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弁理士試験の受験勉強で吉藤 幸朔『特許法概説』 は絶対に読むべき基本書か?

質問:弁理士受験ノウハウ&体験の本(ちょっと古め)を見てたら吉藤 幸朔 『特許法概説』が、弁理士試験を受験する人の「基本書」として挙げられていたんだけど、こんな古い本を今でも読むべきなの?特許法は、改正につぐ改正があったけど?

  • 第6版 1982/7/1
  • 第10版  1994/11/1

Gemini:結論から申し上げますと、弁理士試験の「受験対策」として、今その本(吉藤『特許法概説』)をメインに据えて読むことは、絶対にお勧めしません。おっしゃる通り、特許法は「改正の歴史」そのものであり、1982年の法律知識で現在の試験に臨むのは、「地図を持たずに登山する」よりも危険(古い地図を信じて遭難するリスクがある)だからです。なぜかつては「バイブル」と呼ばれ、今は「取り扱い注意」なのか、その理由と現在の最適解を整理します。


1. なぜ「受験用」としては危険なのか

最大の理由は、ご懸念の通り「法改正による情報の陳腐化」です。

1982年以降、特許法は根本的な部分で何度も大改正されています。吉藤先生の本には、現在の試験で最重要となる以下の条文や概念が存在しない、あるいは全く内容が異なります。

  • 特許法104条の3(特許無効の抗弁):先ほどの「特許侵害訴訟」の話題で触れたこの条文は、2004年の改正で導入されたものです(キルビー判決を受けて)。吉藤本には載っていません。
  • 職務発明(35条):企業の知財戦略の要ですが、何度も改正されており、当時の解釈とは全く異なります。
  • 特許異議申立制度:廃止されたり復活したりしており、手続の流れが当時とは別物です。
  • 国際的な調和(TRIPS協定など):1994年のTRIPS協定以降の国際的なルールや、存続期間の変更などが反映されていません。

リスク:

「今はもう存在しない条文」や「今は逆の結論になる判例」を正しいと誤認して覚えてしまう危険性が極めて高いです。

2. それでもなぜ「名著」として名前が挙がるのか

吉藤幸朔先生は、特許庁の審査・審判の実務に精通し、法改正にも携わったレジェンドです。

この本がすごいのは、単なる解説ではなく**「法の趣旨(なぜその条文があるのか)」**が、これ以上ないほど深く、論理的に書かれている点です。

  • 「趣旨(青本)」の原液: 現在の予備校テキストや基本書に書かれている「趣旨」の説明の多くは、元をたどれば吉藤先生の考え方がベースになっています。

  • 実務家・学者の教養: ベテランの弁理士や研究者が、「法の根底にある思想」を確認するために読み返す本としては、今でも一級品です。

3. 現在の受験生はどうすべきか

「最新の法律に対応した基本書」または「予備校テキスト」を使用してください。

もし、学術的な興味ではなく「弁理士試験合格」が最優先であれば、以下の基準で選ぶべきです。

現在の「スタンダード」とされる基本書(例)

吉藤本の代わりに、現在多くの受験生や実務家が参照しているのは以下のような書籍です(必ず最新版を選んでください)。

  1. 中山 信弘『特許法』(弘文堂):現在の学術的な権威です。非常に分厚いですが、法解釈の深さは吉藤本に匹敵します。ただし、初学者には難解すぎる嫌いがあります。
  2. 高林 龍『標準特許法』(有斐閣):判例を重視しており、実戦的です。
  3. 島並 良 他『特許法入門』(有斐閣):「入門」とありますが、レベルは高く、論理的で読みやすいです。受験生にも人気があります。
  4. 予備校のテキスト(LEC、TACなど):合格だけを目指すなら、これが最強です。学者の本は「自説(通説ではない説)」が含まれることがありますが、予備校本は「試験に出る通説・判例」に絞って、最新の改正を完全に反映しているからです。

まとめ:吉藤本との付き合い方

  • 試験勉強用: 買わなくていいです(読まなくていいです)。 混乱の元です。

  • 合格後: 実務家になってから、「特許法の歴史的背景を知りたい」「条文の深い意味を味わいたい」と思った時に、古本で手に入れて、今の法律との違いを楽しみながら読むのが正解です。

 


特許法概説 第13版 1998/12/1 吉藤 幸朔, 熊谷 健一  著は?

