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生化学の勉強方法、理解の仕方

生化学がカバーする範囲

今の大学の生化学の科目は、教科書を見てみて驚いたのですが、古典的な生化学(糖質、脂質、タンパク質の代謝)だけでなく、分子生物学(DNAの複製、遺伝子の転写、翻訳)や細胞生物学(細胞周期の制御、細胞内情報伝達機構)、生理学(ホルモンの働き)も含んだものになっています。

生化学はそうでなくても、知識の量が膨大でつまらないものという印象だったのが、今やもう本当に勉強することが大変な科目になってしまいました。そんな生化学をどのように勉強していけばよいのでしょうか。

生化学は、生体物質の化学です。化学なので、原子が共有結合して分子がつくられ、分子が化学反応により別の分子になるといったことが基本になります。

狭義の生化学

生化学反応の目的は、生体高分子の異化(分解反応、多くの場合、酸化反応)により高分子から低分子(再度、高分子をつくるための原材料)に分解すること、高分子の材料から同化(合成反応、多くの場合、還元反応)により生体高分子をつくること、エネルギー源となるグルコースなどの酸化反応によりエネルギーを取り出すことです。

分解して再度合成するのなら、最初から分解せずに使えばいいのでは?という疑問が湧くかもしれませんが、ご飯として口の中にいれる栄養は、炭水化物や脂肪など、動物や植物の貯蔵エネルギーの状態の分子です。人間はそれらをそのまま貯蔵エネルギーにしないので、一度分解します。炭水化物(=糖質+食物繊維)(糖質のことを炭水化物とおおざっぱに呼ぶことも多い)は、単糖が重合したものですが、消化吸収の過程で、単糖にまで分解されて体内へ吸収されます。エネルギーが必要なときは、単糖、特にブドウ糖(グルコース)は解糖系と呼ばれる一連の反応(およびその後のクエン酸回路)によって分解され、エネルギーが取り出されます。エネルギーが足りているときは、肝臓と骨格筋では、単糖は重合反応によりグリコーゲンという貯蔵エネルギーになります。また、グルコースが分解されてアセチルCoAにまでなったあと、アセチルCoAが脂肪酸合成に使われ、脂肪酸はグリセロールとエステル結合により中性脂肪に変えられて、脂肪組織に貯蔵エネルギーとして蓄えられます。

生化学(代謝)を学ぶときにおさえるべきポイント

代謝経路を学ぶときには、

  • いつどういう条件のとき(摂食時、食感などの絶食時、絶食の時間が続いた飢餓状態のとき)、
  • どの臓器で(肝臓、骨格筋、腎臓、脂肪組織、その他)、
  • 細胞内のどのコンパートメントで(細胞質、ミトコンドリア、ペルオキシソーム、小胞体、その他)、
  • なんの出発材料から(糖、アセチルCoA、脂肪酸、その他)、
  • 何を最終産物として(糖、ATP、尿酸、尿素、ケトン体、脂肪酸、その他)、
  • 何の目的で(血糖値の維持、その他のホメオスタシスのため、エネルギー産生、など)、
  • どの臓器で使うために(脳などでグルコース代替としてケトン体を、血糖値を上げるために肝臓自身でなく、血糖値には寄与せず筋肉細胞自身で地産地消するためのグリコーゲン分解、など)

その代謝回路の反応が生じるのかを強く意識して勉強するとよいです。代謝の場合は、エネルギーの安定供給(つまりは、生体の恒常性)が目的であることが多いと思います。代謝だけでなく、ホルモンの働きもそうですが、とどのつまりは、生体の恒常性(健康に生きていること)を維持するために全ての出来事が生じていると言えるでしょう。

摂食や飢餓は、外的環境の「変化」として捉えることができます。変化があったときに、生体の恒常性を維持するために生体がどのように応答するのかという観点で物事をみると統一的な理解ができると思います。

代謝経路の調節

生化学で代謝を学ぶときのもう一つの重要な観点は、その代謝経路がどのように調節されているかという点です。調節されるべきは、反応の向きと反応の速さです。速さを決めるのは、一連の反応であれば律速段階となる、最も遅い反応です。反応を促進する因子や抑制する因子が何か(反応を調節するホルモンの存在、あるいは、最終産物が律速段階の反応を司る酵素に作用するなど)も大事です。

また、多くの化学反応は可逆反応ですが、化学反応がどちらの向きに進むのかが、どのように決まるのか(これは反応前後のギブスの自由エネルギーの差が負か正かで決まる)、生化学反応は酵素が触媒しますが、その酵素活性の調節がどのようになされているのかを知ることも重要です。ギブスの自由エネルギー差には、生成物と反応物の量比も寄与しますが、それとはまったく別の仕組みとして、一連の化学反応により最終的な生成物が産生される場合、その最終産物が一連の化学反応の最初のほうの反応を触媒する酵素に結合して酵素活性を調節することもあります。酵素は反応の活性化エネルギーを下げる(=反応の速さを速める)働きをするだけであり、化学反応の向きを決めるわけではないことに注意を要します。

  1. 第 1 章 生体の機能とタンパク質(tokokita-h.spec.ed.jp 埼玉県立所沢北高等学校) 細胞内で複数の酵素によって連続的に化学反応が進む代謝経路においては,一般に,一連の化学反応の結果つくられた最終産物が代謝経路の初期の反応に作用する酵素にはたらいて,反応系全体の進行を調節している。

ホルモンによる代謝の調節

代謝経路がどのように調節されているかという点においては、化学反応の枠組みを越えて、ホルモンなどによる調節、そのホルモンが細胞内情報伝達機構を動かして、代謝に関わる酵素の活性をタンパク質レベル(リン酸化など)で調節したり、その遺伝子発現を調節したりするメカニズムも押さえておく必要があります。

