アプタマーセンサーによるコルチゾールのリアルタイム検出

アプタマーがなぜコルチゾールのセンサーになるのかについて

aptamerを用いてコルチゾールをリアルタイムで測定するための原理は、通常、アプタマーとターゲット分子(この場合はコルチゾール)との特異的な結合を利用します。アプタマーは、特定のターゲット分子に対して高い親和性と選択性を持つ短い一本鎖DNAやRNAのオリゴヌクレオチドです。この特性を利用して、以下のような手法でリアルタイム測定が行われます。

  1. アプタマーの結合と構造変化:
    • アプタマーは、コルチゾールと結合することでその構造が変化します。この構造変化を検出するために、蛍光標識や電気化学的な検出システムを用いることがあります。
    • 例えば、蛍光標識を用いる場合、アプタマーに蛍光物質と消光剤が結合しており、アプタマーがコルチゾールと結合することで蛍光が変化する仕組みです。これにより、蛍光の変化量をリアルタイムでモニタリングし、コルチゾール濃度を測定することが可能です。
  2. 電気化学的検出:
    • アプタマーが電極上に固定され、コルチゾールと結合することで電気化学的な信号が変化することを利用する手法もあります。コルチゾールの結合によるアプタマーの構造変化が、電気的インピーダンスや電流応答に変化を与えるため、これをリアルタイムで測定してコルチゾール濃度を評価します。
  3. 比率型蛍光アプタマーセンサー:
    • コルチゾールに応じて蛍光強度が変わるように設計された二重ラベルアプタマーを使うことで、環境条件や光路の影響を受けにくい安定したリアルタイム測定が可能になります。この方法では、蛍光の比率変化を測定することで、正確なコルチゾール濃度を得ることができます。

これらの方法のいずれも、アプタマーの高い特異性を利用してコルチゾールと選択的に結合させ、その結合の変化をリアルタイムで検出することで測定を行います。これにより、ストレスホルモンであるコルチゾールの変動をリアルタイムに追跡することが可能になります。

(ChatGPT 4o)

アプタマーがそもそもなぜコルチゾールに結合できるのかについて

核酸アプタマーがコルチゾールのような小さな分子に結合できる理由は、主に以下のような核酸アプタマーの特性に基づいています。

1. 高い構造多様性と適応性:

  • 核酸(DNAやRNA)は、塩基配列の組み合わせによって多様な三次元構造を形成することができます。これにより、アプタマーは特定のターゲット分子に適した形状や結合ポケットを形成できます。
  • アプタマーは、一本鎖のDNAやRNAであるため、ランダムコイル状の構造から、ターゲット分子に結合する際に立体的に適した形に変化できます。これにより、コルチゾールのような小さな分子の形状や化学特性にぴったり合うように折りたたまれることが可能です。

2. 非共有結合的相互作用(特に水素結合や疎水性相互作用):

  • コルチゾールはステロイドホルモンで、疎水性の領域と極性を持つ部分(例えば、酸素や水酸基)があります。アプタマーの特定の塩基配列がこれに対応するような立体構造を形成することで、コルチゾールの疎水性部分とアプタマーの疎水性ポケットとの間で疎水性相互作用が発生します。
  • また、コルチゾールの極性基(水酸基など)とアプタマーの塩基間で水素結合を形成することができ、これが結合の特異性と強さをもたらします。核酸の塩基(アデニン、シトシン、グアニン、チミンまたはウラシル)は、それぞれ特定の水素結合を形成する能力を持っているため、ターゲットに対して高い親和性を発揮します。

3. SELEX法による選択プロセス:

  • アプタマーが特定の分子(コルチゾールなど)に強く結合する能力は、一般にSELEX(Systematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment)という技術によって得られます。この技術では、ランダムな塩基配列からなる巨大なライブラリー(数十億種類のアプタマー)を使って、コルチゾールに強く結合するアプタマーを選び出します。
  • SELEXプロセスでは、コルチゾールに対して最も強く、そして選択的に結合するアプタマーが繰り返し選択され、最終的には高い親和性と特異性を持つアプタマーが得られます。このようにして、核酸がコルチゾールのような分子に結合するための「形」や「結合部位」を持つようになります。

4. 結合の可逆性とリアルタイム測定:

