投稿者「PhD」のアーカイブ

動画解析ツールELAN

動画解析ツールELANというものがあることを初めて知りました。人間の行動学の研究分野で使われているようです。それだけでなく、幅広い応用があるみたいです。

ELANの勧め

  1. ELANをはじめよう  https://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/img/9784894767652_011.pdf

ELANとは

音声と動画のためのアノテーションツールELANは、ドイツのマックス プランク協会の研究所の1つであり、オランダのナイメーヘンにあるラトバウト大学の研究機関である「マックスプランク心理言語学研究所」で開発されました。インタビューの対話動画などで、インタビュアーとインタビューを受ける人それぞれの発話部分や動作部分を特定し、ラベル付けする(注釈をつける)といったアノテーションを、操作しやすいインターフェースで行うことができます。https://www.anno-navi.com/anno-tools/elan.html 

動画や音声の特定区間に注釈を与え,その注釈にラベルを振ることをある分野の研究ではよくやります.具体例としては,インタビューする人とされる人が対話する様子を収録した動画に対して,インタビューする/される人それぞれの発話区間を認定し,さらに各発話区間についてどちらの話者による発話かのラベルを与える,のような作業です.アノテーション作業に使用するソフトウェアとして,ELANが有名です.

アノテーションツールELANの使い方 アノテーションツール Elan 最終更新日 2019年09月01日 @fmfm_mdk https://qiita.com/fmfm_mdk/items/26ac2faee84b308d5d6a

ELAN入門動画版「ELANでできること(動画ファイル編) —映画分析への招待—」 細馬宏通 チャンネル登録者数 92人

ELANのインストール方法

  1. ELANのインストール手順 https://www.tapeokoshi.net/kataredomo/805/
  2. 音声動画アノテーションツール : ELAN ELAN をインストールする前に Java をインストールする必要があります.

ELANの使い方

  1. – ELAN即席入門 – 細馬宏通(滋賀県立大学) (Mar. 2009執筆、July.15 2012改訂)
  2. ELANの使い方~インタビュー文字起こしの会話分析~ time 2023/06/28 https://www.tapeokoshi.net/kataredomo/887/

ELANに関する論文

  1. コミュニケーション研究における ELANの活用 ——音声・映像データへのアノテーション——(PDF) * 宮澤幸希(フェアリーデバイセズ株式会社)∗ 日本音響学会誌 75 巻 6 号(2019),pp. 344–350

中性脂肪と脂肪酸

中性脂肪と脂肪酸は、名称が似ているためにごっちゃになっている(区別がついていない)人が多いかもしれませんが、脂肪酸は中性脂肪の構成要素ですので、両者は同じものではありません。

脂肪酸3分子とグリセロール1分子とが結合して(エステル結合)、中性脂肪という一つの分子が出来上がります。

植物性の油も、動物性の油脂も、中性脂肪からなっています。その中性脂肪を構成する脂肪酸に着目したときに、植物性油の場合は不飽和脂肪酸が多く含まれています。動物性の油脂には飽和脂肪酸が多く含まれます。飽和脂肪酸のほうが融点が低くて常温で個体になることが多いため、動物性の油のことを「油脂」(固体にたいする言葉)というわけです。

中性脂肪肉や魚・食用油など食品中の脂質や、体脂肪の大部分を占める物質です。単に脂肪とも呼ばれますが、脂肪酸が3本、グリセロールと呼ばれる物質で束ねられた構造をしており、中性を示すことからこの名で呼ばれています。その構成成分である脂肪酸は、動物性脂肪では飽和脂肪酸が多く、バターやラードのように常温では固体として存在します。それに対して植物性脂肪では、不飽和脂肪酸が多く液状です。

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-045.html

Extra virgin olive oil contains 98% to 99% triglycerides and 1% to 2% minor components. In the triglycerides the main fatty acids are represented by monounsaturates (oleic), with a slight amount of saturates (palmitic, stearic) and an adequate presence of polyunsaturates (linoleic and α-linolenic). The minor components are α-tocopherol, phenol compounds, carotenoids (β-carotene and lutein), squalene, phytosterols, and chlorophyll (in addition to a great number of aromatic substances).

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0738081X08000096

私たちが食用に使用している油は、動植物から採取したものです。常温で固体の脂肪(牛脂やラードなど)と常温で液体の油(コーン油や大豆油など)があり、これらをあわせて油脂といいます。油脂の主成分はトリグリセリドといって、一つのグリセリンに三つの脂肪酸が結合したものです。さらにこの脂肪酸は、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸に分類されます。

https://www2.nikkakyo.org/upload/plcenter/0322_3-6.pdf

  1. https://www.oliveoilsource.com/info/chemical-characteristics Olive oil is composed mainly of triacylglycerols (triglycerides or fats) and contains small quantities of free fatty acids (FFA), glycerol, phosphatides, pigments, flavor compounds, sterols, and microscopic bits of olive.

必須アミノ酸の数は8個、9個、10個?ヒスチジン、アルギニンは必須アミノ酸か非必須アミノ酸か

教科書によっては必須アミノ酸は8個と説明されているようです。これはヒスチジンをどちらに分類するかの差のようですね。1985年よりも前に必須アミノ酸の勉強をした人は、ヒスチジンを非必須アミノ酸にしている可能性があります。

人体を構成する細胞の総数は60兆個か(昔の教科書)、それとも37兆個か(今の教科書)というのに似ています。生物学の知識は、結構変わることがありますね。

必須アミノ酸と非必須アミノ酸

下のリストの1~9番が必須アミノ酸です(成人の場合)。乳幼児の場合は、アルギニンも必須アミノ酸に分類されます。

  1. バリン
  2. ロイシン
  3. イソロイシン
  4. メチオニン
  5. スレオニン
  6. リシン
  7. フェニルアラニン
  8. トリプトファン
  9. ヒスチジン (注意:以前、ヒスチジンは大人に対してのみ「非必須アミノ酸」と呼ばれていました。しかし、ヒスチジンの不足により体内の窒素バランスの乱れや、子供の体内では作られないと言う事から、1985年に正式に「必須アミノ酸」に分類されました。)(かんたん、わかる!プロテインの教科書 MORINAGA)
  10. アルギニン(乳幼児の場合)
  11. グリシン
  12. アラニン
  13. システイン
  14. セリン
  15. アスパラギン酸
  16. グルタミンサン
  17. アスパラギン
  18. グルタミン
  19. チロシン
  20. プロリン

アルギニンが必須かどうかについての参考サイト

  1. アルギニンは小児には必須アミノ酸か? 健康・栄養フォーラム 栄養・食糧学用語辞典(第2版)「非必須アミノ酸の中で、体内で合成できるが、生理学的状態や病理学的状態によって体内合成量では要求量を満たさないことがあるアミノ酸を条件的必須アミノ酸といい、成長の早い乳幼児期ではアルギニンが必須である。」

必須アミノ酸が何個かに関する参考サイト

  1. Q.肉や魚を食ベなくてもたんぱく質は十分にとれる? 仙台牛銘柄推進協議会 必須アミノ酸はロイシン、イソロイシン、リジン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、スレオニン、バリンの8種類
  2. 第21章 生命体の化学(PDF) ゼロからはじめる「科学力」養成講座2  北海道大学OCW  私たちの体は、毎日20種類のアミノ酸を大量に消費しています。このうち12種類のアミノ酸は体内で合成できますが、残り8種類は体内では合成できません。これを必須アミノ酸と言います。

ハイコンテントイメージングシステムOperatta CLSとは?

