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オッズ比とハザード比との違い

論文紹介記事を読んでいたらハザード比が出てきたのですが、

睡眠規則性指数(sleep regularity index;SRI):毎日の入眠覚醒サイクルの一貫性を示す。100であれば毎日の入眠と覚醒が同じ時間。0であれば入眠と覚醒の時間が常に異なる。

睡眠の規則性が最も乱れている人(SRIスコアの5パーセンタイルに位置する人)の平均スコアは41点、最も規則正しい人(SRIスコアの95パーセンタイルに位置する人)の平均スコアは71点、スコアの中央値は60点。

中央値7.2年におよぶ追跡期間中に480人が認知症を発症。SRIが5パーセンタイルの人では、SRIが中央値の人に比べて認知症発症のハザード比が1.53(95%信頼区間1.24〜1.89)であり、認知症リスクの増加が認められた。

https://medical-tribune.co.jp/news/2023/1225560559/

オッズ比との違いってなんだっけ?となってしまったのでメモっておきます。なぜごっちゃになったのかというと、似ているところがあるからなんですね。

タバコを吸うと、肺癌になりやすい?

睡眠が不規則だと、認知症になりやすい?

この2つのケースを考えたとき、原因と⇒結果 という関係に関するという点ではどちらも同じです。しかし、患者を一定期間追跡して、時間も考慮して分析するかどうか、それとも、患者の追跡はせず(横断的な研究など)ある時点での原因の有無と結果の有無を集計するだけか、という研究デザインの違いがもしあれば、そこで違いが出てきます。肺癌か認知症かという研究対象の違いでなく、追跡期間を考慮した分析をしたか(時間を追って、イベント発生のタイミングを記録したデータか)どうかという研究手法(=データ収集方法)の違いが大事になってくるというわけです。

リスク比:時間要素を含まない相対指標

オッズ比:時間要素を含まない相対指標。リスク比を近似する指標。

ハザード比:初回イベントまでの速さで比較したリスク比

(参照:統計検定1級対応 統計学 日本統計学会編 2013年 東京図書 第10章 医学生物学分野キーワード 10.4効果の指標)

勉強というのは、似ていること(共通すること)と似ていないこと(異なること)との区別をしていく作業のような気がします。

  1. リスク比(相対危険率)とオッズ比の決定的な違いとは?

タバコを吸う吸わないの違いが、肺癌になる可能性に影響するか?に関して、ある時点での病気の有無と過去の喫煙歴のデータがあったとした場合は(つまり、横断研究や後ろ向き研究によって収集されたデータ)、オッズ比が計算されます。

タバコ吸う:肺癌10人 健常90人

タバコ吸わない:肺癌1人 健常99人

というテーブルが与えられたとしたときに(数字は適当です)、

タバコを吸う人が肺癌になるオッズは10/90 = 0.11

タバコを吸わない人が肺癌になるオッズは1/99=0.01

オッズ比=0.11/0.01 = 11

となります。タバコを吸うと肺癌になる危険が11倍というわけです。

ここで、「時間」の概念は登場していません。ある時点での話というわけです。

それに対してハザード比は、時間経過を問題にした解析方法です。

生存曲線に関する話ですが、死ぬ確率の確率密度関数をf(x)としたときに(横軸xは時間)、tの時点までに死ぬ確率は、f(t)をマイナス無限大からtまで積分したもの

F(t)= $ \int_{-\infty}^{t} $ f(t’)dt’

になります。逆にtの時点でまだ生きている確率S(t)=1-F(t) となります。ここでハザード関数(hazard function)として時刻xにはまだいきているが、その後すぐに死ぬ割合を考えます。

h(t) = f(t) / (1-F(t))

ちなみにh(t) = $\frac{d}{dt}$ (-log S(t))  という関係です。合成関数の微分法を思い出すとlogの微分は分母にきて中身を微分したものを掛けるので確かにそうですね。

  1. 日本統計学会編 統計学実践ワークブック 統計検定準1級対応  7ページ

さて生存曲線やハザード関数は、様々な予後予測因子を変数に含むと考えられるので、X=(X1, X2, …, Xs)をパラメータとして含みます。Xとしてある基準点を考えてX0とし、パラメータがX0のハザード曲線に対して、パラメータがXのハザード曲線がどんな比になるかをしめしたのがハザード比ということになります。このとき、生存曲線のモデルとしてハザード比が時間に依存しないようなものを仮定していれば、ハザード比は時間に無関係なある値を与えます。

  1. 基礎医学統計学改訂第6版 南江堂 141-142ページ

どうも一冊の教科書で、初学者がついていけるような説明をしてくれているものがあまり見当たりません。

ちなみに生存時間の解析では、イベントの発生=死ぬこと が多いですが、生存時間分析自体は一般性があることなので、イベントはなんでもよくて、病気の転移、完治などでも構いません。

  1. 日本統計学会編 統計学実践ワークブック 統計検定準1級対応  158ページ

 

ハザード比の説明を教科書に求めたのですが、案外どの統計学の教科書も初学者向けかつ網羅的な説明がないような気がします(自分が読み取れていないだけ?)。日本統計学会編 の 統計学実践ワークブック 統計検定準1級対応 は数学的にきちんとした説明があって、コンパクトさと網羅性を両立させたために、文章による説明は少ないのですが、理路整然としたまとめ方が自分は気に入っています。

風邪の症状があるため、薬局で買えるコロナ検査キットを試してみた。

ここ数日、体調不良(微熱?)、咳、鼻水で調子が良くないのですが、葛根湯を飲んだり、パブロン滋養強壮剤を飲んだりしてだましだまし生きてました。体のだるさは完全になくなりましたが、昨日は咳がひどくて朝の通勤電車に乗っている間は咳を我慢するために腹筋がつかれました。鼻水もひどくて、駅の売店でポケットティッシュ―を大量に買いました。のど飴ももちろん必須です。今日は咳の頻度はかなり低くなって楽ですがそれでも鼻水がまだ完治していません。

12月と言えば忘年会の季節ですが、風邪気味の状態で忘年会に出るのはリスキーで、もし風邪じゃなくてコロナだったらコロナを拡散させてしまうことになります。もちろん風邪でも人にうつすのはマズいのですが。

