研究のやり方が学べる書籍 リサーチクエスチョン生成から研究の実践、そして論文出版まで

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研究全般に関する実践書

臨床研究の道標(みちしるべ)

福原俊一『臨床研究の道標』第2版上巻・下巻 認定法人健康医療評価研究機構2017年

ウェブサイト http://www.i-hope.jp/others/index.html

正誤表:http://www.i-hope.jp/activities/publication/pdf/michishirube_vol.2_seigohyou_ver.1.pdf

18ページの研究デザインの「型」の説明(フローチャート)がわかりやすい。中に書いてあるとおり、この本は、研究のデザインをするところまでの解説書なので、データ収集や統計解析、論文作成に関するノウハウまではカバーしていません。しかし研究するうえで非常に大事なのは、研究を実際に始めるまえの「研究のデザイン」および「研究計画」であることは明らかです。その部分を非常に丁寧に説明されている本で、文章も明解で内容が頭に入りやすいと思います。本の後半は「ワークブック」になっていて、とにかく実際に研究を始める人のための極めて実践的な構成になっています。研究の7ステップと銘打っているだけあって、本書を読みながら、実際に段階的に研究構想を練り上げていくことができます。ちなみに7つのステップは、

  • ステップ1:漠然としたクリニカルクエスチョンを、PECO/PICOの型に当てはめて解決可能な形に構造化する。
  • ステップ2:文献検索により何がこれまでにわかっていて、何がまだわかっていないのかを明確にする。
  • ステップ3:研究に必要な要素の関係性を図にまとめて、疑問をモデル化する。
  • ステップ4:研究に必要な要素を何によってどう測定するのかを決める。すなわち、測定をデザインする。
  • ステップ5:自分のリサーチクエスチョンに答えるのに適した、研究の「型」を選ぶ。
  • ステップ6:比較の質を高めるために、研究デザインと解析方法を検討する。
  • ステップ7:倫理的配慮をする。

となっています。研究の実践書は多数出版されていますが、その中にあって、この本は実践マニュアル的な趣が強いと思います。誤解しそうな点など注意事項に関する説明もとてもスッキリとしていて、切れ味の鋭い本だと思いました。ただし、研究をこれからはじめるOliveさんと、指導者である臨Q氏との日常会話がちょこちょこ差し込まれていて、これはリラックスして読める空気作りに役立っているとみるか、ウザイと感じるかは人それぞれかと。自分は特に気になりませんが、この会話がそれほど効果的だとも思いませんでした。ただ、ハードルが高そうで尻込みする人に対して、ハードルを下げてあげようとする著者のやさしさが感じられます。

臨床研究と論文作成のコツ

松原茂樹 編著『臨床研究と論文作成のコツ 読む・研究する・書く』 東京医学社2020年

 

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