HLAの遺伝子が複数ある理由や意義は何?

疑問:HLAは複数あるから、一つの抗原ペプチドは異なるHLA(AとかBとか?)に載せられて抗原提示されているということ?

Gemini 2.,5 Pro:

その理解は半分正しく、半分は誤解を含んでいます。

ポイントは2つあります。

  1. (こちらがメイン) ウイルスが感染すると、そのタンパク質は多数のペプチド(断片)になります。HLA-A、HLA-B、HLA-Cは、それぞれ**異なる「型(結合溝)」**を持っているため、異なる種類のペプチドと結合します。
    • ペプチドAはHLA-Aに結合する
    • ペプチドBはHLA-Bに結合する
    • ペプチドCはHLA-Cに結合する

    このように、A・B・Cという複数のHLA(これをポリジェニー(多重性)と言います)を持つことで、1種類のウイルスからより多くの種類のペプチドを提示でき、T細胞に見つけてもらえる確率を上げています。

  2. (ご質問の核心) では、「1つのペプチド」が複数のHLA(例:HLA-AとHLA-B)に結合することはあるか?
    • 原則として、です。 なぜなら、HLA-A、HLA-B、HLA-Cは、それぞれペプチドをはめ込む「溝」の形や、ペプチドを固定する「アンカー(碇)」の位置が異なるため、基本的に異なるペプチドセットとしか結合できません。
    • 例外として、あり得ます。 ペプチドの配列が「たまたま」複数のHLAタイプの溝(例:特定のHLA-Aと、それに似た特定のHLA-B)の両方の要求を満たす場合、そのペプチドは**「プロミスキャス(重複的)に」**複数のHLAに結合することがあります。

結論

HLAが複数ある(A, B, C)主な理由は、「1つのペプチドを複数のHLAで提示するため」ではなく、「1つのウイルスから来た“異なる”ペプチドを、それぞれ得意なHLA(A, B, C)が手分けして提示するため」です。

これにより、免疫系はウイルスの様々な特徴(ペプチド)を認識でき、ウイルスが変異して一部のペプチドを隠しても、他のペプチドが提示されることで対応できるのです。