脳梗塞の兆候と救急車の必要性
脳梗塞の兆候で代用的なのは、(1)突然、箸が持てなくなった。身体の片側で手や足がマヒした。(2)突然、呂律が回らなくなるなどの言語障害。(3)突然、片側の口が垂れるなど、顔のゆがみが生じた。といったことだそうです。脳梗塞は脳の血管が詰まって、その詰まった部分の先の血管には血液が行き渡らなくなるため、その部位では脳の働きがなくなり、酸素が供給されないために神経細胞が死んでしまう(壊死する)病気です。血管の詰まりをすこしでも早くなくして再び血液が流れるようにする必要があります。家族が、もし上記3つの症状のうち一つでも該当するようなことになった場合には、迷わず救急車を呼ぶ必要があるそうです。治療開始が遅れれば遅れるほど、脳の壊死が進んで後遺症がひどくなります。
- 三つの危険なサイン すぐに救急車を! 脳梗塞(冨士森内科クリニック 東京都八王子市台町)
- 脳卒中の警告サイン:すぐに救急車を!(聖マリアンナ医科大学 東横病院 脳卒中センター 神奈川県川崎市)
- 脳梗塞の治療の緊急性手足の麻痺、しびれ、言語障害、めまい、意識障害などの症状は、発症から6時間以内であれば超急性期治療により改善させられる場合があります。… 脳梗塞の超急性期治療は時間が勝負です。脳梗塞になると発作後1分間で190万個の脳細胞が失われます。30分治療が遅れただけで生活自立できる方が10%ずつ減っていきます。(秋山脳神経外科病院 神奈川県横浜市)
脳梗塞のリスク因子
ペナンブラとは
脳梗塞急性期における治療のポイントは、脳への血流が低下していても、まだ回復する可能性がある部位(ペナンブラ)をいかに救出するかという点にあります。(大西脳神経外科病院)
静注血栓溶解(rt-PA)療法
脳梗塞急性期の治療法として組織型プラスミノゲン・アクティベータ(tissue-type plasminogen activator, t-PA:一般名アルテプラーゼ)の静注による血栓溶解療法が2005年に認められてから、15年近くが経過し、いまやわが国でも標準治療として定着した感があります。2012年9月からt-PA静注療法の対象患者が発症後3時間から4.5時間に延長されました。(国立循環器病研究センター病院)
tPAの効果は、米国において偽薬を対象とした大規模な臨床試験(1995年)で、発症から3時間以内の脳梗塞に対して証明されました。その成績は脳梗塞から3か月後において後遺症が全くないか、ごく軽微な患者の割合は、偽薬治療群では26%であったのに対して、tPA治療群では39%と明らかに治療成績は良好でした。(急性期脳梗塞に対するtPA静注療法 東横病院脳卒中センター 聖マリアンナ医科大学)
アルテプラーゼ(tPA)という脳梗塞治療薬は、閉塞した血栓を溶解させ、途絶した脳血流を再開させることが可能で、発症4.5時間以内にこの薬剤を静脈内投与できれば、脳梗塞が劇的に良くなる可能性があります。しかし、合併症(脳出血、出血性梗塞)が出現することもあります。(イムス富士見総合病院)
- 静注血栓溶解(rt-PA)療法適正治療指針 第三版2019年3月日本脳卒中学会脳卒中医療向上・社会保険委員会静注血栓溶解療法指針改訂部会