Operatta CLSとは

製品の特長はというと:

  • ハイコンテントイメージング(イメージングサイトメリー):自動で画像撮像を行い、
    画像情報を数値化
  • 共焦点観察と非共焦点観察とのハイブリッド
  • 自動給排水機構付きの水浸対物レンズを搭載可

https://clmre.medic.kumamoto-u.ac.jp/seminar/detail20210525.html

  • 高速リニアステージによりウェル間を移動
  • 同一視野の繰り返し撮影によるタイムラプス撮影
  • 高開口数の水浸レンズ
  • スピニングディスク共焦点顕微鏡観察により3次元サンプルをイメージング

アズサイエンス https://azscience.jp/machine/detail/item_3566/

Operatta CLSでできること

主なことの抜粋です。

  • 細胞数カウント
  • 細胞の形態解析
  • 細胞トラッキング
  • 細胞質マーカーの定量
  • トランスロケーション(細胞質から細胞膜、細胞質から核)
  • 細胞毒性
  • 脂肪滴の定量
  • 細胞の生死判定
  • スフェロイド解析
  • 神経突起解析
  • 核のフラグメンテーション
  • 細胞密度の測定
  • 核内マーカーの定量
  • 受容体インターナリゼーション
  • アポトーシス解析
  • ミトコンドリアのクラス分け

https://www.inmediam.com/products/poperetta-cls

製品開発の歴史

Operatta CLSは,High Content Screening システムのラインアップの中の製品の一つです。製品開発の歴史としては、

  • 2003年 Opera
  • 2009年 Operettta
  • 2014年 Opera Phenix
  • 2016年 Operetta CLS

となっています(下の動画参照)。

Operatta CLSによる観察・測定の原理、テクノロジー

下の動画は、原理的な説明などかなり詳細で、製品の概略を理解するのにお勧めです。

Tesdorpf and Trask – Advanced Analysis of Complex Cell Models with the New Operetta CLS HCA System Labroots チャンネル登録者数 3.32万人

研究者目線の製品紹介

Operetta® High Content Imaging System Funfact NUS Department of Microbiology and Immunology チャンネル登録者数 80人
Simplify discovery with the Operetta CLS high-content analysis system Revvity チャンネル登録者数 341人 チャンネル登録 3 共有 オフライン クリップ 157 回視聴 1 か月前

商品紹介動画

  1. PerkinElmer Operetta CLS High-Content Analysis System (PDF) 2023.5

Operatta CLSを利用した研究の論文

  1. Anny Waloski Robert, Michel Batista, Jhonatan Basso Lino, Marco Augusto Stimamiglio, Alessandra Melo de Aguiar, Proteomics and image screening data of cellular secretomes and their biological effects: Comparing the signals sent by cardiac stromal cells and dermal fibroblasts in culture, Data in Brief, Volume 41, 2022, 107963, ISSN 2352-3409, https://doi.org/10.1016/j.dib.2022.107963.
  2. Pericoli, G.; Petrini, S.; Giorda, E.; Ferretti, R.; Ajmone-Cat, M.A.; Court, W.; Conti, L.A.; De Simone, R.; Bencivenga, P.; Palma, A.; et al. Integration of Multiple Platforms for the Analysis of Multifluorescent Marking Technology Applied to Pediatric GBM and DIPG. Int. J. Mol. Sci. 202021, 6763. https://doi.org/10.3390/ijms21186763

 

その他の参考サイト

  1. Operetta CLS High-Content Analysis System Revvity製品サイト

 

ハイコンテントスクリーニング(HCS)を利用した科研費研究

(キーワードで拾ったものです)

  1. 蛍光プローブ群への応答の網羅的解析による、がん個別化医療を志向した薬剤効果予測 22KJ1177 南條 愛華 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1) 研究計画に基づき、本年度は、(1)ハイコンテントイメージング手法による、がん細胞の酵素活性の測定、および(2)薬剤の記述子の探索を実施した。 (1)ハイコンテントイメージング手法による、がん細胞の酵素活性の測定 公益財団法人がん研究会がん化学療法センター分子薬理部で確立されているヒトがん細胞パネル(JFCR39)に含まれる複数種類の多様ながん細胞株に、当研究室で開発した蛍光プローブ群 (蛍光プローブライブラリー)を添加して、各細胞株における各プローブ由来の蛍光の上昇率を測定した。測定値から、がん細胞1細胞あたりの酵素活性(個々の蛍光プローブを代謝する活性)を算出し、蛍光プローブライブラリーへの「応答パターン」と定義した。測定装置はPerkinElmer社のOperetta CLSハイコンテント共焦点イメージングシステムを用い、試薬の添加や撮像の条件、画像解析のプロトコルの最適化を行った。
  2. 肺MAC症の病態進行に関わる病原性因子の解明 22K16382 深野 華子 国立感染症研究所, ハンセン病研究センター 感染制御部, 主任研究官 (40807541) 本研究においては、国内において患者数が著しい増加傾向にある肺MAC症について、菌側因子に焦点を当て、病態の進行に関わる病原性因子の探索を目的としている。今年度においては、肺MAC症発症患者および症状のない患者から分離された臨床分離株約200 株についてのショートリードシーケンスデータの取得を終了している。更にそれらを使用した予備的なゲノム解析の結果、肺MAC症原因菌として分類される菌種の中でも希少な菌種また亜種が分離されていることを見出している。また、それらの菌株の病原性評価の表現型解析試験としてマクロファージ内への侵入効率・細胞内での増殖能を定量的に解析するため、プラスミド上に蛍光タンパク質(YFP)を発現させた標準株を使って、ハイコンテントイメージングシステムとマシンラーニングを使用した細胞内菌量の定量評価システムの構築に成功した。
  3. FlipGFPレポーターを用いた抗SARS-CoV-2プロテアーゼ阻害物質の探索 22K06625 染谷 雄一 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 室長 (50283809) 本研究課題はSARS-CoV-2のプロテアーゼをターゲットとしたFlipGFPレポーターシステムを利用して、様々な西洋薬や生薬から効果的にSARS-CoV-2プロテアーゼを阻害する候補化合物(物質)を同定することを目的としている。初年度はまず当該システムを駆使してSARS-CoV-2 3CLプロテアーゼ(pro)を阻害する生薬エキスを探索した。当該系は293T細胞にSARS-CoV-2 3CLproの切断配列を有するFlipGFP発現プラスミドおよびSARS-CoV-2 3CLpro発現プラスミドをトランスフェクションし、ハイコンテントイメージングシステム(Operetta CLS)によりGFP蛍光を呈する細胞をカウントすることで3CLpro活性を評価する。
  4. 自己免疫性神経疾患での血液脳関門/血液神経関門破綻の全容解明と新規治療法開発 21K07416 清水 文崇 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (90535254) 本年度はMAGニューロパチーでのMAG抗体が血液神経関門(blood-nerve barrier: BNB)通過をきたす機序を解明した.MAGニューロパチーでは腓腹神経内有髄神経線維の髄鞘にMAG抗体の沈着が確認されるため,MAG抗体はBNBを通過していることが想定される.一方でMAG抗体はIgMであり分子量が大きいためBNBを容易に通過できないことが想像される.MAGニューロパチー患者血清をヒトBNB in vitroモデルに作用させると,BNB内皮細胞からのTNF-α発現増加がRNAシークエンス/パスウェイ解析,ハイコンテントイメージングで確認された.
  5. ディープフェノタイピング・iPS細胞技術の融合による希少難治性心筋症診療体系構築 21H02915 坂田 泰史 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00397671) ヘテロ接合型トロポニンTΔ160E変異が同定された拡張相肥大型心筋症症例よりiPS細胞を樹立し、ゲノム編集を用いてΔ160E変異を正常に修復、あるいはホモ接合型にΔ160E変異を導入したiPS細胞を作成し、分化心筋を用いた機能解析を行った。トロポニンTΔ160E変異はサルコメア局所でのカルシウム濃度の減衰時間を延長させ、拡張速度を低下、弛緩時間を延長させた。Δ160E変異は異常電位を惹起し、活動電位持続時間を延長させ、NFATc1の核内移行、心筋肥大、CaMKIIδ・ホスホランバンリン酸化の亢進を来した。エピガロカテキンガレートをΔ160E心筋に投与したところ、カルシウム濃度減衰時間を短縮させ、拡張機能を改善させることを見出し、以上の知見を論文報告した。ハイコンテントイメージングを用いることにより、数千個のマウス培養心筋細胞において、カルシウム動態と免疫染色画像をリンクさせ取得する解析アルゴリズムを構築した。
  6. 別化医療を目的としたヒト不整脈源性右室心筋症モデル細胞の樹立と病態解明 20K21602 坂田 泰史 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00397671)
  7. ヒト脳全域を網羅的イメージングする超高速ブレインスキャナの開発 19K22696 八田 稔久 金沢医科大学, 医学部, 教授 (20238025)
  8. Cell-basedハイコンテントイメージングと AIの融合による創薬基盤の創出 19K22591 林朗子 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (60415271)
  9. 脆弱X症候群モデル神経細胞における活動パターンの多様性とその応用 19K20683 矢田 祐一郎 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 研究員 (80805797)
  10. 画像解析・ゲノム編集を組み合わせた難治性心筋症遺伝子変異の分子メカニズムの解明 19K16518 増村 雄喜 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (60793437)
  11. 放射線とがんとをつなぐ老化細胞の機能解析 19K12322 河合 秀彦 広島大学, 医系科学研究科(薬), 准教授 (30379846)
  12. 拡張相肥大型心筋症の分子基盤に介入する治療法の開発 19K08489 肥後 修一朗 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (00604034)
  13. 機能ゲノミクスを用いた肉腫細胞の遺伝子依存性の解明とそれを標的とした治療法の開発 19H03525 旦 慎吾 公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター 分子薬理部, 部長 (70332202)
  14. シングルセルイメージング/シーケンスデータの情報学的融合パイプラインの開発 18K18152 岩本 一成 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (70619866) シングルセル計測技術はここ数年目覚ましく発展してきたが、異なる手法(イメージングとシーケンシングなど)で同一細胞を同時に計測する事は未だ難しい。そこで、本研究課題では、個別に取得されたイメージング/シーケンシングデータを情報学的に解析し、両データを融合するパイプラインの開発を行なう。開発したパイプラインをがんや形態異常疾患のDiGeorge症候群の要因であるCrk/Crkl遺伝子欠損マウス線維芽細胞(MEF)に適用し、Crk/Crkl遺伝子欠損に伴う細胞形状と遺伝子発現の関係を明らかにする。今年度は、Crk/Crkl遺伝子コンディショナルノックアウトMEFを用いて、細胞質および細胞核を免疫染色し、ハイコンテントイメージングサイトメータにより細胞画像を取得した。
  15. 新規ホールマウント骨染色法の多重染色解析への展開 18K11659 坂田 ひろみ 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (50294666)
  16. 血液脳関門と血液神経関門の人為的改変を可能とする新規生物学的製剤の創薬 18K07526 清水 文崇 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (90535254)
  17. 薬物の化学構造・生体反応性並びに個体因子の両者に着目した薬剤性肝障害評価手法開発 17K08419 佐々木 崇光 静岡県立大学, 薬学部, 客員共同研究員 (20382674)
  18. タウ病理の脳内進展過程を標的とした認知症に対する新規診断・治療法の開発 17H05080 武田 朱公 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (50784708)
  19. アクチン動態に基づく新たなシナプス可塑性モデル 17H03557 白尾 智明 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20171043)
  20. 小頭症を発症する遺伝性疾患の鑑別診断技術開発 16K15526 荻 朋男 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (80508317)
  21. 加齢脳特異的シナプス機能異常マウスにおける神経活動依存性NMDA受容体動態の解析 15H06078 花村 健次 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (40361365)
  22. ゲノム不安定性を誘発する先天性稀少疾患と小児がんコホートの分子遺伝疫学調査 15H02654 荻 朋男 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (80508317)
  23. 出芽酵母の一細胞フェノームによる遺伝子機能と化学物質応答の統計モデリング 26882019 大貫 慎輔 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特任研究員 (80739756)
  24. 遺伝性日光過敏症 (色素性乾皮症、コケイン症候群)の新規責任因子の同定 26461528 嶋田 繭子 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 技術職員 (80623834)
  25. 転写共役ヌクレオチド除去修復開始反応のin vitro再構成 26291005 荻 朋男 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (80508317)
  26. 転写共役修復開始反応の分子機能解析(遺伝性光線過敏症の分子基盤) 14F04093 荻 朋男 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (80508317)
  27. 高次元細胞内構造情報に基づく多面的フェノタイピング 08J09689 大貫 慎輔 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)