  1. 特許法概説 第11版 1996/5/1 吉藤 幸朔, 熊谷 健一  著
  2. 特許法概説 第13版 1998/12/1 吉藤 幸朔, 熊谷 健一  著

Gemini:結論から申し上げます。「10版(1994年)よりは『だいぶマシ』ですが、今の実務や試験に使うには『まだ全然足りない(致命的な穴がある)』」という評価になります。1994年版と比べれば、非常に大きな進化(特に均等論)が含まれていますが、そのわずか2年後に起きる「特許法史上最大の革命(キルビー判決)」がまだ載っていないからです。この「13版(1998年)」が立っている歴史的な立ち位置を整理します。


✅ 13版(1998年)で「アップデートされた」重要事項

この版は、90年代後半の激動のいくつかをカバーしています。10版との決定的な違いはここです。

  1. 「均等論」が入った(超重要)

    • 状況: 1998年2月の最高裁「ボールスプライン事件」判決を受けて、その年の12月に出版されています。

    • 変化: それまで「特許は文言通り」が原則でしたが、「形が違っても特許侵害になり得る(均等論)」という最高裁判例が確立されました。この解説が載っているのは大きいです。

  2. 特許の寿命(存続期間)が正しくなっている

    • 変化: 1995年改正に対応しており、「出願から20年」という現在のルールになっています(10版はここが古かった)。


❌ 13版(1998年)でも「まだ載っていない」致命的な事項

ここが「全然足りない」と判断せざるを得ない理由です。この本の出版直後(2000年代以降)に、現代特許法の骨格を作る大事件が立て続けに起きています。

1. 「キルビー判決」と「104条の3」がない(最大のリスク)

これがないと、現在の特許侵害訴訟の話が全く通じません。

  • 何が起きたか: 2000年(平成12年)に最高裁で「キルビー事件判決」が出され、2004年に法改正(104条の3)されました。

  • 影響: 「裁判所でも特許の無効を主張できる(権利行使制限の抗弁)」という、現在の特許係争のメインウェポンが、1998年の本には影も形もありません。「無効審判を待たなきゃいけない」という古い常識のまま止まっています。

2. 「進歩性」の判断基準が古い

  • 何が起きたか: 2000年代以降、知財高裁の設立とともに「進歩性」の判断ロジック(動機づけ、阻害要因など)が非常に精緻化されました。

  • 影響: 昔の「なんとなく容易」という感覚的な記述とは、現在の審査基準や判決のロジックはかなり異なります。

3. 「職務発明(35条)」が古いまま

  • 何が起きたか: 青色LED訴訟(2000年代前半)を経て、条文がガラッと変わりました。

  • 影響: 企業知財の現場で最も重要な「予約承継」や「相当の利益」の話が、この本では旧法のままです。

4. その他、21世紀の改正すべて

  • 知財高裁の設置(2005年

  • 異議申立制度の復活(2015年

  • プロダクト・バイ・プロセス・クレームの最高裁判決(2015年


結論:どう使うべきか?

「歴史的名著として本棚に飾るか、パラパラと『均等論』の項目だけ読む」 のが精一杯の使い道です。

  • 10版(1994) = ガラケー以前の「ショルダーフォン」時代の解説書

  • 13版(1998) = インターネット黎明期の「iモード」時代の解説書

  • 現在 = 「スマートフォン」時代の法律

というくらいの差があります。「iモード」の本でスマホの使い方は学べないのと同じで、13版であっても、今の学習用テキストとしてはおすすめできません。

もし「吉藤先生のような、重厚で学術的な本で勉強したい」という意図であれば、現在なら以下のような本が後継的ポジションにあります。

  • 『特許法』(高林龍 著)

  • 『特許法』(茶園成樹 著)

  • 『知的財産法』(中山信弘 著)

これらは現代の法改正や判例を反映しつつ、理論面も深く解説しています。実用を兼ねるなら、こちらへの乗り換えを強くおすすめします。

質問:「ショルダーフォン」って何?

Gemini:「ショルダーフォン」とは、今のスマートフォンの**「ひいおじいちゃん」**にあたる、日本初の「持ち運べる携帯電話」のことです。若い世代の方は、お笑い芸人の平野ノラさんが「しもしも~?」と言いながら肩にかけている、あの巨大な電話をイメージしていただくと分かりやすいです!具体的な特徴は以下の通りです。

☎️ ショルダーホン(1985年発売)の衝撃スペック

  1. デカくて重い!

