臨床研究のテーマをどうやって決めるか、選ぶかを考える際に、どんな臨床研究のテーマがあるのかその種類を考えて頭を整理しておくのが有効です。また、他人の書いた論文を読む際にも、臨床研究テーマの何に分類される研究かという観点で読むと、内容を素早く把握できると思います。
臨床医にとって、主な研究テーマとなり得るものは、
- 新しい疾患概念の創造
- 予知法、診断法の開発
- 治療法の開発
(臨床研究と論文作成のコツ 松原茂樹 編 東京医学社 2011年 118ページより)
臨床研究のテーマをどうやって決めるか、選ぶかを考える際に、どんな臨床研究のテーマがあるのかその種類を考えて頭を整理しておくのが有効です。また、他人の書いた論文を読む際にも、臨床研究テーマの何に分類される研究かという観点で読むと、内容を素早く把握できると思います。
臨床医にとって、主な研究テーマとなり得るものは、
- 新しい疾患概念の創造
- 予知法、診断法の開発
- 治療法の開発
(臨床研究と論文作成のコツ 松原茂樹 編 東京医学社 2011年 118ページより)
自分の職場では、カフェテリアではみな一方向を向いて一人ひとり互いから距離をおいた状態で個別にご飯を食べています。当初は異様な光景だと思いましたが、いまではもうすっかり馴染みの風景になりました。やはり複数の人と対面で食事をすると、唾も飛ぶでしょうし感染の確立は格段に上がることでしょう。実際、レストランなどで会食したことにより感染したと思われるケースがいくつも報道されています。食堂のテーブルにアクリル板を立てて、互いの唾や飛沫がブロックできるように工夫しているお店もよく見かけます。レストランの経営者の立場からすると、営業しないのは死活問題ですが、客の立場からするとやはりワクチン接種も進んでいないこの時期に友人知人とレストランで会食するのはかなり危険な行為のように思えます。どういう状況で会食時の感染が生じるのか、報道されたケースをまとめておきたいと思います。
新型コロナCOVID-19は重症化しなければラッキーで済む話ではないようです。ウィルス感染後の後遺症である慢性疲労症候群のために職場復帰ができなかった例があるそうです。
若い人の中には、感染してもどうせ無症状か軽症で済むのだから、罹ってもかまわないと考えている人も多いようです。しかしはじめに述べたとおり、感染時の症状がない場合や軽症の場合でも、後遺症になることがあります。年齢も関係ありません。新型コロナに感染してしまうと、だれでも後遺症の可能性があるのです。(抜け毛、息切れ、味覚異常…無症状の若者を襲う「コロナ後遺症」の4つの病態 「コロナ慣れ」が招く後遺症リスク PRESIDENT Online 玉谷 卓也 玉谷 卓也 免疫学者・順天堂大学医学部講師 PRESIDENT ONLINE)]
新型コロナ後遺症として頻度が高い症状には、– 倦怠感:15~87%– 息苦しさ:10~71% – 胸の痛みや違和感:12~44% – 咳:17~26%などがあります。これ以外にも、嗅覚障害、関節痛、頭痛、目や口の乾燥、鼻炎、味覚障害、食欲低下、めまい、筋肉痛、不眠症、脱毛、発汗、下痢、精神機能障害・認知機能障害などの症状が後遺症として報告されてます。これまでの国内外の報告では、新型コロナに感染した人の3人に1人が少なくとも1つ以上の症状を後遺症として経験しています。なお、これらの報告は入院例、重症例を対象にしたものが多く、軽症だった方を含めた後遺症の頻度はもっと低いものと思われます。(新型コロナの後遺症Q&A どんな症状がどれくらい続くのか(2021年1月) 忽那賢志 | 感染症専門医 1/31(日) 12:02 YAHOO!JAPANニュース)
多いのが疲労や息切れ、せき、関節や胸の痛みなど。集中力や思考力が落ちる「ブレーンフォグ(脳の霧)」と呼ばれる状態も起きる。 食べ物や飲み物の味やにおいがしなくなる、異様なにおいに変わるなど味覚・嗅覚障害も多く報告される。発疹や脱毛などの皮膚症状もある。うつや不安、睡眠障害などの精神症状も起きる。(長引くコロナ後遺症 不安やストレスも関係 背景に複数の要因 2021.5.11 0:00 47 NEWS)
慢性疲労症候群はCOVID-19よりもずっと以前から知られています。
アンケート調査票を作成する場合、結果をどうやって集計して、何を主張したいのかまで考えてから質問内容や回答方法を考える必要があります。アンケートをとっても、何も結論が引き出せないのであればアンケート調査を行うことが無駄になります。つまり、なんらかの作業委仮説が必要なのです。こういう集計結果が得られたら、こんな結論が引き出せるのではないかという狙いを定めたうえで質問を考えるわけです。