お米を炊くと柔らかくなる理由、冷めると再び固くなる理由:αでんぷんとβでんぷん、糊化と老化

でんぷん(澱粉)の組成:アミロースとアミロペクチン

お米やイモは炭水化物で、でんぷん(アミロースとアミロペクチンの混合物)からできています。アミロースはグルコースが直線状につながったもので、アミロペクチンはアミロースがところどころ枝分かれした構造をしたものです。

βでんぷんとαでんぷん

アミロースは直線状の鎖の構造をしていて、分子内の水素結合によりらせん状の構造を保持しています。

  1. 【多糖類】デンプン(アミロース・アミロペクチン)/セルロースの構造・還元性・加水分解など 2018年11月19日 化学のグルメ

そしてさらに「結晶化」して固い状態で存在できます。炊く前のお米が固い理由は、まさにこれです。この固い状態のでんぷんのことをβーでんぷんと呼びます。それに対して、水を加えて加熱するとお米は柔らかくなります。これは、結晶化していた構造が崩れて、でんぷんの分子のまわりに水分子が大量に結合(水素結合で)した結果です。この状態のでんぷんはαーでんぷんと呼ばれます。

でんぷんの糊化と老化

βでんぷんが、水とともに加熱されて柔らかくなってαーでんぷんになることは、糊化(こか)と呼ばれます。

植物中にある生デンプン粒は、硬く密着集合して微結晶な状態(ミセルと呼ぶ)で存在している。結晶構造の生デンプンはβデンプンと言われている。生デンプンを水とよく混ぜながら加熱すると、60℃付近から、半透明な溶液になってゆく。デンプン粒のミセル構造がほぐれ、膨潤しネバネバした溶液になる、さらに加熱すると、デンプン粒は崩壊し粘度が低下してサラサラになる。これをブレークダウンと言う。デンプンが膨潤して、ネバネバした糊状になることを、糊化(α化)とよんで、出来たデンプンがαデンプンである。αデンプンは、生のβデンプンと異なりアミラーゼの作用を受けて消化され易いものになります。https://www.azeron.co.jp/_src/4532902/foodtopics_22_5.pdf

  1. 子どもと楽しむ料理の科学 サツマイモが甘くなる加熱のコツ 2020.10.22 Z会

一度柔らかくしたお米(αでんぷん)が、放置しておくと水分がぬけて再びβでんぷんにもどって固くなることを「老化」と呼びます。

  1. 米の食感 ~でんぷんの糊化と老化~ 宝酒造
  2. デンプン(ウィキペディア)
  3. 調理師の過去問 平成29年度 調理理論 問49 問題 でんぷんの調理性に関する記述について、正しいものを一つ選びなさい。 正解 糊化でんぷんは、放置すると粘りがなくなり、老化でんぷんに変わる。

アルファ化米とは

登山をやる人向けに、乾燥させたお米なのに水に戻すだけですぐに食べられるα化米というものがうられていますが、これはαでんぷんの状態にしたあと急速に凍結乾燥することででんぷんが再結晶化する暇をあたえず、やわらかい構造のまま水分だけ抜いたものです。