薬局で買えるコロナ検査キットで検査すべきかどうか悩みます。検査を周りに勧められたので薬局に出向きました。新型コロナとインフルエンザが同時に検査できるコンボタイプのキットが1980円(消費税10%で、総額2178円)でした。

SARSコロナウイルス抗原キット インフルエンザウイルスキット エスプラインSARS-CoV-2&FluA+B という商品名です。製造は、富士レビオ株式会社。

薬局の中の薬剤師がいるコーナーで薬剤師に声を掛けたら奥から持ってきてくれました。上のウェブサイトにあるような「箱」にははいっていなくて、ジップロックの袋に中身がポロりんと入ってました。購入にあたっては、氏名、住所を書かされました。やったことがあるか聞かれてないというと、採取の方法を説明してくれました。2cmくらい入れて採取するそう。

さて、あらためて説明書を読むと、2つ図があって、??と思いました。よくよく読むと、「鼻咽頭ぬぐい液」の採取方法と、「鼻腔ぬぐい液」の採取方法の2種類でした。鼻咽頭ぬぐい液を採取する場合には、棒をかなり鼻の孔の深くまで突っ込む必要があります。これは、以前、病院で検査を受けたときに医師の人が自分に対してやっていたことだと思います。自分では恐ろしくてこんな深くまで入れるのはできません。それで鼻腔ぬぐいを普通の人はやるようになっているのでしょう。

  1. https://www.fujirebio.co.jp/products-solutions/espline/sars-cov-2/index.html

鼻腔ぬぐい液の採取は、他社メーカーのキットの説明を見ていたら左右両方からと書いていました。しかしメーカー(商品)によっては、一つの鼻の孔だけでよいようです。

  1. https://www.kobayashi.co.jp/cgi-bin2/qa/detail.pl?goods=1615&id=36
  2. https://www.fujirebio.co.jp/products-solutions/espline/sars-cov-2/qa.html

採取した綿棒を突っ込む溶液はすでにチューブに入っていました。しかしチューブの壁や上の部分に液体がついていたりしたので、チューブの先を下にして何回か振って液体が全部底部に集まるようにしました。このチューブはふにゃふにゃで指でおすとへこみます。あとで綿棒を押すようにする必要があるので柔らかい材質なんですね。

さていよいよやってみます。スポンジスワブの包装をひらいてスワブを取り出し、鼻の孔(右にしました)に差し入れました。おもったより柄がやわらかいです。2cmていど挿入するといわれてもどこが2cmかわからないので、挿し込んで鼻の内部にあたってくすぐったい感触がするくらいの深さまでいれました。鼻の出口部分を指で押さえて、出したときに入っていた部分の長さがわかるようにしました。そこで5回転くらい柄の軸を回転させてさらに5秒くらい鼻の壁にくっついた状態で待ち、それから引き出しました。いま鼻水がすごいので、なんか綿棒部分が黄色くなったような気がします。まあだいたい2cmくらい入っていたはず。

液体が予めはいっているチューブ(振って、壁面や上部の液滴が底に集まるように予めしておいた)に綿棒をつっこんで液体部分に先をいれて、説明書通り、チューブを押さえて綿棒部分を押し洗いするようにして採取されたものが液体に溶けだすようにしました。10回くらい回転させながら。

チューブの上部にはめる「滴下チップ」をはめ込んで、静置します。5分。

いよいよ本体部分をアルミ包装から取り出して、机の上に置きます。それからチューブを逆向きにして(滴下チップが下)、「2drops」とかかれた部分の窓の上あたりで滴下。しずかにチューブをはさんで液体が出てくるのをみながら、まず1滴。さらに1滴。液はたくさんあまりますが、2滴落とし込んで、そのあと黄色い部分を押し込みました。

3分するとうっすらと「r」の部分に赤い線が見え始めました。「r」は、対照という意味ですが(多分、リファレンス reference)、ここに線が出ると検査自体が上手くいったという意味になります。r F Cと並んでいます。とりあえずF(インフルエンザ)にもC(新型コロナ)にも線が現れてこないようです(まだ5分しかたってませんが)。普通の風邪なら、FもCも線が出ないということになりますので、風邪であってほしいです。ちなみに室温はエアコンで23度に設定しています。

判定は20分後にすることになっています。説明書をよく読んだら、「r」のところにはもともと赤いラインがあるみたい

です。現れたわけじゃなかったんですかね。

10分経過しましたが、何の線も現れてきません。ただ全体が白っぽかったものが、青みがかってきました。12分してもどこにも線が現れません。ドキドキですね。

18分経過。全体に青みが強くて、バックグランドが高い状態ですが、rのところに線が急に見えてきました。FとCには線はありません。

20分経過しました。「r」のところに非常につよく線が出ています。FやCにはまったくありません。よかった。風邪でした。

(20分後の状態)

26分してみると、rだけ非常に強い太い線が出ています。FとCはどうみても何もなしです。期待通りでホッとしました。

まあ症状からして普通の風邪っぽかったので、今までの経験に照らし合わせて、多分コロナじゃないだろうとは思っていたのですが、確認できて良かった。

ちなみに1時間半後に見てみたら、rの線の色がほとんど黒にちかい青にまで濃くなっていましたが、FやCの部分には線は微塵もなしでした。

 

重要な病原体の検査がこんなに安価で気軽に個人でできる世の中になっているとはすばらしいことですね。検査キットも、もちろん海外のメーカーのものも出回っていますが、自分が使ったのは日本の会社のものでしたし。日本の技術力の高さはありがたいことです。

