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特044条 分割 先の出願はどうなる? 取0り下げられる?生き残る?

結論から言うと、分割出願(44条)をした場合、もとの出願(親出願)は「生き残ります」。取り下げられません。
質問者様が「取り下げられるんだっけ?」と疑問に思ったのは、おそらく**「国内優先権主張出願(41条)」と混同されている**可能性があります。
ここを整理するのが試験対策の肝ですので、スッキリ整理しましょう。
1. 分割出願(44条)の基本イメージ
分割出願は、単細胞生物が分裂して2つになるようなイメージです。
* もとの出願(親): そのまま審査係属します(生き残る)。
* 分割した出願(子): 新たな出願として生まれ、出願日は親の日に遡及します。
つまり、出願が2つ並存する状態になります。
> 注意点(39条対策)
> 2つとも生き残りますが、両方の請求項(クレーム)に「同じ発明」が含まれていると、先願規定(39条)または同日出願として、どちらかが拒絶されてしまいます。
> そのため、通常は分割と同時に親出願の補正を行い、親と子で権利範囲を住み分けさせます。
>
2. なぜ「取り下げられる」と思ったのか?(混同しやすい制度)
おそらく、国内優先権主張出願(41条) の記憶と混ざっていると思われます。
| 項目 | 分割出願 (44条) | 国内優先権主張出願 (41条) |
|—|—|—|
| もとの出願の運命 | 生き残る | 取り下げ擬制される (1年3ヶ月後) |
| 目的 | 発明が複数あるので分ける
拒絶理由解消のため分ける | 内容を改良・追加して
新しい出願にまとめる |
| 関係性 | 親と子が並存する | 後の出願が前の出願を吸収・上書きする |
* 41条(国内優先権)の場合: 新しい改良発明を出願した後、もとの基礎出願は役目を終えて**1年3ヶ月後に自動的に取り下げ(みなし取り下げ)**になります。
3. まとめ
* 分割出願(44条): 親も子も生き残る。(だから、中身が被らないように親を補正する必要がある)
* 国内優先権(41条): 先の出願は死ぬ(取り下げられる)。
ここを区別しておくと、論文試験や担当試験のひっかけ問題にも強くなります!

「分割出願ができる時期的要件(いつまで分割できるか)」についても復習しておきましょう。


44条(分割出願)の時期的要件は、条文の書き方が複雑で、しかも例外規定が絡むので、普通に読んでも頭に入ってこないんですよね。ここをスッキリさせるには、**「チャンスは3回ある」**と割り切って覚えるのが一番早道です。


過去問で間違えなくなるように、試験に出るポイントだけに絞って整理しましょう。
分割ができるタイミング「3つのチャンス」
分割出願は、いつでもできるわけではありません。以下の**3つのタイミング(チャンス)**だけです。
チャンス①:補正ができる時(1号)
これが原則です。
* 覚え方: 「親出願の中身をいじれる(補正できる)なら、中身を分ける(分割する)こともできるよね」という理屈です。
* 具体的には:
   * 審査官から何も言ってきていない時(自発補正期間)
   * 拒絶理由通知が来て、それに対する意見書を出せる期間(指定期間内)
チャンス②:特許査定が出た後の「30日以内」(2号)
「おめでとう!特許です」と言われた後のボーナスタイムです。
* 注意点(超重要):
   * 「特許料を払うまで」 です! 払って登録手続きをしちゃったら、もう分割できません。
   * (※以前は特許料納付後もOKでしたが、今の試験対策としては「特許料納付前」と覚えておくのが基本です。ただし条文上は、特許権の設定登録がされる前まで可能です)
チャンス③:最初の拒絶査定が出た後の「3ヶ月以内」(3号)
「ダメでした(拒絶査定)」と言われた時の復活チャンスです。
* ここが試験のツボ:
   * 「拒絶査定不服審判」を請求するかどうかに関わらず、分割だけ単独ですることができます。
   * (昔は審判請求とセットじゃないとダメでしたが、今は分割単独でOKです)
過去問でよく出る「ひっかけ」ポイント
試験で「訳が分からない」となるのは、たいてい以下のパターンではありませんか?
Q. 「特許査定」が出た後、特許料を納付してしまいました。その翌日、分割出願はできますか?
> A. できません。
> チャンス②は「特許権の設定登録がされる前」までです。実務上は特許料納付と同時に登録プロセスが進むので、納付後はアウトになる可能性が高いです。(試験的には「特許権設定登録前」がデッドライン)
>
Q. 「拒絶査定」が出ました。審判は請求しませんが、分割出願だけできますか?
> A. できます。
> これがチャンス③です。親出願は死にますが、最後に子供(分割出願)を残すことができます。
>
Q. 最初の拒絶理由通知が来ました。指定期間(60日)を過ぎてしまいました。分割できますか?
> A. できません。
> チャンス①の「補正ができる期間」を過ぎているからです。
>
整理用テーブル:これだけ覚えればOK
| タイミング | 条文 | ポイント(ここを暗記!) |
|—|—|—|
| 審査中 | 44条1項1号 | 補正ができる時ならいつでもOK |
| 特許査定後 | 44条1項2号 | 査定謄本送達から30日以内
かつ 特許権の設定登録前 |
| 拒絶査定後 | 44条1項3号 | 査定謄本送達から3ヶ月以内
(審判請求しなくてもOK) |
どうでしょう?「3つのチャンス」という枠組みで見ると、少し景色が整理されませんか?

(Gemini)

特046条(出願の変更)と46条の2(実用新案登録に基づく特許出願)の違い

特許法46条(出願の変更)と46条の2(実用新案登録に基づく特許出願)は、どちらも「形式を変えて権利化を目指す」手続きですが、「いつやるか(タイミング)」と「元の権利(出願)がどうなるか」に決定的な違いがあります。一言で言うと、「まだ審査中(登録前)」なら46条、「もう登録されちゃった後」なら46条の2です。


1. 特許法46条:出願の変更
これは、「出願中(係属中)」の案件を、別の種類の出願に切り替える手続きです。


* イメージ: 電車に乗っていて、目的地(登録)に着く前に「やっぱり行き先(権利の種類)を変えよう」と乗り換える感じです。
* 対象: 実用新案登録出願 \rightarrow 特許出願(または意匠 \rightarrow 特許など)。
* 元の出願の運命: 変更した瞬間に、元の出願は取り下げたものとみなされます(消滅します)。
* メリット: もとの出願日を確保したまま(遡及効)、適切な権利形式に変更できます。


2. 特許法46条の2:実用新案登録に基づく特許出願
これは、日本特有の「実用新案は無審査ですぐ登録される」という制度のためにある規定です。**「すでに登録済みの実用新案権」**をベースにして、後から特許を取りに行く手続きです。


* イメージ: 一旦とりあえず小さい家(実用新案権)を建てたけど、やっぱりお城(特許権)に建て替えたい、という「アップグレード」です。
* 対象: 登録済みの実用新案権 \rightarrow 特許出願。
* 元の権利の運命: 特許出願をする際に、元の実用新案権を放棄しなければなりません。
   * ※ここが重要!46条は「自動的に取り下げ」ですが、46条の2は「自発的に権利を放棄する手続き」が必要です。


