心理学の巨匠、自己啓発の発祥:アドラー(1870~1937)の心理学

アドラーの言葉

The only normal people are the ones you don’t know very well.  Alfred Adler

正常な人々とは、あなたがまだ良く知らない人達のことです。 アルフレッド・アドラー

正常な人間とは、あなたがまだよく知らない人間のことでしかありません。なかなかうまい言い方です。どんなに普通に思える人間でも深くかかわると奇妙な性癖の持ち主だったりして、異常な人間に見えてくるということなのでしょう。つまり人間一人一人は独自のパーソナリティを持っていて、だれ一人、「普通の人間」などいないということを訴えているわけです。

人は人生の敗北を避けるために、あらゆるものを利用する アルフレッド・アドラー

失敗を避けるため、ときに人は、自ら病気になる? あなたの人生に革命を起こす「アルフレッド・アドラーの言葉」を特別公開! 小倉広 アルフレッド・アドラー100の言葉 2017.9.6 4:50 DIAMOND ONLINE)

 

アドラーについて

アドラーといえば、フロイト、ユング、カール・ロジャースなどと並んで名前が挙がる、心理学の歴史を築いた人の一人です。ビジネス書を中心にアドラー心理学が紹介されていますが、大学の心理学の講義においてはフロイトやユングほど重要視されていないようです(カリキュラムをみる限り)。実生活に役立つアドラーをもっと教えてもいいんじゃないかという気がします。

アドラーの著作は、他の学術書もそうですが、非常に硬い文章でとても読む気が湧きません。分冊になった新装版みたいな本もあって、そちらは少し読みやすい印象でしたが、同じ内容です。どうも、アドラー本人の著作はかなり堅めで読んで面白いものではないのかもしれません。

アドラーはもともと医師(最初、眼科医、次に内科医、そして精神科医)でしたが、心理学者としてパーソナリティ(個人の性格)がどのようにして形成されるのかという理論を作ろうとした人です。

アドラーの生い立ち

アドラーは1870年2月7日ウィーン市郊外の生まれ。親はユダヤ人の商人。兄弟の順番では2番目。1895年ウィーン大学医学部卒業で開業医をしていた。1902年にフロイトの『夢判断』(Traumdeutung)に感化されて、フロイトのゼミナールに参加。しかしフロイトの学説、特にエディプス・コンプレックスに関して意見が相違して対立し、決別した。アドラーをフロイトの弟子とみなすむきもあるが、アドラー自身はそのような考え方はしていなかった。

アドラーは自由精神分析学会(Gesellschaft für Freie Psychoanalyse)を創設したが、それは後に個人心理学会(Gesellschaft für Individualpsychologie)と改称されてさらに国際アドラー心理学会(Internationale Vereinigung für Individualpsychologie)へと発展した。1926年以降活動の拠点をアメリカに移行してて、1935年からは永住した。1937年、心臓発作のため講演旅行中のスコットランドで客死。

  1. 臨床心理学の先駆者たち 臨床心理学大系 第16巻 1990/12/1 金子書房

アドラー心理学の学会

  1. 国際アドラー心理学会
  2. 日本アドラー心理学会 アドラー心理学論文集『アドレリアン』 自分で治す「愛されたい病」 ― 読むくすり ―

アドラー心理学がブーム

日本のアドラー心理学ブームは、『嫌われる勇気』が火付け役になったようです。

  1. 岸見一郎・独占インタビュー「アドラー心理学以外に世の中を変える力のある思想はない」 アドラー心理学の第一人者が語る、幸せに生きるために働くことのヒント 第4回 ビジネス・自己啓発 2016.07.25 アドラー関連の一般書が初めて出版されたのは、1999年(『アドラー心理学入門』岸見一郎、KKベストセラーズ)。その後、翻訳本が次々と出版されるが、ブームのきっかけは2013年、『嫌われる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教え』(岸見一郎・古賀史健、ダイヤモンド社)が大ヒットしたことだ。以後、アドラー関連本が急増し、アドラー心理学の名をメディアでもよく目にするようになった。

