血液型と抗原と抗体、血液型不適合臓器移植について

血液型は、A型、B型、AB型、O型がありますが、これらは特異的な抗原の有無によって分類された型です。A型の人は、A型抗原を、B型の人はB型抗原を、AB型の人はA型抗原とB型抗原を持っており、O型の人はA型抗原もB型抗原も持っていません。

血液型により持っている抗体も異なります。A型の人は、B型に対する抗抗体を持ち、B型の人はA型に対する抗体を持っています。AB型の人は、どちらの抗原に対する抗体も持っていません。O型の人は、両方に対する抗原を持ちます。

  1. 「血液型不適合腎移植:血液型が異なる場合の腎移植」 亀田メディカルセンター

臓器移植のことを考えた場合、血液が不一致だと移植できない(拒絶反応が起きる)というわけではなくて、移植提供者側の血液型の抗原に対する抗体を受ける側の人が持っているかどうかが決めてになります。

AB型の人は、抗体を持っていないのでA型の人もB型の人も移植臓器の提供者になれます。O型の人は抗体を両方のタイプ持っているので、O型の人に移植できるのはO型の人のみになります。

血液型が「不一致」でも「適合」になる場合があるというわけです。

なお医療技術が進展した今の時代、「不適合」だから腎臓移植ができないということでもなくて、レシピエントから、抗体を除去して移植するという方法(血液型不適合腎移植)があるそうです。

  1. 患者さんが腎移植に抱く3つの誤解(今井直彦)寄稿 2013.06.03 医学会新聞

血液型不適合腎移植

  1. 【腎臓病の体験談】出産の夢をかなえた患者さん。膠原病から腎不全になり、透析から血液型不適合の腎移植を成功して26年目 NPO法人 腎臓サポート協会 2015年08月18日
  2. ABO 血液型不適合腎移植 Update 高橋公太 日腎会誌 2008;50(7):880-886.

血液型不適合肺移植

  1. 血液型不適合で肺移植、10代女性に 京大病院が世界初  2022年4月12日 20:46 日本経済新聞

 

参考

  1. ABO血液型不適合腎移植は、生存・生着を改善するか/Lancet 2019/05/13
  2. 2010年 臓器移植法改正 本人の書面による同意がなくても家族の承諾だけで提供可能に
  3. 1997年10月 臓器移植法 施行  脳死者からの臓器提供が合法化