* 制約: 実用新案登録出願の日から3年以内などの厳しい条件があります。


違いのまとめ(比較表)
試験や実務で問われるポイントを整理しました。
| 比較項目 | 46条(出願の変更) | 46条の2(実用新案登録に基づく特許出願) |
|—|—|—|
| 基礎となるもの | 係属中の出願
(まだ権利になっていない) | 登録済みの実用新案権
(すでに権利になっている) |
| 元の案件の扱い | 変更時に**「取り下げ」**とみなされる
(自動的に消える) | 出願時に**「権利を放棄」**する必要がある
(自分で捨てる手続きが必要) |
| できる時期 | 実用新案登録出願の日から3年以内
(かつ登録前) | 実用新案登録出願の日から3年以内
(かつ評価請求がされていない等) |
| 目的 | 形式のミス修正や戦略変更 | 早期権利化(実案)と強力な権利(特許)の切り替え |
| 条文の趣旨 | 手続の便宜を図る | 早期登録制度(実案)のデメリット補完 |
なぜこの違いがあるの?
実用新案は「無審査」ですぐに登録されてしまうため、出願中に「やっぱり特許にしたい(46条)」と思っても、変更する暇もなく登録されてしまうことがあります。
そこで、**「登録されてしまった後でも、特許に挑戦できるチャンス(46条の2)」**を残しているのです。
ただし、特許と実用新案の「二重取り」はできないので、特許に挑戦するなら、確実に今の実用新案権を捨ててください(放棄)、というルールになっています。

特許が取れなかったら大変なことになります(権利がゼロになります)。46条の2(実用新案登録に基づく特許出願)は、「ハイリスク・ハイリターン」な制度だからです。


なぜ「困る」ことになるのか?
この手続きのルールが以下のようになっているからです。
* 出願と同時に放棄:
   特許出願をするその瞬間に、元の実用新案権を**「放棄」**しなければなりません。つまり、審査の結果を待たずに、先に捨てなければならないのです。
* 復活しない:
   もしその特許出願が「拒絶(不合格)」になっても、捨ててしまった実用新案権は戻ってきません。
結果として、**「実用新案権は失い、特許権も取れなかった」**という、**無権利状態(丸裸)**になってしまうリスクが完全にあります。
では、なぜそんな危ないことをするの?
それでもこの制度を使う人がいるのは、実用新案権のデメリットが大きすぎる場合があるからです。
* 権利期間が短い: 実用新案は出願から10年で終わります(特許は20年)。
* 権利行使が難しい: 実用新案権は「評価書」というお墨付きをもらわないと他人に警告すらできませんが、特許権なら強力に行使できます。
「この発明は絶対に大ヒットするから、10年じゃ足りない!」「ライバルを本気で訴えたい!」という場合に、今の弱い権利を捨ててでも、強い権利を取りに行く賭けに出るのがこの手続きです。
実務での安全策
実務では、いきなり46条の2を行うことは稀です。
リスクを避けるために、事前に特許庁に**「実用新案技術評価書」**を請求して、特許性の有無(審査に通りそうか?)を感触として確かめてから決断することが多いです。評価書で「良い評価(肯定的見解)」が出ていれば、特許も通る可能性が高いと判断できるからです。


まとめ
「特許が取れなかったら困る(丸損する)」制度です。ですので、使うときは非常に慎重な判断が求められます。

(Gemini)

心筋細胞の主要なエネルギー源:脂肪酸

心筋細胞は「エネルギーの雑食(metabolic omnivore)」と呼ばれ、さまざまな物質を原料にできますが、通常時(安静時・非空腹時)は、エネルギー源の約 60〜90% を遊離脂肪酸の酸化によってまかなっています。なぜ心筋がグルコース(糖)よりも脂肪酸を好むのか、その仕組みと理由を整理して解説します。


なぜ「脂肪酸」がメインなのか?

心臓は一生休まず動き続けるため、膨大なエネルギー(ATP)を常に必要とします。

  • エネルギー密度の高さ: 脂肪酸はグルコースに比べて1分子あたりのエネルギー産生量が圧倒的に多いです(例:パルミチン酸1分子から106個のATP、グルコース1分子から約30〜32個のATP)。

  • 貯蔵の限界: 心臓はグリコーゲン(糖の貯蔵形態)をわずかしか蓄えられません。そのため、血中から効率よく大量のエネルギーを取り出す必要があり、脂肪酸がそのニーズに合致しています。

グルコースとの使い分け(代謝の柔軟性)

心臓はグルコースを全く使わないわけではありません。状況に応じて燃料を切り替える「代謝の柔軟性(Metabolic Flexibility)」を持っています。

状況 主なエネルギー源 理由
安静時・通常時 遊離脂肪酸 (60-90%) 安定した大量のエネルギー供給のため
食後 グルコース / 乳酸 インスリンにより糖の取り込みが増えるため
激しい運動時 乳酸 / グルコース 血中乳酸濃度が上がり、速やかに酸化できるため
胎児期 グルコース 低酸素環境に適応するため(糖代謝は酸素消費が少なくて済む)

補足:ランドル効果(Randle cycle)

生化学的なメカニズムとして、「脂肪酸の酸化が進むと、糖の利用が抑制される」という仕組み(ランドル効果)があります。

脂肪酸から作られたアセチルCoAなどが、グルコースを分解する酵素(ピルビン酸デヒドロゲナーゼなど)を阻害するため、脂肪酸がある環境では自然と糖の使用が抑えられるようになっています。まとめると、心筋は、基本的には「脂肪酸」をメイン燃料とし、必要に応じて「ケトン体」や「乳酸」、「グルコース」を使い分けるハイブリッドエンジンなような性質を持っています。

 

脂肪酸を除いて考えた場合、平常時(特に食後や通常の活動時)の心筋は ケトン体よりもグルコースを多く利用しています。心筋のエネルギー消費の内訳を「脂肪酸以外」に注目して整理すると、以下のようになります。

1. 平常時のエネルギー源の順位(脂肪酸を除く)

通常の状態(非空腹時)において、心筋がATPを作るために利用する基質の割合は概ね以下の通りです。

  1. 遊離脂肪酸:約 60〜70% (メイン)

  2. グルコース(糖)および乳酸:約 20〜30%

  3. ケトン体:約 5% 未満

  4. その他(アミノ酸など):わずか

このように、平常時はケトン体の血中濃度自体が非常に低いため、心筋にとっても「たまに流れてくるサブの燃料」程度の扱いです。一方で、グルコースは常に一定量が血液中に存在し、心筋細胞へ安定的に取り込まれているため、利用優先度はグルコースの方が上になります。


2. なぜ「ケトン体」が注目されるのか?

平常時は影の薄いケトン体ですが、特定の条件下ではグルコースを追い抜くほどのポテンシャルを持っています。

  • 飢餓・絶食時: 血糖値が下がり、肝臓でケトン体が大量に作られると、心筋はグルコースよりもケトン体を優先してエネルギー源として使い始めます。

  • 心不全の時: 心臓の機能が低下すると、脂肪酸をうまく燃やせなくなります。このとき、心筋は「省エネで効率の良い燃料」としてケトン体への依存度を高めることがわかってきました。これを「ケトン体代謝へのシフト」と呼び、心不全治療の新たな鍵として研究が進んでいます。


3. 乳酸の存在も忘れてはいけない

実は「脂肪酸以外」で言うと、心臓は乳酸(Lactate)も非常に好んで消費します。激しい運動時などで血中の乳酸濃度が上がると、心臓はそれを素早く取り込み、グルコースよりも優先してエネルギーに変えることができます。「骨格筋が出したゴミ(乳酸)を、心臓が燃料として再利用する」という非常に効率的なリサイクルシステムが働いています。

まとめ

  • 平常時: グルコース > ケトン体

  • 空腹・絶食時: ケトン体 > グルコース

  • 運動時: 乳酸 > グルコース

平常時は圧倒的にグルコースの出番の方が多い、というのが答えになります。

(Gemini 3)

特139 除斥

「除斥(じょせき)」について整理しましょう。
特許法などの手続において、「審判官などが不公平な判断をするのを防ぐための仕組み」ですね。試験では「忌避(きひ)」との違いや、「前審関与(ぜんしんかんよ)」の細かいルールがよく問われます。


