pHと緩衝液について

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緩衝液とは

下の動画では直観的な説明、緩衝液をつくる原理などが述べられています。数あるYOUTUBE勉強動画の中でもエンジョイケミストリーはずば抜けてわかりやすい(丁寧で、ポイントをきっちりと強調している)と思います。自分が高校のときに受けた化学の授業や予備校での化学の授業と比べても、圧倒的なわかりやすさ。高校でこういう授業を受けていれば、浪人しなくてすんだのに。。予備校でこういう授業をうけていれば、化学が最後まで苦手ということにはならなかったのに。。。

緩衝液 性質 原理 わかりやすく 高校化学 エンジョイケミストリー 124208 ヒロシのエンジョイケミストリー チャンネル登録者数 8190人

緩衝液は、「弱酸+その塩」 または「弱塩基+その塩」 でつくるのだそうです。例えば、

酢酸CH3COOH ⇔ CH3COO- + H+

酢酸ナトリウムCH3COONa ⇔ CH3COO- + Na+

一応平衡反応として両方向の矢印を書きましたが実際には、酢酸はほとんど電離せずほとんどが酢酸のままの状態、一方、酢酸ナトリウムは全部電離して平衡は右側に寄った状態(酢酸ナトリウムはほとんど存在しない)だそうです。そのため、[CH3COO-]=[酢酸ナトリウム],[CH3COOH]=[酢酸] と近似してよくて

平衡定数Ka =[CH3COO-][H+] / [CH3COOH]=[酢酸ナトリウム][H+]/[酢酸]

[H+]=Ka [酢酸] /[酢酸ナトリウム]

としてpH=-log[H+]でpHの計算ができるそうです。

 

マクマリー一般化学(下)の説明も読んでみました。

弱酸とその共役塩基を含む溶液は、pHの大幅な変化に抵抗するので、緩衝液と呼ばれる。(マクマリー一般化学(下) 15.溶液の平衡とその応用 356ページ)

「塩」というかわりに「共役塩基」という言葉を使っていますが、同じことです。酸がAHがH+を放出してA-になると、逆反応ではA-はH+を受け取ることができるので「塩基」として働きます。緩衝液になる酸と共役塩基の例として、

CH3COOHとCH3COO-

NH4+とNH3

H2PO4-とHPO4 2-

などが紹介されています。生化学で重要なのは炭酸による緩衝作用でしょう。二酸化炭素CO2が水H2Oに溶けると炭酸H2CO3になります。炭酸H2CO2は弱酸でH2CO2⇔重炭酸イオンHCO2- + H+のように一部が電離します。

実験室でバッファーをつくりたければ弱酸とその塩を混ぜればいいのですが、生体内では炭酸の塩はどうやって得られるのでしょうか。炭酸の塩は炭酸水素ナトリウムHCO2Na(いわゆる、重曹)です。いろいろな解説記事をみると、腎臓でH+を捨ててHCO3- を保持するということをしているようです。電荷の偏りが生じたらこまるのでH+を捨てる分Na+を保持するのでしょうか。そうすれば重曹ができることになります。

The kidney plays key roles in extracellular fluid pH homeostasis by reclaiming bicarbonate (HCO3) filtered at the glomerulus and generating the consumed HCO3 by secreting protons (H+) into the urine (renal acidification). Sodium-proton exchangers (NHEs) are ubiquitous transmembrane proteins mediating the countertransport of Na+ and H+ across lipid bilayers. In mammals, NHEs participate in the regulation of cell pH, volume, and intracellular sodium concentration, as well as in transepithelial ion transport.  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2878276/

  1. 重炭酸塩 プライマリケア 血液中の重炭酸塩濃度は、腎臓からの水素イオンの排出、肺からの二酸化炭素の放出、および、尿細管からの重炭酸イオンの再吸収などの要素によって調節されている。
  2. 酸塩基の調節 MSDマニュアルプロフェッショナル版 細胞外の最も重要な緩衝物質はHCO3/CO2系であり CO2はそれ自体は酸ではないが,炭酸脱水酵素に属する酵素の存在下で,CO2は血中の水(H2O)と結合して炭酸(H2CO3)を産生し,これが水素イオン(H+)と重炭酸イオン(HCO3)に解離する。 この重要な緩衝系は高度の調節を受けている;CO2濃度は肺胞換気によって,H+およびHCO3−の濃度は腎排泄によって微細に調節できる。
  3. 炭酸水素ナトリウム製剤の解説 日経メディカル 本剤(炭酸水素ナトリウムを主成分とする製剤)は体内に重炭酸イオンを補充することで、CKD(慢性腎臓病)などの腎機能障害による代謝性アシドーシスや糖尿病によるケトアシドーシスなどの改善が期待できる。
  4. 日 本薬局方 炭酸水素ナトリウム 炭酸水素ナトリウムとして,通常成人1日3~5gを数回に分割経口投与する。
  5. バッファー(緩衝液)の作り方 バイオタイムズ
  6. 炭酸 ウィキペディア
  7. 酸塩基平衡(後編)重炭酸緩衝系とは ゴロー/イラストで学ぶ体の仕組み チャンネル登録者数 24.4万人 YOUTUBE
  8. 化学平衡㉗ 緩衝液の計算4(応用,炭酸の緩衝液のpH) 化学専門塾teppan チャンネル登録者数
  9. 日 本薬局方 炭酸水素ナトリウム
  10. Ⅱ.酸塩基平衡 1.酸塩基平衡の理解に必要な知識 南学正臣*黒川清* 水・電解質代謝異常:診断と治療の進歩 特集●水・電解質代謝異常 日本内科学会雑誌 第80巻 第2号・平成3年2月10日
  11. J Nephrol. 2010 Nov-Dec; 23(0 16): S4–18. PMCID: PMC4699187 NIHMSID: NIHMS270843 PMID: 21170887 Acid-base transport by the renal proximal tubule https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4699187/

 

 

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