検査キットに関する参考サイト

  1. 「コロナウイルス抗原検査キット」 に関するQ&A 小林製薬 検体滴下量が少ない、凸部(とつぶ)を押してない、などの場合、縦のスジがでます。縦のスジが出ても判定に影響しません。
  2. エスプライン® SARS-CoV-2 よくあるご質問 【検体採取】 富士レビオ 判定部全体が青色に発色する場合の原因は?試料液の粘性が高く、バック発色をしている可能性があります。また、湿度の高い状況下で測定した場合にも判定部全体が青色に発色することがあります。 鼻咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液以外の検体で検査できますか?現在、承認を取得している検体は「鼻咽頭ぬぐい液」および「鼻腔ぬぐい液」のみです。その他の検体種については臨床試験を検討中です。
  3. GLINE-2019-nCoV Agキット(一般用)の使用方法 MBL医学生物学研究所
  4. 小林製薬のコロナウイルス抗原検査キット エスプライン® エスプラインは富士レビオ株式会社の登録商標です。鼻腔でも唾液でも測れる2WAY検査キット
  5. Panbio 抗原検査キット(第一類) ドラッグストアCREATE
  6. How to self-administer the Abbott PanBio COVID-19 rapid antigen test Prince Edward Island Government チャンネル登録者数 1.39万人

小林製薬が販売している富士レビオ社製のエスプラインは、唾液でも測れるとしていますが、富士レビオ社のFAQを読むと唾液を検体として用いるのは承認されていないという回答でズレがあるようです。

線がうっすら出ている場合どう判断するのか気になるところですが、Abbott社製の製品PanBioの動画説明を見ると、The presence of any test line (T), no matter how faint , indicates a positive results. たとえどんなに薄くても線があれば陽性という判断をすべきだそうです。

メーカーが違えば製品も異なり、手順も多少ことなるようです(何滴垂らすかなど)。製品の説明書をよく読んで、その通りにしたほうがいいでしょう。

t検定とは?t分布に従う検定量Tをつくって検定する方法

正規分布N(μ、σ^2)に従う確率変数Xを変数変換して

Z=X-μ / σ とするとZは標準正規分布N(0, 1)に従うのでした。

正規分布N(μ、σ^2)の母集団からn個の標本を抽出してつくった平均値がどんな分布に従うか?というと、N(μ、(σ/√n)^2)という正規分布に従います(定理)。ちなみに、母集団が正規分布であるという仮定を外して、一般の分布の母集団の話とした場合には、nが大きければ、N(μ、(σ/√n)^2)という正規分布に近づくことも示されています。

  1. 松本裕行・宮原孝夫 数理統計入門 学術図書出版社 57~58ページ

さて母集団は正規分布だったとして話を続けると、標準偏差がσだったのが、標本の分布では、標準偏差はその√n分の1に小さくなるわけですね。母分散σ^2(もしくは母標準偏差σ)が既知であれば、

(標本Xの平均値-μ) / (σ/√n)が標準正規分布に従うという定理を利用して、区間推定ができます。標準正規分布の95%信頼区間は-1.96から1.96までの間なので、

-1.96 ≦(標本Xの平均値-母平均μ)/(σ/√n))≦ 1.96

という不等式を立てることが出来ます。標本抽出をしたわけですから、上の不等式のなかの変数のうち標本Xの平均値、標本数nは既知です今、母標準偏差σも既知の場合を考えるので、未知数は母平均μだけです。よってμについて不等式を解けば、μの範囲(95%信頼区間)が求まるというわけです。

さて、母標準偏差σが既知ならこれでいいのですが、一般的には母標準偏差σが未知であることのほうが多いでしょう。それでも母平均μを推定したいというのが、課せられた問題なわけです。じゃあどうするのか?単純に考えると、わからないものは仕方がないから近いもので代用すればいいんじゃね?という発想があります。つまり母標準偏差σ(未知)のところに標本標準偏差s(既知)を入れてしまえというわけですね。

  1. 小島寛之 完全独習 統計学入門 182ページ

しかしそれではあまり正確ではありません。nが大きければsはσにより近づくでしょうからいいかもしれませんが、通常何かを観察するときに標本数を大きくすることはできませんので、σのかわりにsを使うのは都合が悪いのです。仕事で統計解析を使っているが、正確な分析ができなくて困っていたゴセットさん。いい分析手法が存在しなかったので、ついに自分で編み出してしまったのです。賢い!

t分布(統計量T)を発見したゴセットさんは、μは含むがσは含まないようなうまい統計量を考えだしました。それが統計量Tであり、Tが従う分布というものも見つけだしました。

T = (標本Xの平均値-μ) /(s/√(n-1))

上で示した (標本Xの平均値-μ) / (σ/√n) の式にちょっと似ていますが、ちょっと違います。

σのところがsに置き換わっていますが、nもn-1になっています。そしてこのTという量は、t分布という分布に従うのです。t分布の形は正規分布によくにていますが同じではありません。ただしnが大きくなれば、正規分布に近づきn無限大の極限で正規分布になるような分布です。

どうやって「μは含むがσは含まないようなうまい統計量」を見つけたのでしょうか?それは、σを含む、分布が既知の2つの統計量をそれぞれ分子と分母に持つような統計量を考えたのでした。分子と分母の両方にσが現れるのでそれらは約分されて消えてくれるというわけです。

  1. 小島寛之 完全独習 統計学入門 185ページ

 

χ2乗分布とは?分布の形をいろいろ描いてみる。

χ2乗分布は、標準正規分布する確率変数を例えば3個取り出して

X = x1^2 + x2^2 + x3^3 という2乗和をつくったときにXが従う分布です。

自由度は取り出した変数の数で、今の場合3になります。さてこの手順を10000回繰り返して得られる10000個の2乗和がどんな分布を示すかヒストグラムを書いてみますと、

のようになります。なおヒストグラムはpython3で描きました。python3のコードはChatGPT-3.5に作ってもらいました。

上の図が自由度3のχ2乗分布ですが、自由度が1,2,3,4,5,‥とかわったときに分布の形はどう変わるでしょうか。試しに描いてみます。

こんな感じになります。自由度10まで描きました。縦軸はデータ数が10000個のときの度数です。データ数で除算して相対度数で表示すれば、

となります。自由度が大きくなるほどベルシェープ(正規分布)の形に近づいているように見えます。試しに自由度1000にして、サンプル数100000個のヒストグラムを描いてみます。

どうやらこれは正規分布に近い形ですね。今の場合自由度=1000ですが、それが平均値になっているようです。さらに自由度10000にしてみると(サンプル数100000個)、