1. 除斥(じょせき)とは?
一言で言うと、審判官などが**「事件と特別な関係があるため、法律上当然にその職務から外されること」**です。
当事者が「あの人を変えてください」と言わなくても、**自動的にアウト(職務執行不能)**になるのがポイントです。
> なぜあるの?(趣旨)
> 審判官が当事者の親戚だったり、その事件の代理人だったりしたら、公平な審理が期待できない(公平の担保)からです。
>
2. どんな時に除斥される?(除斥原因)
特許法第139条に規定があります。試験で出る主な理由は以下の通りです。
(※ここでは分かりやすく「審判官」で説明しますが、審査官にも準用されます)
* 当事者との関係: 審判官自身が当事者である、または当事者の配偶者・親族である場合。
* 後見人等の関係: 当事者の後見人等である場合。
* 代理関係: その事件について、当事者の代理人である(または過去に代理人だった)場合。
* 証人・鑑定人: その事件について、証人や鑑定人として関与した場合。
* 前審関与(重要!): その事件について、以前に審査官として査定に関与していた場合など。
3. よく出る問題パターン・試験対策
弁理士試験(短答・論文)では、以下の3つのポイントが頻出です。
① 「除斥」と「忌避」の違い
これが基本中の基本です。表で覚えるのが一番早いです。
| 項目 | 除斥 (Exclusion) | 忌避 (Recusal) |
|—|—|—|
| 定義 | 法律上の関係があるため、当然に排除されること | 公正を妨げる事情があり、申立てによって排除されること |
| 原因 | 親族、代理人、前審関与など(客観的) | 「仲が悪い」「著しく不公平な言動」など(主観的要素含む) |
| 効力 | 法律上当然に職務を行えない | 申立てが認められた時に職務を行えなくなる |
| 対象 | 審査官、審判官、審判書記官 | 同左 |
> 試験のヒッカケ例
>  * 「審判官が当事者と著しく仲が悪い場合、除斥の原因となる。」
>    * → ×(バツ)。それは「忌避」の原因です。「仲が悪い」は法律上の定義(親族など)に含まれないからです。
>
② 「前審関与」の範囲
「前の段階(審査)で判断を下した人が、次の段階(審判)でも判断するのは不公平だよね」というルールですが、例外や細かい規定があります。
* 「査定」に関与したか?
   * 審査官として**「拒絶査定」や「特許査定」にサインをした人が、その事件の拒絶査定不服審判の審判官になるのはNG(除斥)**です。
   * しかし、単に事務的な連絡をしただけ、あるいは「拒絶理由通知」を出しただけで、最終的な「査定」に関与していない場合は、除斥にならないことがあります。
③ 誰に適用されるか?(準用)
「除斥」のルールは、誰に適用されるかも問われます。
* 審判官: 適用される(法139条)
* 審査官: 適用される(法48条で準用)。ただし、「前審関与」の規定は審査官には適用されません(審査官は最初の判断をする人なので「前審」がないため)。
* 審判書記官: 適用される(法144条の2)。
4. 覚え方のコツ
イメージとしては以下の通りです。
* 除斥: 「あなたはルール違反(親戚など)なので、レッドカード(即退場)」
* 忌避: 「あの審判官は怪しいので変えてくださいとイエローカードを出す(認められれば退場)」

「前審関与(ぜんしんかんよ)」
ここは試験で本当によく出る、かつ**「ひっかけ問題」の宝庫**です。
一言で言うと、「前の段階で『ダメ(拒絶)』って言った本人が、不服申し立ての審判で『本当にダメだったか?』をチェックするのは禁止!」 というルールです。
詳しく、でも噛み砕いて解説しますね。
1. なぜ「前審関与」はいけないの?
人間心理として、自分が一度下した判断(査定)を「あれは間違いでした」と認めるのは難しいですよね。
* 審査官Aさん: 「この発明はダメ。拒絶査定!」
* 出願人: 「納得いかない!審判で争うぞ!」
* 審判官になったAさん: 「担当は私です。……うん、やっぱり前と同じ理由でダメですね(棄却)」
これでは、実質的に「再審査」してもらえていないのと同じです。
「上のクラス(審判)に行ったら、新しい別の人に公平に見てもらいたい」 という出願人の権利(審級の利益)を守るために、Aさんは除斥(排除)されます。
2. 試験に出る「ここが境界線!」
条文(特許法139条6号)では、**「前審の査定又は審決に関与したとき」**は除斥されるとあります。
では、どこまでが「関与」になるのか?ここが狙われます。
① 「査定」に関与したかどうかが重要
* 【NG】拒絶査定にサインした(決裁した)
   * 完全にアウトです。審判官になれません。
* 【OK】拒絶理由通知を出しただけ(途中交代した)
   * 審査の途中で拒絶理由通知を作ったけれど、最後の「拒絶査定」をする前に異動して、別の審査官Bさんが査定をした場合。
   * この場合、Aさんは**「最終結論(査定)」には関与していない**ので、審判官になってもセーフ(除斥されない)とされることが多いです。
② 「前審」とは直前の段階のこと
* 審査(前審) → 拒絶査定不服審判(後審)
   * 審査官が審判官になるのはNG。
* 拒絶査定不服審判(前審) → 知財高裁(後審)
   * 審判官が裁判官になるのはNG(これは裁判所の法律等の話になりますが概念は同じ)。
3. 【最重要】ここが一番のひっかけポイント!
「差し戻し(さしもどし)」のケースです。
これが理解できれば、この分野は卒業レベルです。
> Q. 審判で「審査官の判断は間違いだ!もう一回審査をやり直せ」という審決(取消差戻し)が出ました。事件は審査に戻ります。この時、元の審査官Aさんが再び審査を担当することはできる?
>
* 答え: できる(除斥されない)
なぜ?
「前審関与」は、「下の段階の人 → 上の段階に行く」 のを禁止するルールです。
「上の段階(審判)から → 下の段階(審査)に戻ってきた」場合、審査官Aさんは、上司(審判官)の指示に従って審査をする立場になります(拘束力がある)。
この場合、Aさんが独断で前の判断に固執する恐れがない(審決に従わないといけない)ため、再び担当してもOKなのです。
まとめ:前審関与の攻略図
* 審査官 → 審判官 になるケース
   * 査定に関与した? → Yesなら除斥(NG)
* 審判 → 審査 に戻るケース(差戻し)
   * 元の審査官がやる? → No除斥(OK、担当できる)

特044 分割出願、審査請求の期間はいつから数える?

分割出願における審査請求の期間は、「原出願の日から3年」と「分割出願の日から30日」のどちらか遅い方までとなります。

## 1. 原則:原出願の日からカウント
分割出願は、法律上「原出願の時にしたもの」とみなされます(遡及効)。
そのため、審査請求の期限も原出願の日(親出願の出願日)から3年以内というのが基本ルールです。
> 例:
>  * 原出願日:2020年1月1日
>  * 原則の期限:2023年1月1日まで
>
## 2. 特例:分割の日から30日以内
しかし、分割出願は原出願から数年経ってから(例えば拒絶査定不服審判の請求時など)行うことも多いです。その時点で「原出願から3年」が過ぎてしまっていることがあります。
その救済措置として、以下の特例があります。
* ルール: 分割出願をした日から30日以内であれば、審査請求が可能。
## 3. まとめ:どちらか遅い日まで
上記1と2を合わせると、実務上の期限は以下のようになります。
| ケース | 具体的な状況 | 審査請求の期限 |
|—|—|—|
| A | 原出願からまだ3年経っていない | 原出願の日から3年以内 |
| B | 原出願から3年経過後(または期限間近) | 分割出願の日から30日以内 |
> ⚠️ 注意点(ここが重要!)
> ケースB(3年経過後の分割)の場合、分割出願と同時、あるいは直後に審査請求を行う必要があります。
> 「とりあえず分割だけしておいて、あとで審査請求しよう」と思っていると、あっという間に30日が過ぎてしまい、権利化できなくなるリスクがあります。
>
補足:PCT出願(国際出願)に基づく場合
原出願がPCT出願(日本語特許出願とみなされる国際出願)の場合でも、基本的な考え方は同じですが、起算点となる「原出願の日」は国際出願日となります。(国内書面提出日ではないので注意が必要です。)

