CRESTとは
CRESTは、我が国が直面する重要な課題の克服に向けて、独創的で国際的に高い水準の目的基礎研究を推進し、社会・経済の変革をもたらす科学技術イノベーションに大きく寄与する、新たな科学知識に基づく創造的で卓越した革新的技術のシーズ(新技術シーズ)を創出することを目的としています。https://www.jst.go.jp/kisoken/crest/about/index.html
CRESTの審査基準
2024年度採択課題の総評を読むと、どのような観点で審査されているかがわかります。一部を抜き出して箇条書にしてみました。
採択される理由
- 異分野の研究者から構成されるチーム編成でありそれぞれの役割が明確
- 定量的なデータをもとに研究目標が設定されている
- 学術および社会への広い波及効果が期待できる
- 解決しようとする社会的要請が明確に提示されており、それを解決する道筋が具体的に描かれている
- 従来技術や自身の研究シーズの単なる延長ではない、斬新なアイデアが盛り込まれている
- 研究対象とする材料や技術が、材料創製、循環プロセス、双方の視点を考慮した研究提案である
- 国際的にプレゼンスの高い論文に公刊され得る学術的に見て価値の高い研究および新規学術分野の構築が期待できる
- CRESTは、量子と量子以外の分野、量子の中での異なる原理・手法・技術、異なるレイヤーが連携・融合することで新たな量子フロンティア領域に繋がるような共創的な提案を評価する。
- 提案者が研究実績を有しているか、及びチーム体制が適切かどうかを重視する。
- CREST・さきがけのいずれも、量子分野の他の大型プロジェクトの一部タスクを下請けするような提案ではなく、先々を切り拓く芽を育てる提案を評価する。
- 研究領域が想定しない革新的な内容の提案も積極的に採択を検討します。この場合でも、提案するナノ物質半導体が動作し、基本原理に基づき妥当性をもって特性を提示できるようなチーム構成であることが必要 戦略目標:「新たな半導体デバイス構造に向けた低次元マテリアルの活用基盤技術」研究領域:「ナノ物質を用いた半導体デバイス構造の活用基盤技術」
- 幅広い成果と波及効果が十分期待できる
- チーム構成においては、事前に十分な共同研究を行うなど、ある程度の実績をつくることが、プロジェクトをスムーズにスタートできる点で重要であり高く評価されます。
- すべての提案では、専門分野の研究者が既知としていることの説明も必要ですが、達成すべき数値目標や実現に向けた道筋(実現可能性)など専門外の人でも十分に評価可能な「感覚的ではない、わかりやすい説明」でアピールされること
- 独創的な計測科学と独創的な情報科学を組み合わせ、汎用性の高い幅広い分野に展開できる計測・解析手法の革新による限界突破を目指す提案であり、かつ現実の多くの社会課題・実課題の解決を目指して5年で実問題による有効性を示すシナリオを明示する提案を評価する。 戦略目標:「社会課題解決を志向した計測・解析プロセスの革新」研究領域:「社会課題解決を志向した革新的計測・解析システムの創出」
不採択になる理由
- CREST研究としての革新性が不十分
- 領域横断・分野融合が十分に検討されていない
- 取り組むべき課題やそれが達成された時のインパクトが明確に説明されていない
- 材料の創製に重点が置かれているものが多く、循環に関する言葉はあるものの、具体的な方
法やプロセスについての記述が十分でない - 「革新的な計測・解析技術の開発」が基軸となった研究提案であるか、新たな「生命力」の解明や生命観創出に挑戦する提案であるか等の観点から総合的に評価 戦略目標:「「生命力」を測る~未知の生体応答能力の発見・探査~」研究領域:「革新的な計測・解析技術による生命力の解明」
- 開発される技術は優れているものの、「解明しようとする生命力」が明確でない
- 捲土重来のCREST申請書に申請者の主体性の有無を確認することができる。こちらからのコメントに対する回答や対応に終始するだけの改訂は決して十分とは言えない。評価が相対的であることを考えれば当然のことであろう。むしろコメントを超える枠組みで自らの考えで改善を図ったものを高く評価する
参考
- 2024年度 戦略的創造研究推進事業(CREST)新規採択課題・総括総評 https://www.jst.go.jp/kisoken/crest/application/2024/240917/240917crest.pdf