大学レベルの生化学で覚えるべきホルモンの数は30種類を超えるくらいありますので、定期試験の直前になって一度に全部暗記しようとするのは無謀です。ちょっとずつ覚えていくしかありません。しかし、覚えるための要領というものがあります。

  • 体の状態がどうなったときに分泌されるのか(多くの場合、ホルモンの働きは恒常性の維持ですので、どんな変化に対してそれ打ち消す方向で作用するのか)(血圧の上下、血糖値の上下、血中カルシウムイオン濃度の上下、など)
  • 体のどの部位から分泌されるのか(視床下部、下垂体、副腎、甲状腺、副甲状腺、性腺など)
  • 体のどの部位に働きかけるのか(標的)(視床下部、下垂体、副腎、甲状腺、副甲状腺、性腺など)
  • 標的となる部位でさらに別のホルモンが分泌されるか(視床下部→下垂体→副腎皮質 など)
  • 水溶性か脂溶性か(甲状腺ホルモンや性ホルモンは脂溶性)
  • 拮抗する働きをもつホルモンは何か(インスリンvs.グルカゴン、カルシトニンvs.副甲状腺、など)

といったところに注意を払いましょう。

エネルギーの形態による生化学の理解

使うためのエネルギーの形態:ATP

人間はエネルギーがないと生きていけません。動く(=筋肉が収縮する)のにもエネルギーが必要(=ATPが加水分解されて放出されるエネルギーにより筋繊維が収縮)です。ものを考える(=神経細胞で活動電位が発生する)のにもエネルギーが必要です(=ATP加水分解でえられるエネルギーを利用して、イオンを汲み上げるポンプを動かし、イオン濃度の勾配の維持)。「使える形のエネルギー=ATP」だと言えます。しかし、ATPは貯蔵や輸送されることはありません。細胞内で用事調整されます。

輸送可能なエネルギーの形態:グルコース

血流に乗って輸送できて、ATPを即座につくるためのエネルギー源が、グルコースです。ですから、血液中のグルコースの量、すなわち、血糖値が非常に重要なのです。

飢餓時のグルコースの代替となるケトン体も、輸送できるエネルギー源です。脂肪酸も(脳には入っていけないため脳では利用できませんが)、輸送できる(アルブミンと結合することにより血液中を移動可能)エネルギー源と言えます。

貯蔵エネルギー:グリコーゲン、中性脂肪

エネルギーの供給が需要を上回る状況であれば、エネルギーは貯蓄に回されます。その場合、貯蔵エネルギーの形態が何かというと、筋肉や肝臓で作られて蓄えられるグリコーゲンであり、また、脂肪組織でつくられて蓄えられる中性脂肪です。これらは特定の臓器で貯蔵されていますが、いざ体がエネルギーを必要としたときには、分解して、エネルギー源として利用されます。肝臓は、他の臓器にエネルギー源を供給するために非常に重要な役割を担う臓器です。一方、筋肉では、グリコーゲンは筋肉が自分で使うために分解されます。その理由は、筋肉にはグルコース-6-ホスファターゼが存在しないため、グルコースにまでは変換されずにグルコース-6-リン酸から解糖系に入るためです。筋肉のグリコーゲンはグルコースにはならないのです!それとは対照的に、肝臓は、グルコース-6-ホスファターゼによってグルコース-6-リン酸をグルコースにまで変換し、グルコースを血中に放出して、全身での利用に供します。筋肉は利己的で、肝臓は他己的なんですね。

貯蔵エネルギーとしてグリコーゲンと中性脂肪とがあると聞くと、じゃあどっちをどう使うの?という疑問が湧きます。ご飯を食べて数時間して次のご飯を食べる直前は腹ペコになっていますが、そのときの(つまり食間の)エネルギーはどうやって供給されているのかというと、グリコーゲンが分解されています。筋肉は自分で蓄えたグリコーゲンを分解して解糖系をまわしていますし、肝臓は肝臓に蓄えたグリコーゲンを分解してグルコースをつくり、全身に供給します。食間の血糖値を維持するために、肝臓が大きな役割を果たしているわけです。それに対して、中性脂肪はグリコーゲンよりも遅いタイミングで活躍します。なので、運動選手が運動するときは当然、「食間」なわけですが、まずはグリコーゲンが分解されてできたエネルギーを使って運動しているのです。中性脂肪は、絶食状態が続いてグリコーゲンが使われたあとで、重要になります。災害に巻き込まれて何日間も食べるものがないという状況に陥った場合には、中性脂肪が多くある人のほうが生き伸びるチャンスは大きいと言えます。

グリコーゲンと中性脂肪の使い分けは、スポーツ選手にとってことさら重要です。マラソンのように長時間運動する場合には、グリコーゲンは枯渇して脂肪が燃料になります。

フルマラソンの距離、42.195kmを走るためには、体重60kgの人なら2500kcalのエネルギーが必要ですが、身体に蓄えることのできる糖質は2000kcalほど。カーボローディングでより多くの糖質を身体に蓄えて、マラソンへの準備をする人もいますが、いずれにしても足りない分は脂肪を燃料にしないと、マラソンを走り切ることができません。(脂肪をエネルギー源にして走れるカラダをつくろう glico.com)

  1. カーボ・ローディング(Carbohydrate Loading)(ウィキペディア)グリコーゲンを通常より多く体に貯蔵するための運動量の調節および栄養摂取法。グリコーゲン・ローディングとも呼ばれる。

筋肉におけるATP再生

筋肉では筋収縮のためにATPが消費されます。ATPは保存されているものではないので、もともとあったATPは筋収縮であっというまに消費されます。では、どうするか?筋肉にはクレアチンリン酸が多量に存在しており、クレアチンリン酸がリン酸をADPに転移することによりATPを再生しています。

