肺MAC症とは Mycobacterium avium complex

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MACとは

抗酸菌

Mycobacterium属に属する菌種で、分厚い脂質に囲まれ、グラム染色では染色されにくく、抗酸菌染色(抗酸染色、抗酸性染色とも)という特殊な染色法が必要である。acid fast bacilliとも呼ばれる。主要な病原体は、肺結核の原因となる(ヒト型)結核菌 M. tuberculosisである。非結核性抗酸菌のうち、細菌学的性状が類似するM.aviumM.intracellulareは、M.aviumcomplex(MAC)と総称され ‥ (細菌学講義eText大阪市立大学大学院医学研究科細菌学教室)

肺MAC症とは

日本では肺結核の減少とは対照的にMycobacterium avium complex (以下、MAC)という系統の細菌による肺疾患、肺MAC症が増加しています。2016年の調査では、国内で10万人中15人程度の罹患率とされており、今後も患者数が増える見通しです。しかし、病原体についてのゲノム情報が不足しており、肺MAC症の効果的な治療方法は確立されていません。(肺MAC症原因菌が進化する仕組みを解明 AMED)

肺MAC症に代表される非結核性抗酸菌症は本邦で急増している呼吸器感染症ですが、既存の薬が効きにくく難治性です。(研究成果 肺MAC症病原菌の薬剤標的候補を同定 2020/04/01  新潟大学)

  1. 肺 MAC症は通常,気管支拡張型,結核類似型,過敏性肺臓炎型,全身播種型の 4 病型 に分けられることが多いが,後 2 者は稀である。https://www.kekkaku.gr.jp/pub/Vol.84(2009)/Vol84_No8/Vol84No8P569-575.pdf
  2. 非結核性肺抗酸菌症の80%がマック菌 肺非結核性抗酸菌症 https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/a/a-08.html
  3. 肺非結核性抗酸菌症の多彩な臨床・病理像 肉芽腫形成の視点から 藤田 次郎 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsogd/39/1_2/39_11/_article/-char/ja/
  4. 発病の危険性が高いグループは、肺嚢胞、気管支拡張症を持っている人、エイズ患者、手術後で体力が落ちたり体重の激減した人である。 https://jata.or.jp/rit/rj/byorichiken.htm
  5. Mycobacterium avium, an opportunistic intracellular pathogen, is a member of the non-tuberculous mycobacteria species. M. avium causes respiratory disease in immunosuppressed individuals and a wide range of animals, including companion dogs and cats. https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcimb.2020.609712/full

非結核抗酸菌とは・非結核抗酸菌症とは

非結核抗酸菌とは

非結核抗酸菌non-tuberculousis mycobacteria: NTM)は, 結核菌群およびらい菌を除いた約150種類の抗酸菌の総称である。NTMは, 水系(環境水, 上水道), 土壌, 動物の体内などの環境中に豊富に存在し, 環境中の菌を取り込むことで, 免疫不全患者のみならず健常人への感染が成立すると考えられている。感染が成立すると, 特徴的な症状に乏しく, 数年~十数年かけて慢性肉芽腫性病変が緩徐に進行するのが一般的である。ヒト―ヒト感染は, 一部を除いて起こさないとされるため, 患者の隔離は不要である。NTMの中で, ヒトに病原性を有するのは約50種程度であり, NTM症は全抗酸菌症の10~20%を占めると考えられてきた。主たる感染臓器はであり, 皮膚感染がそれに続く。(非結核抗酸菌症 IASR Vol. 38 p245-247: 2017年12月号 国立感染症研究所)

 

MACの同定方法

PCR

MAC同定-DNA 《TaqManPCR法》 LSIメディエンス 健康保険名称:微生物核酸同定・定量検査/マイコバクテリウム・アビウム及びイントラセルラー(MAC)核酸検出 検査方法:ロシュ・リアルタイムPCR法 臨床的意義:非定型抗酸菌の代表である一連の菌群MACの遺伝子を短時間で検出。結核との早期鑑別に有用。

肺MACと免疫応答バランス

  1. Th1細胞のマスターレギュレーターであるT-betノックアウトマウスを用いて肺MAC症における病態を調べ,T-bet欠損マウスでは野生型に比べMAC感染による肺炎症像が高度であることを示した。‥ 従来のTh1/Th2バランスの考え方より,T-betの欠失 はTh2偏移をもたらし肺MAC症の感受性を高めたと考 えたが,予想に反し肺組織におけるリンパ球サブセット 解析やサイトカイン解析ではT-bet -/-マウスのTh2サイト カインレベルは他マウスと差がなく,一方でTh17細胞,およびIL-17の増加が認められた。これらの結果より, T-betが欠失ないしは不活化した状態ではMAC感染に対 しTh1抑制とともにTh17亢進が生じ(Fig. A),T-betが 活性化した状態ではTh1亢進とともにTh17抑制が生じ るものと思われた(Fig. B)。すなわち,T-betで規定され るTh1/Th17バランスが肺MAC症の発症進展の感受性因 子として重要であることが示された。(Ⅴ. 増加するMAC症の制御を目指して 座長 1小川 賢二 2佐野 千晶 Kekkaku Vol. 88, No. 3 : 355_371, 2013)
  2. A central step in the response to M. avium is the activation of CD4+ T helper 1 (Th1) cells producing effector cytokines such as interferon-γ (IFN-γ) and TNF. Immunology. 2013 Oct; 140(2): 232–243.
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