    • 重さは約3kgもありました(今のスマホの約15〜20倍)。

    • カバンのような本体(バッテリーと無線機)に受話器がついていて、その名の通りショルダーストラップで肩から担いで持ち運んでいました。

    • もともとは「自動車電話」を車から降ろして使えるように改良したものでした。

  2. 超高級品!

    • 保証金だけで20万円、基本料金も数万円。

    • 当時のビジネスマンでも、一部の経営者やエリートしか持てない**「ステータスの象徴」**でした。

  3. 機能は「電話」だけ!

    • もちろんメールもネットもカメラもありません。通話のみです。


📚 なぜその例えを使ったか?

私が、1994年の『特許法概説(第10版)』を「ショルダーフォンの時代の解説書」と表現したのは、それくらいの「技術と常識の隔たり」があることをお伝えしたかったからです。

  • ショルダーフォン (1985)  今のスマホ (2025) (重さ3kgで通話のみ → 手のひらサイズでAIも使える)

  • 吉藤先生の第10版 (1994)  今の特許法 (2025) (キルビー判決前・均等論なし → 知財高裁あり・世界標準ルール)

もし今、あなたが最新のiPhoneを使いたいのに、手元に「ショルダーフォンの取扱説明書」しかなかったら、「電源の入れ方」すら違って役に立ちませんよね?1994年の本で今の特許法を勉強するのは、それと同じくらい「土台の仕組みが変わってしまっている」ということを強調したかったのです。

 

特許侵害への反論:公知と先使用権

第1話(前編): 弁理士ジョージをよろしく 公知と先使用権 (https://www.jpaa.or.jp/comic/)というマンガを読んでいたら、機械メーカーが特許侵害を通告されて、相談を受けた弁理士がその機械メーカーの商品の販売開始日が特許取得日より早いかどうかが論点になっていました。実際そういうものなのか、Geminiに訊いてみました。

質問:ある機械メーカーが特許侵害だと通知を受けたが、その機械メーカーは古くからその商品を販売しているので「公知」であり、特許侵害にはあたらないという反論は可能ですか?

Gemini:結論から申し上げますと、その反論は十分に可能であり、かつ非常に強力な対抗手段となります。ご質問のケース(古くから商品を販売しており、その技術がすでに世に知られていた=「公知」であった)において、特許侵害を回避するための法的なロジックは主に2つあります。以下に、その仕組みと、対抗するために必要な要素を整理します。


1. 特許侵害を否定する2つの主要なロジック

相手の特許出願日(または優先日)よりもに、その製品を販売していた事実がある場合、以下の2つの主張が考えられます。

A. 特許の無効を主張する(特許法第104条の3)

「そもそも、その技術は私が昔から売っていたものであり、新しい技術(新規性)ではないため、特許になるべきではなかった」という主張です。

  • 理屈: すでに公然と知られていた発明(公知発明)は特許を受けることができません。誤って登録された特許には効力が及びません(権利行使が制限されます)。

  • 効果: 相手の特許自体を無効化できる可能性があるため、自社だけでなく業界全体にとってメリットになる場合があります。

B. 先使用権(せんしようけん)を主張する(特許法第79条)

「仮にその特許が有効だとしても、私は特許が出される前からその事業を行っていたので、継続して使い続ける権利がある」という主張です。

  • 理屈: 特許出願の時点で、すでにその発明の実施(製造・販売など)をしていた、あるいはその準備をしていた者には、通常通りビジネスを続ける権利(通常実施権)が認められます。

  • 効果: 特許そのものは潰さずに、「自分たちだけは特別に許される」という権利を確保します。

2. 反論を成功させるための「絶対条件」

この反論を行うためには、口頭で「昔からやっていた」と言うだけでは不十分です。「いつ」「誰が」「どのような技術を」公開していたかを示す客観的な証拠が必要です。

相手の特許の出願日よりも前の日付が入った、以下の資料を探し出す必要があります。

  1. 製品カタログ・パンフレット: 発行日が記載されているもの。

  2. 販売実績の記録: 注文書、納品書、請求書などで、具体的な製品名や型番が特定できるもの。

  3. 設計図面・仕様書: 日付と承認印があり、その技術内容が明確にわかるもの。

  4. Webサイトのアーカイブ: 「Wayback Machine」などで過去の掲載情報が確認できる場合など。

  5. 第三者の証言: 取引先などの客観的な証言(補助的な証拠として)。

3. 注意すべき落とし穴

「古くから販売している」と思っていても、以下の点には注意が必要です。

  • 「構成」の微妙な違い: 昔から売っていた製品と、相手の特許請求の範囲(クレーム)が完全に一致しているかを確認する必要があります。「似ているが、相手の特許には新しい工夫(進歩性)が加えられている」場合、反論が難しくなることがあります。