アドラー心理学が簡単に学べる本

小倉 広『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』2014/2/28 という本を本屋で見かけてパラパラ見ていたら、なかなかいいことがたくさん書いてあって、とても読みやすいです。右のページにアドラーの言葉が書いてあって、左側が解説という構成。実生活に即した内容なので、まあ自己啓発本そのものとも言えます。というか逆で、全ての自己啓発本のネタがアドラー心理学に提示されているというべきなのでしょう。

漫画が多用されていて、普段の生活の問題解決に直結するように書かれたものとしては、

ビジネス教養 アドラー心理学 2022/8/9 岩井 俊憲  があります。本屋で立ち読みしたのですが、買いたい衝動にかられるくらいの名作だと思いました。漫画で解説した本の場合は、人物の絵柄が好みかどうかで中身が心に入ってくるかどうかが変わってきます。

この本をパラパラっと見た中に、物事がうまくいかない状態のときに、原因を追究するのでなく、目的にフォーカスして、どうすればいいのかを考えましょうという教えがありました。アドラーの基本5原則のうちの「目的論」に相当することですね。

「人生がうまくいかない」が100%解決する アドラー心理学見るだけノート2022/1/13 小倉 広

見るだけノートというネーミングが絶妙だと思いました。読まなくていいのかよ、ってなわけです。で見てみましたが、漫画的な挿絵を多用してアドラー心理学をわかりやすく伝えていました。なぜわかりやすいんだろうと思って著者をみたら、『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』と同じ著者だったので納得。伝えるのが上手いんですね。これも買いたいと思ったんですが、何冊も買うお金もないので、タイトルだけ頭に入れておきました。図書館で借りて読もう!

アドラー心理学の理論1:目的論

行動はすべて目標によって確定される。‥ 漫然と生きているだけでなんとなく不安な気持ちを抱いているという人は、往々にして目標を見失っている。

ブームのアドラー心理学を1分で学ぶ – 『1分間アドラー 人間関係の悩みをゼロにする77の原則 2015/02/27 日野瑛太郎 マイナビnews)

ビジネス教養 アドラー心理学 2022/8/9 岩井 俊憲』を立ち読みしたあと家に帰って、妻のどうでもいい話を何時間も聞かされていたら自分がやるべきことができないと文句を言ったらブチ切れられて大変な目にあいました。そのときに、今読んできたばかりの「原因より目的にフォーカス」という教えが頭をよぎったのです。「これだ!」と思いました。自分の仕事ができない原因にフォーカスしたために大きなトラブルに見舞われたのです。もし目的にフォーカスして会話をしていれば、妻をブチ切れさすことはなかったと思います。原因を追究するとどうしても誰かに非を押し付けることになりがちです。目的にフォーカスした考え方をしていれば、そういうことを避けて通れるというわけです。アドラー凄いなと思いました。この本、買って帰ればよかった。

  1. 「トラウマなんて存在しない!」 アドラー心理学=マンガで分かる心療内科・精神科in池袋 第1回 池袋心療内科 ゆうメンタルクリニック
  2. アドラー心理学的に考える問題解決方法「ソリューション・フォーカス」 アドラー心理学専門チャンネル/ヒューマン・ギルド チャンネル登録者数 4050人
  3. 結果の多くは、「原因」より「目的」で決まる PRESIDENT 2014年6月16日号 出雲 充 出雲 充 ユーグレナ代表取締役社長 アドラーはユングと反対の立場だと思います。ユングは原因論で、アドラーは目的論
  4. 目的論と原因論を分ける 岩崎聡史(読書会を主催したい人のための情報を発信) 2020年1月19日 07:32 心理学で有名なフロイトが提唱していたものが原因論アドラーが提唱していたものが目的論。 一つの切り口として、原因論は他責、目的論は自責と考えることができます。
  5. すぐやる人になるきっかけは「行動イノベーション」経営者からオリンピック選手まで行っている「すぐやる」習慣の極意 itmedia.co.jp :先延ばし癖克服にもアドラー心理学が活かせるんだそうです。

