よく過労死がニュースなどで話題になっています。エネルギーの供給が需要に追い付かなくなれば人は死に至るのだと思いますが、実際にはそうそうそういう状態にはなりません。それよりも、過労で心身ともにヘトヘトの状態+人間関係などからくるストレスで人は死ぬのではないかと思います。
ストレスがなくて単に仕事が大変なときは、「死ぬほど疲れた!」と感じます。しかしそれにストレスが加わると「死にそう!」という感覚が生じます。
鮭が産卵後に死ぬ理由
川に入ったサケは、いっさいえさを食べなくなります。ただひたすら、川の流れに逆らっ て、必死で卵 を 産める場所まで、泳ぎ上ってきます。 川の中流から上流へたどり着く と、メスとオスはおたがいに相手を見つけ、メスがおひれを使って、川底に穴をほります。 そして、やっと卵を産み終わると、うろこもしっぽもぼろぼろになり、 何日もえさも食べ ていないので、力がつきて、メスもオスも死んでしまいます。 https://kids.gakken.co.jp/box/nazenani/pdf/03_uo/X1040060.pdf 学研教育情報資料センター
大体自分の理解も上の子供向け解説レベルでした。しかし、さっきまでエネルギッシュに産卵していたサケがなぜ急に死ぬのかがずっと不思議でなりませんでした。
いろいろ探していたら、もう少し詳しい解説がありました。
パシフィックサーモンが産卵後に死に至る理由として、成熟後は体を長く保てないことや、文字通り、遡上の旅が原因として挙げられます。帰郷を決意し身を固めたサケは、3,000キロメートル以上も河川を遡り、産卵場所にたどり着きます。道中のクマやヒトの襲撃に耐え、無数の苦難を乗り越えたとしても、疲労困憊して死に至るのです。産卵場所に到達したサケは、すでにボロボロの状態です。遡上には膨大なエネルギーが必要とされるため、極めて過激な戦略に打って出るからです。まず、カルシウム不足を防ぐため、自身の骨を吸収します。さらに、エサも摂取しません。胃を退化させることにより、かつて胃があった場所に卵や精子を収納するためです。こうして産卵場所にたどりつく頃には、蓄えた脂肪は使い尽くされ、筋肉は退化しています。https://logmi.jp/business/articles/323811 「身を固める」=「永遠に消される」 過酷すぎるサケの生態 These Death-Defying Salmon Just Keep Spawning Michael Aranda
産卵後に死ぬように体の変化がプログラムされていたのですね。
参考図書
- 寿命を決める社会のオキテ (進化論の現在) リチャード・ウィルキンソン 2004/12/16
- 小林武彦『なぜヒトだけが老いるのか』ほとんどの動物は生殖行動を終えたあと、老いる前に死ぬのだそうです。老いていきながら長い年月を生きる人間がむしろ特別なんだとか。
参考ウェブ記事
- サケは産卵したとたん「数日で老化」……生物が「老化する目的」の謎 小林 武彦理学博士 東京大学 定量生命科学研究所 教授 2023.06.26