  1. アルファ化米について アルファ食品

お米のもちもち感を決めるもの:アミロペクチンの含有量

  • うるち米のでん粉:15~25%がアミロース 75~85%がアミロペクチン
  • もち米のでん粉:アミロペクチン100%
  • もちもち食感:アミロペクチンの比率が高いほどもちもち食感

https://www.alic.go.jp/joho-d/joho07_000047.html

地上澱粉と地下澱粉

地上澱粉…・穀類澱粉 (米・小麦・とうもろこし)・茎幹澱粉・種子澱粉
地下澱粉・…根茎澱粉(馬鈴薯),・塊根澱粉(甘藷・タピオカ・くず)

https://www.surugaya.co.jp/school/kisogaku/denpun_kiso.html

その他の参考記事

  1. 多糖の分岐を考える ~澱粉構造と枝作り酵素の研究から~ (Glycoforum. 2021 Vol.24 (3), A7) DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.24A7J
  2. デ ン プ ン の 老 化 (PDF) 山 田 博 昭 和62年(1987) 2月
  3. 【食べ物】でん粉の糊化/老化 SGS総合栄養学院
  4. https://www.sci-museum.jp/wp-content/themes/scimuseum2021/pdf/study/universe/2021/08/202108_12-13.pdf
  5. https://imidas.jp/science/?article_id=k-051-020-11-09-g385
  6.  フードスペシャリスト資格認定試験問題 平成29年度(60問)
  7.  フードスペシャリスト資格認定試験問題 2019年度(60問)

タンパク質の構造、機能、代謝

タンパク質とその多様な構造と多様な機能

人間の体は細胞と細胞外マトリックスから成り立っていますが、細胞も細胞外マトリックスもその大部分はタンパク質から成り立っています。細胞外マトリックスは、コラーゲン線維(膠原繊維)やエラスチンが主要なタンパク質であり、細胞が存在するための足場を提供します。細胞の中を見た場合、さまざまな異なる機能を担うタンパク質が存在していて、その多様性には驚かされます。細胞の形に強度を与えるための細胞骨格をつくるタンパク質としては、アクチンがあります。細胞内で物質輸送するためのレールとしては、微小管タンパク質(tubulinsとそれに結合するタンパク質)があります。細胞の膜には、物質を膜のこちらとあちらとの間を輸送するためのチャネルや、トランスポーター、ポンプがありますが、これらもみなタンパク質です。細胞の中で起こるさまざまな化学反応を司る酵素もタンパク質でできています。細胞の内外で情報を伝達するのもまた多くの場合タンパク質です(カルシウムイオンやcAMPなど、イオンや低分子化合物もありますが)。血液中で脂肪酸を輸送するために結合するのはアルブミンですし、酸素を運搬するのはヘモグロビンです。筋肉の線維を構成するのはアクチンとミオシンの線維および種々の調節タンパク質です。このように多種多様な機能を担う分子が、20個のアミノ酸からなるタンパク質という共通点を持っていることには驚嘆させられます。20個のアミノ酸をどんな順番に並べるかだけで、これらの多種多様なミクロな装置をつくりだしているわけですから。

アミノ酸の構造

そんな多種多様なタンパク質ですが、なんとたったの20種類のアミノ酸からできています。驚くべきは、人間でもサルでもネズミでも、カエルでも魚でも、虫でも、酵母でも、アメーバでも、細菌でも、タンパク質の部品としてつかっているアミノ酸は基本的に同じ20種類です。20種類ですが、それらのアミノ酸には共通する特徴があります。それは、アミノ酸という名前が示すように、中心となる炭素にアミノ基、カルボキシ基、水素が結合していることです。炭素の4本の手の残りの1本は、「側鎖」と呼ばれるものと結合しており、20種類の側鎖があります。つまりアミノ酸が20種類あるい理由は、側鎖が20種類あるからなのです。

アミノ基は -NH2ですが、プロトンH+を受け入れて-NH3+になるので塩基性を示します。カルボキシ基 -COOHはCOO- とH+になってプロトンを放出しますので酸性を示します。

L-型アミノ酸とD-型アミノ酸

アミノ酸の中心にある炭素原子の4本の手には、それぞれ水素、アミノ基、カルボキシ基、側鎖が結合しており、これらは異なるため、この炭素は不斉炭素になります。唯一の例外はグリシンで、グリシンの側鎖は水素 -Hなので、中心の炭素は不斉炭素ではなく、鏡像異性体はありません。それ以外の19種のアミノ酸には鏡像異性体が存在します。L-型アミノ酸とD-型アミノ酸のうち、生物が利用しているのはL-型アミノ酸のみです。生物が作り出す酵素は、L-型アミノ酸を認識するので、鏡像異性体であるD-型アミノ酸を認識できないのです。アミノ酸代謝(合成、分解)に関わる酵素の基質選択制がD-型アミノ酸なので、生き物にはD-型アミノ酸しか存在しないことになります。

疎水性アミノ酸

20種類のアミノ酸のうち、9種類は側鎖が疎水性なので疎水性アミノ酸と呼ばれます。

  1. グリシン -H
  2. アラニン -CH3
  3. バリン -CH(CH3)2
  4. ロイシン -CH2CH(CH3)2
  5. イソロイシン -CH(-CH3)-CH2CH3
  6. フェニルアラニン ーCH2-C6H5 (ベンゼン環)
  7. トリプトファン -CH2-インドール環
  8. メチオニン -CH2-CH2-S-CH3
  9. プロリン -CH2-CH2-CH2-NH2-(α炭素に結合した環状構造)

これらのうち、バリン、ロイシン、イソロイシンは側鎖の炭素鎖に分岐があるので、分岐鎖アミノ酸と呼ばれており、筋肉に多く存在していて、運動時のエネルギー源としても利用されます。

親水性アミノ酸

残り11種が親水性アミノ酸と呼ばれ、側鎖が親水性を示します。

  1. チロシン -CH2-ベンゼン環-OH
  2. セリン -CH2-OH
  3. トレオニン -CH(-OH)-CH3
  4. システイン -CH2-SH
  5. アスパラギン酸 -CH2-C(=O)-NH2
  6. グルタミン -CH2-CH2-C(=O)-NH2
  7. アスパラギン酸 -CH2-COOH
  8. グルタミン酸 -CH2-CH2-COOH
  9. リシン -CH2-CH2-CH2-CH2-NH2
  10. アルギニン -CH2-CH2-CH2-NH-C(-NH2)=NH2+
  11. ヒスチジン -CH2-イミダゾール環

この中で酸性アミノ酸は、アスパラギン酸とグルタミン酸で、塩基性アミノ酸はリシン、アルギニン、ヒスチジンになります。

必須アミノ酸

20種類のアミノ酸のうち人間が体内で合成できないものが9種類あり、それらは必須アミノ酸と呼ばれます。乳幼児の場合にはアルギニンも十分寮合成できないため、必須アミノ酸になります。

ペプチド結合

タンパク質のアミノ酸は、ペプチド結合と呼ばれる結合によって繋がっています。一つのアミノ酸のカルボキシ基と隣のアミノ酸のアミノ基から水分子が抜けて(脱水縮合)のこりの炭素と窒素が結合します。

ペプチド結合部分は、 -C(=O)-NH-となります。

  • ペプチド結合の形成にはエネルギーが必要であるが、生物の場合はATPが使われる[3]
  • ペプチド結合は、加水分解(水の添加)によって切断される可能性がある。水の存在下で分解され、8~16 kJ/mol(2~4 kcal/mol)のギブスエネルギーを放出する[9]。このプロセスは非常に遅く、25℃での半減期は1結合あたり350 – 600年になる[10]

https://ja.wikipedia.org/wiki/ペプチド結合

タンパク質の構造(ポリペプチド)

CとNとの間はこの表記だと一重結合なので回転できそうに思えますが、実際にはC=Oの二重結合と C=Nの結合が共鳴するため、一重結合の回転の自由はありません

  1. https://www.chem.kindai.ac.jp/laboratory/phys/class/biophys/peputide2.htm

ペプチド鎖に対して側鎖がどっち側にくるかというと、互いに空間的に邪魔にならないように互い違いになるようです。

  1. ブルース 有機化学 第8版 1056ページ 第21章 アミノ酸、ペプチド、タンパク質 Figure 21.6

ポリペプチド鎖の両端は同じではありません。一方はアミノ基が残っていますし、鎖の逆側の端のアミノ酸には、結合に使われていないカルボキシ基があります。そこで、N-末端、C-末端と区別して読んでいます。

