下の動画は、説明がわかりやすい。
Complete heart block STAT Dose Medical Education チャンネル登録者数 1180人
完全房室ブロック(complete atrioventricular block:CAVB)とは
完全房室ブロック(complete atrioventricular block:CAVB)は、心房から心室への電気的信号が完全に途絶した状態を指す。シェーグレン症候群などの自己免疫疾患合併妊娠においては、母体の産生する抗 Ro/SSA 抗体に胎児の心臓が暴露されることで、在胎 18~24 週に CAVB を発症する。自己免疫疾患に関連した CAVB(immune-mediated CAVB:ICAVB)は、妊娠 10,000 例に約 1 例の頻度で生じるとされている。https://www.jsfc.jp/wp-content/uploads/2021/07/d191dcba36c823276f63b8cf9f0d8692.pdf
参考
- 抗SS-A抗体陽性母体児に生じる先天性完全房室ブロックの発生機序 市橋 光 自治医科大学附属さいたま医療センター小児科 発行日:2016年1月1日 https://jpccs.jp/10.9794/jspccs.32.29/data/index.html 抗SS-A抗体陽性母体児に完全房室ブロックが生じる可能性があることはよく知られたことである 1980年代からSjögren症候群やSLEの母体に存在する自己抗体が先天性完全房室ブロック(CCAVB)の発生に関係することがわかってきた2, 3).そして,CCAVBの発生は,母体が無症状でSjögren症候群やSLEの診断がなされていなくても,むしろ自己抗体の存在に依存していた4, 5). 抗SS-A抗体は52-kDaと60-kDaの2つのサブユニットからなるタンパク質とリポ核酸との複合体であるRo抗原に対する自己抗体である.特に抗Ro52抗体はCCAVBを生んだ母体から高率に確認され,CCAVBの発症に強く関与している 抗SS-A抗体や抗SS-B抗体の対象抗原であるRo52,Ro60,La蛋白は細胞内に局在しているため,母体自己抗体が胎児循環内に入ってきても,抗体はすぐには抗原までたどり着くことができない. カルシウムイオンチャンネルとの交叉反応と,その後のアポトーシスによって説明されている. 抗Ro抗体とカルシウムチャンネルとの関係が複数指摘され(セロトニン誘導性のカルシウムチャンネルの活性化に関係する5-HT48),L-typeカルシウムチャンネルサブユニットCav1.2,1.39)など),これらの交叉反応によって心臓のカルシウムの恒常性に病的変化をおこし,心臓の刺激伝導系に影響を与えると考えられる. 抗SS-A抗体陽性妊娠のCCAVBが生じる確率は1~2%である.また,母体抗体は存在し続けているにもかかわらず,CCAVBの再発率は12~20%である.これらのことは,自己抗体以外の別の要因がCCAVBの発生に影響を与えている可能性を示唆している.
- 完全房室ブロック 小児慢性特定疾病情報センター https://www.shouman.jp/disease/details/04_03_003/
- EP on EP Episode 78: Congenital Heart Block with Charles Berul, MD Heart Rhythm TV チャンネル登録者数 3.58万人 https://www.youtube.com/watch?v=UFkb5WT1QiM
- 自己抗体を持つ母親からCHBの第2子が生まれる頻度は約20% 2008/10/29 日経メディカル https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/acr2008/200810/508352.html
関連事項
- Myocyte Conduction Pathway and Atrioventricular Block (AV) – Heart Rate and Electricity by Thad Wilson, PhD https://app.lecturio.com/#/lecture/s/7292/25308?return=/search/atrioventricular%20block