アドラーの目的論は、建設的な考えかたをしましょうというのであれば問題ないのですが、なんでもかんでも目的ありきで物事を解釈しようとしている点において、極論に走りすぎだと思います。ある女性が赤面症だから彼ができないというときにその因果関係を否定して、彼を作ることが怖いから(作りたくないという目的があるから)赤面症になっていると解釈するのが、アドラー心理学の目的論だそうです(小倉広 人生に革命が起きる100の言葉 23)。いや、いくらなんでもそれは違うでしょうと自分は思います。自分も人前で歌を歌ったり楽器を演奏するときに極度にあがってしまうのですが、失敗するのが怖いから演奏したくないからあがると言われても困ります。赤面症にしてもあがるということにしてもこれは体の無意識の反応で、その刺激となっているのは、「目的」などではなくて、思考パターンや刺激なのだろうと思います。うまく演奏したいのに、余計なことを考えてしまってダメになるというプロセスでしょう。こういったことはむしろ、フロイトやユングの「原因論」のアプローチのほうが自然だと考えられます。理論をできるだけシンプルに作って、それをできるだけ多様なことに当てはめようとするから、こうしたおかしなことが起きるのでしょう。単純な物理法則が万物の事象を説明できるということへの憧れがなせる業なのかもしれません。アドラーにせよフロイトにせよ心理学を学ぶ際の注意点は、これらは彼らの「主張」であって、科学的な実験などによって導き出された結論ではないという点です。彼らは精神科医だったので多数の患者を診てきて患者の症状を一番うまく説明できる単純な考え方を追い求めた結果自説にたどりついたのだと思います。しかしそれはまだ彼らの「仮説」であって、当てはまらない例が見いだされれば反証されるべきものです。そういった事情を無視して、確立した学説として鵜呑みにするのは大変危険な態度だと思います。実際、フロイトの考え方が当時世の中を席捲したのに、今ではフロイトの考えかたは個人的な体験に基づいた彼の個人的な考えに過ぎないのではないかという評価になっています。今の世の中はアドラー心理学が大流行していますが、フロイトもアドラーも絶対的に正しいものとは言えないのです。

アドラー心理学の理論2:自己決定性

自分の人生を決めるのは自分といういたってシンプルな主張です。アドラーの自己決定性という言葉を聞くと、自分はいつもさだまさしの「主人公」の歌が浮かびます。

主人公/さだまさし(東大寺コンサート2010) さだまさしオフィシャルYouTubeチャンネル チャンネル登録者数 10.6万人

アドラー心理学の基本概念1:劣等感

アドラーのいう劣等感、優越感は人間と比較したものではないということが重要です。優越性というのは、今の自分よりも優れた自分になりたいという気持ちです。劣等性というのは理想とする高さに到達できていない現状のことです。劣等感とは、その劣等性を認めた状態です。劣等感によって苦しみを感じるのは、「劣等コンプレックス Inferiority complex」と呼ばれます。世間一般でいう「劣等感」は、アドラーの言う「劣等コンプレックス」に該当します。

  1. アドラー心理学2-4 【人生の意味の心理学 全4話−2】 「人を苦しめている物の正体」 限定公開 マロンちゃんねる チャンネル登録者数 1450人

アドラー心理学の基本概念2:ライフスタイル

ライフスタイルとは、一般的に「性格」と呼ばれるものに似ていますが、もうすこし広い概念です。性格というと固定されたイメージになってしまいますが、ライフスタイルはもっと可変性の高いものです。ライフスタイルを変えることは、ライフスタイルを変えないでおこうという決定を取り下げるという決定によって実現できます。

