「分野別」とは
大学機関別に評価する制度が走っている一方で、技術、法科、薬学、医学などの分野別に教育内容・制度を評価する制度があります。医学教育の分野における評価なので、「医学教育分野別認証評価」、もしくは、医学部内での会話においては簡単に「分野別認証」などと呼ばれているようです。
高等教育機関としての大学は,2004年以降,文部科学大臣の認証を受けた評価機関(大学基準協会,大学改革支援・学位授与機構,高等教育評価機構)による大学機関別認証評価を受審することが義務化された.国内のすべての大学は1回目の評価を受け,2巡目が進行中である.加えて分野別に教育プログラムを評価する制度も開始され,日本技術者教育認定,法科大学院認証評,日本薬学教育評価などが進められ,分野別評価制度は各分野に拡大しつつある.‥ 医学分野においては,2010年のアメリカ外国人医師卒後教育委員会(Educational Commission for Foreign Medical Graduates: ECFMG)の通告を契機に,2015年に一般社団法人日本医学教育評価機構(Japan Accreditation Council for Medical Education: JACME)が設立され,世界医学教育連盟(World Federation for Medical Education: WFME)の認証を受けて2017年4月以降,医学教育の分野別評価が正式に開始された.(医学教育分野別評価の意義と展望 奈 良 信 雄 医学教育分野別評価の意義と展望 特別寄稿 医学教育2017,48(6): 405~410)
医学教育分野別認証評価とは
「医学教育分野別評価基準日本版」は、日本における医学教育の国際認証の道しるべになるものである。自己点検評価においては、評価基準のすべての項目・水準に関して、情報(根拠資料)を提示し、現状分析と自己評価を行い、短期的および中長期的な対応と改善に向けた計画を示すことが求められる。また、外部評価の際にも、この基準に基づいた自己点検評価と実地検証を基に、この基準に則って提言がなされている。(医学教育分野別評価基準日本版Ver.2. 3 4)
医学教育分野別認証評価 事の起こり
米国ECFMGが「2023年以降、医学教育の国際的認証を受けている医学部の卒業生以外には米国での医師資格を与えない」と宣言したことが引き金になり、日本の医学教育においても国際認証を実施すべきとの気運が高まった。その背景にはMedical Tourism(患者の国際間移動)やPhysician migration(医師の国際間移動)といった国際社会の変化があり、また、国内においても医療の実践を学修成果においた医学教育(Outcome-based Education)を実施すべきとの考えが広がったことがある。日本の医学教育を国際的基準に合致したものにしようとする流れはきわめて重要であり、この理念に基づき2015年12月に全国医学部の医学部長を中心に、日本医師会、日本医学会連合、日本医学教育学会などの諸団体の協力の下、一般社団法人日本医学教育評価機構が設立され、一元的に医学教育の分野別評価に取り組むことになった。(医学教育分野別評価基準日本版Ver.2. 3 4) ECFMG:Educational Commission for Foreign Medical Graduates
日本で医師になった人が、外国でも医師として働けるように(その国の医師国家試験を受験できるように)するための改革の一環として、医学教育分野別認証評価というものが始まったそうです。
- 認定期間は、2019年4月1日から2024年3月31日 この認定により、本学の医学教育の質が国際基準に適合していることが示されました。また、本学医学部医学科の卒業生はECFMGが実施する米国医師国家試験 (USMLE) 受験資格審査試験を受験することができます。(国際基準に基づく医学教育分野別評価に適合認定 岡山大学)
- 医学教育分野別評価 【認定期間】 2019年2月1日~2026年1月31日 同評価は、2010年9月に、米国医師国家試験受験資格審査NGO団体(ECFMG)から、「2023年以降、国際基準に基づいて認定された医学部以外の卒業者には米国で医師になる資格を与えない」と通告を受けたことに起因して発足した外部監査制度です。認定により、本学医学部の卒業生はECFMGの受験資格を認められ、米国において継続して医療活動に従事することが可能となりました。(大阪医科大学)
- 医学教育分野別認証評価と 学修成果基盤型教育 日内会誌 104:2523~2526,2015
受審状況
- 文部科学省はこれを受けて、国内の医学部のある81大学すべてにこの外部評価を受けるように働きかけています。 藤田医科大学は、国内では17番目、私立医科大学としては5番目にこの認証評価(医学教育分野別評価 国内では日本医学教育評価機構 JACMEが実施)を受審し、2017年3月に国内随一の高い評価を受けました。(JACME 医学教育分野別評価で 国内トップレベルの評価を獲得 藤田医科大学)
改善義務と年次報告の義務
- 認証後、毎年、年次報告をすることが義務づけられていますので、以下に示します。今後も指摘事項の改善に取り組み、本学医学教育の一層の充実、発展に努めてまいります。(医学教育分野別評価について 慶應義塾大学医学部)
参考
- 医学教育分野別評価基準〜日本版〜(日本医学教育評価機構 JACME)
- 日本医学教育評価機構(JACME)
分野別認証に関するニュース
- 東京医大の国際認定取り消し 評価機構、入試不正で (日本経済新聞 2018年11月22日 20:55)東京医科大の入試不正で、国際基準に基づいて大学医学部の教育を評価、認定する日本医学教育評価機構(JACME)は22日、同大の認定を取り消すと決めた。女子らを不利に扱う得点操作といった不正が、基準に適合しないと判断した。現在は同大以外に国内の28校が認定を受けており、取り消しは初めて。
(分野別認証ではなく)機関別認証に関するニュース
- (公財)大学基準協会による2020(令和2)年度追評価(大学評価)について(順天堂大学 2021年3月26日)大学基準協会は、2018(平成30)年12月14日に文部科学省が公表した「医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査最終まとめ」を受けて、本学の2016(平成28)年度大学評価結果の妥当性を調査し、2020(令和2)年2月5日、2016(平成28)年度の「適合」判定を取り消し、「不適合」へと判定を変更しました。これを受けて、本学は、指摘事項を真摯に受止め改善に取り組み、2020(令和2)年7月~10月に追評価を受審し、2021(令和3)年3月、大学基準に「適合」しているとの認定を受けました。【認定期間】2021(令和3)年4月~2024(令和6)年3月
- 医学部不適切入試、評価機関が7校「不適合」に(大学ジャーナル 2020年2月17日) 大学の教育状況などを審査する認証評価機関の大学基準協会は医学部医学科の入学試験で不適切な取り扱いをしたり、不適切な取り扱いをした可能性が高かったりしたとされた日本大学、聖マリアンナ医科大学など7校の適合評価を取り消し、不適合に変更した。文部科学省が2018年末に発表した医学部入試の緊急調査結果に基づき、再評価したもので、不適合の7校は適合を要件とする国の補助金を受給できなくなる。
- 医学部医学科の入学者選抜に係る調査結果及びこれに基づく大学評価結果の判定変更について(大学基準協会 2020.2.5)各大学の調査結果及び前回の大学評価結果(判定)の変更については、以下をご覧ください。・岩手医科大学・金沢医科大学・北里大学・順天堂大学・聖マリアンナ医科大学・日本大学・福岡大学