タンパク質の一次構造

タンパク質は20種類のアミノ酸が数珠つなぎに並んでいるものです。そこで、その並び順にアミノ酸の名前を並べたものが、タンパク質の一次構造と呼ばれます。通常は、アミノ酸を表すのに3文字の略称か1文字の略称が使われます。

メチオニン methionine なら、 Met または M です。

ヒトアルブミンであれば、メチオニンMから始まり、MKWVTFISLLFLFSSAYSRGVFRRDAHKSEVAHR—-と続きます。

タンパク質の二次構造

タンパク質は、ポリペプチド鎖からできているわけですが、鎖がランダムにぐにゃぐにゃとして存在しているわけではありません。エネルギー的に安定な構造をとっています。「水素結合」はポリペプチド鎖が特定の構造をとる際の重要な結合の一つです。ポリペプチド鎖がペプチド結合の連続したものであるという構造的な特徴に基づいて、4ごとのアミノ酸残基の間で、ペプチド結合の酸素と窒素に結合した水素の間で水素結合が形成されることによりらせん状の構造(αーヘリックス)が形成されます。

また、2つのペプチド鎖(同一の鎖の一部)がよこに並んだ場合、窒素に結合する水素と、酸素との間で水素結合が作られてシート状の構造(βーシート)になることもあります。このばあいよこに並ぶ2つのペプチド鎖は同方向の場合もあれば、逆方向の場合もあります。

  1. https://en.wikipedia.org/wiki/Beta_sheet ウィキペディアの図が、わかりやすい。
  2. https://www.nku.edu/~russellk/tutorial/peptide/peptide.html この図は、側鎖(R)まで描かれていてわかりやすい。
  3. https://chemistry.stackexchange.com/questions/143189/why-are-hydrogen-bonds-in-an-antiparallel-beta-sheet-stronger-than-those-in-para

タンパク質のどの部分のペプチド鎖がαーヘリックスになるのか、もしくはβーシートになるのかは、側鎖の成分に依存します。αヘリックスをとりやすい一次構造、βシートをとりやすい一次構造というものがあります。

αヘリックスやβシートをつくるのに重要な水素結合は、側鎖ではなく骨格部分(ペプチド結合の部分)の原子同士の結合であるというのが重要なポイントです。

タンパク質の三次構造

二次構造をとったポリペプチド鎖はさらに、エネルギー的に安定な構造をとるために折りたたまれます。その際、タンパク質のうちがわには疎水性の高い側鎖があつまり、外側の水に面する部分は親水性の高い側鎖が向いています。

また、システインが2つある場合に、-SH HS-が共有結合して、ジスルフィド結合 -S-S-をとることがあります。

タンパク質の四次構造

一つのポリペプチド鎖が3次構造をとったあと、複数のポリペプチド鎖が結合して一つの大きなタンパク質を形成することがあります。その場合は、複数のポリペプチドの結合様式のことは、4次構造と呼ばれます。有名なものとして、ヘモグロビンがあります。ヘモグロビンは4つのサブユニット(一つのサブユニットは、一本のポリペプチド鎖)が合わさってできています。

タンパク質の高次構造の表示方法:リボンダイヤグラム

タンパク質の構造を表示する方法として一般的なのが、リボンダイヤグラムというもので、αへリックスやβシートをリボンの螺旋や矢印で表示し、全体の構造をリボンの配置により示します。リボンダイヤグラムを見れば、そのタンパク質のどこにαヘリックスやβシートがあるのかが一目瞭然です。

アロステリック効果:ヘモグロビンを例に

アロステリックというのは、アロ(別の場所)とステリック(物体)とからなる造語で、酵素において基質結合部位とは別の場所になにか制御因子が結合することで、基質結合性を変化させることを指します。

ヘモグロビンにおけるアロステリック効果とは、酸素が一つのサブユニットに結合することで、別のサブユニットの酸素結合能が増加することを意味します。

アロステリック制御の特徴として、一つのサブユニットに酸素が結合する程度の酸素濃度にまで酸素濃度が上がると、酸素飽和度が急峻に上昇して、酸素飽和度を酸素分圧に対してプロットしたときに、S字状のグラフになります。

タンパク質の消化

炭水化物の消化が口の中で始まるのに対して(唾液アミラーゼによる分解)、タンパク質の分解は胃で始まります。胃の壁細胞(へきさいぼう)からは胃酸(塩酸)が分泌されるので胃液のpHは強酸性になっていますが、強酸性の条件ではたらくペプシンという酵素が胃の主細胞(しゅさいぼう)から分泌されます。食事中のタンパク質は、まず胃の中のペプシンの働きによって分解されるのです。

膵臓は、3つのタンパク質分解酵素、トリプシン、キモトリプシン、エステラーゼを小腸の中に分泌します。胃の中で部分的に分解されたタンパク質は、小腸において完全に分解されます。

タンパク質分解酵素の種類

タンパク質分解酵素(プロテアーゼ protease)には、ペプチド鎖の端から切っていくエキソペプチダーゼと、ペプチド鎖の真ん中部分を切ることができるエンドペプチダーゼに大きく分類できます。

エンドプロテアーゼはさらに酵素活性部位にあるアミノ酸やイオンなどの名前にちなんだ命名法によりアスパラギン酸プロテアーゼ(ペプシン)、セリンプロテアーゼ(トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ)、システインプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ(亜鉛イオン)に分類できます。

セリンプロテアーゼといったとっきに、基質のセリンを切るという意味ではなく、このプロテアーゼの活性中心にあるアミノ酸がセリンだという意味です。

タンパク質分解酵素を活性化する仕組み

タンパク質分解酵素は細胞の中で作られますが、細胞の中にはもちろん自分自身のタンパク質がたくさんあります。細胞の中のタンパク質を分解されては困るので、細胞の外に分泌されたあとで初めてタンパク質分解の活性をもってほしいわけです。

そのための仕組みとして、余計な部分を分泌後に切断して初めて酵素活性が生じるような仕組みになっています。

ペプシンはペプシノゲンと呼ばれる不活性なポリペプチドとしてまず産生され分泌されます(前駆体と呼ぶ)。ペプシノゲンはpH5以下の条件下で自分自身の1~44アミノ酸残基の部分を切り離して、活性型のペプシンになります。

トリプシンの場合は、前駆体としてトリプシノゲンの形で分泌され、その後エンテロペプチダーゼにより6番目のアミノ酸残基のところで切断されてトリプシンがつくられます。キモトリプシンは、不活性型のキモトリプシノゲンとして産生・分泌されたあと、トリプシンによる分解などをへて活性をもつΠモトリプシンになり、さらに自己分解により活性型キモトリプシンになります。

タンパク質の吸収(アミノ酸の吸収)

食事で摂取されたタンパク質がどのようにして体内に吸収されるのかというと、小腸上皮細胞に取り込まれる段階では、タンパク質の構成要素である個々のアミノ酸1~3個(アミノ酸、ジペプチド、鳥ペプチド)にまで分解されています。それ以上大きいペプチドは、ペプチダーゼの働きで小さく分解されてから吸収されます。

ジペプチドやトリペプチドは、プロトン共役型ペプチドトランスポータによって、小腸上皮細胞内に入ります。その後、ジペプチドやトリペプチドは細胞内に存在するペプチダーゼの働きによってアミノ酸に分解されます。

腸管腔ないですでにアミノ酸にまでなっている場合は、アミノ酸トランスポータによって小腸上皮細胞内に入ります。

小腸上皮細胞内のアミノ酸は、小腸上皮細胞の反対側の膜からアミノ酸トランスポータによって細胞外へと排出されて、血管の中にはいっていきます。血管は門脈へと通じます。

  1. https://education.med.nyu.edu/mbm/aminoAcids/digestionAbsorption.shtml
  2. https://basicmedicalkey.com/protein-digestion-and-amino-acid-absorption/ マークス臨床生化学の図が紹介されているようです。それによれば小腸上皮細胞と血管内皮細胞は接しており両者をまたいでトランスポーターが存在していて、小腸上皮細胞を出ていくアミノ酸はただちに血管内皮細胞にはいる絵が描かれています。

