必要書類の再提出が不要なケース(提出みなし規定)まとめ
分割・変更出願をした場合に、もとの出願で提出済みの書類が、新たな出願と同時に提出されたものとみなされる規定が各法に存在する。以下が横断整理。
1. 特許法44条4項(分割出願)
もとの特許出願について提出された以下の書類は、新たな特許出願と同時に提出されたものとみなす:
- 30条3項:新規性喪失の例外の適用を受ける旨の書面+証明書
- 41条4項:国内優先権主張の書面+先の出願の表示を記載した書面
- 43条1項・2項:パリ優先権主張書面+優先権証明書類等
⚠ 国内優先権主張出願(41条)には、このみなし規定が不準用。だから新喪例の書面は改めて提出が必要。
2. 特許法43条5項(優先権証明書類等のDAS提出)
優先権証明書類等の内容を電磁的方法でパリ同盟国政府等と交換できる場合、出願番号等を記載した書面を提出すれば、優先権証明書類等を提出したものとみなす。
→ 優先権証明書の原本そのものの提出が不要になるケース。
3. 意匠法10条の2第3項(分割出願)
もとの意匠登録出願について提出された以下の書類は、新たな意匠登録出願と同時に提出されたものとみなす:
- 4条3項:新規性喪失の例外の適用を受ける旨の書面
- 準特43条1項・2項:パリ優先権主張書面+優先権証明書類等
※秘密意匠の請求書面(14条2項)は含まれない(H28-意2-3で出題)
4. 意匠法13条6項 → 10条の2第2項・3項を準用(変更出願)
特許出願・実用新案登録出願から意匠登録出願への変更でも、10条の2第3項が準用されるので、もとの出願で提出済みの書面は再提出不要。
5. 商標法10条3項(分割出願)
もとの商標登録出願について提出された以下の書類は、新たな商標登録出願と同時に提出されたものとみなす:
- 9条2項:出願時の特例(博覧会出品等)の書面
- 準特43条1項・2項:パリ優先権主張書面+優先権証明書類等
→ H25-商6-ハ「新たな商標登録出願について優先権証明書を必ず提出しなければならない」→ ×
6. 国際商標登録出願(商標法68条の15)
国際商標登録出願は、そもそも準特43条1項〜4項、7項〜9項が不適用。マドプロの仕組みで優先権主張するので、日本での優先権書類提出手続自体が不要。
横断比較表
| 出願の種類 | みなし規定 | 新喪例書面 | パリ優先書面 | 国内優先書面 |
|---|---|---|---|---|
| 特許・分割 | 44条4項 | ○みなす | ○みなす | ○みなす |
| 特許・国内優先権主張 | なし | ×再提出要 | — | — |
| 意匠・分割 | 10条の2第3項 | ○みなす | ○みなす | — |
| 意匠・変更 | 13条6項→準用 | ○みなす | ○みなす | — |
| 商標・分割 | 10条3項 | — | ○みなす | — |
| 国際商標 | 68条の15 | — | そもそも不要 | — |
試験で狙われるポイント
「再提出が必要なのに不要と思い込む」パターンが危険:
- 国内優先権主張出願 → 44条4項が不準用 → 新喪例書面は再提出要(H30-特実17-ロ)
- 秘密意匠の請求書面 → 10条の2第3項に列挙されていない → 再提出要
「再提出不要なのに必要と思い込む」パターンも頻出:
- 分割出願で優先権証明書の再提出が必要としたもの → × (H28-意7-4、2020-特実06-4)
- 変更出願で新喪例書面の再提出が必要としたもの → × (H28-意7-2)