  1. クレアチンリン酸 / CrP(くれあちんりんさん)  e-ヘルスネット 厚生労働省

これは、「ATP-クレアチンリン酸系(ATP-CP系)」と称されます。ATP-CP系が働けるのはせいぜい10秒たらずと言われています。これくらい短い時間に強度の運動をするときは、呼吸せずに無酸素運動をしていると言われます。

運動を続けると、クレアチンリン酸も枯渇します。そうなると、普通にエネルギー代謝経路(解糖系、クエン酸回路、電子伝達系)をつかってATPを産生するしかありません。この場合は、電子伝達系における最終的な電子の受け手として、酸素が必要になります。

恒常性の調節機構という視点からの生化学の理解

恒常性の調節というと生理学の守備範囲ですが、生化学ともオーバーラップしています。恒常性を調節するために化学反応が生じるのであれば生化学というわけです。無理やり線引きをする必要はありません。何の恒常性?ということでいえば、

  1. 血糖値
  2. 血圧
  3. 体液の浸透圧
  4. 血中カルシウムイオン濃度
  5. 体温

などが考えられます。

 

 

 

 

プリン体は腎臓に悪いの?腎臓が悪い人はプリン体を控えるべき?

プリン体と腎臓とはどういう関係でしょうか。プリン体は、プリンの構造を持つ化合物の総称で、代表的なものは核酸の塩基であるアデニンとグアニンです。アデニンやグアニンは代謝されて尿酸になり、尿から排出されます。プリン体が代謝される場所は、肝臓です。肝臓でできた尿酸は血中を通って腎臓に行き、そこで尿に排出されます。

尿酸が高いことが、腎機能悪化の原因なのか、単に腎機能が悪くなったことに対する結果であるのかはよくわかっていません。(尿酸を下げることで腎機能低下を防ぐことが可能か? ウェルビーイング内科クリニック 船橋市上山町)

 

尿酸と慢性腎臓病に関する論文のメモ

  1. Gout and Diet: A Comprehensive Review of Mechanisms and Management Nutrients 2022, 14(17), 3525; https://doi.org/10.3390/nu14173525
  2. The case for uric acid-lowering treatment in patients with hyperuricaemia and CKD Nature Reviews Nephrology volume 15, pages767–775 (2019)
  3. What Are Purines? By: Judith Frank, MD, Rheumatologist arthritis-health.com

がん末期におけるステロイド薬の使用

ステロイド剤の効果的な使い方を緩和ケア医が伝授します #107 ドクタートッシュ 緩和ケアの本流 チャンネル登録者数 10.1万人

 

 

  1. 鎮痛も鎮痛以外も、緩和ケアにステロイドをうまく使う 2022年7月27日 南山堂 m3.com
  2. ステロイドは進行癌の病態形成を抑制する 徳田 均(社会保険中央総合病院〔東京都新宿区〕呼吸器内科部長) 2010/04/16 日経メディカル

乳酸アシドーシスとは

グルコースは解糖系によりピルビン酸にまで変換されます。そのあとは、ピルビン酸脱水素酵素の働きによりアセチルCoAになってクエン酸回路に入り、引き続き酸化されます。しかし、何らかの理由でクエン酸回路が回らない場合には、ピルビン酸は乳酸へと変換されますので、乳酸が体の中に蓄積してしまいます。乳酸は「酸」ですので、過剰になると体の中が酸性に傾きます。これが乳酸アシドーシスと呼ばれる状態です。

ピルビン酸デヒドロゲナーゼなどの酵素が働くには、ビタミンB1の活性型であるチアミンピロリン酸という補酵素が必要である。ビタミンB1が不足すると、ピルビン酸からアセチルCoAが合成できず体内にピルビン酸乳酸が溜まっていくので、徐々に血液が酸性に傾いていき乳酸アシドーシスとなる。(PPN施行時のビタミンB1併用の必要性について 高の原中央病院DIニュース 2015年7月号 )

高カロリー輸液の副作用としての乳酸アシドーシス

高カロリー輸液の普及により当初予想されなかったいくつかの問題が起きている。

現在使用されている高カロリー液としては、パレメンタール(A、B)、ハイカリック(1号、2号、3号、4号、NC-L、NC-N、NC-H)、ワスタ、カロネット(L、H)、リハビックス-K(1号、2号、3号、4号)、エネベース、アリメール及びトリパレン(1号、2号)がある。

各種電解質の配合は、製剤により多少異なるが、ビタミンは全く配合されていない。

高カロリー輸液の場合に認められるアシドーシスは、乳酸アシドーシスであり、これは、乳酸の血中濃度が45mg/dl以上、動脈血のpHが7.25以下の状態をいう。([解説] 高カロリー輸液施行中に認められるアシドーシス 大学病院医療情報ネットワーク)

アニオンギャップ(AG)

アニオンギャップ(anion gap;AG)とは、血液中に存在する陽イオンと陰イオンの差のことだそうです。代謝性アシドーシスにはさまざまな原因がありますが、糖尿病性ケトアシドーシス、乳酸アシドーシス、腎不全などの代謝性アシドーシスにおいてアニオンギャップ(AG)が増加するそうです。

  1. アニオンギャップ 看護roo!用語辞典

アシドーシスの分類

アシドーシスは体(血液)が酸性に傾いた状態です。大きくわけて、呼吸性アシドーシス代謝性アシドーシスに大別されます。

アシドーシスとは、血液のpHが酸性に傾いた状態をいい、臨床症状として意識障害、血圧低下、痙攣、呼吸障害などが起こる。アシドーシスの原因としては、(1)血液中に何らかの酸性物質が蓄積した場合(代謝性アシドーシス)(2)呼吸機能の障害で血液中にCO2が蓄積した場合(呼吸性アシドーシス)がある。(高カロリー輸液の適正使用について 平成9年6月23日 厚生省)

 

代謝性アシドーシスはさらに、AGが正常なものと、有機酸の蓄積によりAGが高値になるものとに分類されます。AGが上昇する代謝性アシドーシスとしては、乳酸アシドーシスケトアシドーシス、尿毒症、薬物中毒などがあります。

  1. アシドーシス MSDマニュアル家庭版
  2. アニオンギャップ上昇代謝性アシドーシス(代謝性アシドーシス リウマチ・膠原病科 国府台病院)
  3. 代謝性アシドーシス 日本医事新報社

老衰とは?死の兆候は何?

