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α-リポ酸 (alpha-lipoic acid)の強力な抗酸化作用

α-リポ酸は、ビタミン様の物質であり、エネルギー代謝において、解糖系の産物であるピルビン酸からアセチルCoAを作る際に働く酵素「ピルビン酸脱水素化酵素複合体」の補酵素として重要です。また、強い抗酸化作用を持つことから、他の抗酸化作用を持つビタミンCなどの物質を還元してリサイクルする役割も担います。

  1. 1,2一ジチオラン環を持つ天然抗酸化物質,リボ酸の科学 オレオサイエンス第1巻第1号(2001) 1951年,これらの研究に終止符を打つ形でReedらにより酸化型α一リボ酸が単離同定 リボ酸はリポアミドとして生体中に存在しているが,常にリジンのε一アミノ基と共有結合をなしている。リボ酸は5員環状の1,2一ジチオラン環を分子内に有するオクタン酸の誘導体であり,これが二電子還元を受けるとジヒドロリポ酸に変化する。ジヒドロリポ酸はFADとの相互作用によりリボ酸に酸化され,この際にNADHがNAD+に酸化される。 ジヒドロリポ酸(DHLA)は,その還元電位が-0.32Vであり,酸化型グルタチオン(GSSG)を還元型(GSH)に戻す能力をもっている(GSSG→GSH,-0.24V)。
  2. リポ酸 日本微量栄養素情報センター ライナスポーリング研究所 リポ酸は特定のタンパク質に共役結合しており、それらはミトコンドリアのエネルギーおよびアミノ酸代謝に関わる必須多酵素複合体の一部として機能する。タンパク質に結合したリポ酸の生理学的機能に加えて、薬理学的用量の遊離(非結合性)リポ酸を治療に使用する可能性に科学的および医学的関心が高まっている。
  3. The Amazing Benefits of Alpha-Lipoic Acid Dr. Eric Berg DC (YOUTUBE)
  4. α-リポ酸の効果 オーソモレキュラー栄養医学研究所 α-リポ酸はチオクト酸ともよばれ、抗酸化作用を持つ硫黄を含んだビタミン様物質です。α-リポ酸の還元型がジヒドロリポ酸で、この両方に強い抗酸化作用があります。α-リポ酸には、ビタミンCビタミンECoQ10グルタチオンなどの抗酸化力をリサイクルする働きがあります。
  5. アルファリポ酸とは 札幌麻酔クリニック

α-リポ酸はビタミンか

  1. α-リポ酸に関するQ&A 厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室 文献によってはα-リポ酸をビタミンと記載しているものもありますが、α-リポ酸はビタミンではなく、ビタミン様物質として扱われています。

参考

  1. 酸化還元電位とは 水問屋 酸化させる力と還元させる力の差を電位差で表した数値のことです。この数値がプラスなら酸化力が高く、マイナスなら還元力に優れていることを表します。 物質が電子を失うことを酸化電子が獲得することを還元

化合物の命名法 IUPAC,慣習

化合物の構造式があったときに、炭素鎖が一番長くなるような炭素鎖を主鎖として、炭素数によって接頭語が与えられます。

アルカンの命名法

飽和脂肪族(alkane)の場合は語尾が-aneになりますので、

炭素数1のCH4は、methane メタン

炭素数2のCH3CH3は、ethane エタン

炭素数3のCH3CHCH3は、propane プロパン

炭素数4のCH3CHCHCH3は、butane ブタン

炭素数5のCH3CHCHCHCH3は、pentane ペンタン

炭素数6は、hexane ヘキサン

炭素数7は、heptane へプタン

炭素数8は、octane オクタン

炭素数9は、nonane ノナン

炭素数10は、decane デナン

となります。

アルケン

二重結合がある脂肪族はアルケン(alkene)と呼ばれます。

CH3CH=CH2CH3CH=CH-CH2CH3 であれば、octa-2,5-diene オクタ-2,5-ジエン。

炭素の位置の呼び方

官能基がついている炭素を1とするが、官能基の優先順位としてはカルボキシ基が最優先。例えば、

CH3CHCH(CH3)CH2COOH は、右側から1位なので、3位にメチル基がついていることから、

3-methylpentanoic acid となります。-oic acidはカルボン酸に対する名称です。

CH3CH=CHCH2COOH であれば、3位の炭素に二重結合があるので、3-en であり、炭素数5のカルボン酸なので、pent-3-enoic acid になります。