ライフスタイルは、人生をどのように生きていくかといった意味。ある人をみたときに、その人の性格に注目するだけでなく、その人はどんな人生の目標を持って、どこに向かおうとしているのかです。もう少し詳しくいうと、自分のことを自分がどう見ているか他者を含む世界の現状をどうおもっているか、自分および世界についてどんな理想を抱いているのかという要素からなります。

  1. 190907模擬講義「アドラー心理学入門-あなたのライフスタイルを知る-」 早稲田大学人間科学部eスクール チャンネル登録者数 1310人(YOUTUBE)
  2. アドラー心理学1-4 【アドラー著書 「人生の意味の心理学」を読み解く 全4話 NHK】 マロンちゃんねる チャンネル登録者数 1450人 自分のことを自分がどう見ているか他者を含む世界の現状をどうおもっているか、自分および世界についてどんな理想を抱いているのか。

アドラー心理学の基本概念3:共同体感覚

アドラー心理学を実践する際の基本的な考え方:課題の分離

アドラーは人間の悩みは、すべて対人関係の悩みであると考えました。そして、悩みを解決する実践的な方法として、その課題は自分の課題なのかそれとも相手の課題なのかというふうに課題を分離することを提唱しました。相手の課題であれば自分にはどうすることもできないので、その課題の解決は相手に任せます。そして自分は自分にできることに集中するのです。「嫌われる勇気」じゃないですが、自分を嫌うかどうかは相手の自由なので、嫌われないようにする努力は不毛でやめたほうがよいということです。それより、理想とする自分に近づくことにエネルギーを費やして、結果的に誰かに嫌われてもそれは仕方ないんじゃないのと考えるほうが合理的ですね。世の中には「みんなに好かれている人」のことを不快に思う人もいるわけですから、全員に好かれるということは土台無理なのです。

  1. 人間関係を考える「アドラー心理学」とは? yumenavi.info 人間の悩みはすべて対人関係の悩み 自分の課題? 相手の課題?

アドラー心理学を実践する際の基本的な考え方:勇気づけ

人をけなすのは上から目線の行為ですが、実は、人をほめるのも同じく上から目線ですよね。アドラー心理学ではほめる、けなすをしないそうです。じゃあどうするのか?勇気づけです。

ドラー心理学には「勇気づけ」という重要な概念があります。相手が自分自身を信じ、困難を乗り越えられるような言葉をかけてあげることです。しかし、勇気づけの際にアドラー心理学が推奨するのは、相手をほめたり、励ましたりすることではありません。ほめると、相手と自分の関係が、支配と依存の関係になってしまう可能性があるためです。‥ 相手との関係が支配・服従の「縦」の関係ではなく、対等の「横」の関係であることが何よりも重要であることをアドラーは説いています。(https://business.nikkei.com/atcl/interview/15/238739/032600247/)