老衰の始まり:サルコペニア(筋量の低下)

老衰の始まりにはサルコペニア(筋肉量減少症)がある(老衰に至るプロセスと老衰が示す状態

人間はどうやって死ぬのか

人の終末期は、一般的には4つの型に分かれると言われています。①くも膜下出血心筋梗塞、事故などの突然死タイプ、②一定の期間は健康な状態を保ち、末期にかけて病状が急速に進行するがん死タイプ、③心臓・腎臓・肝臓などの慢性的な病気が、良くなったり悪くなったりを繰り返し段階的に弱っていく臓器不全タイプ、④緩やかに活力が低下していく老衰や認知症タイプです(老いと死について考える 大久保病院だより)

延命治療の是非

老衰により体が衰えて、人間は最後は食べ物を食べられなくなり、水しか飲めない状態になります。嚥下機能の低下でご飯が飲み込めないが胃腸の働きは正常であれば、胃瘻(いろう)という選択肢もあります。胃瘻は、食べ物を直接、胃に入れる方法です。消化器官が機能していなければ、静脈に栄養を点滴するという選択肢があります。そういったことを一切やらないとなると、人間はどれくらい生きられるのでしょうか。

人口栄養や中心静脈を使った栄養は、老衰の進んだ寝たきりの方にとって「延命治療」の側面が強いと言わざるを得ないというのが現状のようです。(老いと死について考える 大久保病院だより)

「余命があと3~4日」をどう受け止めるか?これは年齢、病気、ご本人の死生観、ご家族の気持ちにより、千差万別だと思います。例えば寝たきりで長らくご自宅で療養され、100歳を超えた方が、一日の大半を眠って過ごすようになり、食事を摂らなくなった。→この場合はどうでしょう。「点滴も何もしないで、静かに見守り、見送ってあげたい」と思うご家族が多いのではないでしょうか?(「口からご飯が食べられなくなったら・・・」番外編 さくらクリニック 東京都中野区)

自分の父親も90歳を過ぎた年齢でしたが、ひどい便秘で医者にかかったところ大腸がんが見つかり、その時はすでに肝臓やほかの場所にも転移していて、その後はほんの数日の間に急速に悪化しました。最後は食べ物が食べられなくなり、水しか受け付けなくなりましたが、胃瘻や栄養の点滴による延命は拒否していました。医師により余命が数日と判断されるような状態にまでなってしまうと、延命措置によりさらに数日間、死に至る時期を延ばすことにどれほどの意味があるのだろうかと考えさせられました。本人が間近に迫った死を受け入れる心の準備ができていれば、最後の瞬間の迎え方に関しては本人の意思を尊重することが一番良いのかなと思います。

緩和ケアでは、いくつかの場面で点滴による処置が行われることもあります。例えば、痛み止めの薬剤を体へ注入したり、必要な栄養や水分を体へ補給したりする場面です。… 生存予後が数日の段階に入った終末期の患者においては、点滴によって逆に患者を苦しませてしまうことがあるので、積極的な点滴は行われない傾向があります。(緩和ケアで点滴(輸液)を行う場合と行わない場合の違いとは? ClinicC4 東京都渋谷区元代々木町)

がんの末期などで体の中の細胞が水分を取り込めない状態が生じやすく、輸液をおこなうことで浮腫や胸腹水、気道分泌物の増加などが起こり、患者への負担が大きくなる可能性もある。(終末期と輸液療法について 2020.7.13JTCAゼミ 日本終末期ケア協会)

 

老衰になった人間は水だけで何日間生きられるのか

点滴を全くしない場合の余命は5日〜7日程度、長くても10日間ほどと言われています。(「老衰」で穏やかな最期を迎えるために 2022年12月6日 更新 famille-kazokusou.com)

老衰により自然な死が訪れるのだとしたら、胃瘻や点滴といった延命措置をやることに意味がどれくらいあるのでしょうか。何をしてでも1日でも長く行きたいと思うのか、自然の摂理に身を任せたいと思うのかは、個人の考えに大きく依存する部分だと思います。

 

静脈栄養とは

ご飯が食べられなくなった人に対しては、直接、静脈から血液中に栄養分を入れる「静脈栄養」という処置がなされることがありす。静脈栄養は2つに大別され、一つが腕などの末梢静脈から投与する「末梢静脈栄養(Peripheral Parenteral Nutrition;PPN)」、もう一つが中心静脈という心臓に近い太い血管から投与する「中心静脈栄養(Total Parenteral Nutrition;TPN)」です。

  1. 中心静脈栄養の選択基準 大塚製薬工場
  2. 組成表検索(輸液製剤協議会)
  3. 輸液製剤の組成一覧表 (輸液製剤協議会)

自律神経系、交感神経(ノルアドレナリン)と副交感神経(アセチルコリン)の役割

自律神経系とは

自律神経系 autonomic nervous systemは、意識したり努力したりする必要なしに、勝手に(自動的、自律的に)動作して、血圧や呼吸数その他、臓器の働きなどを調節しています。それに対応して随意運動を生じる神経系は体性神経系 somatic nervous systemと呼ばれます。自律神経系 autonomic nervous systemと体性神経系 somatic nervous systemの2つをあわせて末梢神経系と呼びます。