  • 改良品の問題: 「昔の製品」はセーフでも、最近販売している「改良版」が相手の特許に抵触している可能性もゼロではありません。

今後の対応ステップ

通知書への回答は慎重に行う必要があります。まずは以下の手順をお勧めします。

  1. 日付の確認: 相手の特許公報を確認し、「出願日(または優先日)」を特定する。

  2. 証拠の収集: その日付よりも前の自社製品のカタログ、図面、販売伝票を確保する。

  3. 対比: 「過去の自社製品」と「相手の特許の構成要件」を突き合わせる。


相手も調査不足のまま通知を送ってきている可能性(いわゆる「言ってみたもん勝ち」)もありますが、油断は禁物です。

質問:機械の場合、内部構造が特許の対象だとしたら、その商品が販売されていたとしても、内部の技術情報は公知になっていたとはいえないという議論はあり得ない?

Gemini:

結論として、その議論(内部構造だから公知ではないという主張)は、通常の一般販売が行われていた機械であれば、通用しない(特許権者側の反論としては弱い)可能性が高いです。

つまり、あなたの会社にとって有利な状況です。

なぜ「外から見えない内部構造」でも「公知(公然実施)」として扱われるのか、法的な判断基準を解説します。


1. 「分解すればわかる」なら、それは「公知」です

特許法における「公然知られた(公知)」や「公然実施された」という状態は、「実際に誰かが見た」ことまでは要求されません。

「その気になれば、誰でもその内容を知ることができる状態にあったか(知り得る状態)」

これが判断の基準になります。

    • 原則: 商品が不特定多数の者に販売(市販)されていた場合、購入者がその機械を**分解(リバースエンジニアリング)**して内部構造を調べることは自由です。

    • 結論: 「市場に出回っていた」=「誰でも分解して内部を知ることができた」=**「内部構造も含めて公知である」**とみなされます。

 

2. 特許権者側が「公知ではない」と主張できる例外ケース

逆に言えば、以下のような特殊な状況でない限り、あなたの会社は「昔から売っていた」という事実だけで勝てる可能性が高いです。

特許権者(相手)が「あれは公知ではなかった」と反論できるのは、以下のようなケースに限られます。

ケース 理由
秘密保持契約 (NDA) 下での販売 特定の顧客だけに、「内部構造を解析しない」「第三者に開示しない」という契約を結んで販売・リースしていた場合。これは「秘密」が守られているため、公知にはなりません。
分解が物理的に不可能な場合 分解しようとすると製品が破壊され、構造がわからなくなるような特殊な加工(ブラックボックス化)がされていた場合。(機械装置では稀です)
外部から観測できない内部プロセス 機械の構造ではなく、内部で起きている「化学反応」や「プログラムの処理手順」など、分解しても目に見えないものである場合。(※ただし、機械的な構造であれば通常は該当しません)

3. あなたの会社が主張すべきポイント

相手が「内部構造は見えなかったはずだ」と言ってきても、以下の点を主張・立証できれば、その特許を無効化(または権利行使を阻止)できる可能性が高いです。

  1. 不特定多数への販売実績:「特別な守秘義務契約なしに、誰でも購入できる状態で販売していた」という事実。
  2. 構造の可視性:「蓋を開ければ(あるいは通常の工具で分解すれば)、その構造は容易に確認できた」という事実。
  3. メンテナンスの実態:「顧客先で修理やメンテナンスを行う際、内部構造を隠すことなく見せていた(またはマニュアルに内部図が載っていた)」という事実。

4. メンテナンスマニュアルは強力な武器になります

もし、過去の製品の**「サービスマニュアル」「パーツリスト」「分解図」**などが残っていれば、それを探してください。

  • これらは通常、修理業者の手に渡るものです。

  • 「社外の人の手に、内部構造がわかる図面が渡っていた」という証拠があれば、たとえ実機が分解されていなくても、その情報は**「公知の刊行物」または「公知の情報」**として扱われ、決定的な証拠になります。