アミノ酸の脱アミノ基反応

タンパク質は常に分解され、作られています。つまり、一度作られたタンパク質がずっと働き続けるわけではないのです。どのくらいの速さで分解・産生が起きているか(ターンオーバーという)は、タンパク質の種類によって異なります。

1年前の自分と今日の自分とでは、何も違っていないようにみえても、自分を構成するタンパク質は全部入れ替わっていると考えてよいでしょう。

アミノ酸が分解されるときには、アミノ基が外されて(脱アミノ反応)、α‐ケト酸になります。外されてアミノ基は、α‐ケトグルタル酸にわたされてグルタミン酸を生成し、グルタミン酸が再度α‐ケトグルタル酸になるときにアミノ基が外れてそのアミノ基は水と反応してアンモニアになります。

  1. https://ditki.com/course/biochemistry/glossary/term/oxidative-deamination
  2. https://www.chem.uwec.edu/webpapers2005/mintermm/pages/gdh.html

アンモニアは尿素回路に入って尿酸になって体外に排出されます。

アミノ酸の分解:糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸

アミノ酸は飢餓のときにはエネルギー源として使われます。その際、アミノ酸は分解・合成反応により糖になるものとケトンになるものとがあり、それぞれ糖原性アミノ酸、ケト原性アミノ酸と呼ばれます。

アラニン、システイン、セリン、トレオニン、トリプトファンはピルビン酸に変換され、糖新生の回路に入ります。アルギニン、グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジン、プロリンはαーケトグルタル酸に変換されてクエン酸回路をまわり糖新生の回路に入ります。イソロイシン、メチオニン、トレオニン、バリンはスクシニルCoAに変換されてクエン酸回路の一部を経由して糖新生に向かいます。アスパラギン酸、フェニルアラニン、チロシンは同様にクエン酸回路内の中間代謝物であるフマル酸になって、糖新生に入ります。アスパラギン、アスパラギン酸はオキサロ酢酸になって糖新生に入ります。これらのアミノ酸は、糖原性アミノ酸です。

一方、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシンは、アセトアセチルCoAに変換され、さらにアセチルCoAに変換されてケトン体合成に使われます。イソロイシン、ロイシン、トレオニン、トリプトファンはアセチルCoAに変換される経路があり、そのあとケトン体になります。

このようにアミノ酸によっては、糖になる経路とケトン体になる経路の両方の経路に向かうものがあります。

グルコースーアラニン回路

筋肉へのグルコースの供給が足りなくなると、筋肉は自らのタンパク質を分解してアミノ酸にし、アミノ酸のアミノ基をピルビン酸に渡してアラニンをつくり、アラニンの形で血液中にのって肝臓にいき、そこで再びピルビン酸に戻して糖新生の回路にのってグルコースを作ります。こうして肝臓で作られたグルコースが再び血中にはいって筋肉で取り込まれて使われます。

アミノ酸の脱炭酸反応

 

参考

  1. 全学教育 ゼロからはじめる「科学力」養成講座2(2009) 北海道オープンコースウェア第18章 PDF太陽系第19章 PDF科学の革命 プレートテクトニクス第20章 PDF生き物たちの戦略第21章 PDF生命体の化学第22章 PDF細胞第23章 PDFメンデルと遺伝の法則第24章 PDF遺伝子の働き第25章 PDF遺伝子の制御とゲノム第26章 PDF自然選択と生命の進化第27章 PDF生命の進化の謎第28章 PDF有機化学の世界第29章 PDF環境の科学第30章 PDF環境と人間第16章 PDF天文学と星の進化第17章 PDF宇宙論
  2. 3年選択生物基礎プリント No2 エネルギーと代謝~「こちらを下げてあちらを持ち上げる」方式 (PDF)課題2 ATPによって供給されるエネルギーはどのように使われるのか、具体例をいくつか挙げ よ。 課題4 ヒトの体温が42℃を超えると死ぬといわれている。これはなぜか説明せよ。
  3. 生物授業における「呼吸」の扱いについて 吉田 修久 (PDF) 「呼吸は何のためにしているのだろう?」と質問すると多くが黙り込んでしまう。 「呼吸は何を取り込み,何を出している?」と聞くと「酸素を吸って二酸化炭素を出す。」と正解を答える  「食べたものを分解して,そのエネルギーを取り出すため」という,エネルギーの元にも言及した答えを出す者はかなり少ない。このように「呼吸」は生きものの重要な特徴の一つであり,その大切さは感じていながらも,その意味は多くの人たちにとってしっかりとした理解に至っていないのが現状である。

 

 

脳賦活検査・神経活動の測定方法のまとめ

脳賦活検査・神経活動の測定方法をまとめておきます

脳血流を用いた脳賦活検査の原理

局所脳血流の増加と神経活動によ るエネルギー消費の増大が連関している、という事実に基づき、課題遂行中の脳血流と対照となる状態(多くは課題を遂行していない安静状態)における脳血流 と比較して、脳血流の増大している領域の分布を全脳にわたり描出するという方法を用いる。血流の有意な増加が認められた領域が、その課題の遂行に、何らか の役割を負っていると推論することにより、ある課題に関連した神経活動の変化の起こった場所を同定することができる。これが、脳血流を用いた脳賦活検査の 原理である。https://www.nips.ac.jp/fmritms/contents/brain-activation-inspection.html

磁気共鳴断層画像法 (MRI)

酸化ヘモグロビン還元型ヘモグロビンは、磁性的性質が異なることが古くから知られており(6)、還元型ヘモグロビンが血管内に存在する ことにより、血管周囲の磁場の局所的不均一が惹起される。局所磁場不均一の存在により、NMR信号は、それが存在しない場合より小さくなる。神経活動亢進 時には、脳血流の増大により、脳組織の酸素摂取を上回る酸素が供給されるため、局所還元型ヘモグロビンが減少する。このため、 NMR信号が増加する(図4)(7)。https://www.nips.ac.jp/fmritms/contents/brain-activation-inspection.html

参考

  1. 脳賦活検査の総論 定藤研究室

2024年度科研費 基盤研究(S)採択課題一覧(65課題)

