学術論文のオープンアクセス化とJAIRO Cloudと大学の機関リポジトリ

大学によっては、機関リポジトリというサーバーを持っていて、その大学から出た学術論文のPDFが公開されていたりします。京都大学の紅などはよく検索していてヒットして、論文が読めて便利です。

アメリカでは公的研究費を使った研究成果は公開が義務付けられているみたいでPUBMEDの検索結果の画面で、著者原稿PDFが公開されていることも多く、論文が有料の場合には便利です。

さて、日本でもオープンアクセス化義務化の波がやってきたようで、大学はその対応に追われています。自分は大学の機関リポジトリは独自のサーバーを用意して運営しているものとばかり思っていましたが、そうではなくて、JAIRO CLOUDというものを利用しているらしいです。今まで知りませんでした。

JAIRO Cloudとは

JAIRO Cloudとは:独自で機関リポジトリの構築・運用が難しい機関に対して、国立情報学研究所(NII)がシステム環境を提供し、機関リポジトリの運用を支援する共用リポジトリサービス。https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/002-1/siryo/__icsFiles/afieldfile/2012/07/03/1323162_1_1.pdf

国立情報学研究所では,2012年から機関リポジトリのクラウドサービスであるJAIRO Cloudの運用を開始している.2020年7月末での利用機関数は625であり,世界でも類をみない機関リポジトリのクラウドサービスに成長した.この成長を支えたのは,Web UI経由でのカスタマイズが比較的自由にできる汎用リポジトリソフトウェアWEKOWEKOをベースに開発されたJAIRO Cloud,そしてJAIRO Cloud利用機関を含む機関リポジトリ利用機関から構成されるコミュニティ主導の成長戦略があったからである.

JAIRO Cloudとコミュニティ ―コミュニティ主導のクラウドサービスの実現― 林 正治1  林 豊1  新妻 聡1  山地 一禎1 トランザクションデジタルプラクティス Vol.2 No.2(Apr. 9999) https://www.ipsj.or.jp/dp/contents/publication/46/TR0202-04.html

オープンアクセス加速化事業によるJAIRO Cloudの強化 – オープンアクセス加速化事業におけるNIIの開発内容を説明する会 国立情報学研究所 – National Institute of Informatics チャンネル登録者数 1.94万人

本学の機関リポジトリシステムは 2018 年 4 月にNTT データ九州社の NALIS-R から JAIRO Cloud(WEKO2)に移行し,2021 年 3 月に WEKO3 への先行移行を実施した。JAIRO Cloud とは国立情報学研究所とオープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)による,機関リポジトリ環境提供サービスのことである。JAIRO Cloud のソフトウェアとしては,国立情報学研究所が開発するWEKOが採用されており,JPCOAR 参加機関は JAIRO Cloud を利用して機関リポジトリを構築することができる。オープンサイエンスの潮流を背景に,学術論文等の文献だけでなく研究データや関連する成果物の公開を目指し,2023 年 10 月には全ての JAIRO Cloud 利用機関がWEKO2 から WEKO3 へのシステム移行を完了している。

研究データ管理支援の拡充に向けて─お茶の水女子大学における取り組み─ 大学図書館研究 126号(2024. 9) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcul/126/0/126_2167/_pdf/-char/ja

参考

  1. 学認(GakuNin)https://www.gakunin.jp/
  2. 研究データ管理支援の拡充に向けて─お茶の水女子大学における取り組み─ 大学図書館研究 126号(2024. 9) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcul/126/0/126_2167/_pdf/-char/ja
  3. 研究のライフサイクルに基づくオープンアクセス基盤構築2022.11.17 https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20221117/siryo1-2.pdf
  4. 研究のライフサイクルに基づく研究データマネージメント2022.8.30引原隆士京都大学図書館機構長・情報環境機構長 https://www.mext.go.jp/content/20220830_mxt_jyohoka01_000024787_04.pdf
  5. オープンアクセス推進事業(2016-2021)成果報告書京都大学図書館機構オープンアクセス推進プロジェクト 2022(令和 4)年 3 月 28 日 https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/269153/1/OA-PT_2016-2021.pdf
  6. 令和元年度図書館システム及び関連システムに関するアンケート集計報告 2020 年 7 月 国立大学図書館協会 (2020.11.4 修正版)https://www.janul.jp/sites/default/files/sys_report_202007.pdf 現行図書館業務システムベンダー NTTデータ九州18 富士通17 リコー16 日本電気13(上位4社で96%シェア) 日本事務器2 京セラコミュニケーションシステム1
  7. 京都大学図書館機構における 研究データマネジメント・オープンサイエンス 支援の取り組み 京都大学附属図書館学術支援課学術支援掛 藤原 由華 1 第3回京都大学研究データマネジメントワークショップ 令和2(2020)年2月27日(木)13:30-17:40 京都大学理学研究科セミナーハウス  https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/246278/1/kudzu-ws3_06.pdf
  8. 大学図書館におけるデジタルアーカイブの利活用に向けて 2019 年 6 月 国 立 大 学 図 書 館 協 会 https://www.janul.jp/sites/default/files/sr_dawg_report_201906.pdf
  9. 日本の大学・研究機関における研究データの管理,保管,公開 質問紙調査に基づく現状報告 情報管理. 2017, vol. 60, no. 2, p. 119-127. doi: http://doi.org/10.1241/johokanri.60.119
  10. 共⽤リポジトリサービス JAIRO Cloud 2015.11.10 国⽴情報学研究所学術基盤推進部 学術コンテンツ課 前⽥朗 https://www.nii.ac.jp/userimg/libraryfair2015/2015_LFF_1_5.pdf
  11. JAIRO CLOUD 500機関計画 高橋 菜奈子(NII 学術コンテンツ課) 2014/05/29 JAIRO Cloudへの参加申請機関数が,サービス開始当初の 目標であった200機関を突破しました。 • 200番目の申請機関日本福祉大学様 • 筑波大学のつくばリポジトリ(Tulips-R)へがJAIRO Cloudに移 行しました。 • https://tsukuba.repo.nii.ac.jp/