これくらい自由度を大きくすると、綺麗に左右対称になりました。

自由度kが十分に大きいときカイ二乗分布XN(k,2k)に収束する

【統計学】カイ二乗分布の正規近似 自由度が無限大のときのカイ二乗統計量 2022年12月23日 ウサギさんの統計学サロン)

やっぱりそうなんですね。プログラムでいろいろ描いてやると、こういったことが簡単にわかって面白いです。プログラミングは、勉強の道具として最高だと思います。自分はプログラミングはほとんどできないのですが、ゼロからこういったコードを書ける必要がもはや全くなくなりました。生成AIの代表格であるChatGPTさまさまです。「こんなことをしてくれるコードをちょうだい。」と投げるだけで、(多くの場合)完全に動くコードを返してもらえます。凄い時代が来たものです。

今は標準正規分布から変数を取り出しましたが、「標準」でない正規分布N(μ, σ^2)の場合はどうすればよいかというと、X-μ / σ という変数を考えれば、これは標準正規分布に従うので、X-μ / σ  の2乗和がχ2乗分布に従うことになります。

 

 

 

 

肝星細胞とは?

肝星細胞(hepatic stellate cell, HSC)の呼称

日本では星細胞という名前よりも伊東細胞の方がまだ馴染みがあるのかもしれません。この細胞には、他にもfat-storing cell, lipocyte, interstitial cell, vitamin A-storing cellなど実に様々な名称で呼ばれてきた歴史があります。http://hepato.umin.jp/kouryu/kouryu05.html

肝星細胞の機能と役割

肝臓の類洞周囲腔に存在する肝臓星細胞はビタミンA貯蔵細胞であるが、ウイルス感染やアルコール摂取など様々な刺激に反応して活性化し、コラーゲンを合成・分泌するようになるため、肝線維化の責任細胞としても知られている。http://hepato.umin.jp/kouryu/kouryu15.html

Ethical, Legal, and Social Implications (ELSI) of Human Genome Research

個人のゲノムDNAを読むことは、倫理的、法的、社会的にどんな影響があるのでしょうか。

 

  1. Now I get it! ELSI and Genome Editing
  2. The 6th ELSI Congress ELSIcon2024: Reimagining the Benefits of Genomic Sciences ELSIcon2024: The 6th ELSI Congress will take place at Columbia University in New York City from June 10-12, 2024.
  3. Three decades of ethical, legal, and social implications research: Looking back to chart a path forward Cell Genomics Volume 2, Issue 7, 13 July 2022
  4. Anticipating the Ethical, Legal, and Social Implications of Human Genome Research: An Ongoing Experiment Eric T. Juengst Am J Med Genet A. 2021 Nov; 185(11): 3369–3376. Published online 2021 Jun 22. doi: 10.1002/ajmg.a.62405 PMCID: PMC8530886 NIHMSID: NIHMS1715777 PMID: 34155808
  5. Analysis of the legal and human rights requirements for genomics in and outside the EU Ref. Ares(2019)2271539 – 29/03/2019 140ページPDF
  6. Legal, Ethical, and Social Issues in Human Genome Research Henry T. Greely Annual Review of Anthropology Vol. 27 (1998), pp. 473-502 (30 pages)
  7. Review of the Ethical, Legal and Social Implications Research Program and Related Activities (1990-1995)
  8. 8 Social, Legal, and Ethical Implications of Genetic Testing Assessing Genetic Risks Implications for Health and Social Policy (1994)

実験の例数nはどう数える?細胞ディッシュ3枚(triplicate)x3回の実験をn=9としてよい?ダメ!

論文を書くときに、n=9などと書きますが、その実験の例数nはどう数えているのでしょうか?異なる分野の研究者と話をしていると、nの数え方が実は、研究分野によって独特だったりするような気がします。

nは個体数

マウス10匹を用いて、各個体におけるある遺伝子の発現量を定量しました。と言う場合は、n=10でわかりやすいでしょう。しかし、実際には、その10匹は1つがいの両親から得られた(1匹の母親から同時に得られた)同腹の10匹だったのか、何回もことなるペアを掛け合わせてえられた10匹(1匹ごとに両親が異なるかもしれないし、数匹は同腹かもしれない)だったのか、いろいろありえるでしょう。親個体が異なれば当然、遺伝子発現量の個体差(遺伝的な背景による差)が大きくなる可能性があります。極端な話、違う系統のマウスの個体を混ぜて10匹としていれば、さらに個体差(系統差)が大きくなるでしょう。通常は一つの系統を使いそのことを論文中に明示します。それが別の系統をつかうと実験結果が変わってくることもあります。マウスのように系統が確立していればまだいいですが、他のモデル生物のように純系が無い場合もあります。そうなると、異なるラボで(ことなる系統のモデル動物を使っているため)結果が再現できないということが起こりえます。雄と雌を揃えたのかどうかなども、実験結果に影響する可能性があります。また遺伝子発現が概日周期を持って変動する場合には、その個体からいつ細胞や臓器を調整したか(1日のうちの何時に)でも結果がばらつく恐れがあります。

個体に由来する細胞の調整であれば(例えば、個体を解剖して脳や肝臓やその他の臓器などから、細胞を取り出して培養する、primary culture)、3個体に関して実験を別々に行い(異なる細胞由来の細胞を混ぜたりはもちろんしない)、3つの測定値を得ることができます。これはn=3(nは個体の数)で、最も望ましい実験だと思います。

装置による物理的な測定の数?

分光光度計で吸光度を測定したりする場合には、同じサンプルに対して何度も測定値を得ることができますし、その測定値が一定しないこともありえます。測定が安定していれば、通常は一度しか測定値を得ないことが多いでしょう。というか、光源が安定して測定値が安定してから(何回測定しても同じ値にしかならなくなってから)、1回だけ測定するのが普通です。もし何回も測定した場合でも、それをnとすることはありません。測定がばらつくのなら測定を繰り返して平均を一つの測定値とすべきでしょう。

試料をtriplicateにして各々を測定した場合

同じ試料(同じ由来の細胞などの抽出液など)をわざわざ3つのチューブに分けて処理(もしくは化学反応など)して、ピペッティングなど手技のバラツキを平均するということも良く行われます。これをn=3と数えるのかどうかは、研究者によって考え方が異なるかもしれません。手技によるバラツキは本来はあってはいけないことなので、これを例数として個別にカウントするのは違うのではないかという気がします。triplicateで実験して得られた3つの測定値は平均して、一つのデータ(値)とすべきでしょう。duplicateやtriplicateで実験することの意味、目的は本来、実験手技のバラツキを補正するためだと思います。n数を稼ぐためにそうするのは、本来の趣旨から外れるでしょう。

培養Wellの数?