IUPACの命名には従わない慣習的な呼び方として、官能基の隣から順にα炭素、β炭素、最後がω炭素となる呼び方があります。タンパク質を構成するアミノ酸は、α‐アミノ酸ですが、例えばアラニンの場合には、β位の炭素にアミノ基が結合した、β‐アラニンという化合物が考えられます。脂肪酸のβ酸化というものも有名ですが、これもカルボキシ基の炭素が1位で、2位の炭素がα炭素、3位の炭素がβ炭素ということになり、β位の炭素 -CH2- が酸化されて -C(=O)- となるので、β酸化と呼ばれているわけです。

参考

  1. 有機化合物の名称 sci.kanagawa-u.ac.jp
  2. α炭素(ウィキペディア)
  3. 有機化合物の命名法 scc.kyushu-u.ac.jp
  4. 有機化合物のIUPAC命名法 まちがった命名をしないための要点 畑一夫 置換命名法は,母体炭化水素名に接尾語-olをつけ,異性体を区別するのには,OHの結合している炭素原子の位置番号を付記する。例:1-propanol  基官能命名法は,OHの結合している基名の後に官能名alcoholを書き,英語の場合,基名と官能名とは別語として別けて書く。異性体を区別するには,基の異性を表わす記号を付記する。例:propyl alcohol  置換命名法は炭化水素名から導かれるので, isopropanol,t-butanolといえば,isopropane, t-butaneという炭化水素が存在しなければならないことになる。これらの誤名が一般に広く通用してしまった
  5. 多重命名法 2000-11-04 貞廣知行 

運動が頭に良いわけ:筋肉と脳との関係

運動をしたほうが頭がボケにくいと言われますが、一体どんな根拠があるのでしょうか。あるいは、運動をすればするほど、頭が良くなると言えるのでしょうか。筋肉と脳はどのように関係しているのでしょうか。

Wendy Suzuki: The brain-changing benefits of exercise | TED TED

Effects of Exercise on the Brain, Animation Alila Medical Media

骨格筋が分泌するマイオカイン

筋肉の役割は、単に体を動かすだけではないのだとしたら驚きです。運動すると骨格筋の細胞はインターロイキンー6(IL-6)をはじめとする「マイオカイン」を分泌することがわかっています。マイオカインというのは、骨格筋が分泌するシグナル分子の総称です。

  1. 骨格筋のバイオロジーからみた身体活動性の重要性 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 2021 年 30 巻 1 号 p. 1-7 加齢減少による筋肉のやせは遅筋の減少によると言われている一方,サルコペニアでは速筋の減少が知られている1

レビュー論文

  1. How does the skeletal muscle communicate with the brain in health and disease?(無料要旨) Neuropharmacology Volume 197, 1 October 2021, 108744 Neuropharmacology Invited review  Alinny R.IsaacRicardo A.S.Lima-FilhoMychael V.Lourenco
  2. Physical activity and muscle–brain crosstalk(無料要旨) Bente Klarlund Pedersen Nature Reviews Endocrinology volume 15, pages383–392 (2019) Published: 05 March 2019 Cathepsin B is an exercise-induced myokine required for exercise-induced improvement in memory and adult neurogenesis. Exercise enhances neuronal gene expression of FNDC5, the protein product of which might stimulate brain-derived neurotrophic factor in the hippocampus.

その他の参考記事

造血の場所?成体の血液は骨髄で作られ、胎児期は肝臓で作られる

血液(赤血球)は骨髄で作られると理解していますが、胎児の発生の早い時期には骨髄ではない違う器官で血液が作られていると知り驚きました。造血の場所が発生にともなって変わっていくというのです。

image

https://oncohemakey.com/hematopoiesis-2/

マウスと人では呼び名なども多少異なるみたいです。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006497120478036

  1. Embryonic origins of mammalian hematopoiesis January 2004Experimental Hematology 31(12):1160-9 DOI:10.1016/j.exphem.2003.08.019 https://www.researchgate.net/publication/8971238_Embryonic_origins_of_mammalian_hematopoiesis