  1. 体性神経系 Weblio辞書

体性神経系は末梢神経系の一部ですが、体制神経系の細胞体は中枢神経系である脊髄の中にあります。だとしたら体性神経系を末梢神経系と呼ぶのもおかしい気がしますが、あまりその点を解説したものが見当たりません。

The somatic nervous system consists of the cell bodies located in either thebrainstem or the spinal cord. They have an extremely long course as they do not synapse after they leave the CNS until they are at their termination in skeletal muscle.  https://www.sciencedirect.com/topics/veterinary-science-and-veterinary-medicine/somatic-nervous-system

The somatic nervous system is also a part of the peripheral nervous system. One of its roles is to relay information from the eyes, ears, skin and muscle to the central nervous system (brain and spinal cord). It also obeys commands from the central nervous system and makes muscles contract or relax, allowing us to move. https://www.betterhealth.vic.gov.au/health/conditionsandtreatments/nervous-system

The nervous system subdivides into the central nervous system and the peripheral nervous system. The central nervous system is the brain and spinal cord, while the peripheral nervous system consists of everything else. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK542179/

ChatGPT-3.5をどれだけ信用していいのかわかりませんが、一応ChatGPT-3.5からの解説を紹介しておきます。神経系をCNSとPNSとに分類するときに、脊髄の内部に細胞体をもち軸索は脊髄の外にある運動ニューロンを細胞体と軸索とに分断しているのね?と聞いたときのChatGPTの解答です。ChatGPTは結構、こっちのいいなりに返事してくるので要注意なのですが。

Exactly! When we categorize the nervous system into the central nervous system (CNS) and the peripheral nervous system (PNS), we’re essentially dividing it based on anatomical location and function. For example, when we talk about motor neurons of the somatic nervous system, which control voluntary muscle movements, we recognize that their cell bodies are located within the CNS (in the spinal cord or brainstem), but their axons extend out into the PNS to reach skeletal muscles. So, in a sense, we are conceptually dividing a single neuron into its different components—the cell body within the CNS and the axon extending into the PNS—when we discuss the broader organization of the nervous system.

  1. https://dbuweb.dbu.edu/dbu/psyc1301/softchalk/s2lecture1/s2lecture14.html このウェブサイトではCNSとPNSを色分けして説明しています。こうやって色分けすると、脊髄(CNS)から出ている軸索はPNSということになります。

自律神経系は、交感神経系と副交感神経系の2つから成り立っています。

Neurology | Autonomic Nervous System Ninja Nerd チャンネル登録者数 293万人

自律神経系が支配するもの

自律神経系の支配を受ける臓器・器官は、血管、胃、腸管、肝臓、腎臓、膀胱、正規、肺、瞳孔、心臓、汗腺、唾液腺、消化腺などです。

The Autonomic Nervous System: Sympathetic and Parasympathetic Divisions Professor Dave Explains チャンネル登録者数 294万人

自律神経系(交感神経と副交感神経)の解剖学的な特徴

自律神経系の経路は、2つの神経細胞により構成されています。1つ目の神経細胞は、脳幹または脊髄に細胞体が存在し、神経線維(軸索)を2つ目の神経細胞に対して伸ばしています。2つ目の神経細胞の細胞体は、自律神経節に存在しており、細胞体から伸びた神経線維(軸索)は支配する内臓につながっています。

交感神経系の自律神経節は、脊髄のすぐ外の左右両側に存在しています。それに対して、副交感神経系の自律神経節は、支配する内臓の付近もしくは内臓の内部に存在しています(MSDマニュアルの図を参照)。

 

交感神経優位と副交感神経優位

自律神経が支配する臓器はたくさんあって、交感神経と副交感神経の両方の支配を受けているものが多く、知識を整理するのが大変ですが、どのように考えて理解すれば良いのでしょうか。交感神経と副交感神経は逆の作用を持ち、一方が促進するなら他方は抑制して、両者のバランスによって内外の変化に対応し、生体の恒常性を保っています。

交感神経は、興奮状態・運動を作り出すときために活動します。瞳孔を開き、血管を収縮させて血圧を上昇させ、心拍数を上げ、血流増加、血糖値を上げる(エネルギーを使う)のが交感神経です。よく言われるのが、外敵が来たりしてストレスがかかったときに、戦うか逃げるか(fight or flight)という興奮状態(ストレス反応)を作り出すというものです。副交感神経は逆に、これらを抑制して安静の状態や消化吸収を活発にする(エネルギーを蓄積する)状態を作り出すときに活動します。

体が興奮状態だと、食べたものの消化吸収がうまくできないんですね。眠るという行為は一番安静の状態ですが、そのときに働く自律神経系は、副交感神経というわけです。

  1. 自律神経のしくみ②:交感神経と副交感神経 ( 専門外来コラム せたがや内科・神経内科クリニック)

神経伝達物質

血圧、体温、その他の体の恒常性を保つために働いています。自律神経には、交感神経(ノルアドレナリン、アドレナリン)と副交感神経(アセチルコリン)の2種類があり、この2つが拮抗する働きをしつつ、バランスをとることで恒常性が保たれています。交感神経が効果を強める働き、副交感神経が効果を弱める働き、いうなればアクセルとブレーキの役割を担っています。

アセチルコリンノルアドレナリンアセチルコリンを分泌する神経線維はコリン作動性線維と呼ばれます。ノルアドレナリンを分泌する線維はアドレナリン作動性線維と呼ばれます。一般的に、アセチルコリンは副交感作用(抑制作用)、ノルアドレナリンは交感作用(刺激作用)を示します。ただし、アセチルコリンには一部の交感作用もあり、例えば、発汗を刺激したり、毛を逆立てたりすることがあります。( 自律神経系の概要 MSDマニュアル家庭版)

  1. 自律神経のしくみ②:交感神経と副交感神経 せたがや内科・神経内科クリニック

 