    1. 海洋熱波に対する沖合生態系脆弱性の包括的評価
      高橋 一生 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (00301581)
    2. 気候不安定化とティッピング・カスケード:気候危機の真打を検証する
      関 宰 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (30374648)
    3. 宇宙線による誤動作の克服に向けた次世代集積システムの信頼性評価基盤技術の開発
      橋本 昌宜 京都大学, 情報学研究科, 教授 (80335207)
    4. 光演算回路に基づく広帯域かつ超省エネルギー情報処理基盤の創出
      石原 亨 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (30323471)
    5. 中規模量子コンピュータによるセキュアな分散型量子計算の基盤創出
      ルガル フランソワ 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (50584299)
    6. 分子-ディジタル融合によるArtificial Liquid Intelligenceの創製
      瀧ノ上 正浩 東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (20511249)
    7. 拡張環世界との相互作用における霊長類セロトニン機能の理解
      南本 敬史 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 脳機能イメージング研究部, 次長 (50506813)
    8. レヴイ小体構成蛋白α-シヌクレインの伝播・凝集機序解明と革新的進行阻止療法の開発
      服部 信孝 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (80218510)
    9. 神経障害性疼痛に対する生体レジリエンス機構の解明と診断・治療への応用
      津田 誠 九州大学, 薬学研究院, 教授 (40373394)
    10. 加齢造血幹細胞腫瘍における造血幹細胞エイジングの病因論的意義の解明
      岩間 厚志 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70244126)
    11. エピゲノム-RNA修飾軸による肥満と生活習慣病の解明
      酒井 寿郎 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80323020)
    12. 小脳を起点とした大脳機能連関による行動戦略のアップデート機構の解明
      田中 真樹 北海道大学, 医学研究院, 教授 (90301887)
    13. 超硫黄分子によるエネルギー代謝と酸化ストレスシグナル機能の解明
      赤池 孝章 東北大学, 医学系研究科, 教授 (20231798)
    14. クロマチンを背景とした転写の構造基盤
      関根 俊一 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (50321774)
    15. 超解像イメージングで明らかにするクロマチンドメインとその細胞機能制御
      前島 一博 国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 教授 (00392118)
    16. 液―液相分離とオートファジーによる生体防御機構の解明
      小松 雅明 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (90356254)
    17. 異形配偶子の性差を規定するゲノムネットワークの解明
      林 克彦 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20287486)
    18. インフラディアンリズムの設計原理の解明とその制御
      吉村 崇 名古屋大学, 生命農学研究科(WPI), 教授 (40291413)
    19. 地球陸域最大の炭素貯蔵庫「土壌」の構造進化に基づく最適土壌環境の解明
      森 也寸志 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (80252899)
    20. インタクトメタボロームを可視化し、細胞機能・物性発現の分子機構に迫る
      福島 和彦 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (80222256)
    21. 日本列島の森林生態系の形成過程の解明
      津村 義彦 筑波大学, 生命環境系, 教授 (20353774)
    22. フェムトからピコグラム量の極微量代謝物構造解析法の開発
      藤田 誠 分子科学研究所, 特別研究部門, 卓越教授 (90209065)
    23. ナノ元素置換科学:メガライブラリ構築と先鋭機能創出
      寺西 利治 京都大学, 化学研究所, 教授 (50262598)
    24. 配列制御高分子:配列物性の学理構築と革新材料開発
      大内 誠 京都大学, 工学研究科, 教授 (90394874)
    25. 新概念による抗体の細胞内導入と細胞現象の制御・展開のための基盤構築
      二木 史朗 京都大学, 化学研究所, 教授 (50199402)
    26. 患者毎の疾患特徴の個別可視化に基づく、新たな低分子がんセラノスティクス医療の創製
      浦野 泰照 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (20292956)
    27. 高活性な窒素固定触媒に基づく窒素分子の自在変換法の開発
      西林 仁昭 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40282579)
    28. サブバンド間遷移機構の革新による未踏周波数・室温動作THz-QCL実現に関する研究
      平山 秀樹 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (70270593)
    29. 半導体準粒子波動工学の開拓
      山本 倫久 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, チームリーダー (00376493)
    30. 炭化ケイ素半導体ヘテロ界面科学の再構築
      渡部 平司 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (90379115)
    31. 集束超音波による培養細胞の超解像化と局所力学刺激の付与およびその応答の系統的研究
      荻 博次 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (90252626)
    32. エネルギー科学展開に向けた量子熱光物性の基盤構築
      宮内 雄平 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (10451791)
    33. 気相微生物反応の学理とプロセス構築
      堀 克敏 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50302956)
    34. 局所的イオンダイナミクスに基づく高イオン伝導体の創出
      平山 雅章 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (30531165)
    35. Norbyギャップ内の高イオン伝導体の創製
      八島 正知 東京工業大学, 理学院, 教授 (00239740)
    36. 固体表面におけるスピン・プロトン・電荷ダイナミクス
      福谷 克之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10228900)
    37. コヒーレントスピンダイナミクスを用いた省エネ・創エネデバイス
      深見 俊輔 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (60704492)
    38. エンジニアード脂質粒子の創成とその応用
      渡慶次 学 北海道大学, 工学研究院, 教授 (60311437)
    39. 高機能ゲルによるゲノム制御:がん幹細胞リプログラミングの空間情報解析と治療薬開発
      田中 伸哉 北海道大学, 医学研究院, 教授 (70261287)
    40. プラズマプロセスの機能的出力をもたらす多様な多次元分布の統一的理解
      酒井 道 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (30362445)
    41. 人類のフロンティア拡大を支えるSiC極限環境エレクトロニクスの確立
      黒木 伸一郎 広島大学, ナノデバイス研究所, 教授 (70400281)
    42. シリコンゲルマニウム光スピントロニクスの開拓
      浜屋 宏平 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (90401281)
    43. Seeder-Feeder豪雨機構の最先端フィールド観測と水災害軽減に向けた総合研究
      中北 英一 京都大学, 防災研究所, 教授 (70183506)
    44. 複雑破壊現象を支配する量子超越性の材料力学
      平方 寛之 京都大学, 工学研究科, 教授 (40362454)
    45. 波動性の顕在化による電子デバイスの超越動作
      鈴木 左文 東京工業大学, 工学院, 准教授 (40550471)
    46. スピン軌道トルクにおける軌道対称性効果の解明と高効率大容量スピンデバイスの創製
      斉藤 好昭 東北大学, 国際集積エレクトロニクス研究開発センター, 教授 (80393859)
    47. 反K中間子原子核の解明へ向けた新たな展開
      佐久間 史典 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (10455347)
    48. パワー素子と生体内部の電磁場を可視化する透過型ミュオン顕微鏡
      永谷 幸則 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特別准教授 (00393421)
    49. 次世代大規模探査を用いた突発天体観測で明らかにする宇宙の進化
      冨永 望 国立天文台, 科学研究部, 教授 (00550279)
    50. 海-陸シームレス地層掘削から探る南極氷床の大規模融解メカニズム
      菅沼 悠介 国立極地研究所, 先端研究推進系, 准教授 (70431898)
    51. CALET長期観測による地球・太陽圏から銀河系の宇宙線物理学の新概念構築
      鳥居 祥二 早稲田大学, 理工学術院, 名誉教授 (90167536)
    52. 波動場の臨界相互作用の解析
      小澤 徹 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70204196)
    53. 純レプトン原子の精密レーザー分光で拓く標準理論精密検証と新物理探索
      植竹 智 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 准教授 (80514778)
    54. 革新的電波観測による太陽嵐予測の実現
      岩井 一正 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (00725848)
    55. 波と対流が形作る金星大気大循環:地表から超高層大気まで
      今村 剛 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (40311170)
    56. 海山の沈み込みは巨大地震域の固着を弱めるか:南海トラフの2海山での検証
      木下 正高 東京大学, 地震研究所, 教授 (50225009)
    57. 高分解能キセノン測定器と大強度パイ中間子ビームによるレプトン普遍性破れの精密検証
      森 俊則 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 教授 (90220011)
    58. All-in-One半導体プラットフォームによる新量子フロンティア
      Le DucAnh 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (50783594)
    59. 若いトランジット惑星で解き明かす原始惑星系円盤晴れ上がり後の惑星の進化
      成田 憲保 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60610532)
    60. 地磁気逆転現象が気候・生態系に対して与えた影響の検証
      岡田 誠 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (00250978)
    61. p進的手法による数論幾何学の新展開
      都築 暢夫 東北大学, 理学研究科, 教授 (10253048)
    62. グローバル・バリュー・チェーンの変容と新国際経済秩序の構築
      石川 城太 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (80240761)
    63. 世界に開かれた日本独占禁止法データベースを基礎とするモデル競争法の創生
      和久井 理子 京都大学, 法学研究科, 教授 (50326245)
    64. 日本の物価・不動産価格の変動-大規模ミクロデータを用いた解明と統計の再構築-
      清水 千弘 一橋大学, 大学院ソーシャル・データサイエンス研究科, 教授 (50406667)
    65. 史料データセンシングに基づく日本列島記憶継承モデルの確立
      山田 太造 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (70413937)

参考

  1. 令和6(2024)年度科学研究費助成事業(科学研究費補助金)(基盤研究(S))採択課題一覧 FY2024 Abstracts of the New Research Projects under Scientific Research (S) 日本学術振興会ウェブサイト 大区分別

アルコールから脱水縮合によりエーテルを合成する化学反応の反応機構

13.3 Synthesis and Reactions of Ethers Chad’s Prep チャンネル登録者数 9.4万人

  1. https://www.pearson.com/channels/organic-chemistry/learn/johnny/alcohols-ethers-epoxides-and-thiols/synthesis-of-ethers 要無料登録。有料サービスあり。非常にわかりやすい説明動画だった。
  2. https://www.masterorganicchemistry.com/2014/11/14/ether-synthesis-via-alcohols-and-acid/
  3. https://chem.libretexts.org/Bookshelves/Organic_Chemistry/Organic_Chemistry_(Morsch_et_al.)/18%3A_Ethers_and_Epoxides_Thiols_and_Sulfides/18.02%3A_Preparing_Ethers
  4. https://chem.libretexts.org/Bookshelves/Organic_Chemistry/Supplemental_Modules_(Organic_Chemistry)/Ethers/Synthesis_of_Ethers/Dehydration_of_Alcohols_to_Make_Ethers

ホルミシス hormesisとは?