96孔プレートを使って細胞を培養して何かを測定するときに、同じ細胞を3つのWellに播いておいて3つの測定値を得るのもTriplicate実験であり、上のチューブ3つに分けた実験と同じことだと思います。

培養ディッシュの数?

株化した細胞を用いた実験やプライマリーカルチャーなどの実験の際に、同一の細胞をディッシュ3枚に播いておいて、それらのディッシュごとに細胞を調整して遺伝子発現をみるなり生化学実験を行うなりしてデータを3つ得るということがあります。これもtriplicate実験で、ディッシュごとのバラツキ(本来はばらつく理由がないですが、さまざまな実験手技によるバラツキ)を補正するのが目的で、これをn=3とするのは趣旨として違うように思います(しかし、実際にはこれをn=3と数えて論文化している研究者は多いと思います)。

細胞調整(細胞をおこしたり)実験の数?

凍結保存してある細胞株を融解して培養して何か生化学実験を行ってデータを得る場合に、細胞をおこすことに関して3回独立に行って、実験結果の再現性を確認するということもあると思います。これをn=3と数えて、再現性がありましたと結論するのは一般的に行われていると思います。その際、培養に用いる血清のロットが変わってしまって、結果がなかなか再現されにくくなってしまうということもあるでしょう。そもそも培養液に添加する血清のロットが変わったくらいで実験結果が変わってしまうのであれば、そんな実験結果を報告することに意味はないと思います。なぜなら、他の研究室では再現できない結果だというわけですから。

さて、何をもってnとするかについて考えてきましたが、これら異なる階層を混ぜてよいか?という問題があります。3個体から別々に肝臓を取り出して肝細胞を調整して、実験する段階では1個体からの肝細胞については3枚のディッシュで別々に培養して(つまりtriplicate実験)サイトカインの定量を行ったときに、これはn=3(nは個体数)と考えるのか、n=3×3=9(nは実験数)とするかという問題です。標本抽出は、同一の母集団からランダムに行うという統計学の常識から考えれば、n=9とするのは無理があるように思います。しかし個体が異なっても、細胞の調整が異なっても、本来それらはバラツキがないはずだという理想的なことを考えれば、n=9が間違いとも言い難いものがあります。ただ現実問題として生物学的には様々な要因でバラツキが生じるものなので、現実的に考えれば、異なる階層のものをまぜこぜにするのは実験結果の解釈を困難にするだけで科学研究のやり方として筋が良いこととは言えません。

上の例では個体数3xtriplicateの3でしたが、細胞株の実験で、細胞を起こしてからの実験が3回、最終段階の培養で3ウェルにtriplicateということもあるでしょう。これをn=9としていいかどうかも、研究者本人の考え方次第といえそうです。正しいか間違いかという議論は意味をなさず、そのやり方をしていて現実的に再現性が高い報告といえるのか、真理にどれだけ近づける研究態度なのかという問題だと思います。ちょっと違った見方をすれば、実験が現実的に成り立つやり方なのかどうか(つまり論文化可能なのかどうか)ともいえます。

自分と同じ疑問がフォーラムに投稿されていました。

ある実験でA vs Bの2群で比較するとき、 A(n=3) vs B(n=3)を3回繰り返し評価するとき、 n=9にするのか、1回毎の平均をとって、n=3にするのか どちらを選択されておられますか? 論文を拝見すると両方あるような気がいたします。(実験の取り扱いについて No.11166-TOPIC – 2023/02/02 (木) 05:15:36 – s Bio Technicalフォーラム)

  1. Error bars in experimental biology Geoff Cumming, Fiona Fidler, David L. Vaux Crossmark: Check for Updates Author and Article Information J Cell Biol (2007) 177 (1): 7–11. April 09 2007  Replicates or independent samples—what is n?

このJCBの論説では、replicate(実験手技のバラツキを補正するためのtriplicateなど)は、nにカウントしてはいけないと明言しています。

  • Similarly, a number of replicate cell cultures can be made by pipetting the same volume of cells from the same stock culture into adjacent wells of a tissue culture plate, and subsequently treating them identically. Although it would be possible to assay the plate and determine the means and errors of the replicate wells, the errors would reflect the accuracy of pipetting, not the reproduciblity of the differences between the experimental cells and the control cells.
  • If an experiment involves triplicate cultures, and is repeated four independent times, then n = 4, not 3 or 12.
  • For n to be greater than 1, the experiment would have to be performed using separate stock cultures, or separate cell clones of the same type.

Error bars in experimental biology Geoff Cumming, Fiona Fidler, David L. Vaux Crossmark: Check for Updates Author and Article Information J Cell Biol (2007) 177 (1): 7–11. April 09 2007  Replicates or independent samples—what is n?

もっともな指摘ですが、実際そうしている人ばかりでないことは明らかです。ですので、注意を喚起しています。たしかに、バラツキが大きくて当然の実験じゃないの?という場合でも、驚くほど小さなエラーバーがついた棒グラフを見かけることがあります。

Whenever you see a figure with very small error bars, you should ask yourself whether the very small variation implied by the error bars is due to analysis of replicates rather than independent samples.

Error bars in experimental biology  J Cell Biol (2007) 177 (1): 7–11.

動物個体やヒトの試料を扱う研究であれば、n=個体数 で何も悩まないでしょう。一番問題になるのは、細胞株を用いた実験だと思います。普通は、一つのラボで一つの細胞株のストックを維持しているはずですので、同一の細胞株だとn=1にしかならないの?と考えるのは現実的ではありません。細胞株Aを用いた実験結果はこうなりましたと論文報告する場合には、ラボにストックされているその単一の細胞株(たいてい凍結して保存)を用いて独立に行った実験(凍結されたストックを融解して細胞を生き返らせるところからスタート)の数がnになると思います。ただし、世の中に多数見られる驚くほど短いエラーバーから察するに、triplicate実験をn=3と数えている研究者がかなりの割合いるのではないかと推察されます(望ましいことではない)。

  1. 実験に必要なサンプル数の考え方【n=3とは?】 実験の「なぜ?どうして?」事典  Triplicate 1回の実験は “n=3” ではなく “n=1”です.

