特許法 第百六十四条 審査官は、第百六十二条の規定による審査において特許をすべき旨の査定をするときは、審判の請求に係る拒絶をすべき旨の査定を取り消さなければならない。
2 審査官は、前項に規定する場合を除き、前条第一項において準用する第五十三条第一項の規定による却下の決定をしてはならない。
3 審査官は、第一項に規定する場合を除き、当該審判の請求について査定をすることなくその審査の結果を特許庁長官に報告しなければならない。
プロンプト:説明して。
Gemini 3:この条文を理解する最大のポイントは、「前置審査(ぜんちしんさ)」という特殊なシチュエーションの話だという点です。まずは状況を整理して、各項の違いを噛み砕いて解説しますね。
前提:どんなシチュエーション?
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あなたが特許を出したけれど、審査官に「ダメ(拒絶査定)」と言われた。
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納得がいかないので、あなたは「審判(不服申し立て)」を請求した。
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その際、「内容を少し修正(補正)」した。
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すると、「修正したなら、もう一度元の審査官がチェックし直しましょう」というルールが発動します。これが前置審査です。
第164条:3つのルールの違い
審査官が「修正された後の内容」をもう一度見た結果、どう動くべきかを決めているのがこの164条です。
| 項 | 審査官の心の声 | 結論(何をするか) |
| 第1項 | 「修正のおかげでバッチリ!特許OKだね」 | 特許にする。 以前出した「ダメ(拒絶査定)」は自分で取り消す。 |
| 第2項 | 「修正の仕方がルール違反だけど…」 | 「修正却下」を勝手にしてはいけない。(※1項で特許にする時以外はダメ) |
| 第3項 | 「修正しても、やっぱり特許は無理だな」 | 特許庁長官に「報告」する。 自分で「再度ダメ」とは言わず、審判官(上司チーム)にバトンタッチする。 |
各項の詳しい解説
① 第1項:ハッピーエンド(特許査定)
修正によって「これなら文句なしに特許だ!」となった場合です。この時、審査官は「あ、さっきの『拒絶』はナシね!」と自分で前言撤回して、特許を認めます。これで一件落着です。
② 第2項:勝手に終わらせないルール
ちょっとマニアックですが、特許法には「修正(補正)の仕方がルール違反なら、その修正を無視する」という却下という制度があります。しかし、このステージでは、「特許にする時以外は、審査官が勝手に修正を却下してはいけない」と定めています。なぜなら、次に控えている「審判官(ベテランチーム)」の判断を邪魔しないためです。
③ 第3項:バトンタッチ(報告)
「修正を見たけど、やっぱり特許にはできないな」と思った場合です。ここで審査官がまた「拒絶!」と言ってしまうと、あなたはまた「不服だ!」と言い、無限ループになってしまいます。
そのため、審査官は自分で判断を下さず、「私はチェックしましたが、ダメでした。あとは審判官の皆さん、お願いします」と長官に報告して、審判(本番の裁判のような手続き)へケースを送ります。
まとめると
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1項: 審査官が「OK」と言えるなら、その場で特許にして終了!
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2項: 審査官が勝手に「修正の仕方が悪いからダメ」と手続きを止めちゃダメ!
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3項: 審査官が「NO」と思うなら、自分で判決を出さずに上のステージ(審判)へ送る!
この条文は、「一度ダメと言った審査官に、最後にもう一回だけチャンスをあげるけど、基本的には審判へスムーズにつなぐためのルール」と言えます。
特許法
第百六十三条 第四十八条、第五十三条及び第五十四条の規定は、前条の規定による審査に準用する。この場合において、第五十三条第一項中「第十七条の二第一項第一号又は第三号」とあるのは「第十七条の二第一項第一号、第三号又は第四号」と、「補正が」とあるのは「補正(同項第一号又は第三号に掲げる場合にあつては、拒絶査定不服審判の請求前にしたものを除く。)が」と読み替えるものとする。
2 第五十条及び第五十条の二の規定は、前条の規定による審査において審判の請求に係る査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。この場合において、第五十条ただし書中「第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)」とあるのは、「第十七条の二第一項第一号(拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限るものとし、拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)、第三号(拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)又は第四号に掲げる場合」と読み替えるものとする。
3 第五十一条及び第五十二条の規定は、前条の規定による審査において審判の請求を理由があるとする場合に準用する。
プロンプト:163条を見ると、拒絶理由通知を出していいんだよね?164条と矛盾しない?