インセンティブ
参考(分析)
参考(アンケート実施方法)
タ方になると調子が悪くなる、過食や過眠ぎみになる、などの傾向(非定型うつ病 医療法人和楽会)
新型うつ病の一つが、非定型うつ病と呼ばれるものです。‥ 典型的なうつ病では、「不眠」「食欲低下」「自責感」などが多く見られますが、非定型うつ病では、反対に過眠、過食、他人を責めるといった症状が目立ちます。対人関係で過敏になりやすい傾向があります。(非定型うつ病って何ですか? あらたまこころのクリニック)
非定型うつ病の診断基準(DSM-Ⅳ)
- A:気分の反応性(現実に起きている、または起きる可能性のある楽しい出来事に反応して気分が明るくなる)
- B:次の特徴のうち2つ(またはそれ以上):
(1)明らかな体重増加または食欲の増加
(2)過眠
(3)鉛様の麻痺(すなわち、手や足の重い、身体が鉛のように重い感覚)
(4)長期間にわたる、対人関係の拒絶に敏感であるという様式(気分障害のエピソードの間だけに限定されるものではない)で、著しい社会的または職業的障害を引き起こしている。- C:同一エピソード(うつ病である期間)の間にメランコリー型の特徴を伴うもの、また、緊張病性の特徴を伴うものの基準を満たさない。
(非定型うつ病 パークサイド日比谷クリニック )
非定型うつ病は、パニック障害がイミプラミンによく反応する症候群であるということからその疾病概念が成立したのと同じように、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)という薬物に反応した症候群である。現在、わが国で上市されているMAOIはパーキンソン病治療薬としてのセレギリン塩酸塩だけで、うつ病治療薬としては認可されていない。(非定型うつ病(現代うつ病) 貝谷 久宣 医療法人和楽会理事長、同パニック障害研究センター所長 メディカル朝日,第39巻第2号,p24-25,2010)
新型うつ病は、うつ病の一種であると分類する精神科医がいる一方で、新型うつ病はうつ病とはいえないとする精神科医も存在するようです。
“新型うつ病”は「~うつ病」と呼ばれてはいても実は、神経症(パーソナリティ傾向のための適応障害)や重度ストレス反応(ストレスフルな事件や状況に対する心理的反応)、パニック障害(不安発作)、対人緊張の強さ(対人恐怖、社交不安)などである場合がほとんどです。(現代のうつ病 Part2 「現代型うつ病」と“新型うつ病” 関東中央病院 メンタルヘルスセンター長 松浪克文 関東中央病院)
「新型うつ」といわれるような症状(※)の方にお会いしたら、ひとまずは「適応障害」です、とお伝えしています。※編集部註:不眠や気分の落ち込みが見られて本人は苦しいが、常にうつ状態とは限らず、仕事場を離れると気分は回復し、好きなことなら活動的にできるという症状(産業医解説:「新型うつ」とは?適応障害との違い・社員への対応法と注意点 2017-10-02 (更新:2021-05-14)尾林誉史 サンポナビ)
抗酸菌は細菌を色素で染めたときに、酸で色素が脱色されない、つまり酸に抵抗性を示す性質から名付けられています。抗酸菌(マイコバクテリウム)は、結核菌、らい菌、非結核性抗酸菌に大別されます。… 肺非結核性抗酸菌(肺NTM)症の原因となる非結核性抗酸菌の頻度は、日本ではMycobacterium avium (マイコバクテリウム・アビウム)とMycobacterium intracellulare (マイコバクテリウム・イントラセルラー)が約90%です。Mycobacterium aviumとMycobacterium intracellulareはMycobacterium avium complex (略してMAC(マック)と呼びます)に含まれます。https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000266.html
抗酸菌
Mycobacterium属に属する菌種で、分厚い脂質に囲まれ、グラム染色では染色されにくく、抗酸菌染色(抗酸染色、抗酸性染色とも)という特殊な染色法が必要である。acid fast bacilliとも呼ばれる。主要な病原体は、肺結核の原因となる(ヒト型)結核菌 M. tuberculosisである。非結核性抗酸菌のうち、細菌学的性状が類似するM.aviumとM.intracellulareは、M.aviumcomplex(MAC)と総称され ‥ (細菌学講義eText大阪市立大学大学院医学研究科細菌学教室)