実際の論文の例

みんながどうしているのか?どんな雑誌に掲載されたどんな実験結果ではどうnを数えているのかを見てみます。

replicateをnとしてカウントしている論文の例

メジャーなジャーナルにもtriplicateをn=3回分と数えたデータ分析をしていて、論文が受理(アクセプト)されています。正しい作法だとは言えませんが、これが現実。指導する側の立場にいる研究者は、これで良しとはしないほうがよいと思います。最低限の倫理として、どういうデータ分析をした結果が図に表現されているのかを図のレジェンドに明記するということが大事だと思います。そういう意味においては、以下紹介する論文は道を外してはいません。

Figure 1e. For the MGMT mRNA means with s.d. of triplicates are displayed.

Figure 2. Luciferase activities are expressed as mean±s.d. of triplicate in one representative experiment (each experiment was repeated two to three times).

Nature Communications https://www.nature.com/articles/ncomms9904

上の論文は、triplicateで測定する実験を2~3回行っていますが、図として見せているのはtriplicateの平均および標準偏差だと説明されています。

 

Figure 2. The quantified results are expressed as mean ± SEM of three separate experiments, each performed in triplicate (n = 9).

Scientific Reports https://www.nature.com/articles/s41598-017-00997-w

上の論文は、triplicateをn=3として数えて、実験数をかけてn=9としています。

 

  • Figure 4. Data are expressed as the mean ± SEM; *, P < 0.01. Each bar represents data from three experiments performed in triplicate (n = 9).
  • All incubations were performed in triplicate, and each experiment was repeated three times using different cell preparations.
  • Figure 6. Shown are the mean ± SEM of triplicate determinations of four different experiments.

Endocrinology https://academic.oup.com/endo/article/141/3/1228/2988496

上の例はtriplicateを3回分に数えているようです。

 

  • Experiment 1. Samples were analyzed in triplicate and each experiment was repeated three times.
  • Figure FIG. 3. Values represent the mean (± SEM) for data from three independent studies, with each treatment performed in triplicate (n = 9 per observation).
  • Figure FIG. 4. Values represent the mean (± SEM) from three independent studies, with each treatment performed in triplicate (n = 9 per observation).

Journal of Bone and Mineral Research (JBMR) https://asbmr.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1359/jbmr.2001.16.4.615

上のこの論文もnの数え方が明示されていて、triplicateを3回分に数えています。

 

HUVECs cultures were plated triplicate on different Ti surfaces and plastic cell culture plate. Data are presented by the relative amount of mRNA with the formula 2urn:x-wiley:15493296:media:JBM32539:tex2gif-sup-7 taken plastic plate as a control, statistical analysis (N = 9, three groups repeated three times) was performed by ANOVA with Tukey’s multiple comparison test.

Journal of Biomedical Materials Research https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jbm.a.32539

上の論文もtriplicateを3回と数えていることがわかります。

 

望ましいnの数え方をした論文の例

Figure 2 The results represent the mean of triplicate measurements with PBMC from one healthy donor.

Figure 4 Luciferase activity is expressed as fold increase over control determined as the mean (± SD) of three independent experiments measured in triplicates.

Immunology https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/j.1365-2567.2004.01874.x

上のImmunology掲載の論文は、先のJCBが指摘した厳格なnの数え方を踏襲したものになっていました。triplicateはn=3とは数えておらず、図2の棒グラフにはエラーバーを付けていません。図4の実験はtriplicateで行われていますが平均値やSDの計算に用いられたのは3回の独立した実験の結果であることが明記されています。

Figure 3. Results are mean values from experimental triplicates.

Experimental Hematology https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0301472X0800180X

上の論文も、triplicateからえら得た平均値を示していますがエラーバーは付けていませんので、作法としては正しいと思います。

正しいデータプレゼンテーションができている論文は信頼度が高いと考えてよいでしょう。ちゃんとサイエンスをわかっている人が研究した成果の報告だからです。

 

データ解析で、エラーバーに表示すべきは標準偏差S.D.か標準誤差S.E.M.か?

科学研究論文の図には測定データの平均値が棒グラフで表示されていてその棒には「エラーバー」がつけられています。エラーバーが短いと測定値のバラツキが少ない、エラーバーが長いと測定値がずいぶんばらついているなと思ったりします。

さてそのエラーバーが意味するところは、標準偏差standard deviation (S.D.)でしょうか、それとも標準誤差standard error of the mean (S.E.M.)?逆の立場でいうと、自分が論文を書くときに図に示すべきはS.D.でしょうかそれともS.E.M.でしょうか?

最初に答えを言ってしまうと、ケースバイケースなのでどちらであるべきと言う言い方はできません。(S.E.M.のほうが測定数nの平方根で割った値のためバーが短くなって見栄えがよいので)「S.E.M.にしとけ」などという先生や先輩がいるかもしれませんが、もしもそんな発言があったとすれば、それは統計のことを全く理解していない証拠だと思います。

  1. Standard Error of the Mean vs. Standard Deviation: What’s the Difference? investopedia.com

生データのバラツキ(母集団のばらつき)を読者に示したければS.D.を見せればよいでしょうし、平均値だけに意味があって、生データのバラツキには興味がないのであれば、得られた平均値の信頼性を示すS.E.M.を見せればよいでしょう。なぜなら、標準誤差(S.E.M.)は、「「平均値」の標準偏差」だからです。

  1. 標準誤差とは|標準偏差との違い、エクセルを活用した計算方法を解説 2023年07月14日 GMOリサーチ 標準誤差(SE:standard error)は、推定量の標準偏差で、標本から得られる推定量そのもののバラツキを指します。