瞳孔の調節:散大(交感神経)と収縮(副交感神経)

瞳孔の大きさは、放射状に配置された瞳孔散大筋と、瞳孔の周囲に円形状に存在する瞳孔括約筋とによって調節されています。瞳孔散大筋が収縮すると瞳孔が開き、瞳孔括約筋が収縮すると瞳孔は小さくなります。一方が収縮しているときは、他方は弛緩します。

  1. 散瞳(さんどう、mydriasis)(ウィキペディア)
  2. 5分でわかる!明暗調節のメカニズム Try-It
  3. ミドリンP点眼液(トロピカミド・フェニレフリン塩酸塩点眼液)トロピカミドは瞳孔括約筋弛緩作用、フェニレフリン塩酸塩は瞳孔散大筋収縮作用により、それぞれ散瞳効果を示す。
  4. 散瞳薬アトロピンシクロペントラート、トロピカミド、フェニレフ
    リン)
  5. カテコールアミン(脳科学辞典):カテコールアミンとは本来カテコール基とアミノ基をもつ化合物であるが、神経科学においては主に神経伝達物質として機能するドーパミン、ノルアドレナリン(またはノルエピネフリン)、アドレナリン(またはエピネフリン)の3つを指す。生合成経路上はドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンの順に合成され、各細胞における最終的な産物の決定は合成酵素の有無によって決まる。
  6. カテコール (catechol) (ウィキペディア):ベンゼン環上のオルト位に 2個のヒドロキシ基を有する有機化合物。
  7. 薬剤師国家試験 152 交感神経系に作用する薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。 つ選べ。 1 サルブタモールは、アドレナリン α1受容体を選択的に刺激して、血管平滑筋 を収縮させる。 2 クレンブテロールは、アドレナリン α2受容体を選択的に刺激して、血管平滑 筋を弛緩させる。 3 ドブタミンは、アドレナリン β1受容体を選択的に刺激して、心筋収縮力を増 大させる。 4 チモロールは、アドレナリン α1受容体を選択的に遮断して、眼圧を低下させ る。 5 フェニレフリンは、アドレナリン α1受容体を選択的に刺激して、散瞳を引き 起こす。

アドレナリンとノルアドレナリンの共通点と相違点

  1. アドレナリンとノルアドレナリンの違いは?! 健康管理検定 ノルアドレナリンとアドレナリンの最も大きな違いは、脳への精神的な作用の有無です。ノルアドレナリンは、脳内で神経伝達物質 アドレナリンは脳内ではほとんど分泌されず、また、副腎髄質で分泌されたアドレナリンは血液脳関門を通過することができない

涙の分泌:促進(副交感神経)

唾液の分泌:促進(副交感神経)と抑制(交感神経)

気道の弛緩(交感神経)と収縮(副交感神経)

血管の収縮(交感神経)

心臓を支配する神経、心拍数の調節:速める(交感神経)・遅くする(副交感神経)

心臓には延髄から(延髄に細胞体があるニューロンから)迷走神経(軸索)が伸びてきて、心臓の外側で一度リレーされて、心臓を支配しています。迷走神経は、心拍数の調節などに関与します。交感神経は、脊髄にある神経細胞からの軸索が、脊髄の外側にある交感神経幹( sympathetic trunk)の細胞に投射して、そこ中継され、交感神経幹の神経細胞が心臓の心筋へと投射します。場所としては、心房や心室に投射しており、心臓の収縮力を調節します。

  1. 自律神経系(資料9)解剖学講座(神経機能形態学)(旧第二解剖) 佐藤 真 (非常にわかりやすい図と説明!)
  2. 副交感神経系の支配領域(図)自律神経系(図) 自律神経系の概要 MSDマニュアルプロフェッショナル版
  3. カンデル神経科学第2版 1028ページ図41-4 自律神経系の交感神経と副交感神経(図)
  4. Autonomic Plexuses LibreTexts Autonomic plexuses are formed from sympathetic postganglionic axons, parasympathetic preganglionic axons, and some visceral sensory axons.
  5. 第11章 自律神経系、視床下部 The Autonomic Nervous System The Hypothalamus 要約:筑波大学基礎医学系神経内分泌学:野上晴雄
  6. https://www.kango-roo.com/learning/2234/ 看護roo!
  7. 心臓の神経支配(交感神経と迷走神経/変時作用・変伝導作用・変力作用) かずひろ先生の徹底的国司対策解剖学

発汗:促進(交感神経)

肝臓でのブドウ糖の産生と放出の促進(交感神経、腹腔神経節)

胃での消化の促進(副交感神経)と抑制(交感神経)

胆嚢からの胆汁の放出(副交感神経)

膵臓からの消化液の分泌の促進(副交感神経)・抑制(交感神経)

腸管での分泌の促進(副交感神経)と抑制(交感神経)

副腎髄質ホルモンの分泌の促進(交感神経)

排尿の促進(副交感神経)と抑制(交感神経)

オルガスム(交感神経、副交感神経)

勃起(副交感神経)

射精(交感神経)

 

参考

  1. 自律神経系の概要 MSDマニュアル家庭版

 

うんち(大便)の形状、色で何がわかるか

  1. ウンチから腸の働きを知る(NHK for school)

 

 

大便(うんち)は単なる排泄物ではありません。あなたが想像する以上に健康状態を教えてくれる貴重で、重要な情報源なのです。

  • 「理想的な便」とは、バナナの色と形をした便が1~2本程度肛門からするりと出て、肛門を拭かなくても良いくらいの便
  • 甘グリのような形の便。便秘の人に多い典型的なタイプの便です。大変硬いので、排便時に苦しい思いをする便
  • 兎の糞のような小さくてポロポロした便 過敏性腸症候群の疑い 腸管が何かの原因で狭くなっていることも