Gemini 3:「163条で拒絶理由通知を出していいと言っているのに、164条では(特許にできないなら)何もせず報告しろと言っている」……一見、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような矛盾に見えますよね。結論から言うと、「163条は途中のプロセスの話」で、「164条は最後の終わらせ方の話」です。
この2つの条文がどうつながっているのか、整理して解説します。
1. なぜ163条で「拒絶理由通知」を出す必要があるのか?
前置審査(162条)は、「修正(補正)された内容なら、特許にできるかな?」と元々の審査官がもう一度チェックするステージです。
ここで審査官がチェックした結果、「以前とは別の、新しいダメな理由(拒絶理由)」を見つけてしまったとします。このとき、いきなり164条3項で「やっぱりダメでした!」と報告して審判へ送ってしまうのは、出願人にとって不意打ちになります。
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出願人の気持ち: 「えっ、そんな新しい理由でダメなら、先に言ってよ!直したのに!」
そこで163条2項の出番です。
163条2項: 「新しいダメな理由を見つけたら、ちゃんと教えてあげて(拒絶理由通知)、反論や修正のチャンスをあげなさい」
つまり、前置審査の中でも「キャッチボール(拒絶理由通知 ↔ 補正)」が発生することがある、ということです。
2. 163条と164条のコンビネーション(流れ図)
この2つの条文を合わせると、審査官の動きは以下のようになります。
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審査スタート(前置審査)
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チェック: 前の理由(拒絶査定の理由)は解消したか?
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解消したけど、別の新しいダメな理由を見つけた!
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→ 【163条2項】 に基づき、「拒絶理由通知」を出して、もう一度チャンスを与える。
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最終判断:(キャッチボールの後)
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「これなら特許OKだ!」
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→ 【164条1項】 前のダメ出しを取り消して、特許にする。
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「色々やったけど、やっぱり特許にはできない……」
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→ 【164条3項】 自分で「拒絶!」と判断を下さず、そのまま審判(上級チーム)へ報告してバトンタッチする。
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3. なぜ「164条」で自分で拒絶査定をしてはいけないの?
ここが一番のポイントです。通常の審査なら、ダメな場合は審査官が「拒絶査定(最終決定)」を下します。しかし、前置審査(164条のステージ)では、「審査官はもう一度チャンスをもらった立場」にすぎません。
審査官が自分で拒絶してはいけない理由:もしここで審査官がまた「拒絶査定」を出すと、出願人はまた「不服審判」を請求しなければならず、手続きが永遠に終わりません。そのため、「特許にできない」とわかったら、審査官は黙って(査定をせずに)審判官(ベテランチーム)にバトンを渡すというのが164条3項の役割です。
まとめ
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163条: 審査官が特許にしようと頑張る中で、新しい問題を見つけたら「教えてあげる(拒絶理由通知)」ためのルール。
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164条: 審査の結果、最終的に「どういう形式で終わらせるか」を決めるルール。
つまり、「163条で拒絶理由を通知して粘った結果、それでもダメなら164条3項で報告して審判へ送る」という流れになるので、矛盾はしていないのです。
プロンプト:拒絶理由通知をもらった請求人は、また補正するチャンスももらえるの?
Gemini 3:はい、もちろんチャンスはあります!せっかく審査官が「新しいダメな理由」を教えてくれたのに、直すチャンスがなかったら意味がないですよね。第163条という条文は、わざわざ「第17条の2」という補正(修正)のルールを準用する(借りてくる)と書いてあります。これにより、前置審査(ボーナスステージ)の中でも、通常の審査と同じように修正ができるようになっているんです。
なぜ、また補正ができるのか?
前置審査で「新しいダメな理由(拒絶理由通知)」が届いたときの流れは、以下のようになります。
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審査官:「修正された内容を見たけど、別の理由でダメだ。教えてあげよう(163条2項に基づく通知)」
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あなた(請求人):「教えてくれてありがとう。じゃあ、その理由を解消するために、もう一度内容を修正(補正)します!」
この「2」の権利が、163条1項によって守られています。
チャンスの回数とルール
ただし、いつでも・何度でも好きなように修正できるわけではありません。通常の審査と同じように、少しだけ厳しいルールが適用されます。
| ステップ | 修正(補正)ができるタイミング | 修正の範囲(ルール) |
| 最初の修正 | 審判を請求するとき(前置審査が始まるきっかけ) | 比較的自由 |
| 今回の修正 | 前置審査中に「拒絶理由通知」が届いたとき | 「最後の拒絶理由通知」と同じくらい厳しいルール(※)になることが多い |
(※)厳しいルールとは:審査を何度もループさせないために、「項目を減らす」や「誤字を直す」といった、範囲を絞るような修正しか認められなくなります。
「前置審査」で補正をするメリット
このステージで修正して審査官を納得させることができれば、「審判」という重い手続き(3人の審判官による審理)に進む前に、特許を勝ち取ることができます。つまり、前置審査での「拒絶理由通知 ↔ 補正」のやり取りは、あなたにとって「最短ルートで特許を手に入れるためのラストチャンス」とも言えるのです。
まとめ
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チャンスはある! 163条1項がそのためのルール。
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審査官が教えてくれた「新しいダメな理由」に対して、ピンポイントで修正を出すことができる。
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ここで審査官を納得させれば、164条1項の「大逆転・特許査定」が待っている!
