドロリポ酸は、E3にある**FADによって再酸化(=–S–S–型に戻る)**される
    → この時、FAD → FADH₂になる
  3. しかしこのFADH₂はすぐにNAD⁺に電子を渡す(=酸化されてFADに戻る)
    NAD⁺ → NADH + H⁺ が実際に系外に出ていく還元当量

🧪 教科書ではどう書いてある?

  • 「FADH₂がNAD⁺に電子を渡すので、実質的な産物はNADHである」という説明が一般的です。
  • Lehninger(『レーニンジャー生化学』)やVoetの教科書などでは、**「E3によってリポ酸が再酸化され、その過程でNADHが得られる」**と明記されています。

🔍 まとめ

ステップ 電子の流れ 実際に「生じて回収される」もの
ジヒドロリポ酸 → 酸化型 → FAD → NAD⁺ NADH
FADH₂自体 酵素内循環で使用され、遊離しない ❌ 出てこない

✅ 最重要ポイント

生化学の教科書がNADHだけを強調するのは、FADH₂はその場でNAD⁺に渡して再酸化されるから。FADH₂自体は「自由な産物」ではないのです。