オプジーボは、なゼ2割の患者にしか効果がないのか?

オプジーボ なゼ2割の患者にしか効果がないのか?

オプジーボ(一般名:ニボルマブ)は、免疫チェックポイント阻害薬の一種で、がん細胞が免疫から逃れる仕組みを阻害して、T細胞による攻撃を再活性化する薬です。非常に画期的な薬ではありますが、実際には「約2割程度の患者にしか効果がない」とされることが多いです。その理由は以下のように整理できます。


1. PD-1/PD-L1経路に依存していない腫瘍も多い

  • オプジーボは、T細胞上のPD-1と、がん細胞や周囲の細胞が発現するPD-L1との結合をブロックすることで、T細胞の働きを復活させます。
  • しかし、すべてのがん細胞がこの経路を使って免疫を抑制しているわけではなく、別の免疫抑制機構を使っているがんには効きません

2. T細胞がそもそも腫瘍内にいない「免疫冷却型」腫瘍がある

  • オプジーボは、既にT細胞が腫瘍に入り込んでいる(”hot tumor”)場合に特に効果を発揮します。
  • 一方、T細胞が腫瘍にほとんど入っていない「cold tumor」では、チェックポイントを外しても効果が出ないのです。

3. 免疫抑制性の腫瘍微小環境(TME)が存在する

  • がん組織の周囲には、免疫を抑制する細胞(制御性T細胞、M2型マクロファージ、骨髄由来抑制細胞など)が多く存在する場合があります。
  • こうした環境では、オプジーボによってT細胞を活性化しても抑制の方が勝ってしまうため、効果が限定的になります。

4. 腫瘍の変異負荷(TMB)が低い場合、免疫原性が弱い

  • がん細胞に変異が多いほど「異物」として免疫に認識されやすく、オプジーボが効きやすいとされています。
  • 一方、変異が少なく自己の細胞とあまり変わらないがんでは、T細胞が活性化されても攻撃対象が明確でないため効きづらいです。

5. 患者個人の免疫状態やHLAタイプ

  • 一人ひとりの免疫系の強さ、遺伝的背景(HLAタイプ)なども大きく影響します。
  • 特定のHLAタイプを持つ人の方が、より強くがん抗原を提示できるといった研究報告もあります。

まとめ

オプジーボが2割程度の患者にしか有効でない理由は、主に以下のような多因子的な要因によるものです:

理由 内容
がんがPD-1/PD-L1経路を使っていない
腫瘍にT細胞が存在しない
腫瘍微小環境が免疫抑制的
腫瘍の変異数が少なく、抗原性が弱い
患者の免疫系・遺伝的要因

補足:効果予測バイオマーカー

最近では以下のような効果予測バイオマーカーが研究・実用化されています:

  • PD-L1発現レベル
  • TMB(腫瘍変異負荷)
  • 腸内細菌叢のパターン
  • 免疫細胞の遺伝子発現プロファイル

これらを使うことで、「どの患者に効くか」をある程度予測できるようになってきています。


(ChatGPT 4o)

オプジーボは、なぜ一部の患者さんにしか効果がないのでしょうか?

画期的ながん治療薬として知られるオプジーボ(一般名:ニボルマブ)ですが、残念ながらすべての患者さんに効果があるわけではなく、その割合は奏効率(がんが縮小または消失する割合)でみると、がんの種類や患者さんの状態によって異なりますが、一般的に2~3割程度と言われています。

この理由は、オプジーボのユニークな作用の仕組みに深く関係しています。

鍵は「免疫へのブレーキ」を外せるかどうか

従来の抗がん剤が直接がん細胞を攻撃するのに対し、オプジーボは患者さん自身の免疫細胞ががんを攻撃する力を回復させる「免疫チェックポイント阻害薬」という種類の薬です。

私たちの体には、免疫が暴走して正常な細胞を傷つけないように、免疫の働きにブレーキをかける仕組み(免疫チェックポイント)があります。がん細胞は、この仕組みを悪用し、免疫細胞の一種であるT細胞の表面にある「PD-1」というアンテナに、「PD-L1」という物質を結合させてブレーキをかけ、T細胞からの攻撃を免れています。

オプジーボは、このPD-1に先回りして結合し、がん細胞がブレーキをかけるのを防ぎます。その結果、T細胞は本来の力を取り戻し、がん細胞を攻撃できるようになるのです。

効果が出にくい、または出ない主な理由

オプジーボが効くためには、この「免疫のブレーキと解除」の仕組みがうまく働く必要があります。しかし、以下のような理由で効果が出にくい場合があります。

1. がん細胞が「ブレーキ役(PD-L1)」を持っていない

そもそも、がん細胞の表面にブレーキ役であるPD-L1がほとんど発現していない場合があります。この場合、オプジーボが結合する相手(PD-1)はあっても、がん細胞からのブレーキ信号自体が存在しないため、オプジーボを投与しても治療効果は期待しにくくなります。治療前にがん組織のPD-L1発現率を調べることがあるのはこのためです。

2. 攻撃役の「T細胞」ががん組織にいない、または疲弊している

がん細胞を攻撃する主役のT細胞が、がん組織の内部に十分に侵入できていないことがあります。このようながんは「Cold Tumor(冷たいがん)」と呼ばれ、免疫細胞が活発に活動している「Hot Tumor(熱いがん)」に比べて、免疫チェックポイント阻害薬が効きにくいとされています。

また、長期間にわたるがんとの戦いで、T細胞が疲弊しきってしまい、ブレーキを外しても十分に働けないケースもあります。

3. がん細胞が「耐性」を獲得してしまう

治療開始当初は効果が見られても、途中でがん細胞が性質を変え、薬が効かなくなる「獲得耐性」という現象が起こることがあります。

がん細胞が遺伝子変異を起こし、T細胞からの攻撃信号を無視するようになったり、T細胞が認識するがんの目印(がん抗原)を隠してしまったりするなど、様々なメカニズムが研究されています。

4. 腫瘍微小環境や患者さん自身の状態

がん組織の周りには、がん細胞だけでなく様々な細胞が存在し、「腫瘍微小環境」を形成しています。この環境が免疫を抑制する方向に傾いていると、オプジーボの効果が妨げられることがあります。また、腸内細菌叢の状態や、患者さん自身の全身状態も治療効果に影響を与える可能性が指摘されています。

「2割」は低い数字なのか?

「2割」と聞くと低いように感じるかもしれませんが、これまで有効な治療法が限られていた進行・再発がんにおいて、一部の患者さんでは長期にわたって効果が持続するケースもあり、これは画期的な進歩です。

現在、オプジーボの効果を高めるために、他の免疫チェックポイント阻害薬や抗がん剤、放射線治療などと組み合わせる「併用療法」の研究が世界中で進められており、治療成績は着実に向上しています。なぜ効かないのか、どうすれば効くようになるのか、そのメカニズムを解明する研究が、より多くの患者さんを救う未来につながると期待されています。

(Gemini 2.5 Pro)