もしこの「2回目の修正」でも審査官が納得しなかったら、そこで初めて164条3項の「報告(バトンタッチ)」が行われ、審判官チームによる本番の審査が始まります。
プロンプト:枝別問題集で理解できない解説があったんだけど、「前置審査において、審査官が特許法第53条第1項の規定による補正の却下の決定をすることができるのは、審判の請求に係る拒絶をすべき旨の査定を取り消し、特許をすべき旨の査定をするときに限られる」が丸かバツかで、正解は丸なんだけどね、特許査定に決定が変更になるというのに、補正に関しては却下するような状況ってありえるの?どういう時?
Gemini 3:「特許にする(OK)と言っているのに、一方で修正を却下(ダメ)する」というのは、一見すると矛盾しているように感じます。しかし、このルールには「出願人を救うため」と「上の人の判断を邪魔しないため」という2つの深い理由があります。「なぜ、そんな状況がありえるのか?」を噛み砕いて解説しますね。
1. 補正を却下すると「時計の針が戻る」
まず知っておきたいのは、「補正の却下」という言葉の意味です。これは単に「ダメ」と言うだけでなく、「その修正をなかったことにして、修正前の状態に戻す」という強力な「キャンセルボタン」のような役割を持っています。
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状態 A: 前の審査で「ダメ」と言われた内容
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状態 B: 審判の時に、あなたが新しく修正(補正)した内容
もし状態Bがルール違反(例:元の書類に書いてないことを勝手に追加したなど)だった場合、審査官がこれを「却下」すると、書類は「状態 A」に戻ります。
2. 「特許査定」なのに「却下」する状況とは?
「修正した後の『状態B』はルール違反だけど、実は修正前の『状態A』をよく見たら、これ、特許にできるじゃん!」と審査官が気づいた時にこの合わせ技が起こります。
具体的な例:
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審査官: 「これ、特許ダメです(拒絶査定)」
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あなた: 「納得いかない!修正(状態B)して審判を請求します!」
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審査官(前置審査): 「うーん、出された修正(状態B)はルール違反(新規事項の追加など)だから認められないな。でも、あなたの反論を読んでよく考えたら、修正前の『状態A』のままでも十分に特許に値するものだった。 私の勘違いだったよ」
この場合、審査官はこう動きます。
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ルール違反の「修正(状態B)」を却下して、書類を「状態A」に戻す。
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その「状態A」に対して、特許査定を出す。
これで、あなたは無事に特許をゲットできます。これが「特許にする時に限って却下ができる」という状況の正体です。
3. なぜ「特許にしない時」は却下しちゃいけないの?
ここが試験に出る重要なポイントです。もし、審査官が「特許にするつもりがない(164条3項で報告する)」なら、補正を却下してはいけません。
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理由: 前置審査の審査官は、いわば「前の担当者」です。もし「前の担当者」が勝手に補正を却下(キャンセル)してしまうと、次に審査をする審判官(ベテランチーム)が、その補正が本当に正しかったかどうかをチェックできなくなってしまうからです。
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ルール: 「特許にしないなら、勝手に判断を下さず、修正された書類もそのままで上のチーム(審判官)に全部渡してね」ということになっています。
まとめ
| 審査官の判断 | 補正の却下は? | なぜ? |
| 特許にする! | できる | ルール違反の修正をキャンセルして、正しい状態で特許をあげるため。 |
| 特許にできない… | できない | 「前の担当者」が勝手に修正をボツにせず、上のチーム(審判官)に判断を任せるため。 |
枝別問題の「特許をすべき旨の査定をするときに限られる」という解説は、「審査官が自分の独断で手続きを終わらせていいのは、ハッピーエンド(特許)の時だけ。それ以外は上の審判官に任せなさい」という権限の線引きを言っているのです。