2023年度のノーベル賞候補として、オレキシンの発見者の名前が挙がっています。
クラリベイト社が論文引用回数などに基づいく引用栄誉賞を発表し、23人の研究者が選ばれました。その中に日本人が2人含まれます。一人は、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構・機構長の柳沢正史博士(63)もうひとりは、ナノ医療イノベーションセンター・センター長の片岡一則博士(72)。柳沢博士は、オレキシンというホルモンの発見者で、不眠症の治療薬の開発に貢献しています。クラリベイト社の引用栄誉賞受賞者は、ノーベル賞受賞の有力候補と考えられます。
- 来月2日からノーベル賞発表 英情報調査会社が日本人2人含む有力候補23人を発表 9/19(火) 17:54 テレビ朝日系(ANN)
さてそのオレキシンですが、どんなホルモンなのでしょうか。
オレキシン(ヒポクレチン)とは
オレキシン (orexin) は、1998年に発見された神経ペプチドで、食欲を意味するギリシャ語orexisに由来します。オレキシンはまた、ヒポクレチン (hypocretin) とも呼ばれます。オレキシンは1998年に二つのグループによる独立した研究においてラットの脳から発見されました。ひとつのグループはギリシャ語の食欲を意味するオレキシスからオレキシンと名付け、もう一つのグループは視床下部(hypothalamus)で生産されることから、ヒポクレチンと名付けました。そのため、同じ物質に対して2つの呼び名が存在しています。
オレキシンの主な働きは、覚醒(arousal)、目覚め(wakefulness)、食欲(appetite)の制御です。ヒトの脳にはオレキシンを生産するニューロンが1~2万個あり、主にperifornical areaと外側視床下部に分布します。オレキシンニューロンは中枢神経系全体に広く投射し、覚醒・食欲・そのほかの行動を制御します。視床下部外側野の神経細胞で産生されるオレキシンは、食欲や報酬系に関わるほか、睡眠や覚醒を制御することが知られます。オレキシン産生神経細胞がないと、ナルコレプシーという睡眠障害が生じます。
- オレキシン(ウィキペディア)
オレキシン受容体阻害薬
オレキシン受容体拮抗薬の睡眠薬としては、レンボレキサント(商品名:デエビゴ)とスボレキサント(商品名:ベルソムラ)があります。両者ともオレキシン受容体1およびオレキシン受容体2を阻害し、覚醒状態から睡眠へ導きます。
- オレキシン受容体拮抗薬について 2021.2.12 高津心音メンタルクリニック(神奈川県川崎市高津区)