平均値の標準偏差と聞いて意味がわからない人のために説明すると、「母集団から標本をn個抽出(研究者でいえば、n回同じものの測定を繰り返す)して、平均値を求めるという操作」を仮に無限回繰り返したとします。するとこの標本平均(これが一つの確率変数)はどんな分布をするのでしょうか?実は、標本抽出を何回も繰り返してえられる「標本平均」の分布の平均値は、もとの母集団の平均値に一致し、その標準偏差の値は、上で求めた標準誤差(S.E.M.)の値になります。だから、測定データセットの標準偏差母集団のデータのばらつきを示すのに対して、測定データセットの標準誤差は、測定された平均値と言うデータのばらつきを示しているのです(「n回の測定」を、多数繰り返して、多数の「平均値」を得たと仮定)。つまり標準誤差を示すことにいよって、その平均値がどれくらいもっともらしいかを示せるわけです。測定回数nを大きくすればするほど(nの平方根でわるので)標準誤差は小さくなりますが、平均値の推定の信頼性が上がるということになります。

さて結論として、S.D.かS.E.M.かですが、自分の考えですが、例えば動物の行動量のように個体差が大きくて個体差のバラツキも読者に伝えたければS.D.を示すことに意味があると思います。また、生化学実験で何かを定量した場合、本来サンプル間でばらつきは無いはずという前提なのであれば(バラツキの原因が手技のブレや、ピペッティング時の誤差などの避けられないバラツキ)、S.E.M.を示すほうが合理的でしょう。

  1. Question29 同じ実験を繰り返して得られた平均値の誤差を出すときに、標準偏差と標準誤差ではどちらを用いるのでしょうか? バイオ実験に絶対使える 統計の基本 2012年10月1日 羊土社

一番大事なことは、エラーバーがS.D.かS.E.M.かを論文に書くということです。当然S.E.M.のつもりだったので書かなかったというのは科学的な態度ではありません。

産学連携を英語でいうと?university-industry collaboration

産学連携を英語ではなんというのでしょうか?辞書をみると(アルク)、

academic-industrial alliance academic-industrial partnerships business-academia collaboration collaboration with industries and universities an industry-academia partnership industry-university cooperation university-industry relation

さまざまな言い方が紹介されていますが、全部が一般的だとは思えません。どれが一番一般的に使われている単語なのでしょうか。

Collaboration

university-industry collaboration

PUBMED検索により論文タイトルで最も使われている語句を調べたところ、university-industry collaborationが最も多いことがわかりました。学術誌を検索したので「産」「学」の順でなく「学」「産」の順が好まれているのでしょう。日本の政府機関やメジャーな大学もこの用語を使っている例を見かけます。

  1. “university-industry collaboration” [title] PUBMED検索 11件
  2. “university-industry collaboration” グーグルスカラー検索 23900件
  3. University-Industry Collaboration & Intellectual Property information 大阪大学 https://www.osaka-u.ac.jp/en/research/sangaku
  4. Industry-Academia Collaboration 東京医科歯科大学 https://www.tmu.ac.jp/english/research/collaboration.html
  5. RIETI Report October 2006 University-Industry Collaboration Impacting Innovation and Economic Growth The Japanese government’s series of sangaku renkei (university-industry collaboration) reforms, begun in the mid 1990s, sought to increase the contribution to national economic growth from Japan’s universities. 経済産業研究所 https://www.rieti.go.jp/en/rieti_report/075.html
  6. Best Practices for Industry-University Collaboration https://sloanreview.mit.edu/article/best-practices-for-industry-university-collaboration/
  7. University-industry collaboration: A glossary of terms As for our role in academia-industry collaboration, IN-PART operates online matchmaking platforms that simplify the initial connection between teams in academia and industry based on the alignment of research interests and priorities. https://in-part.com/blog/university-industry-collaboration-a-glossary-of-terms/
  8. COI management, research universities, and university-industry collaboration 筑波大学 https://coi-sec.tsukuba.ac.jp/en/management/collaboration/
  9. What is University-Industry Collaboration https://www.igi-global.com/dictionary/knowledge-management-in-university-software-industry-collaboration/48150
  10. A guide to university-industry collaboration for early career researchers October 23, 2020 https://ecrcommunity.plos.org/2020/10/23/a-guide-to-university-industry-collaboration-for-early-career-researchers/
  11. Barriers and facilitators of university-industry collaboration for research, development and innovation: a systematic review Published: 26 April 2023 (2023) https://link.springer.com/article/10.1007/s11301-023-00349-1
  12. Establishing successful university–industry collaborations: barriers and enablers deconstructed Open access Published: 30 March 2022 volume 48, pages900–931 (2023) https://link.springer.com/article/10.1007/s10961-022-09932-2
  13. In “Why two heads are better than one: the power of university-industry collaborations(opens in new tab/window),” a recent episode of the Research 2030 podcast, Dr. Tony Boccanfuso(opens in new tab/window), President of UIDP(opens in new tab/window) (University-Industry Demonstration Partnership), notes that, in the United States, the government’s role has been relatively hands-off, but that trend is changing globally. https://www.elsevier.com/academic-and-government/university-industry-collaboration
  14. Scandinavian Journal of Management Volume 31, Issue 3, September 2015, Pages 387-408 Scandinavian Journal of Management Universities–industry collaboration: A systematic review Author links open overlay panelSamuel Ankrah a, Omar AL-Tabbaa b https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0956522115000238
  15. https://www.oecd.org/innovation/university-industry-collaboration-e9c1e648-en.htm
  16. What makes industry–university collaboration succeed? A systematic review of the literature. Industry–university collaborations (IUCs) have received increased attention in management practice and research.https://link.springer.com/article/10.1007/s11573-018-0916-6
  17. How can university-industry collaboration foster innovation and entrepreneurship? https://www.linkedin.com/advice/1/how-can-university-industry-collaboration
  18. The Power of University–Industry Collaborations: Collaborating with Universities Makes Products More Attractive to Consumers 7.25.2023 Lukas Maier, Martin Schreier, Christian V. Baccarella and Kai-Ingo Voigt https://www.ama.org/2023/07/25/the-power-of-university-industry-collaborations-collaborating-with-universities-makes-products-more-attractive-to-consumers/
  19. University-Industry Collaboration in Teaching and Learning Review https://www.education.gov.au/higher-education-reviews-and-consultations/university-industry-collaboration-teaching-learning-review
  20. A framework to improve university–industry collaboration Richa Awasthy, Shayne Flint, Ramesh Sankarnarayana, Richard L. Jones Journal of Industry – University Collaboration ISSN: 2631-357X Open Access. Article publication date: 25 February 2020 Issue publication date: 8 April 2020 https://www.emerald.com/insight/content/doi/10.1108/JIUC-09-2019-0016/full/html
  21. Factors impacting university–industry collaboration in European countries Bojan Ćudić, Peter Alešnik & David Hazemali Journal of Innovation and Entrepreneurship volume 11, Article number: 33 (2022) https://innovation-entrepreneurship.springeropen.com/articles/10.1186/s13731-022-00226-3