  • 軟便

  • 水分が主体のシャーっと出る便(下痢)
  • コガネ色から茶色までは健康な便
  • 灰白色の便は胆汁の分泌が悪いときにも出ます
  • 黒色系統(タール便) 血液は酸と接触することにより、黒ずんできます。ですから、黒色便は食道や胃、十二指腸などの上部消化管からの出血が疑われ
  • 血便 鮮紅色、または暗赤色の血液が混じった便

日本ケミファ

 

 

絶対に見逃してはいけない「便」からのSOSサイン!40代50代60代以上は要注意! 予防医学ch /医師監修 ウチカラクリニック チャンネル登録者数 53.3万人

 

命に関わる【危険な便5選】 色、形、出方で簡単チェック!消化器内科医解説 胃腸・内視鏡相談室 ドクターノマ チャンネル登録者数 12.1万人

市立病院専門職に聞く!コロナ禍の健康維持【茅ヶ崎市公式】ハーモニアスちがさき放送局チャンネル登録者数 1870人

暑さや飲酒による低血圧、意識混濁

暑い時は、血管が広がり、汗をかいて脱水になりやすいため、めまいや立ちくらみがします。‥

お酒を飲むと血圧があがると思いがちですが、飲酒時は血管が拡張しているので、血圧自体は低下しています。

https://www.med.or.jp/forest/check/teketuatu/04.html

 

50歳男性。暑い日の午後、自宅の庭で草むしりが終わって立ち上がったところ、目の前が白くなって気を失い、その場に倒れ込んでしまいました。しばらくして意識が戻りました 一過性に意識を失って、姿勢が保持できなくなることを失神と呼びます。 失神は「脳全体に血液が十分行き渡らない」ために起こります。意識消失に先立って、しばしば頭がフワフワした感じや吐き気、発汗などを伴います。 ヒトは寝ている状態やしゃがみ込んでいる状態から急に起き上がると、重力のため血液が下半身に移動して、一時的に血圧が下がります。ヒトの体はうまくできていて、下がった血圧をすぐに元のレベルに戻してくれます。残念ながら年を取ると、この働きが遅れるため、Sさんのようなケースがよく見られます。夏の暑い盛りに汗をかいて脱水気味になっていると、いっそう起きやすくなります。(失神(上) ~起立性低血圧~ 富山病院)

 

アル コー ルが 分解 す る ときに出来 るアセ トア ルデ ヒドに は,血 管拡 張作 用 が ある。 だか ら人 によ って は急激 に血圧 が下 が っ て シ ョック状 態 にな る こ ともあ る。さ らにアル コー ル に は血 糖 降下作 用 もあ るので,ふ っと気 が遠 くな った りもす る。 気 が遠 くな ったの が,血圧 が下 が ったせ い か,血 糖値 が 下が った せ いか見 分 けは,つ きに くい もので あ る。https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1988/95/9/95_9_620/_pdf/-char/ja

低血圧 低血圧とは、めまいや失神などの症状が出現するほど、血圧が低下した状態のことです。

血圧が下がりすぎた場合、脳の機能不全や失神を起こすことがあります。

MSDマニュアル

 

立ちくらみ(起立性低血圧)立ちくらみとは、急に立ち上がったり、起立した状態を続けたり、入浴時などに、一時的に頭部への血流が減少することで発症します。〈手当てのしかた〉立ちくらみでクラッとしたら、まずしゃがみます。安静を保ち、脳に酸素を供給するため、ふくらはぎの下に毛布を入れ、15~30㎝ほど高く上げるショック体位(右図参照)をとります。http://www.ibaraki.med.or.jp/home/wp-content/uploads/b46b97c072df7fe1cf6e07fc649c16712.pdf

 

参考

  1. https://www.itsuki-hp.jp/radio/%E7%86%B1%E4%B8%AD%E7%97%87%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6
  2. 78歳女性に見られた立ちくらみ(起立性低血圧)について2006.08.06 伊月病院 通常は体位を急に変えても血圧は余り変動しないように代償されるのですが、高齢者や自律神経の調子の悪い人などを中心にこの代償機構が障害されて起立性低血圧が起こります。起立性低血圧は、寝た状態の血圧から座位あるいは立位となり、3分以内に測った血圧が前値に比べ収縮期血圧で20mmHg以上、拡張期血圧で10mmHg以上低下するものと定義されています。そしてさらに拡張期で30mmHg以上下がって脳に血液が充分にゆかなくなるとこの前お話しした失神が起こるといわれております。

分枝鎖(ぶんしさ)アミノ酸か分岐鎖(ぶんきさ)アミノ酸か?branched-chain amino acids

branched-chain amino acidsの日本語訳は、分岐鎖(ぶんきさ)アミノ酸だと思い込んでいました。しかし、教科書をよく見ると、分岐(ぶんき)ではなく分枝(ぶんし)という言葉でした。分枝は「ぶんき」とは読まないので、分枝鎖アミノ酸の読みは「ぶんしさあみのさん」が正しいと思ったのですが、実際のところどうなのでしょうか。

分枝する 読み方:ぶんしする サ行変格活用の動詞「分枝する」の終止形。weblio

ぶん‐し【分枝】 [名](スル)植物が幹などから枝を分けること。枝分かれ。「葉の付け根から分枝する」 デジタル大辞泉 コトバンク

ぶん‐き【分岐】[名](スル)行く先が別々に分かれること。ふたまたになること。「道がここで分岐する」 デジタル大辞泉 コトバンク

分枝アミノ酸  分枝鎖アミノ酸分岐鎖アミノ酸ともいう.側鎖の炭素骨格が分枝しているアミノ酸.タンパク質の常在アミノ酸としてはバリン,ロイシン,イソロイシン. 栄養・生化学辞典 コトバンク