「後願(こうがん)」ですね。その言葉が出るということは、おそらく**「国内優先権の主張(国内優先)」**のルールと記憶が混同されている可能性が高いです。非常に紛らわしい部分ですので、整理します。


## 「後願」から数えるのは、国内優先権の話
「3年の審査請求期間」を**「後願(後の出願)から数える」**のは、分割出願ではなく、国内優先権を主張した出願の場合です。
ここが知財実務や試験で最も引っかかりやすいポイントの一つです。
| 手続きの種類 | 3年のカウント開始日(起算点) |
|—|—|
| 分割出願 | × 後願(分割出願日)からではない
○ 原出願(もとの出願日)から3年 |
| 国内優先権 | ○ 後願(優先権主張した実際の出願日)から3年
× 先の出願(基礎出願)からではない |
## なぜ「後願」と勘違いしやすいのか
* 分割出願(遡及効あり)
   * 法律上「原出願の時にしたもの」とみなされるため、時計の針を原出願まで戻してカウントします。
   * そのため、原則は「原出願から3年」です。(例外として、分割の日=後願の日から30日という救済はあります)
* 国内優先権(遡及効なし)
   * 新規性などの判断は「先の出願」を基準にしますが、審査請求期間の計算などの手続き期限は、時計の針を戻さず**「後願(実際に手続した日)」**を基準にします。
   * ここで「後願から3年」というルールが出てくるため、分割出願のルールとごっちゃになりやすいのです。
## 結論
* 分割出願の場合:
   * 「後願(分割した日)」から3年数えるルールはありません。
   * 「原出願」から3年です。(※ただし、分割の日から30日以内ならOKという特例はあります)
* 国内優先権の場合:
   * 「後願(優先権主張出願の日)」から3年です。
この「国内優先」の知識が頭の片隅にあって、「分割も後願からだっけ?」となられたのではないでしょうか?

記憶定着用にシンプルな比較図を置いておきますね。
📌 3年のカウント開始地点メモ
* 分割出願 ✂️
   * 時計を戻す
   * スタート:原出願(親)の日
* 国内優先権 🥇
   * 時計はそのまま
   * スタート:後願(子)の日



ポイントとなる条文は、特許法第44条と第48条の3です。先ほどの「分割出願」と「国内優先権」の違いを生んでいる根拠条文を整理します。


1. 分割出願の条文(原出願から数える理由)
分割出願の審査請求期限が「原出願から3年」になる根拠は、**「出願日が遡(さかのぼ)る」**と書かれているこの条文です。
> 特許法 第44条 第2項(特許出願の分割)
> 「分割に係る新たな特許出願は、もとの特許出願の時にしたものとみなす。」
>
* 解説: この「みなす(遡及効)」があるため、審査請求の期限を計算する際も、時計の針を「もとの出願日(原出願)」に戻して計算します。
また、特例(分割から30日以内)の根拠はこちらです。
> 特許法 第48条の3 第2項(出願審査の請求)
> 「特許出願の分割…があつた場合においては、…期間の経過後であつても、その分割…の日から三十日以内に限り、出願審査の請求をすることができる。」


2. 国内優先権の条文(後願から数える理由)
一方で、国内優先権(後願から3年)については、「出願日を遡らせる」という条文が存在しないことが理由です。
国内優先権の条文(第41条)には、「新規性などの判断については、先の出願の時にしたものとみなす」とは書いてありますが、「出願そのものを先の出願の時にしたものとみなす」とは書いてありません。
そのため、原則通りの条文が適用されます。
> 特許法 第48条の3 第1項(原則)
> 「特許出願があつた日から三年以内に、…出願審査の請求をすることができる。」

* 解説: 優先権主張をしても「出願があった日」はあくまで「実際に書類を出した日(後願の日)」のままです。だから、後願から3年となります。


まとめ:条文構造の比較
|  | 根拠条文 | ロジック | 結果(起算日) |
|—|—|—|—|
| 分割出願 | 第44条第2項 | 「原出願の時にしたものとみなす」
(完全な遡及) | 原出願日 |
| 国内優先権 | 第41条
(第48条の3第1項) | 手続き期限に関する遡及の規定がない
(原則通り) | 後願日
(実際の出願日) |
「44条2項があるから遡る(分割)」、「41条にはそれがないから遡らない(国内優先)」と覚えると、条文レベルでもスッキリ整理できます!

(Gemini)

特068 BBS事件

特許法における基本条文である68条(特許権の効力)と、それに関連する超重要判例「BBS事件(並行輸入事件)」この2つはセットで覚えると非常に理解が深まります。「原則」と「例外(権利が及ばないケース)」の関係にあるからです。

1. 特許法68条:特許権の効力(原則)
まずは条文の基本です。68条は「特許権者は何ができるのか」を定義しています。


> 特許法 第68条
> 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。ただし、その特許権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲内については、この限りでない。

ポイント解説
* 「業として」 (As a business):
   * 個人的・家庭的な実施(例:家で個人的に発明品を作って使うだけ)には権利は及びません。ビジネスとして行う場合に限ります。
* 「専有する」 (Exclusive right):
   * 特許権者だけがその発明を実施(製造、販売など)でき、他人を排除できるという強力な独占権です。


* ただし書き(専用実施権):
   * 他人に「専用実施権(最強のライセンス)」を与えた場合、特許権者自身もその範囲では実施できなくなります(権利が重なるのを防ぐため)。


2. BBS事件(BBSアルミホイール事件):並行輸入と国際消尽
68条では「特許権者は独占できる(他人の販売を止められる)」とありました。
では、**「海外で正規に購入した商品を、勝手に日本に輸入して販売する(並行輸入)」**はどうなるでしょうか?


ここで登場するのがBBS事件(最高裁 平成9年7月1日判決)です。


事件の概要
* ドイツのBBS社(特許権者)が、ドイツで正規にアルミホイールを販売。
* ある業者がそのホイールをドイツで購入し、日本へ並行輸入して販売した。
* BBS社は日本の特許権に基づき「日本での販売は許していない!68条の侵害だ!」と訴えた。
最高裁の判断(ここが試験に出る!)
結論として、**「特許権侵害にはならない(並行輸入はOK)」**という判断が下されました。
裁判所は、いわゆる**「国際消尽(こくさいしょうじん)」**に近い理論を展開しました。


> 【判決のロジック(BBSの法理)】
>  * 譲渡による権利の消耗: 正規に商品が譲渡された時点で、その商品に関する特許権の目的は達成されている。
>  * 流通過程の自由: 商品は国境を越えて流通するものであり、購入者がその商品をどう扱おうと(輸出入しようと)自由であるのが当然。
>  * 結論: 原則として、海外で適法に販売された商品を日本に輸入しても、日本の特許権は及ばない。
>
例外:権利行使ができる(並行輸入を止められる)場合
ただし、無条件ですべてOKではありません。最高裁は、特許権者が並行輸入を阻止できる「2つの要件」も示しました。
以下の両方を行った場合のみ、権利を行使できます。
* 合意: 海外の販売先との間で「日本への輸出を禁止する」旨を合意していること。
* 表示: その旨(日本への輸出禁止)を製品自体に明記していること(第三者がわかるようにするため)。