日本では肺結核の減少とは対照的にMycobacterium avium complex (以下、MAC)という系統の細菌による肺疾患、肺MAC症が増加しています。2016年の調査では、国内で10万人中15人程度の罹患率とされており、今後も患者数が増える見通しです。しかし、病原体についてのゲノム情報が不足しており、肺MAC症の効果的な治療方法は確立されていません。(肺MAC症原因菌が進化する仕組みを解明 AMED)
肺MAC症に代表される非結核性抗酸菌症は本邦で急増している呼吸器感染症ですが、既存の薬が効きにくく難治性です。(研究成果 肺MAC症病原菌の薬剤標的候補を同定 2020/04/01 新潟大学)
症状がなく、健診や人間ドックでの胸部画像検査で発見されることがしばしばあります。また痰(たん)や咳といった気道症状が続くことや、血痰(けったん:痰に血液が混じっている場合)が出ることで発見されることもあります。多くの場合、10年以上かけてゆっくりと進行し、からだのだるさや体重減少が出ることがあります。https://www.hosp.hyo-med.ac.jp/disease_guide/detail/181
肺MAC症は、確定診断がついてもすぐに治療を開始するとは限りません。無治療でも進行が緩徐なこともあるため、治療した場合の副作用を考慮し、経過観察を行う場合があります。https://www.ntmnavi.jp/treatment/
標準治療は3剤併用療法を基本とし、病型によって他の薬剤が追加されます https://www.ntmnavi.jp/treatment/
肺MAC症で世界共通に使われている3つの薬は、クラリスロマイシン(1日4錠)、エタンブトール、リファンピシンだそうです。これらの3つの薬は同時に使われます。エタンブトールによる副作用として、1割の患者さんでアレルギー性皮疹があるそうです。アレルギー性皮疹は、リファンピシンが原因となる例もあります。リファンピシンの服用により血液検査におけるAST, ALTの値(肝臓機能を表す検査値)が一過的に上昇します。これらの肝機能の検査値の上昇に加えてビリルビンの値も上昇することがあります。
非結核抗酸菌とは
非結核抗酸菌(non-tuberculousis mycobacteria: NTM)は, 結核菌群およびらい菌を除いた約150種類の抗酸菌の総称である。NTMは, 水系(環境水, 上水道), 土壌, 動物の体内などの環境中に豊富に存在し, 環境中の菌を取り込むことで, 免疫不全患者のみならず健常人への感染が成立すると考えられている。感染が成立すると, 特徴的な症状に乏しく, 数年~十数年かけて慢性肉芽腫性病変が緩徐に進行するのが一般的である。ヒト―ヒト感染は, 一部を除いて起こさないとされるため, 患者の隔離は不要である。NTMの中で, ヒトに病原性を有するのは約50種程度であり, NTM症は全抗酸菌症の10~20%を占めると考えられてきた。主たる感染臓器は肺であり, 皮膚感染がそれに続く。(非結核抗酸菌症 IASR Vol. 38 p245-247: 2017年12月号 国立感染症研究所)
MAC同定-DNA 《TaqManPCR法》 LSIメディエンス 健康保険名称:微生物核酸同定・定量検査/マイコバクテリウム・アビウム及びイントラセルラー(MAC)核酸検出 検査方法:ロシュ・リアルタイムPCR法 臨床的意義:非定型抗酸菌の代表である一連の菌群MACの遺伝子を短時間で検出。結核との早期鑑別に有用。
ICGは生体を生染色する方法として、血流の可視化や組織の区域の可視化など、様々な目的で使われているようです。
血漿蛋白と結合したICGは,750~810 nmの近赤外線励起光を照射され励起されると840 nm前後をピークとした蛍光を発する特性を有し,その波長感度を有するカメラシステムを用いて蛍光シグナルを視認することできる.また,ICG蛍光は水やヘモグロビンによる吸光の影響を受けにくいため,対象物の深度5~10 mmであればICG蛍光を透見することが可能である.ICGは肝臓に取り込まれ,ほぼ100%胆汁排泄が行われる特性も合わせ持ち,これまで様々な臨床応用をされている有用な生体内トレーサーである.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jslsm/43/4/43_jslsm-43_0044/_html/-char/ja