分岐鎖アミノ酸(あるいは分枝鎖アミノ酸とも)は、英語ではbranched-chain amino acids (BCAA)といい 実験医学

分枝鎖アミノ酸または分岐鎖アミノ酸(branched-chain amino acids、BCAA)とは、分枝(任意の炭素原子に2以上の別の炭素原子が結合)のある脂肪族側鎖を有するアミノ酸である。(分枝鎖アミノ酸 ウィキペディア)

 

分枝(ぶんし)という単語を使っている教科書

系統看護学講座 生化学 医学書院 第13版 2014年(2018年第5刷)

53ページ 分枝(ぶんし)アミノ酸とはバリン・ロイシン・イソロイシンのことで、枝分かれ構造をもつ。

53ページ 分枝アミノ酸 分枝アミノ酸branched chain amino acid (BCAA)は、分岐鎖アミノ酸ともいう。

 

マークス臨床生化学 医学書院 2020年 第1版第1刷 301ページ 分枝鎖α-ケト酸デヒドロゲナーゼ branched-chain α-keto acid dehydrogenase

 

分岐(ぶんき)という単語を使っている教科書

系統看護学講座 生化学 医学書院 第14版 2019年(2022年第4刷)132ページ 分岐鎖(ぶんきさ)アミノ酸 branched chain amino acid (BCAA)

branched-chainの訳語としては、分岐ではなく、分枝がよいような気もしますが、分岐もよく使われているので、どちらでもいいようです

脂質の運搬方法:キロミクロン、VLDL、LDL、HDLの役割

水に溶けない脂質の運搬には特別な工夫が必要であり、生体内では「リポタンパク質」と呼ばれる、タンパク質、脂質からなる複合体により血液中を運ばれます。リポタンパク質には、大きさや中身の成分などによっていくつかの種類に分けられています。

キロミクロン

食事由来(すなわち消化吸収した小腸由来)の脂質を運ぶのは、キロミクロンというリポタンパク質です。キロミクロンの構成成分は、90%程度がトリアシルグリセロールです。キロミクロンが血中を移動する間に、血管内皮細胞の表面にあるリポタンパク質リパーゼ(LPL)がキロミクロンの中のトリアシルグリセロールを脂肪酸とグリセロールに分解します。遊離した脂肪酸(遊離脂肪酸)の運搬役は血清アルブミンです。遊離脂肪酸は、中性脂肪、肝臓、筋肉などに取り込まれて中性脂肪が合成されます。

VLDL

食事由来の脂質を運ぶのは、キロミクロンだったのに対し、肝臓由来の資質を運ぶのが、VLDLです。これらは一緒に覚えておくと、混乱しなくて済みます。

肝臓は中性脂肪を血中に放出しますが、そのときのリポタンパク質がVLDLです。VLDLとIDLとLDLはものとしては連続的で、血流に乗って移動していくときに血管内皮細胞の表面にあるリポタンパク質リパーゼ(LPL)の働きにより内容物である中性脂肪がグリセロールと脂肪酸に分解されて、内容物が減っていき成分の比率が変わっていき、大きさも小さくなっていくにしたがって、名称が、VLDL→IDL→LDLと変わっていくのです。LDLになると主要な中身はコレステロールエステルになっています。そして末梢でコレステロールエステルが取り込まれて、コレステロールになって利用されます。

VLDLが肝臓から分泌されるのは食事直後と食間のどちらでしょうか?

脂質の栄養に関する記述である.正しいのはどれか.(第27 回(2013 年),83

 食後には,貯蔵脂肪の分解が促進される.
 食後には,血液中のVLDL が減少する.
 絶食によって,血液中のキロミクロンは増加する.
 絶食によって,血液中の遊離脂肪酸は増加する.
 絶食によって,ケトン体の合成は減少する.

管理栄養士国家試験対策|化学同人 https://www.kagakudojin.co.jp/special/kokushitaisaku/1_05-01.html

 

解説を見ると、答えは4番目でした。選択肢の2番は、正しくすると、「食後には、血液中のVLDLが増加する」ということです。

集中講義生化学319ページ~を見ると

「食餌中の脂質や肝臓で合成された脂質は、、どのように、どこへ運ばれるか?(リポタンパク質(1):キロミクロン/VLDL)」という章ですが、

食事をとると肝臓はTGとコレステロールを合成し始める。肝細胞で合成されたTGは、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(MTP)で小胞体内に運ばれ、別経路で運ばれたコレステロールとともにアポリポタンパク質apoB100と融合して超低比重リポタンパク質(VLDL)を形成し、血液中へ分泌される。

とあります。つまり、食後にはVLDLが上昇するわけです。

他の資料をみると、一見逆のような記述も見られます。「食後」というのがどの時間スケールなのかが良くわかりませんが。

Following a meal, pancreatic insulin secretion into the portal vein acutely inhibits VLDL secretion. While the mechanism is complex and incompletely understood, insulin acutely inhibits apoB synthesis, reduces microsomal transfer protein (MTP) expression, and enhances apoB100 degradation (Figure 2). Insulin suppression of both apoB synthesis and secretion has been demonstrated in isolated human and rat hepatocytes, and is associated with increased apoB100 degradation. https://www.sciencedirect.com/topics/neuroscience/very-low-density-lipoprotein

末梢から肝臓へ脂質を運ぶHDL

肝臓から末梢へ脂質を運ぶのがVLDLおよびその成分が途中で変化して名称も変化したIDL, LDLですが、逆に、末梢から肝臓に脂質を運ぶのはHDLです。肝臓から末梢にコレステロールを運ぶLDLは「悪玉コレステロール」と呼ばれるのに対して、末梢から肝臓にコレステロールを運ぶHDLは「善玉コレステロール」としばしば呼ばれています。

  1. 脂質代謝と高脂血症 水谷 尚 ペット栄養学会誌/13 巻 (2010) 1 号 総説