まとめ:
| 項目 | 内容 | 重要キーワード |
|—|—|—|
| 68条 | 特許権の基本的効力。「業として」「専有する」。 | 業として、専有、専用実施権 |
| BBS事件 | 真正商品の並行輸入は特許権侵害になるか? → ならない(原則)。 | 国際消尽、流通過程の自由、黙示の許諾 |
| 阻止条件 | 並行輸入を止めるにはどうすればいい? | ①輸出禁止の合意
②製品への明記 |


理解のコツ
「68条で強力な独占権を与えつつ、BBS事件の判例によって、**『一度売って代金をもらった商品に関しては、もう文句を言うな(権利は尽きている)』**というバランスを取っている」と理解するとスムーズです。


次は、「国内消尽(用尽説)」と「国際消尽」の違いについて整理しましょう。「国内消尽」と「国際消尽(BBS事件)」の比較は、弁理士試験や知財検定でも最も狙われやすい論点の一つです。
似ているようで、**「権利行使を止めるためのハードル(例外)」**が大きく異なります。ここを整理しましょう。


「国内消尽」vs「国際消尽」比較ノート
まず大原則として、どちらも**「一度正規品として売ったなら、その後の転売や使用に文句は言えない(権利は尽きている)」という結論は同じです。
しかし、「なぜ言えないのか(理論)」と「例外的に文句を言える条件」**が違います。
1. 比較表(ここを暗記!)
| 比較項目 | 国内消尽 (Domestic Exhaustion) | 国際消尽 (International Exhaustion) |
|—|—|—|
| 対象 | 日本国内で正規に販売された商品 | 海外で正規に販売された商品 (並行輸入) |
| 原則 | 特許権は消尽する。
(権利行使できない) | 特許権行使は許されない。
(権利行使できない) |
| 理論的根拠 | ①二重利得の防止(既に代金を得ている)
②流通の保護 | ①二重利得の防止
②流通の保護
※ただし「属地主義」との調整が必要 |
| 権利行使できる例外
(ここが最重要) | 原則として特約があっても対抗できない。

唯一の例外:「新たな製造」とみなされる場合
(例:インクタンク事件のようなリサイクル・改造) | 以下の2条件を満たせば権利行使できる。

1. 販売先との合意 (日本への輸出禁止)
2. 製品への明記 (第三者が分かるように) |
2. なぜ「違い」が生まれるのか?(理解のポイント)
この違いは、特許法の**「属地主義(特許は国ごとに独立している)」**という考え方が関係しています。
国内消尽の場合(シンプル)
* 日本の特許権に基づいて、日本で適法に売りました。
* 特許権者はその販売で「日本の特許権に対する対価」を既に受け取っています。
* だから、その商品について日本の権利はもう使い切った(消尽した)と考えます。
* 仮に「転売禁止」の契約を結んでいても、それは当事者間の契約違反の問題であり、特許権侵害として第三者を訴えることは(原則として)できません。
国際消尽の場合(バランス調整)
* 海外で売った場合、日本の特許権に対する対価を本当に受け取ったと言えるか?(海外の特許と日本の特許は別物=属地主義)という議論があります。
* しかし、BBS事件判決は**「現代の国際貿易において、国ごとに権利が分断されると流通が阻害される」**として、原則は権利行使を認めませんでした。
* 【ここが違う!】 ただし、特許権者にも「日本では売りたくない(日本での利益は別で確保したい)」という事情があるかもしれません。
* そこで、**「合意+明記(シールなどを貼る)」**というアクションを起こした場合に限り、例外的に「権利は消尽していない(日本での権利を行使できる)」と認めました。
3. 応用:国内消尽の限界(インクタンク事件)
「国内消尽」には「合意+明記」のような回避策はありませんが、**「どこまでが修理で、どこからが新たな製造か?」**という別の論点があります。
* リサイクル品(インクタンク事件):
   * 使用済みのインクカートリッジを回収し、インクを再充填して販売したケース。
   * 最高裁は「単なる部品交換や修理の範囲を超えて、実質的に新たな製造とみなされる場合は、権利は復活する(消尽しない)」と判断しました。
   * つまり、国内消尽していても、加工しすぎると権利侵害になります。
まとめ:次にやること
* 国内消尽: 「一度売ったら終わり」。でも「加工しすぎ(再製造)」はダメ。
* 国際消尽: 「一度売ったら終わり」。でも「合意+明記」があれば止められる。
この違いが頭に入ればバッチリです。

(Gemini)

特065 補償金請求権の対象期間

特許法第65条(出願公開の効果等)における「補償金の支払いを請求できる期間(補償金請求権の対象期間)」は「警告をした時(または悪意の事実を知った時)」から「特許権の設定登録の日」までの間です。

出願公開した時からではないというのが、一つのポイントです。


## 補償金請求権の対象期間(いつからいつまで?)
特許権が発生するのは「設定登録」の後ですが、出願公開(出願から18ヶ月後)から登録までの間に、第三者が勝手に発明を実施してしまうと、出願人は不利益を被ります。その隙間を埋めるのが第65条の補償金請求権です。


期間の定義は以下の通りです。
1. 始期(いつから?)
以下のいずれか早い時点がスタート地点になります。
* 原則:警告をした時
   * 出願公開があった後、その特許出願の内容を記載した書面を提示して警告をした時。
* 例外:悪意(知っていた)の時
   * 警告をしなくても、第三者が「出願公開がされた発明であることを知って」業としてその発明を実施していた場合は、その事実を知った時。


2. 終期(いつまで?)
* 特許権の設定登録の日
   * 設定登録がなされると、そこからは正式な「特許権」に基づいて差止請求や損害賠償請求ができるようになるため、補償金請求権の出番はここで終わります。


## タイムラインでのイメージ
視覚的に整理すると以下のようになります。
| 時系列 | 手続き・状態 | 権利の状態 |
|—|—|—|
| 1. 出願 | 特許出願 | 権利なし |
| ↓ | (審査待ち・18ヶ月経過) |  |
| 2. 出願公開 | 内容が世の中に公開される | まだ請求できない |
| ↓ | ★警告(書面提示) | 【ここから計算スタート】 |
| 3. 実施期間 | 第三者が勝手に実施している期間 | 【この期間分のお金を請求できる】 |
| ↓ | 審査合格・登録料納付 |  |
| 4. 設定登録 | 特許権の発生 | 【ここで計算ストップ】 |
| 5. 登録後 |  | これ以降は「特許権侵害」として請求 |


## ⚠️ 注意すべき重要ポイント(試験によく出る点)
この論点で最も間違えやすいのが、「いつ計算するか」と「いつ請求(権利行使)できるか」の違いです。
* 計算の対象期間
   * 上記のとおり「警告~登録」までの期間です。
* 実際に請求できる時期(権利行使の時期)
   * 「設定登録の後」でなければ請求できません(法65条2項)。
   * つまり、「今まさに警告期間中だから、今すぐ金払え!」とは言えず、「特許になるまで待って、無事に登録されたら、さかのぼってあの時の分を請求する」という形になります。
知財の勉強において、この「隙間期間の保護」は非常に重要な概念です。

(Gemini)

特034条4項 特許を受ける権利の承継

Gemini:

「承継(しょうけい)」という言葉は、日常ではあまり使いませんが、知財の世界では**「バトンタッチ」**だと考えると分かりやすくなります。特に特許法34条は、短答試験で「出願前」と「出願後」の違いを入れ替えて受験生を翻弄してくる要注意ポイントです。


1. 承継(しょうけい)とは?

「承継」とは、特定の権利や義務を、前の人から引き継ぐことを指します。

  • 一般承継(いっぱんしょうけい): 相続や会社の合併など、まとめて全部引き継ぐこと。

  • 特定承継(とくていしょうけい): 売買や譲渡など、特定の権利だけをピンポイントで引き継ぐこと。


2. 特許法第34条第4項を噛み砕いて説明

この条文は、**「出願した『後』に、特許を受ける権利を誰かに譲った(特定承継した)場合」**のルールです。

特許法第34条第4項(超訳):

特許を出願した後に、その権利を誰かに譲っても、特許庁長官に「届け出」をしない限り、その譲渡はなかったものとみなすよ。(=効力が発生しない)

なぜこのルールがあるのか?