一次造血(卵黄嚢)と二次造血(それ以降)の違い

  • 初期の造血は,(マウス)胎生 7~ 8日に胚体外組織である卵黄嚢(yolk sac)の血島で発生し,これを一次造血(primitive hematopoiesis)という.
  • 中期以降の造血を担うことになる二次造血(definitive hematopoiesis)は,(マウス)胎生10日頃の胚体内の AGM 領域(AGM region :大動脈(aorta),性腺(gonad),中腎(mesonephros)を含む領域)に出現し 4, 5),その後造血の場を胎仔(fetal liver)に移す6).そこで造血細胞は劇的に増幅した後,最終的には骨髄脾臓へと移動し,その後一生にわたって血液細胞を供給する
  • 造血幹細胞やリンパ球造血は一次造血には存在しない。二
    次造血において初めて出現する。
  • 一次造血で作られる赤血球(胚型赤血球)は成熟しても脱核することはなく有核のまま

再生医学と赤血球造血 辻 浩一郎 膜(MEMBRANE),32(3),155­162(2007) https://www.jstage.jst.go.jp/article/membrane/32/3/32_155/_pdf

 

体の中でどの臓器で作られているのか?知識を整理したいと思います。

骨髄が造血の場所

赤血球は骨髄で作られます。骨髄には、「造血幹細胞」という、赤血球に限らずさまざまな血液細胞に分化するもとになる細胞が存在しています。骨髄は造血の場所だったわけですね。

  1. 血球はどこで作られるの? 看護roo!

腎臓がエリスロポエチンを産生して造血を指示

血液中の赤血球の量が少なくなると、腎臓でそれが感知されて、腎臓からはエリスロポエチンというホルモンが分泌されますエリスロポエチンは骨髄に働きかけて赤血球の増産を促します。

  1. 血はどのようにしてつくられる?
  2. 血液細胞の発生と分化 仲 野 徹 化学 と生物 Vol. 38, No. 2, 2000 赤血球生のホルモンともいうべきエリスロポエチンを欠損するマウスでは,後述する一次造血は正常であるが,二次造血において赤血球がまったく生されずに子宮で貧血により死亡してしまう.
  3. 腎臓の構造と働き 日本腎臓学会 腎臓の間質で作られるエリスロポエチンは、赤血球の前駆細胞に働きかけ赤血球の産生を亢進させます。慢性腎臓病が進行すると、エリスロポエチンの産生が不十分となり、貧血になります。これを腎性貧血と言います。

脾臓でのヘモグロビンの分解

  1. ヘモグロビン

胎児期の造血のメカニズム

人間の体は不思議なもので、生体と胎児ではメカニズムが異なることがあります。造血もその例の一つ。

血液の細胞は、造血幹細胞から作られます。造血幹細胞は、その前駆細胞である血管内皮細胞から作られます。造血幹細胞は胎生期に、大動脈の血管内皮細胞から、プレ造血幹細胞を経て発生してきます。プレ造血幹細胞から造血幹細胞への発生には、stem cell factor (SCF)と、トロンボポエチン(TPO)の2つの因子が必要で、プレ造血幹細胞にはそれぞれに対する受容体があります。トロンボポエチン(TPO)は、肝芽細胞が産生しており、プレ造血幹細胞大動脈内腔SCFシグナルに曝されたのち、肝臓に移動して今度はTPOシグナルに曝されて、造血細胞へと分化していくのです(胎生12日頃)。

  1. 科学新聞2024年8月30日 「造血幹細胞の発生過程 試験管内で再現に成功」(熊本大学)PNAS7月23日付

髄外造血について

  1. 髄外造血とは,骨髄以外の部位での異常な造血であり,造 血能の低下をみとめる疾患に合併することがある.髄外造血 のおこる部位としては脾臓や肝臓が主であるが,その他の部 位でも髄外造血巣をみとめることがある 1)2) .https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/054010027.pdf

 

以下の通り、造血に関してclaude.aiにまとめてもらいました。

造血細胞の最上流に位置する細胞は、胚盤胞の内部細胞塊に由来する「多能性幹細胞」です。この細胞から始まり、段階的に分化して最終的に造血幹細胞が形成されます。以下に、その系譜を示します:

  1. 多能性幹細胞(胚性幹細胞) |
  2. 中胚葉 |
  3. 血管芽細胞/血球芽細胞(ヘマンジオブラスト) |
  4. 造血内皮細胞 |
  5. 造血幹細胞

この過程の詳細は以下の通りです:

  1. 多能性幹細胞: 胚盤胞の内部細胞塊に由来し、すべての胚葉(外胚葉、中胚葉、内胚葉)に分化する能力を持つ。
  2. 中胚葉: 胚発生の過程で形成される3つの胚葉の1つ。血液系を含む多くの組織の起源となる。
  3. 血管芽細胞/血球芽細胞(ヘマンジオブラスト): 血管と血液細胞の両方に分化できる共通の前駆細胞。
  4. 造血内皮細胞: 血管内皮の特徴を持ちながら、造血能力も有する特殊な細胞。主に卵黄嚢や大動脈-生殖腺-中腎領域で観察される。
  5. 造血幹細胞: すべての血液細胞系統に分化する能力を持つ、成体の造血システムの基盤となる細胞。

この過程は主に胚発生期に起こり、その後、造血幹細胞は自己複製能を獲得し、成体の骨髄で維持されます。

造血細胞系譜の発生過程に関する参考文献

  1. 多能性幹細胞(胚性幹細胞)
    • タイトル: “Embryonic stem cell lines derived from human blastocysts”
    • 著者: Thomson JA, et al.
    • 雑誌: Science
    • DOI: 10.1126/science.282.5391.1145
  2. 中胚葉
    • タイトル: “Mesodermal commitment and differentiation: from foxes to hedgehogs”
    • 著者: Kimelman D.
    • 雑誌: Nature Reviews Molecular Cell Biology
    • DOI: 10.1038/nrm2009
  3. 血管芽細胞/血球芽細胞(ヘマンジオブラスト)
    • タイトル: “In vitro generation of lymphohematopoietic cells from endothelial cells purified from murine embryos”
    • 著者: Nishikawa SI, et al.
    • 雑誌: Immunity
    • DOI: 10.1016/s1074-7613(00)80165-x
  4. 造血内皮細胞
    • タイトル: “Runx1 is essential for hematopoietic commitment at the hemangioblast stage of development in vitro”
    • 著者: Lacaud G, et al.
    • 雑誌: Blood
    • DOI: 10.1182/blood-2002-04-1024
  5. 造血幹細胞
    • タイトル: “Identification of a novel hierarchy of endothelial progenitor cells using human peripheral and umbilical cord blood”
    • 著者: Asahara T, et al.
    • 雑誌: Blood
    • DOI: 10.1182/blood.V100.9.3527

造血の場の移動

血液を作る場所(臓器)が発生の時期で異なるというのは自分にはかなりの驚きでした。最初は卵黄嚢で作られるそうで、血液や血管をつくることになる細胞の凝集は「血島」と呼ばれます。造血の場が移動するのは、造血幹細胞が次の場へと移動することにより起こるそうです。異なる臓器が造血を始めるというわけではないというのもまた面白味があります。造血幹細胞がさすらい人のように旅をするんですね。

胎生期造血の最大の特徴は,造血臓器が胎児の発育に伴い移動することである.但し,最近まで,造血細胞自身が実際に造血臓器間を移動するのか,あるいは,各々の造血臓器で新たな造血が発生するのかについては,厳密に検証されてきたわけではなかったが,解析技術の進歩により,胎生期造血においては実際に造血細胞が造血臓器を移動することが明らかになってきた.https://www.jstage.jst.go.jp/article/membrane/32/3/32_155/_pdf