アドラー心理学の特徴

  1. フロイトは人間が不幸な原因を探ったのに対して、アドラーは、どうすれば幸福になれるかを問うた。つまり、行動の原因ではなく、行動の目的に注目して心理学を構築。個人にはどうしようもない過去の原因に重点をおかず、個人の決断によって変更が可能な将来の目的に着目することから、極めて実践的な心理学となった。
  2. フロイトのように、仮説に基づいた精神の内部構造を問題とはせず、ブラックボックスのままにしておき、入力とそれに対する出力(ただし自己が世界を認知する方法と、それにもとづく主体的な決断としての出力)を問題とした。
  3. 古典行動主義のように人間の行動を外界からの刺激に対する単純な反応とはみなさず、人間の行動は、環境を自分のやり方で認識し解釈し、自己が主体的に選択した結果生ずるものと考えた。
  4. 無意識というものの存在は認めているが、意識と対立するものという捉え方はしていない。そもそも、精神の内部の構造は議論の対象にしていない。
  5. 心理学を個人内部のものとはとらえずに、他者とのかかわりの中にとらえた。葛藤は内的なものではなく、個人と他者との人間関係の中に生ずる、。したがって、改善のための援助の焦点も対人関係に対して焦点を当てる。
  6. 人の性格は固定されたものではなく、場に応じた行動として現れるもの。性格の形成は、その人が子供のときから主体的に選んできたことによってなりたっているので(無意識的な信念のシステム)、それを固定すし維持するか変革するかも個人の主体的な決断による。(だから、性格は変えられるし、治療も効する)。
  7. 精神病理は、共同体感覚の不足に起因すると考えた。
  8. 感情は行動の原因ではなく、目的達成のために使用される手段であると考えた。その感情によって、誰に何をしてもらおうとしているのか?という問いを投げた。
  9. 「権力意思」(フロイトのいうリビドーに相当するという学説がある)や「劣等感」は、アドラーがまだフロイトとともに仕事をしていた若い時期に問題としていたことであり、晩年に至ってはそういったことは学説の中にとうじょうせず、より人間学的な趣に変化した。
  10. アドラーが唱えたことを後の心理学者が取り上げたときに、アドラーをきちんと引用しない(出典に言及しない)ことが多いため、アドラーの影響は非常に大きいにもかかわらず正当に評価されていないという見方がある。

参考

  1. 臨床心理学の先駆者たち 臨床心理学大系 第16巻 1990/12/1 金子書房

アドラーが学べるYOUTUBE動画

  1. Adler’s Theory of Individual Psychology – Simplest Explanation Ever Mister Simplify チャンネル登録者数 4.73万人 7:22 最もわかりやすい説明というだけあって、確かにわかりやすい説明でした。
  2. The Psychology of Alfred Adler: Superiority, Inferiority, and Courage Academy of Ideas チャンネル登録者数 159万人 8:58 数分間でアドラー心理学の特徴がつかめます。きわめて明解な説明
  3. Adlerian Counseling Diane R. Gehart, Ph.D. チャンネル登録者数 3.06万人 最初の5分まであたりでアドラー心理学が簡潔にまとめられていました。

 

Understanding Human Nature: The Psychology of Personality

アドラーの本が読みにくいのは、堅い文章だからなのか日本語訳の問題なのか、もとはドイツ語なので原書は自分には読めませんが、英語ならどうなのでしょう。

インターネットアーカイブで英語版を読むことができます。原題は、「Understanding Human Nature: The Psychology of Personality」ですね。

https://archive.org/details/understandinghum00adlerich/page/16/mode/2up?ref=ol&view=theater

上のアーカイブでは、ヘッドフォンのアイコンをクリックすると合成音声で音読してくれます。かなり自然な英語です。ちなみに「日本語」も選ぶことができて、するとカタカナ発音の英語で読みあげてくれます。英語は、イギリス英語(男性)、イギリス英語(女性)、アメリカ英語(女性でした)の3つのオプションもあります。

PDFも転がっているようです。

https://ia902900.us.archive.org/13/items/in.ernet.dli.2015.126777/2015.126777.Understanding-Human-Nature.pdf

YOUTUBEでこの本の朗読(英語)を聞くこともできます。

ALFRED ADLER – UNDERSTANDING HUMAN NATURE ProfessorMystic

  • BOOK I-HUMAN BEHAVIOR
  • 1. THE SOUL I. THE CONCEPT AND PREMISE OF THE PSYCHIC LIFE
  • I. THE CONCEPT AND PREMISE OF THE PSYCHIC LIFE We attribute a soul only to moving, living organisms.

英語訳には少なくとも2種類あるようです。Walter Beran Wolfeの翻訳で、

We attribute a soul only to moving, living organisms. The soul
stands in innate relationship to free motion. Those organisms which are
strongly rooted have no necessity for a soul. How supernatural it would be to attribute emotions and thoughts to a deeply rooted plant!  で始まるものが一つ。

上のYOUTUBE動画の朗読は少し英語が違うので、別の人の訳のようです。

We attribute a consciousness only to moving, living organisms. The existence of consciousness presupposes free motion since those organisms that are strongly rooted in one spot have no necessity for it. How unnatural it would be to attribute emotions and thoughts to an oak tree.