industry-academia collaboration

産学連携の直訳としては、industry-academia collaborationではないかと思います。日本の政府系のウェブサイト(AMEDなど)を見てもこの単語が使われているように思います。

  1. “industry-academia collaboration” [title] PUBMED検索 6件
  2. “industry-academia collaboration” グーグルスカラー検索 5500件
  3. The Gibco™ CTS™ Rotea™ system story-a case study of industry-academia collaboration https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34108630/
  4. The purpose of this initiative is to conduct a wide range of industry-academia collaborations in non-competitive areas over multiple years against the area that are difficult for single academia or company to address (Areas where basic research and drug discovery technologies have not produced sufficient results due to the limited number of patients or the necessity for collaboration among different industries etc.), and to implement research and development for innovative pharmaceuticals, medical devices, healthcare, etc. that cannot be created through conventional schemes. https://www.amed.go.jp/en/program/list/18/03/002.html
  5. Hopefully we will see this very wonderful industry, academia collaboration happening between a global university, like Oxford University, and a company in India. https://www.elsevier.com/academic-and-government/university-industry-collaboration
  6.  The study highlights a number of considerations and concerns that need to be addressed in future industry-academia collaborations that draw on trace data or usage telemetry. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37251306/
  7. We additionally report feedback from the technology developers to demonstrate impact of industry-academia collaboration. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36937251/
  8. Co-designing the model based on previous knowledge demonstrates a viable approach to industry-academia collaboration and provides a practical solution that can support practitioners in making informed decisions based on a holistic analysis of business, organisation and technical factors. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36875006/
  9. This study shows the role of digital transformation in amplifying the effects of TMT diversity on green innovation and the crucial role of industry-academia-research collaboration as a mediator. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37954178/
  10. How Grenoble has mastered industry-academia science collaborations https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36658353/

academia industry collaboration

  1. As for our role in academia-industry collaboration, IN-PART operates online matchmaking platforms that simplify the initial connection between teams in academia and industry based on the alignment of research interests and priorities. https://in-part.com/blog/university-industry-collaboration-a-glossary-of-terms/

business-academia collaboration

  1. “business-academia collaboration” グーグルスカラー検索 261件
  2. Another example of this business-academia collaboration is our work on building acoustics.  https://hbr.org/2016/05/industry-academic-partnerships-can-solve-bigger-problems

Partnership

industry-academia partnership

  1. “industry-academia partnership” グーグルスカラー検索 1780件
  2. We expect that such a model of industry-academia partnership could well be a fountainhead for creating the sustainable buildings that hot and humid climates will need in the future. https://hbr.org/2016/05/industry-academic-partnerships-can-solve-bigger-problems
  3. The Industry-Academia Partnership (IAP) is association founded in 2013 that brings together industry and university experts to pursue research in Web 2.0 and 3.0 applications and infrastructure, including AI and machine learning, hardware acceleration, networking, security, and storage. https://www.industry-academia.org/

academic-industry partnership

  1. “academic-industry partnership” グーグルスカラー検索 1080件
  2. The discovery of a novel antibiotic for the treatment of Clostridium difficile infections: a story of an effective academic-industrial partnership https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26949507/

University-industry partnership

  1. Why University-Industry Partnerships Matter ANTHONY M. BOCCANFUSOAuthors Info & Affiliations SCIENCE TRANSLATIONAL MEDICINE 29 Sep 2010 Vol 2, Issue 51 p. 51cm25 DOI: 10.1126/scitranslmed.3001066 https://www.science.org/doi/10.1126/scitranslmed.3001066

Alliance

academia industry alliance

  1. “academia industry alliance” グーグルスカラー検索47件
  2. The Academia Industry Alliance aims to connect entrepreneurs, scientists, technology workers and businesses. https://www.cuanschutz.edu/services/academia-industry-alliance

Cooperation

  1. University-Industry Research Cooperation 日本学術振興会 https://www.jsps.go.jp/english/e-soc/

産学官連携についても見てみます。

  1. Outlook on Industry-Academia-Government Collaborations Impacting Medical Device Innovation https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37860788/
  2. Industry-government-academia collaboration takes many forms, typical examples at Kyoto University being: 京都大学 https://www.kyoto-u.ac.jp/en/global/global-partners/industry
  3. We are an organization at Hokkaido University that establishes the Policy on Government-Industry-Academia Collaborations and crystallizes the integration of research findings into society. 北海道大学 https://www.mcip.hokudai.ac.jp/en/service/collaboration/

日本語の論文を英文論文で引用するときの書法は?

英語で論文を書くときに、日本語で和雑誌に発表された論文を引用したい場合がありますが、そのときはどのように引用すればよいのでしょうか。著者氏名や論文タイトルを日本語で書くのは明らかに不適切です。最近は日本語論文であっても、概要とタイトルだけは英語も付いている例が多いですが、そうでない場合には自分で英訳してしまってよいものなのでしょうか?

英語で論文を書く際に日本語の文献を引用した場合において、
①文献名の表記方法について、参考になる資料はないか。
②引用部分を翻訳して記載することに問題はないか。

レファレンス協同データベース

自分が抱いた疑問と全く同じ質問がすでにネット上にありました。回答を読むと、自分で翻訳して引用するのはOKのようです。また、原著が日本語であることを注釈としてつけることもしてよいようです。