【知財勉強ノート】特許法の正体は「相対立する2つの欲」の調停役である

特許法の勉強をしていると、細かい要件(新規性、進歩性、実施可能要件…)に目を奪われがちです。しかし、ふと立ち止まって「そもそも何のための法律なのか?」を考えると、すべてのルールの辻褄が合い、理解が一気に深まることがあります。今回は、特許法の究極の目的である「相対立する2者の利益のバランス(調和)」について整理します。

1. 「相対立する2者」とは誰か?

特許法という土俵には、常に利害が対立する「2人のプレイヤー」がいます。

  • プレイヤーA:発明者(特許権者)

    • 言い分: 「苦労して新しい技術を発明したんだ! 研究開発費も回収したいから、自分だけが独占して儲けたい(保護してほしい)! 他人には真似させたくない!」

  • プレイヤーB:第三者(社会・産業界)

    • 言い分: 「便利な技術なら、みんなで自由に使わせてほしい(利用したい)! 独占なんてされたら、産業の発展が遅れてしまうじゃないか!」

この2人の言い分は、「独占(保護)」vs「開放(利用)」という形で真っ向から対立します。 一方を立てれば、もう一方が立ちません。

  • 発明者を優遇しすぎると → 誰もその技術を使えず、社会が停滞する。

  • 第三者を優遇しすぎると → 誰も発明しなくなり(努力損になる)、技術が生まれない。

この板挟みを解決し、ギリギリのバランスで「調和」させるのが特許法の役割です(特許法第1条)。

(目的)
第一条 この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121

2. バランスを取るための「大いなる取引(Deal)」

では、法律はどうやってこの喧嘩を仲裁しているのか? 答えは、「公開」と「独占」のバーター取引(交換条件)です。

特許制度の契約書

  1. 発明者へ: あなたの発明を、包み隠さず世の中に「公開」してください(社会への貢献)。

  2. 社会へ: その見返りとして、一定期間だけ発明者に「独占権」を与えてあげてください(インセンティブ)。

  3. 期間終了後: その技術は人類共有の財産(パブリック・ドメイン)として、誰でも自由に使えるようにします。

これが特許制度の基本構造です。

3. 具体例で見る「バランス」の崩壊と修正

ここで、ある「有用な遺伝子Xのリポーターマウス」の発明を例に考えてみましょう。 (※リポーターマウス:特定の遺伝子が働いたときに、蛍光などで光って知らせてくれるマウス)

ここで「実施可能要件」というルールが登場する理由も、このバランス論で説明がつきます。

ケース1:アイデアだけの出願(バランス崩壊)

もし、発明者が「遺伝子Xが働いたときに光るマウスが欲しいな(創薬に使えるはずだ)」というアイデアだけで特許を取れたとしたら?

  • 発明者: 作り方もわかっていないのに、独占権だけゲット(丸儲け)。

  • 社会: 「そういうマウスが欲しい」という願望を聞かされただけで、技術的な恩恵(作り方)は何も得ていない。それなのに、今後その研究をすることを禁止される。

これは「社会側が大損する取引」です。バランスが欠いているため、特許法はこれを許しません。

ケース2:詳細な実験データの開示(バランス成立)

発明者が、具体的なDNAコンストラクトの配列、導入方法、実際に光った写真(実験データ)を明細書(実施例)に書いて出願した場合はどうでしょう?

  • 発明者: 重要なノウハウをさらけ出すリスクを負う。

  • 社会: 「なるほど、このプロモーターを使えば作れるのか!」という再現可能な知識を得る。

ここで初めて「知識の公開」という対価が支払われたため、特許庁は「じゃあ、独占権をあげましょう」と認めます。 これが「実施可能要件(ちゃんと作れるように書きなさい)」の本質です。

4. 「再現性のない特許」はなぜ悪か?