魂とか意識とか訳語が少し違いますね。上の文章の方が、平易に思います。

なおこの本の目次は

Book I: Human Behavior 人間知の心理学

  1. 1 The soul 人間の精神
  2. 2 Social aspects of the psychic life 精神生活の社会的性質
  3. 3 Child and society 子どもと社会
  4. 4 The world we live in 外界の印象
  5. 5 The feeling of inferiority and the striving for recognition 劣等感
  6. 6 The preparation for life 人生への準備
  7. 7 Sex 男女関係
  8. 8 The family constellation きょうだい関係

Book II: The Science of Character 性格の心理学

  1. 1 General considerations 総論
  2. 2 Aggressive character traits 攻撃的な性格特性
  3. 3 Non-aggressive character traits 非攻撃的性格特徴
  4. 4 Other expressions of character その他の性格の表現形式
  5. 5 Affects and emotions 情動

参考

  1. ユングやフロイトと共に 『心理学の3大巨頭』 と称されるアドラー
  2. 人間知の心理学 新装版 (アドラー・セレクション) 著者 アルフレッド・アドラー (著),岸見 一郎 (訳)
  3. 性格の心理学 新装版 (アドラー・セレクション) 著者 アルフレッド・アドラー (著),岸見 一郎 (訳)

問題解決の場面におけるアドラー心理学の実践

  1. アドラー心理学を活かした学校教育相談に関する考察 金沢星稜大学 人間科学研究 第 9 巻 第 1 号 平成 27 年 9 月(PDF)事例1:不登校 事例2:親の財布からお金を盗む子ども 事例3:窓ガラスを割った子ども

アドラー心理学に関する論文

  1. ADLER’S INDIVIDUAL PSYCHOLOGY: THE ORIGINAL POSITIVE PSYCHOLOGY(PDF) REVISTA DE PSICOTERAPIA, noviembre, 2015, Vol. 26, Nº 102, págs. 123-131 ISSN: 1130-5142 (Print) –2339-7950 (Online)  Richard E. Watts スペイン語の論文の英語訳 アドラー心理学に関する論説

参考記事など

  1. アドラー心理学の基本「5つの理論」と人間関係への活かし方4つ 2022.04.15 FRI シンくん 案内人 シンくん ライター 執筆 小野寺 リヒト 臨床心理士/公認心理師 ココロジー なぜ物事をこんなにわかりやすく丁寧に説明できるの?と読んでて感嘆してしまう記事でした。
  2. アドラー心理学とは?自分に勇気を与え、人生を自ら切り開く 岩井俊憲氏 有限会社ヒューマン・ギルド 代表取締役 2022.09.05  かんき出版
  3. コーチングスキル【アドラー心理学】代表的な嫌われる勇気について 2022 4/14 コーチング 4月 3, 2022 4月 14, 2022 アドラー心理学【嫌われる勇気】の内容とは、わかりやすく伝えるとアドラー心理学をわかりやすくした解説書みたいなものです。 アドラーは「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と言っています。
  4. Personality Theory Created July 7, 2017 by Mark Kelland Alfred Adler was an early member and president of the Vienna Psychoanalytic Society, …  アドラー心理学に関する長い纏め・解説記事

アドラーは、フロイト、ユング、カール・ロジャースなどと並べられることが多いのですが、日本の臨床心理学などのカリキュラムを見ると、フロイト、ユング、ロジャースは取り上げられていても、アドラーはあまり登場しないようです。ちょっと不思議ですね。

学校で心理学を専攻するとフロイトユングについての講義は受けるのですが、アドラーについては名前と若干の思想を教授が話し、学生は記憶の片隅に置くくらいの扱いですね。https://diamond.jp/articles/-/52954