ICGは肝において特異的に摂取されるため,大量静注することによって肝表面を緑色調に着色することが可能である.そこで本法により,肝表面の微細所見観察がより詳細となり,さらに着色の特性により肝細胞癌および脂肪肝の診断に有用であるという報告がみられるようになってきている。(ICG静注肝染色法の臨床的有用性の検討とその基礎的研究 名和田浩 https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee1973b/29/2/29_2_235/_pdf)
以下の効能又は効果並びに用法及び用量で承認
[効能又は効果]
- 肝機能検査(血漿消失率、血中停滞率及び肝血流量測定)
- 肝疾患の診断、予後治癒の判定
- 循環機能検査(心拍出量、平均循環時間又は異常血流量の測定)
- 心臓血管系疾患の診断
- 血管及び組織の血流評価
- 次の疾患におけるセンチネルリンパ節の同定 乳癌、悪性黒色腫(波線部変更)
[用法及び用量]
(割愛)
(審査報告書 平成30年5月22日独立行政法人医薬品医療機器総合機構)
ICGの保険適応は、①肝機能検査(血漿消失率、血中停滞率及び肝血流量測定)、肝疾患の診断、予後治癒の判定、②循環機能検査(心拍出量、平均循環時間又は異常血流量の測定)、心臓血管系疾患の診断、③脳神経外科手術時における脳血管の造影(赤外線照射時の蛍光測定による)、④乳癌、悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節の同定の4つでしたが、ICGによる血管、再建組織の血流状態観察(赤外線照射時の蛍光測定による)が公知申請されており、厚生労働省に2018年1月26日に認可されました。添付文書への記載はまだされていないので、2018年4月現在では適応外薬品の状態です。消化器外科手術時に、縫合不全予防のために腸管血流の状態をみることは有用であり、‥(長寿医療研究センター病院レター MAY 21, 2018)
ジアグノグリーン注射用25mg 作成又は改訂年月 2020年 10月改訂 ( 第1版 ) 効能又は効果 肝機能検査(血漿消失率、血中停滞率及び肝血流量測定)肝疾患の診断、予後治癒の判定 循環機能検査(心拍出量、平均循環時間又は異常血流量の測定)心臓血管系疾患の診断 血管及び組織の血流評価 次の疾患におけるセンチネルリンパ節の同定 乳癌、悪性黒色腫
<要望書の記載内容>乳癌手術時や乳房再建、また消化器癌手術時の再建臓器の血流評価などは、患者の生命予後を左右する重要な問題であり、その確認には確実性が要求されるため。<企業見解(適応疾患の重篤性の判断根拠>消化器癌手術では切除と再建を同時に行い、かつ操作する領域が広範囲に及ぶため侵襲が大きく、縫合不全や再建臓器壊死等の合併症を起こすことで致命的になることがあり、ア「生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)」と考える。また、乳房再建等の組織再建術では、皮弁壊死に至った場合には再手術が必要となるため、イ「病気の進行が不可逆的で、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患」と考える。未承認薬・適応外薬の要望に対する企業見解 第一三共株式会社
(厚生労働大臣認定 千葉大学 臨床研究審査委員会)
手術により病変部を切除する際、正常な領域との境界を明確に知るための方法として、indocyanine green (ICG)による染色が行われることがあるそうです。ICGは血漿蛋白質に結合するもので、血流のある部分が緑色の蛍光を示し、虚血で血流がないところが緑色の蛍光を発しないことにより区別がつきます。下の動画は内視鏡とICGイメージングの組み合わせがいかにパワフル化を示しています。
Real-Time Fluorescence (Infrared) Laparoscopy – How it works 2018/07/05 Olympus Medical Systems Europe and MEA
Use of Indocyanine Green in Endometriosis Surgery 2018/06/26 Fertility & Sterility
DaVinci Robotic Endometriosis Diagnosis and Treatment utilizing Firefly Fluorescent Technology 2015/01/14 Andrea Vidali