最近話題になる「科学論文や特許の再現性のなさ(ゴミ特許)」の問題も、このバランス論で斬ることができます。

もし、書かれている通りにやっても動かない(再現性がない)特許が登録されてしまったら? それは、「社会に対して『偽の通貨(動かない技術)』を渡して、本物の商品(独占権)を騙し取った」のと同じことです。

だからこそ、特許庁の審査官は目を光らせますし、もしすり抜けても、後から第三者が「これは再現できない(実施可能要件違反だ)」と訴えて無効にする制度(無効審判)が用意されています。

これらも全て、「発明者と社会の利益バランス」を正常に戻すための自浄作用と言えます。

まとめ:学習の視点

今後、特許法の細かい条文や判例(サポート要件、均等論など)で迷ったときは、この原点に立ち返ってみてください。

「今のこの解釈は、発明者と社会、どちらの利益に偏りすぎているか? どこでバランスを取ろうとしているのか?」

そう問いかけることで、無味乾燥な法律論が、生きた「知恵の天秤」に見えてくるはずです。

(Gemini)

「仮予定」とは

AI による概要

「仮予定」とは、まだ確定していない、変更の可能性がある予定のことです。確定するまでの間、暫定的なものとしてスケジュールに登録しておくことで、行動の「見える化」や、他の予定との「仮押さえ」に使われます。

仮予定の主な特徴と使い方

変更の可能性がある: 確定した予定とは異なり、後に予定が変更されたり、キャンセルされたりする可能性があります。

「見える化」と行動のきっかけ: 確定はしていなくても、カレンダーや手帳に「(仮)」と書いて登録することで、ぼんやりとした予定を具体的な行動につなげやすくなります。 仮押さえ: 会議やイベントなどで、日時や場所を正式に決める前に、他の人に取られないように一時的に確保しておく場合にも使われます。

表示方法: カレンダー機能では、確定予定と区別するために異なる色で表示されることがあります。

関連する言葉

暫定(ざんてい): 最終的な決定が下されるまでの間、仮に決められた状態を指します。

仮押さえ(かりおさえ): 本格的な契約の前に、特定の日時や場所を一時的に確保しておくことです。

ばらす: 複数人で仮に押さえていた予定を、都合がつかなくなったなどの理由で白紙に戻す際に使われる言葉です。一般的には「キャンセル」とは区別して使われます。

「近しい」の意味?

AI による概要
「近い」は物理的な距離、時間、血縁、関係性、性質など幅広い意味で使われる。

「近しい」は主に心理的な近さや親密さを表し、「近い」よりも限定的なニュアンスを持ちます。

ただし、近年では「近しい」が物や性質の近さを示す際にも使われるようになっています。

 

「近しい」という言葉は、2000年代に急に広まったのではないでしょうか?自分は今まで使ったこともないし、使える気がしません。

  1. 「近しい」という言葉に違和感があります。 2012/2/23 10:40 Yahoo!知恵袋
  2. どうしても気に障る言葉「近しい」2016-02-22

自分が感じる違和感を感じている人が、世の中にはほかにもいたようです。

企画頭出し とは?

AI による概要
「企画頭出し」とは、会議や提案の前に、その企画の概要や要点を事前に相手に伝えておくことです。これにより、相手が事前に情報を把握し、その後の話し合いをスムーズに進めることができます。

目的と効果
スムーズな合意形成: いきなり詳細を話すと相手が戸惑う可能性があるため、事前に大まかな内容を伝えることで、探り合いをなくし、本題に入りやすくなります。

相手の準備を促す: 相手に事前に情報を与えることで、会議や話し合いに向けた準備をしてもらう時間を提供します。

意見やノウハウの活用: 事前に情報を共有することで、参加者から早い段階で経験やノウハウを活かした意見を引き出すことができます。

具体的な方法
簡潔な連絡: メールや電話で「こういう案件を検討しています」のように、タイトルや概要をサラッと伝える。

資料の提示: 会議の冒頭部分だけを事前に共有する、要点だけをまとめた資料を渡す。

早い段階で: 協働する場面や関連する人が多い場合は、早めに頭出しをすると効果的です。

類似の表現
下相談(しもそうだん): 相談の前に、あらかじめ行っておく下話や打ち合わせのこと。

特68条 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。

業として の読み方

業は、「ぎょう」(稼業 かぎょう など)、「ごう」(自業自得 じごうじとく など)、「わざ」(神業 かみわざ) といろいろな読み方が日本語にはあります。生業(せいぎょう、なりわい)という読み方もありますよね。あまりにも多様な読み方があるため、法律の条文に出てきた「業」の読み方が何なのか?わからずにいましたが、「ぎょう」と読むようです。

特許法

(特許権の効力)第六十八条 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。

9.特許権の効力 特許を取得した場合に得られる効力について説明します。 初心者向け入門講座 ひでさん 古谷栄男 チャンネル登録者数 404人

サポート要件とは

プロンプト:「サポート要件」って、日本の特許法の条文に使われる言葉?