特許庁側からすると、「今、誰がこの出願の本当の持ち主なのか」がハッキリしていないと、審査の結果を誰に送ればいいか分からなくなって困るからです。だから、*「届け出を出すまでは、新しい持ち主とは認めない!」という強いルールにしています。


3. 承継のタイミングと「届け出」の必要性

ご質問の「必ず届け出が必要?」という点については、タイミングによって答えが変わります。ここが試験で一番狙われるところです。

タイミング 承継の種類 届け出(特許庁への手続)の扱い
出願前 すべて 届け出という概念はありません。「正しい承継人」の名前で出願すればOKです。
出願後 特定承継(売買など) 届け出をしないと、名義変更の効力が出ません(34条4項)。
出願後 一般承継(相続など) 効力はすぐに発生しますが、遅滞なく届け出をする必要があります(34条5項)。

4. 届け出ずに特許出願しても「拒絶」されるだけ?

ここが少し複雑ですが、非常に鋭い質問です。2つのパターンに分けて解説します。

パターンA:出願「前」に承継したのに、間違った人が出願した場合

例えば、会社が発明者(社員)から権利を譲り受けたのに、社員の名前で出願してしまった場合などです。

  • 結果: これは**「冒認出願(ぼうにんしゅつがん)」**と呼ばれ、**拒絶理由(49条7号)**になります。

  • 理由: 「特許を受ける権利を持っていない人」が出願してしまったからです。

パターンB:出願「後」に譲ったのに、名義変更(届け出)を忘れた場合

  • 結果: 拒絶されるのではなく、**「特許庁からは、元の持ち主のまま扱われる」**ことになります。

  • リスク:

    1. 審査の通知(拒絶理由通知など)が、新しい持ち主ではなく**「元の持ち主」に届いてしまう**。

    2. そのまま特許になった場合、「元の持ち主」の名前で登録されてしまう。

    3. 後から慌てて直そうとしても、手続きが非常に煩雑になります。


5. まとめ:チェックポイント

短答試験でこの問題が出たら、以下のステップで考えてください。

  1. それは**出願「前」の話か、「後」**の話か?

  2. 「後」の話なら、**売買(特定承継)**か、**相続(一般承継)**か?

  3. 売買なら**「届け出が効力発生の条件(34条4項)」**。届け出なきゃゼロと同じ!


アドバイス

「承継」の論点は、今回の**34条(受ける権利)と、後の章で出てくる98条(特許権)**のルールを混ぜて出題されるのが定番です。

  • 受ける権利:届け出をしないと効力が発生しない(34条4項)

  • 特許権:登録をしないと効力が発生しない(98条1項1号)

特033条2項 特許を受ける権利は質権(しちけん)の目的にできない

Gemini:

このあたりは、短答試験で非常に引っかかりやすい「担保権」の論点ですね!結論から言うと、**「何がOKで、何がダメか」**が法律(特許法)ではっきりと分かれています。まずはパッと見てわかる比較表を作成しました。


質権・抵当権の目的になれるか?まとめ

対象 質権(しちけん) 抵当権(ていとうけん) 根拠条文
特許を受ける権利 × できない × できない 第33条第2項
特許権 ○ できる × できない 第95条

なぜ「特許を受ける権利」は質権にできないのか?

「特許を受ける権利」は、まだ審査を通るかどうかもわからない不安定な状態の権利です。

  • 理由: もし質権を設定して、その後に拒絶査定が確定して権利が消滅してしまったら、質権者は担保を失ってしまいます。このような不安定なものを質権の対象にするのは、取引の安全上好ましくないため、第33条第2項で一律に禁止されています。

  • 実務上の裏技: ただし、どうしても担保にしたい場合は、**「譲渡担保(じょうとたんぽ)」**という形式であれば、判例上認められています。


なぜ「特許権」は抵当権にできないのか?

これは特許法というよりは、民法のルールが関係しています。

  • 抵当権のルール: 抵当権を設定できるのは、原則として**不動産(土地・建物)**や、特別の法律(船舶法や自動車抵当法など)で認められたものに限られます。

  • 特許権の扱い: 特許権は「無体財産権(目に見えない権利)」であり、民法上の抵当権の対象には含まれていません。また、特許法の中にも「抵当権を設定できる」という規定はありません。

【補足】特許権の「質権」は抵当権に近い?

面白いのが、特許権に設定する**「質権」の性質です。

通常、質権(例えば質屋)は「物を預ける」必要がありますが、特許権の質権は「登録」**によって発生し、特許権者はそのままその技術を使い続けることができます(特許法95条)。

これは性質上、不動産の抵当権に非常に近い運用になっています。


アドバイス

短答試験では、以下のようなひっかけ問題がよく出ます。

× 誤答例:

「特許を受ける権利は、移転することができるため、質権の目的とすることができる。」

→ 移転はできますが、質権はダメ!という**「移転はOK、質権はNG」**のコンビネーションが重要です。

読み方は「しちけん」と読みます。

一言で言うと、**「借金のカタに物を預ける(または権利を確保する)仕組み」のことです。

一番身近でわかりやすい例は、「質屋さん」**です。


1. 質権(しちけん)の基本イメージ

質屋さんに時計を持っていってお金を借りる場面を想像してください。

  • 質権設定者(あなた): 時計を預けてお金を借りる人。

  • 質権者(質屋さん): お金を貸して、担保として時計を預かる人。

  • もし返せなかったら: 質屋さんはその時計を売って、貸したお金を回収します(これを優先弁済といいます)。

このように、**「物を相手に渡して(占有を移して)担保にする」**のが質権の本来のルールです。


2. 質権と抵当権の違い

前回の回答で「抵当権(ていとうけん)」についても触れましたが、この2つの最大の違いは**「その物を手元に置いておけるかどうか」**です。

項目 質権(しちけん) 抵当権(ていとうけん)
イメージ 質屋さん 住宅ローン
物を誰が持つか 債権者(お金を貸した人)に預ける 債務者(借りた人)が持ち続ける
対象物 時計、宝石、不動産、特許権など 主に不動産(土地・建物)

3. 特許法における「質権」の特殊ルール(重要!)

特許権を質権の目的にする場合、普通の質権とは違う**「特許法ならではのルール」**があります。ここが短答試験によく出ます。

① 「登録」が効力の発生条件

特許権は目に見えないので、質屋さんのように「はい、特許を預かります」と物理的に渡せません。そのため、特許庁の**「特許原簿」に登録**することで、初めて質権としての効力が発生します。

② 質権を設定しても、特許を使える(第95条)

民法のルール(質屋さん)では、預けた時計を自分で使うことはできません。

しかし、特許法では**「契約で別段の定めをしない限り、特許権者はその発明を自分で実施(使用)してもいいですよ」**というルールになっています。

ポイント:

特許法上の質権は、名前は「質権」ですが、実態は**「手元に置いて使い続けられる」という抵当権に近い性質**を持たせているのです。


4. なぜ「特許を受ける権利」はダメだったのか?

