神経堤細胞が、閉じたあとの神経管から上皮‐間葉転換(EMT)によって生じるのか、それとも、神経管が閉じる前もしくは閉じるタイミングで神経外胚葉から上皮‐間葉転換によって生じるのか、はいろいろ総説論文などを見ていると、どうも動物種によって異なるようです。ニワトリでは、神経管が閉じたあとで、あらためて、神経堤細胞が神経管の上部から出てくるようです。それは、神経管上部において、上皮‐間葉転換を促進する遺伝子が発現するのがまず最初のステップであることなどからも明らかです。それに対して、他の動物種では、外胚葉から直接、上皮‐間葉転換が起きて神経堤細胞ができてくるとする図も描かれています。
とすると、EMTでE-カドヘリンの発現が抑制されることが重要なのだとしたら神経管ではそもそもどの種類のカドヘリンが発現しているのだろうという疑問が湧きました。N-カドヘリンのN-は「神経系の(に特有の)」という意味かと思っていたため、それだと話が合わないなと気づいたからです。
下の論文の図などを見ると、E-カドヘリンが外胚葉で、N-カドヘリンが神経系というはっきりした違いがあるわけではまったくないようです。名前と実体がずれているとうことでしょうか
- A catenin-dependent balance between N-cadherin and E-cadherin controls neuroectodermal cell fate choices Mechanisms of Development Volume 152, August 2018, Pages 44-56 Mechanisms of Development https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0925477318300819
- N- and E-cadherins in Xenopus are specifically required in the neural and non-neural ectoderm, respectively, for F-actin assembly and morphogenetic movements Development (2009) 136 (8): 1327–1338. https://doi.org/10.1242/dev.031203 15 April 2009