Geimi:いいえ、「サポート要件」という言葉そのものは、日本の特許法の条文には出てきません。これは、特許法第36条第6項第1号に定められている規定を指す、実務上・学説上の通称(略称)です。

1. 実際の条文(特許法第36条第6項第1号)

法律の条文では、以下のように記述されています。

特許法 第三十六条

6 (略)特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。

一 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。

この「発明の詳細な説明に記載したものであること」という要件を、実務家や裁判所は「(明細書の記載に)サポートされている必要がある」という意味で、「サポート要件」と呼んでいます。

2. 判決文での使われ方

ご提示いただいた判決文(PDF)でも、裁判所はこの通称をそのまま使って判断を下しています。

  • 判決文の記載: 「本件特許は、サポート要件及び実施可能要件に違反し…」

  • 意味: 「本件特許のクレーム(特許請求の範囲)は、明細書(発明の詳細な説明)に記載された範囲を超えており、条文(36条6項1号)が求める『記載したものであること』という条件を満たしていない」という意味です。

つまり、「サポート要件」は法律用語そのものではありませんが、裁判でも当然のように使われる、極めて定着した専門用語です。

PCT出願(国際特許出願)とは

 

参考

  1. 【弁理士が解説】外国での特許取得について~国内出願と国際出願どちらがお得?~ ZeLo Law Square UPDATE : 2024.08.23  https://zelojapan.com/lawsquare/48376
  2. PCT出願(国際特許出願)とは 梅澤国際特許事務所 https://www.umepat.com/pct出願の流れと費用/

post hoc sub analysis ポストホックサブ解析とは?

post hoc解析とは

post hoc(事後)解析とは、臨床研究で当初予定してなかった解析を、データが取得された後で行うことです。post hoc解析には2種類あり、一つは当初予測できていなかった興味深い関係がありそうだと思ったときに、計画していなかった変数に関して解析を行うことです。つまり新しい仮説を検証することになります。もう一つは、全てのデータを解析するのでなく、被検者を何らかの方法でこまかくグループに分けて、特定のグループ(すなわち、サブグループ)に関してのみ仮説を検証するための統計学的な解析を行うことです。

AI による概要
Post-hoc analyses can involve both the re-examination of subgroups and the testing of unplanned new variables (or hypotheses) that were not specified in the original study plan. The term “post hoc” (Latin for “after this”) means the analysis is conducted after the data has been collected and examined.

The main characteristics are:
Unplanned Nature: The crucial aspect is that these analyses were not part of the original, pre-specified research protocol or statistical analysis plan. The ideas for the analyses often arise from observing interesting or unexpected patterns in the data after the main trial analyses are performed.

Subgroup Analysis: A common form of post-hoc analysis is to examine findings within specific subgroups of the study population (e.g., whether a drug works better in older adults vs. younger adults, or men vs. women) to see if the treatment effect differs among them.

Testing New Variables/Hypotheses: Researchers might also explore relationships between variables or outcomes that were not the primary or secondary endpoints of the original study.

Due to their unplanned nature and the potential for multiple comparisons, post-hoc analyses have a higher risk of producing false positive results (findings that appear significant by chance alone). Therefore, their findings are generally considered hypothesis-generating for future research, rather than definitive proof, and should be interpreted with caution.

ad hoc サブグループ解析

 investigators frequently use analyses of subgroups of study participants to extract as much information as possible. Such analyses, which assess the heterogeneity of treatment effects in subgroups of patients, may provide useful information for the care of patients and for future research. However, subgroup analyses also introduce analytic challenges and can lead to overstated and misleading results. This report outlines the challenges associated with conducting and reporting subgroup analyses, and it sets forth guidelines for their use in the Journal.

Statistics in Medicine — Reporting of Subgroup Analyses in Clinical Trials Authors: Rui Wang, M.S., Stephen W. Lagakos, Ph.D., James H. Ware, Ph.D., David J. Hunter, M.B., B.S., and Jeffrey M. Drazen, M.D.Author Info & Affiliations Published November 22, 2007 N Engl J Med 2007;357:2189-2194 DOI: 10.1056/NEJMsr077003 VOL. 357 NO. 21 https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMsr077003

 

In clinical trials, it is not uncommon that the primary analysis fails to achieve the study objective for demonstrating the safety and efficacy of a test treatment under investigation, while a specific sub-population analysis shows a significant positive result.