前回の復習になりますが、なぜ「特許を受ける権利」は質権にできなかったか、もう一度整理しましょう。

  • 理由: 質権の最終目的は「もしもの時に売って(競売して)お金に換えること」です。

  • リスク: 「特許を受ける権利」は、審査で拒絶された瞬間に価値がゼロになります。そんな不安定なものを担保にしてお金を貸すと、貸した側(質権者)が大きな損をする可能性があるため、法律で禁止されています。


知財勉強ノートからのアドバイス

質権の問題が出たら、**「物理的に相手に渡すのが原則(民法)」だけど、「特許権の場合は登録が必要で、例外的に自分で使い続けられる(特許法)」**とセットで覚えておきましょう。

質権と抵当権の違い

質権(しちけん)と抵当権(ていとうけん)は、どちらも「借金の担保」という点では同じですが、**「その物を誰が持っておくか」**という点が決定的に違います。

一言で言うと、「預けるのが質権」、**「預けないのが抵当権」**です。


1. 質権と抵当権の比較表

まずはこの表で全体像をつかんでください。

項目 質権(しちけん) 抵当権(ていとうけん)
占有(誰が持つか) 債権者(お金を貸した人) 債務者(お金を借りた人)
使用(誰が使うか) 原則として誰も使えない 債務者が使い続けられる
対象となるもの 動産(時計等)、不動産、権利(特許権等) 不動産、特定の動産(自動車等)
身近な例 質屋さん 住宅ローン

[Image showing the difference between pledge and mortgage regarding possession and usage]


2. 決定的な3つの違い

① 占有(せんゆう)の移転

  • 質権: お金を借りる際、担保となる物を相手に渡さなければなりません。これを「占有の移転」といいます。

  • 抵当権: 家や土地を担保にしても、そのまま住み続けることができますよね。相手に物を渡す必要がなく、手元に置いたままにできます。

② 使用・収益

  • 質権: 原則として、預かっている側(質屋など)はその物を使ってはいけません。

  • 抵当権: 借りた人がそのまま使い続け、そこから利益(アパート経営など)を得ることも自由です。

③ 対象物(ここが弁理士試験のキモ!)

  • 質権: 動産、不動産、権利(特許権など)が対象になります。

  • 抵当権: 原則として不動産のみです。特許権や特許を受ける権利には、抵当権を設定することはできません。


3. なぜ特許法には「質権」しかないのか?

ここで疑問が湧くはずです。「特許権は手元に置いて使い続けたいんだから、抵当権の方が便利じゃないの?」と。

実は、特許法第95条がその不便さを解消しています。

特許法第95条(抄):

質権が設定された場合でも、契約で別段の定めをしない限り、特許権者はその発明を実施することができる。

本来、質権は「預けるもの」なので自分では使えないはずですが、特許法では**「質権という名前だけど、抵当権みたいに手元で使い続けていいよ」**という特別なルールを作ったのです。

これにより、実質的に「特許権の抵当権」のような運用が可能になっています。


まとめ:短答試験対策のポイント

  1. 特許権:質権○、抵当権×

  2. 特許を受ける権利:質権×、抵当権×(不安定だから)

  3. 質権の特徴:本来は「預ける」ものだが、特許法では「設定しても自分で実施できる(95条)」


譲渡担保とは

「譲渡担保」の読み方は、**「じょうとたんぽ」**です。

これは一言で言うと、**「お金を返すまでの間、物の所有権(名義)をごっそり相手に渡してしまう担保の形」**のことです。

「質権」や「抵当権」は民法に書き込まれたルールですが、譲渡担保は慣習として認められてきた、少し特殊な担保です。特許の世界では非常に重要な役割を持っています。


1. 譲渡担保の仕組み

例えば、あなたが自分の「特許権」を担保にお金を借りる場合を考えます。

  1. 契約: あなた(債務者)は、お金を貸してくれる人(債権者)に特許権の名義を移転します。

  2. 状態: 形式的には「相手のもの」になりますが、あなたはそのままその特許を使い続けることができます。

  3. 返済: お金をすべて返せば、名義をあなたに戻してもらえます。

  4. 不履行: もしお金が返せなかったら、相手はそのままその特許を自分のものにするか、売却して借金をチャラにします。

[Image concept: Diagram showing ownership moving from A to B during the loan, and returning after repayment]


2. なぜ「質権」があるのに「譲渡担保」を使うの?

ここが試験に出るポイントです。

実は、前々回の回答で出てきた**「特許を受ける権利(出願中の状態)」は、法律(特許法33条2項)で質権の目的にすることが禁止**されていましたよね。

しかし、実務上は「出願中のアイデアを担保にお金を借りたい!」というニーズがあります。

  • 質権: 法律で禁止されているのでダメ

  • 譲渡担保: 法律で禁止されていないのでOK!

つまり、「特許を受ける権利」を担保にしたいときの唯一(に近い)の手段が、この譲渡担保なのです。


3. 「質権」と「譲渡担保」の比較

短答試験の知識を整理しましょう。

項目 質権(しちけん) 譲渡担保(じょうとたんぽ)
名義(所有権) あなたのまま(制限がつく) 相手に移る
特許を受ける権利 × できない(33条2項) ○ できる(判例・実務)
特許権 ○ できる(95条) ○ できる
登録の必要性 必要 必要(移転登録として行う)

4. 知財勉強ノート流・覚え方のコツ

  • 質権: 「私のものだけど、借金のカタにロックをかける」イメージ。

  • 譲渡担保: 「いったん相手のものにするけど、返したら返してねという約束」イメージ。

試験対策としては、「特許を受ける権利 = 質権はダメ、譲渡担保はイケる」という組み合わせが、短答試験の「正しいものはどれか」系の問題で非常によく出ます。


今回のまとめ

ここまでで「担保」三兄弟が出揃いました。

  1. 質権: 権利にロックをかける。特許権は○、受ける権利は×。

  2. 抵当権: 不動産用。特許の世界では×。

  3. 譲渡担保: 名義ごと渡す。受ける権利も○。

この違い、整理できましたか?

短答試験(枝別過去問)では、ここまでの知識を組み合わせて「AはBに対して特許を受ける権利に質権を設定した。これは適切か?」といった形で攻めてきます。

特041条 国内優先権 第30条 新規性喪失の例外との関係 特043パリ優先権との関係

〇か✖か?

H29-7-5  甲は、自らした発明イをテレビの生放送番組で公開し、その公開の日から4月後に発明について特許出願Aをした。その後、甲が、出願Aの出願の日から10月後に出願Aに基づく特許法第41条第1項の規定による優先権を主張して発明イ及びロについて特許出願Bをするとき、発明イについて、特許法第30条に規定する発明の新規性喪失の例外の適用を受けることができる場合はない。    

正解は✖。つまり、新k性喪失の例外の適用を受けることはできる。

Gemini:

答えは ✖(誤り) です。

この問題は、**「国内優先権(特許法41条)」「新規性喪失の例外(特許法30条)」**の組み合わせに関する非常に重要かつ頻出の論点です。


1. 時系列の整理

まず、事系列を整理して、期間内に収まっているかを確認しましょう。

  1. 発明イの公開(生放送):$T_0$

  2. 特許出願A$T_0$ から 4ヶ月後

  3. 特許出願B(国内優先権主張):出願Aから 10ヶ月後(=公開から 14ヶ月後

一見すると、最終的な出願Bは公開から14ヶ月経っているため、30条の「1年以内」という制限を超えているように見えます。しかし、ここに国内優先権の効果が関わってきます。


2. 判断のポイント:特許法第41条第2項

国内優先権を主張して出願Bをした場合、先の出願(出願A)の明細書等に記載されていた発明(発明イ)については、「新規性喪失の例外(30条)」の適用判断において、出願Bは「出願Aの時」にされたものとみなされます(特許法41条2項)。

条文の適用

  • 30条の基準日: 出願Bの「実際の出願日」ではなく、**「出願Aの日」**が基準になります。

  • 期間の計算: 公開から出願Aまでは 4ヶ月 です。

  • 結論: 1年(12ヶ月)以内に収まっているため、所定の手続き(出願Bの際の手続き)を踏めば、発明イについて30条の適用を受けることができます。

したがって、「適用を受けることができる場合はない」とする設問は誤りとなります。


3. この問題の落とし穴

多くの受験生が迷うポイントは以下の2点です。

  1. 「14ヶ月経ってるからアウト」と思ってしまう

    • 国内優先権の効果(41条2項)により、30条の判断基準日が「先の出願時」まで遡ることを忘れないようにしましょう。

  2. 出願Aで30条の手続きをしていなければならない?