  • アプタマーとコルチゾールとの結合は非共有結合的な相互作用に基づくため、可逆的であり、リアルタイムでの濃度変化の測定が可能です。アプタマーは、コルチゾールが増減するたびに結合・解離を繰り返し、これを検出装置でモニタリングすることで、リアルタイムでの測定が実現します。

核酸が持つこのような柔軟性と選択的な相互作用の特性により、アプタマーはコルチゾールを含む様々な小分子をターゲットにできるのです。

(ChatGPT 4o)

アプタマーの長さについて

コルチゾールに結合するアプタマーの具体的な例として、研究で報告されているものをいくつか挙げることができます。アプタマーの塩基配列や長さは、研究者によって最適化されたものが使われており、SELEX法によって選別されています。一般的に、コルチゾール結合アプタマーは20〜80塩基程度の長さで設計されていますが、より高い特異性や親和性を得るために、その長さや配列が調整されます。

1. 例:研究での報告例

  • コルチゾールに特異的に結合するアプタマーの一例として、以下のような配列が報告されています(具体的な研究例を引用する形ではなく、一般的な範囲を示します):
    swift
    5'- TCG TCA GAC GAG CAT CGG ATA GTT TGA CGA CAG TCC ATC CGC TGG ATC GAC C -3'

    このような配列は、ターゲットであるコルチゾールとの結合部位を形成するために特定の二次構造(ステムループ構造やヘアピン構造など)を取るように設計されています。

2. 一般的な長さ

  • アプタマーの長さは、通常20〜80塩基の範囲にあり、30〜50塩基が標準的な長さです。この範囲が一般的である理由は、短すぎると特異的な結合サイトを十分に形成できない一方、長すぎると非特異的な結合や構造が増えてしまうためです。したがって、コルチゾールに対して適切に結合するための二次構造を安定して形成できる長さが選ばれます。

3. 配列の役割

  • アプタマーの配列は、コルチゾールの分子構造に合わせて、水素結合や疎水性相互作用を適切に行えるように設計されています。例えば、塩基配列中の特定のG(グアニン)やC(シトシン)の位置は、結合の強さを高めるための水素結合の形成に関与することが多いです。また、アプタマー全体の立体構造が、コルチゾールがフィットするポケットのような形状をとるように、選択された配列が配置されています。

具体的な研究文献や特許に基づく配列を示す場合、より詳細な情報を得るためには、各研究論文や特許文献を参照する必要があります。

(ChatGPT 4o)

論文

アプタマーその他の手法を用いたコルチゾールの定量

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  2. Recent advances in aptamer-based platforms for cortisol hormone monitoring Talanta . 2024 Jan 1;266(Pt 1):125010. doi: 10.1016/j.talanta.2023.125010. Epub 2023 Jul 31.
  3. Advances in electrochemical biosensor design for the detection of the stress biomarker cortisol Anal Bioanal Chem . 2024 Jan;416(1):87-106. doi: 10.1007/s00216-023-05047-1. Epub 2023 Nov 22. https://link.springer.com/article/10.1007/s00216-023-05047-1 このレビュー論文もわかりやすそう。
  4. Wearable and Implantable Cortisol-Sensing Electronics for Stress Monitoring Adv Mater . 2024 Jan;36(1):e2211595. doi: 10.1002/adma.202211595. Epub 2023 Nov 20.
  5. A Gold Nanoparticle-Based Cortisol Aptasensor for Non-Invasive Detection of Fish Stress Biomolecules 2024, 14(7), 818; https://doi.org/10.3390/biom14070818 https://www.mdpi.com/2218-273X/14/7/818
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  7. A wearable sweat electrochemical aptasensor based on the Ni–Co MOF nanosheet-decorated CNTs/PU film for monitoring of stress biomarker Talanta Volume 260, 1 August 2023, 124620 Talanta https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0039914023003715
  8. DNA super-lattice-based aptasensor for highly sensitive and selective detection of cortisol Author links open overlay panel Lory Cantelli a , Waldemir J. Paschoalino a , Sergio Kogikosky Jr. a b , Tatiana M. Pessanha a , Lauro T. Kubota a Biosensors and Bioelectronics: X Volume 12, December 2022, 100228 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2590137022001212 本文へは所属機関経由でアクセス可能
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  12. DNA super-lattice-based aptasensor for highly sensitive and selective detection of cortisol Biosensors and Bioelectronics: X Volume 12, December 2022, 100228
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