(A Proposal for Post Hoc Subgroup Analysis in Support of Regulatory Submission. Therapeutic Innovation & Regulatory Science, 13 Sep 2022, 57(2):196-208 https://doi.org/10.1007/s43441-022-00459-0 PMID: 36100794 )

  1. Post Hoc Subgroup Analysis and Identification—Learning More from Existing Data Proceedings 2023, 91(1), 422; https://doi.org/10.3390/proceedings2023091422 Login to Jenni Published: 9 April 2024 https://www.mdpi.com/2504-3900/91/1/422
  2. JNCI Cancer Spectr. 2023 Nov 25;7(6):pkad100. doi: 10.1093/jncics/pkad100 Characteristics of post hoc subgroup analyses of oncology clinical trials: a systematic review https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38006333/ Subgroup analyses in clinical trials assess intervention effects on specific patient subgroups, ensuring generalizability. However, they are usually only able to generate hypotheses rather than definitive conclusions. 
  3. A Proposal for Post Hoc Subgroup Analysis in Support of Regulatory Submission September 2022Therapeutic Innovation and Regulatory Science 57(2) DOI:10.1007/s43441-022-00459-0 https://www.researchgate.net/publication/363531808_A_Proposal_for_Post_Hoc_Subgroup_Analysis_in_Support_of_Regulatory_Submission
  4. Exploratory subgroup analysis: Post-hoc subgroup identification in clinical trials Alex Dmitrienko (Quintiles) Ilya Lipkovich (Quintiles) EMA Expert Workshop 2014 https://www.ema.europa.eu/en/documents/presentation/presentation-exploratory-subgroup-analysis-post-hoc-subgroup-identification-clinical-trials-alex-dmitrienko-ilya-lipkovich_en.pdf

参考

  1. 第12回(最終回特別編)EBMに潜む八つのワナ~論文を正しく読むコツ~2014/08/18 日経メディカル https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/noto/201408/537922.html 研究で実証できるエンドポイントは一次エンドポイントだけ 二次エンドポイントは仮説を実証するものではなく示唆するオマケにすぎない 後付け(post hoc)解析は情報バイアスが極めて大きいため、仮説検証ではなく仮説提唱・探求に過ぎない 
  2. 7 サブグループ解析 オンライン版の R によるメタ分析:ハンズオン https://bookdown.org/content/25561078-f6d8-4a13-b4bd-45ebbc1b05c8/subgroup.html 固定効果(複数)モデルは、ランダム効果(サブグループ内)と固定効果(サブグループは固定されていると仮定されているため)の両方を含むので、文献上では混合効果モデル (mixed-effects model) としても知られている。 
  3. ホーム カテゴリーなし サブグループ解析とはサブグループ解析とは何か+失敗を防ぐには https://www.questionpro.com/blog/ja/ https://www.questionpro.com/blog/subgroup-analysis/ サブグループ解析とはサブグループ解析とは何か/ サブグループ解析は、2つのタイプに分類することができます: 1.事前指定あり 2.ポストホックです。

post-hoc sub-analysisの例

  1. Blood pressure reduction with empagliflozin in Japanese patients with type 2 diabetes and cardiovascular diseases: a post-hoc sub-analysis of the placebo-controlled randomized EMBLEM trial Brief Communication Special Issue: Current evidence and perspectives for hypertension management in Asia Published: 24 May 2024 https://www.nature.com/articles/s41440-024-01725-4

サブ解析とサブグループ解析は同じ?

 AIによる概要

「サブ解析」と「サブグループ解析」は、一般的に同じ意味で使われます。どちらも、データ全体の中から特定の属性を持つ集団(サブグループ)を抽出して分析する手法を指します。
サブグループ解析:試験参加者全体から、年齢、性別、疾患の重症度などの特定の属性を持つ集団を分ける分析方法です。
目的:特定のサブグループに対して、介入の効果がどのように異なるか(介入群間差の一様性)を確認すること。人種、年齢、性別など、様々な属性を持つ集団で結果がどのように異なるかを確認すること。