胎生期の造血の場所

  1. 卵黄嚢(Yolk sac)
    • 時期:胎生初期(ヒトでは約2~3週)
    • 特徴:原始造血と呼ばれ、主に赤血球を産生
  2. 大動脈-生殖腺-中腎領域(AGM region: Aorta-Gonad-Mesonephros region)
    • 時期:胎生中期(ヒトでは約3~6週)
    • 特徴:最初の定住性造血幹細胞が出現する場所とされる
  3. 胎盤(Placenta)
    • 時期:胎生中期から後期
    • 特徴:造血幹細胞の増幅や維持に重要な役割を果たす
  4. 肝臓(Liver)
    • 時期:胎生中期から後期(ヒトでは約6週から出生まで)
    • 特徴:胎児期の主要な造血器官。造血幹細胞の増幅と分化が活発に行われる
  5. 脾臓(Spleen)
    • 時期:胎生後期
    • 特徴:補助的な造血器官として機能
  6. 胸腺(Thymus)
    • 時期:胎生中期から後期
    • 特徴:T細胞の発生・分化に特化
  7. 骨髄(Bone marrow)
    • 時期:胎生後期から生後(ヒトでは妊娠後期から)
    • 特徴:出生後の主要な造血器官。胎生期後期から造血が始まり、徐々に肝臓からの造血の場の移動が完了する

国際特許分類(IPC)やFI、FタームによるJ-Plat Patでの特許検索とパテントマップの作成方法など

国際特許分類(IPC)やFI、FタームによるJ-Plat Patでの特許検索とパテントマップの作成方法などについての纏め。

  1. 知財インテリジェンスサービスの紹介(試行)(特許庁)
  2. (上級)特許調査研修(審査官の視点に近づこう!)テキスト 国際特許分類、FI、Fテキストタームの概要とそれらを用いた先行技術調査(独立行政法人 工業所有権情報・研修館)本テキストは、登録調査機関の調査業務実施者が必要とする国際特許分類に関する知識を理解・習得することを目的として、特許庁から原稿の提供を受けて作成したものです。
  3. 技術者・研究者のための 特許マップ作成法と 特許検索手法 ~ 他社に先駆けた技術潮流・新たな課題の発見 ~ ~ 自社製品に使える要素技術のブレイクスルーの予見 ~ 2019.7.3 英究特許事務所 弁理士 小島 浩嗣
  4. 野崎篤志のイーパテントチャンネル-調査・分析系中心- YOUTUBE動画チュートリアル 【無料で出来るパテントマップ作成講座1】J-PlatPatの検索結果一覧をExcelに貼り付け  【無料で出来るパテントマップ作成講座4】グラフ化・パテントマップを作成する
  5. J-Plat Pat FIセクション/広域ファセット選択 Aセクション生活必需品 Bセクション処理操作;運輸 Cセクション化学;冶金 Dセクション繊維;紙 Eセクション固定構造物 Fセクション機械工学;照明;加熱;武器;爆破 Gセクション物理学 Hセクション電気 広域ファセット
  6. パテントマップ(グラフ)作成・活用の大原則 ぱっとマイニング

生存曲線の分析:カプラン・マイヤー法とは

カプラン・マイヤー法の必要性

治療方法Aと治療方法Bとで治療成績の違いを知りたいときに、一定期間後に病気の再発が起きたかどうかを調べればすむのではないかと思いますが、話はそう単純ではありません。まず患者によって治療開始時期がことなるため、観察期間がまちまちです。患者が転院したり引っ越していなくなったりすると、その時点までしかデータがありません。

あるいは、観察終了時の生存率や治療成績だけでなく、途中における生存率を知りたいという場合もあります。そのときにはカプラン・マイヤー曲線を描いてやれば、途中経過を見ることができるようになります。

  1. カプランマイヤー法 アイスタット
  2. カプランマイヤー曲線(新谷歩)医学会新聞2012

MSTとは

生存率が50%となる時間ポイントを、生存期間中央値(median survival time:MST)と呼ぶそうです。治療効果が高くて、観察期間中、80%の人が生存していたら、生存率50%のポイントはわからないわけですが、そういうときはどうするのでしょうか。,MSTが計算できないときは年次生存率で議論すればよいようです。

  1. 医学統計セミナー 下川 2019

カプラン・マイヤー曲線を描き方

  1. 第9章 生存期間の解析 http://www.chugaiigaku.jp/images/EZR/sample3.pdf

カプラン・マイヤー解析例(論文)

  1. Approaches to Catheter Ablation for Persistent Atrial Fibrillation Kaplan–Meier estimates of freedom from documented atrial fibrillation more than 30 seconds after a single procedure, with or without the use of antiarrhythmic medications

カプラン・マイヤー法に関するその他の参考記事

  1. 生存時間分析 AMED

解糖系~TCA回路~電子伝達系:ATP産生のまとめ

解糖系のまとめ

解糖系の出発材料はグルコースで、最終産物はピルビン酸です。2分子のNADHと2分子のATPが産生されます。

C6H12O6(グルコース)+2NAD+ → 2C3H4O3(ピルビン酸)+2(NADH+H+)+2ATP

覚えておこう!