    • 実は、先の出願Aで30条の手続きをしていなくても、後の中間出願Bの時に30条の手続きをすればOKです(ここも試験でよく問われます)。


学習のアドバイス

この「30条と41条のリンク」は、短答試験だけでなく論文試験でも必須の知識です。

枝別過去問を解く際は、単に「〇か✖か」を覚えるのではなく、**「どの条文のどの効果によって基準日が遡るのか」**を意識して進めると、初見のひねり問題にも対応できるようになりますよ。

プロンプト:上の設問において、もしこれが国内優先権でなくパリ優先権主張出願の場合だったら?発明の公開日から1年以内に日本へ出願し、日本への出願に再試て手続きを行うことにより、特許法30条2項の規定の適用をうけることができる?

Gemini:

非常に鋭い質問です!ここが国内優先権(41条)とパリ優先権(43条)の最大の違いの一つであり、短答試験で最も狙われるポイントです。

結論から言うと、パリ優先権の場合、特許法30条(新規性喪失の例外)の期間計算において「遡及(さかのぼり)」は認められません。

つまり、日本への実際の出願日」を基準にして、公開日から1年以内である必要があります。


1. 国内優先権 vs パリ優先権(30条適用の比較)

ここを混同すると命取りになります。以下の違いを完璧に整理しましょう。

項目 国内優先権(41条) パリ優先権(43条)
30条適用の判断基準日 先の出願の日にされたものとみなす(41条2項) 日本への現実の出願日が基準(遡及しない)
1年以内のカウント 公開日 〜 先の出願 までが1年以内ならOK 公開日 〜 日本への出願 までが1年以内ならOK
理由 41条2項に明文規定があるため。 パリ条約4条Bの「優先権の効果」に、30条のような手続的期間の遡及が含まれないため。

2. 具体的なケースで考える

ご質問のケースをパリ優先権に置き換えてシミュレーションしてみましょう。

  • $T_0$ 発明イをテレビで公開

  • $T_1$(4ヶ月後): アメリカ(パリ同盟国)へ出願

  • $T_2$(さらに10ヶ月後/$T_0$から14ヶ月後): 日本へ出願(パリ優先権主張)

この場合、30条の適用は受けられる?

答えは 「NO(受けられない)」 です。

  • 理由: 日本への出願日($T_2$)が、公開日($T_0$)から14ヶ月経過してしまっているからです。

  • パリ優先権を主張しても、30条の「1年以内」というカウントにおいて、出願日はアメリカ出願時($T_1$)まで遡ってくれません。

あなたの質問への回答

「発明の公開日から1年以内に日本へ出願し、日本への出願に際して手続きを行うことにより、特許法30条2項の規定の適用を受けることができる?」

この回答は 「YES(できる)」 です。ただし、条件は**「外国出願の日から」ではなく「公開日から1年以内に日本へ」**出願することです。


3. なぜこんな違いがあるのか?(理解を深めるコツ)

  • 国内優先権: 日本国内の手続きなので、特許法の中で「30条の適用については遡らせてあげよう」と自由に決めることができます(41条2項)。

  • パリ優先権: パリ条約という国際ルールに基づきます。パリ条約が守ってくれるのは、あくまで「他人の出願や公開によって新規性が阻害されないこと(29条などの判断)」であり、「自分自身の公開に対する救済(30条)の期限」までは延長してくれないのです。


アドバイス

この論点は、枝別過去問でも**「条文番号を入れ替えて」**何度も出題されます。

  • 「41条(国内)は遡る!」

  • 「43条(パリ)は遡らない!」

これだけを呪文のように覚えておくだけでも、1点をもぎ取れます。

プロンプト:「実は、先の出願Aで30条の手続きをしていなくても、後の中間出願Bの時に30条の手続きをすればOKです(ここも試験でよく問われます)。」って、おかしくない?特許法30条2項によれば、出願時にその旨(新規性喪失の例外であること)を言わないとだめだし、その後、30日以内に証明する書類も出さなきゃだめだよね?

Gemini: ご指摘、もっともです!特許法30条2項は「出願と同時」の手続きを厳格に求めていますよね。普通に考えれば「出願Aで出し忘れたなら、もう手遅れじゃないの?」と感じるのが自然な感覚です。しかし、ここが**国内優先権(41条)の「魔法」**とも言える、非常に特殊な仕組みなんです。混乱を解きほぐすために、なぜ「出願Aで手続きしていなくても、出願Bで間に合うのか」を詳しく解説します。


1. 根拠は「特許法41条2項」の読み替え規定

特許法41条2項には、国内優先権を主張したときの効果が書かれています。そこには、こうあります。

「(前略)第30条第1項及び第2項……の規定の適用については、当該特許出願(出願B)は、先の出願(出願A)の時にされたものとみなす。

この条文のすごいところは、30条2項の適用についても「出願Bは出願Aの時にされたものとみなす」と言っている点です。

仕組みの解説

  • 出願日(基準日)の遡及: 30条2項の「公開から1年以内に出願すること」という要件を判断する際、出願Bの日は、出願Aの日まで遡ります。

  • 手続きのタイミング: 30条2項が求める「出願と同時」の手続きは、「(新しく出す)出願Bの時」に行えばよいと解釈されています。

つまり、出願Aで手続きをしていなかったとしても、出願Bを出す際に「30条の手続きをします!」と言えば、出願Aの日を基準として30条の適用を受けられるのです。


2. 実務上・試験対策上の「超重要ポイント」

ここがさらにややこしいのですが、試験によく出るパターンを整理します。

パターン①:出願Aで30条の手続きをして「いない」場合

  • 出願Bで手続きをすればOK(上記で説明した通り、救済されます)。

パターン②:出願Aで30条の手続きをして「いた」場合

  • 出願Bでも「改めて」30条の手続きをしなければなりません!

  • 「出願Aでやったからいいでしょ?」は通用しません。出願Bは別の出願なので、出願Bの際にも「30条の手続きをする旨」を記載し、「証明書」を提出する必要があります。

注意点:出願Aの時に提出した証明書を、出願Bでも援用(流用)することは可能ですが、「手続きそのもの」は出願Bの際に行う必要があります。

3. なぜ「おかしい」と感じたのか?(鋭い視点です)

あなたが「おかしい」と感じたのは、おそらく**「パリ優先権」や「通常の出願」のルール**が正しく頭に入っているからです。

  • パリ優先権の場合: 43条には、41条2項のような「30条の適用について出願日を遡らせる」という強力な規定がありません。だから、パリ優先権では「日本への出願時」が基準になり、遡及は認められません。

  • 国内優先権だけの特権: この「出し忘れた30条手続きを後からカバーできる」というのは、国内優先権に認められた強力なメリットの一つなんです。


まとめ:枝別過去問で問われる知識

この問題があなたに求めていたのは、以下の2段階の判断です。

  1. 国内優先権を主張すれば、30条の判断基準日は「先の出願A」まで遡る。

  2. 例え「先の出願A」で手続きが漏れていても、「後の出願B」で正しく手続きをすれば、遡った基準日(出願Aの日)で30条の適用が受けられる。

したがって、「適用を受けることができる場合はない」という選択肢は✖(間違い)となるわけです。


アドバイス

この論点は、最初「えっ、ずるくない?」と感じる部分ですが、一度理解すると得点源になります。「国内優先権は、30条の手続きについてもタイムマシンに乗せてくれる」とイメージしておくと忘れにくいですよ!