ホルミシスに関するネット上の解説記事

  1. ホルミシスの視点から考える ファイトケミカルの作用機構 兵庫県立大学 環境人間学部 教授 村上 明 適度なストレス負荷による防御・適応能の強化現象は「ホルミシス(hormesis)」と呼ばれている。 ホルミシスは、「ストレス強度が適度であれば適応機構が活性化し、ストレス耐性など、結果的に好ましい機能性が現れる現象」として古くから薬理学・毒性学分野などで注目されてきた(図1)[2]。
  2. 自然放射線は有益?やはり正しい方法を用いないと正しい結果は得られない。放射線は少しは浴びた方が体によい?

ホルミシスとラドン温泉

ラドンが発する放射線が、体内にある酸素分子に衝突して活性酸素に変化させ、この活性酸素が細胞に刺激を与えるものとなります。 活性酸素もホルミシス効果があり、大量であると細胞を傷つけて有害ですが、少量であると免疫機能や抗酸化酵素SODを活性化させて健康を増進します。

ホルミシスに関する書籍

  1. 川嶋 朗, 服部 禎男 隠された重大な医学的真実 知って安心する放射能と健康のはなし 生命活性の源ホルミシス効果 2016/10/17 ヒカルランド

ホルミシスという概念

下のレビューは中立の立場でホルミシスに関する文献をレビューしています。一部の人が自分たちの主張の正当性をアピールするために大量に論文を出したりしているため、単純に論文数だけで判断できないということを指摘していました。

The term hormesis (see  for a detailed consideration of the definition and uses of hormesis) has been most widely used in the toxicology field where investigators use it to describe a biphasic dose response with a low dose stimulation or beneficial effect and a high dose inhibitory or toxic effect.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2248601/

The concept of hormesis reflects the finding that many agents and environmental conditions can have opposing effects at low or high doses. Small amounts of a stressor or toxin may provide protection against subsequent higher doses of the harmful agent in question or against the damage caused by a different adverse event. This is known as the “adaptive response” or “pre-conditioning”.

The Hormesis Concept: Strengths and Shortcomings by Stephen C. Bondy

https://www.mdpi.com/2218-273X/13/10/1512

ホルミシスという概念の普及

The acceptance of the concept of hormesis, a specific type of nonmonotonic dose response, has accelerated in recent years (; Cendergreen et al. 2005; ). Nonetheless, it has not been without its detractors. One article critical of the concept was published last year in Environmental Health Perspectives (). It provided a summary of the major points of contention and thus a convenient vehicle for us to use in responding to opposing perspectives.

Cook R, Calabrese EJ. The importance of hormesis to public health. Environ Health Perspect. 2006 Nov;114(11):1631-5. doi: 10.1289/ehp.8606. PMID: 17107845; PMCID: PMC1665397.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1665397/

ホルミシス効果の分子機序

Hormesis refers to the evolutionary conserved adaptive responses of all living organisms to mild environmental, nutritional or even voluntary challenges through which the system amends its tolerance to more dangerous stress factors [29].

Medical Hypotheses Volume 120, November 2018, Pages 28-42Medical Medical Hypotheses Intermittent living; the use of ancient challenges as a vaccine against the deleterious effects of modern life – A hypothesis Leo Pruimboom a, Frits A.J. Muskiet b

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0306987718305723

ホルミシスとワクチン

  1. Hormesis and the Salk Polio Vaccine Edward J. Calabrese, Ph.D. Dose Response. 2012; 10(1): 91–95. Published online 2011 Oct 25. doi: 10.2203/dose-response.11-032.Calabrese PMCID: PMC3299531 PMID: 22423232 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3299531/

ホルミシスとホメオパシー

Another difficulty in evaluation of hormesis-related literature is that it can sometimes be used in justification of, and doorway leading to dubious concepts such as homeopathy [6,7,8,9].

The Hormesis Concept: Strengths and Shortcomings by Stephen C. Bondy

https://www.mdpi.com/2218-273X/13/10/1512

Hormesis has been defined as a biphasic dose-response relationship in which the response at low doses is opposite to the effect at high doses []. According to this concept, a small dose of a noxious agent can exert a beneficial action. Some publications generalizing hormesis [,] can be cited in support of homeopathy. However, claims that homeopathy is based on hormesis create an illusion that it employs a scientific method. The difference between hormesis and homeopathy is that hormesis can be observed at low but measurable concentrations; while homeopathy claims effects of infinite dilutions, whereas the concept of memory of water [] is used as an explanation.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4566758/

  1. Update on hormesis and its relation to homeopathy Author links open overlay panelMenachem Oberbaum 1, Cornelius Gropp 2  Homeopathy Volume 104, Issue 4, October 2015, Pages 227-233 Homeopathy https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1475491615000569

ホルミシスと科研費研究

  1. 血球のミトホルミシスを利用した運動バイオマーカーの確立 研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31 運動習慣が誘導する筋組織のミトコンドリア機能上昇(ミトホルミシス)が、末梢血単核球でもみられることを発見した。
  2. ブラックライト照射によるホルミシス効果を応用した象牙質形成誘導の基盤技術確立  研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31 ブラックライトは波長が315~400 nmの紫外線であり、低出力・短時間の照射による軽度酸化ストレスは象牙質の形成を促進することが分かってきている。これは、毒性を発揮するストレスを加えても、低用量領域では生体にとって有益な効果を発揮するホルミシス効果の一種であると考えられる。
  3. ホルミシス誘導と持続の分子機構の解明 研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31 種や年/日齢が同じ生物個体でも致死的なストレスレベルは、個々の経験の差によって大きく変動する。それは弱いストレスを予め経験した個体が、次に来る強いストレスに対する耐性を獲得し得る能力、即ち、ホルミシス(あるいは順応性)と総称される生理的潜在能力を有する所以と説明できる。幅広い生物学分野においてその重要性は十分に認識されているものの、分子レベルでの誘導機構については未解明な生理現象と言える。最近、申請者らはN-acetyltyrosine(NAT)がホルミシスを誘発する生体因子であることを実証した。 昆虫において古くから知られるホルミシス(ストレス順応性)誘導現象ではあるものの、主として鱗翅目や双翅目といった完全変態の昆虫種での報告に限られている。
  4. 難治性卵巣癌の微小環境が誘導する抗癌剤ホルミシスとその克服へ向けての新展開 研究期間 (年度) 2019-08-30 – 2021-03-31 低濃度の抗癌剤投与は、かえって癌細胞の増殖を亢進させ (抗癌剤ホルミシス)、低酸素状態によってこの作用が増強することが判明した。
  5. 肺癌抗癌剤治療におけるホルミシス抑制療法の開発 研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31 増殖抑制効果のある治療では低用量で処置した場合、逆に増殖促進効果を示すことがあり、hormesisと呼ばれている。
  6. プロテオホルミシスを介したファイトケミカルの生理機能調節機構 研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31 ポリフェノールに代表される植物由来の健康成分はファイトケミカルと呼ばれている。
  7. 放射線ホルミシスによる寿命延長効果に関わる抗酸化系遺伝子の発現経路の解明 研究期間 (年度) 2002 – 2004
  8. 発がん物質のホルミシスとその機序 研究期間 (年度) 2001
  9. 放射線ホルミシス,低線量放射線による生体内チオール系抗酸化物質の誘導 研究期間 (年度) 1999 – 2000