  1. 解糖系ではグルコース1分子から2分子のATPが産生される。
  2. 解糖系でエネルギー(ATP)を作りだすとき、酸素は必要ない。

☞ 解糖系をもっと詳しく

TCA回路のまとめ

解糖系の最終産物ピルビン酸はアセチルCoAni変換されてTCA回路に入ります。TCA回路では8分子のNADHと2分子のFADH2が産生されるほか、産生されるGTPがその後ATPに変換されるため、ピルビン酸2分子(つまりグルコース1分子)あたり2分子のATPが結果的に産生されます。

2C3H4O3(ピルビン酸)+6H2O+8NAD++2FAD → 6CO2(二酸化炭素)+8(NADH+H+)+2FADH2+2ATP(間接的に)

覚えておこう!

  1. TCA回路では酸素は必要ない。
  2. TCA回路では二酸化炭素が産生される。人間が呼吸で吐きだす息に二酸化炭素が含まれるが、それがこれ!
  3. TCA回路ではATPは直接は産生されない(産生されるのはGTPで、これがATPに変換される)

電子伝達系のまとめ

電子伝達系(酸化的リン酸化とも呼ばれる)においては、10分子のNADHと2分子のFADH2が電子供与体となり、その電子は酸素分子が受取り、プロトン(H+)勾配が形成され、その勾配を利用して最大34個のATPが産生されます。

10(NADH+H+)+2FADH2+6O2(酸素)→12H2O+10NAD++2FAD+最大34ATP

さて、トータルで産生されるATPの数はというと、解糖系で2分子、TCA回路で2分子、電子伝達系で(最大)34分子、なので合わせて(最大)38分子のATP産生ということになります。人間は肺呼吸で酸素を吸い、二酸化炭素を吐き出すわけですが、その酸素は、この細胞呼吸において使われ、二酸化炭素が産生されて排出されるということになります。

覚えておこう!

  1. 電子伝達系は、酸化的リン酸化とも呼ばれる。
  2. 電子伝達系では、電子が受け渡されていくが、電子を与える「電子供与体」はNADHとFADH2である。
  3. 電子伝達系で、電子を受け取るのは「酸素」である。
  4. 電子伝達系では、酸素が必要。だから人間は常時呼吸によって酸素を体内に取り入れているのです。
  5. 酸化的リン酸化では(グルコース1分子あたり)ATPが34個もできる。それに対して解糖系でできるATPはたったの2個だった。
  6. がん細胞では、酸素が存在していても酸化的リン酸化ではなく解糖系だけでエネルギー産生(ATP産生)を行っている(好気的解糖と呼ぶ)。これは発見者にちなんでワーブルグ効果とも呼ばれる。

細胞内呼吸(解糖系+TCA回路+電子伝達系)

C6H12O6(グルコース)+6O2(酸素)→ 6CO2(二酸化炭素)+6H2O(水)+エネルギー(38ATP)

ADPとリン酸を左に書いていませんでしたが、実際には38ADP+38リン酸⇒38ATPということになります。

自分が息を吸って吐くたびに、こうやってATPが産生されているのかと思うと、不思議ですね。

覚えておこう!

  1. 解糖系、TCA回路、酸化的リン酸化全部あわせると、結果として3グルコース1個あたり38個のATPが産生される。
  2. C6H12O6(グルコース)+6O2(酸素)→ 6CO2(二酸化炭素)+6H2O(水)+エネルギー というのは、植物が行っている光合成の逆反応。つまり人間や動物は酸素をつかってグルコースからエネルギーを取り出し、二酸化炭素と水が副産物として産生される。植物は逆に、太陽エネルギーをつかって二酸化炭素と水から、酸素とグルコースを産生している。

参考サイト

  1. リメディアル教育2021 第7回 日本大学

好気的解糖とは ワールブルグ(Warburg)効果 その理由

好気的解糖とは、酸素が存在するにもかかわらずエネルギー生産のために、酸化的リン酸化(電子伝達系において酸素が使われてH+勾配が作り出されてそれを利用してADPがATPにリン酸化される経路)を使わずに、解糖系のみを使うことです。

通常、酸素存在下では、解糖系の最終産物であるピルビン酸がアセチルCoAに変換されたのちTCA回路に入り、TCA回路で産生されたNADHFADH2が電子供与体として、電子伝達系に電子を供与します。

NADH ⇒NAD + H+ + e-

FADH2 ⇒FAD + 2H+ + 2e-

上の式の右側にH⁺(プロトン)とe-(電子)が2つずつできています。これらの電子が、電子伝達系に渡されて、プロトンは内膜を横切って、プロトン濃度の高い側へと汲み上げられるわけです。つまり、ミトコンドリアの内膜の内外のプロトン濃度勾配としてエネルギーが貯められていることになります。このH+勾配を利用して、H+が勾配に沿って移動するときにADPがリン酸化されてATPが産生されます。

電子伝達系において、酸素は電子を受け取る側になります。

1/2 O2+2H+ + 2e-  ⇒ H2O

 

好気的 というのは、酸素が存在する環境という意味です。好気的解糖といった場合、酸素が存在する環境における解糖 という意味であって、酸素を利用した解糖 という意味ではありませんでした。しばらく間違って理解していました。

  1. 好気的 看護roo!

好気性細菌(酸素が存在する条件でも、もしくは、酸素が存在する条件のみで生育する細菌)、嫌気性細菌(酸素が存在しない条件で生育する細菌)という言葉があるためか、自分は好気的というのは酸素を使うものだと思い込んでいました。

Warburg効果

好気的解糖はWarburg効果とも呼ばれます。

Otto Warburgが観察した現象で,がん細胞有酸素下でもミトコンドリアの酸化的リン酸化よりも,解糖系でATPを産生する現象(Warburg効果 実験医学Online)

不思議なことに、がん細胞はエネルギーを産生する際に、酸素があっても酸素を使わない「解糖系」だけでATPを作るんですね。解糖系だとATPはたったの2個しかできません。そのため大量のグルコースが必要になります。そのため、がん細胞は大量のグルコースを取り込んでいます。なのでグルコースを大量に取り込んでいる細胞を可視化することにより、がん細胞が可視化されるわけです。

Warburg効果は好気的解糖?嫌気的解糖?

酸素が存在する環境での解糖なので「好気的解糖」といえますが、ネットでいろいろ記事をみていると、酸素を使わない解糖なので「嫌気的解糖」と説明しているように思えるものにも遭遇します。正反対の言葉が同じことを意味するために使われていて、なんだか混乱を招きそうですね。

ナイーブT細胞は、脂肪酸酸化や低レベルの解糖を介して供給されるアセチルCoAなどの代謝産物を利用してミトコンドリア内で酸化的リン酸化をおこなうことでATPを産生し、その生存を維持しています。一方、抗原認識に伴い、T細胞では嫌気的解糖が亢進するとともに(ワールブルグ効果)、ペントースリン酸経路が活性化し、クローン増殖が開始します。それに加え、活性化したT細胞では、グルタミン代謝が亢進することが知られています。抗原認識によってT細胞で誘導される代謝変化は、がん細胞の代謝状態に類似したものですが、可逆的であり、抗原排除後に長期間生体内に残るメモリーT細胞では、再び、ナイーブT細胞と同様の代謝経路が使われます。(愛媛大学大学院医学系研究科免疫学・感染防御学 研究内容

ワールブルグ(Warburg)効果 その理由

なぜがん細胞が酸素存在下でもTCAサイクルを回さずに解糖系だけを動かしているのか?その理由はがん細胞が増殖しないといけないから、増殖するためにはDNA合成を盛んにする必要があり、DNAの材料であるリボースを大量に必要とするから、そしてリボースは解糖系から分岐する代謝回路(ペントースリン酸回路)で作られるからです。

Specifically, TGF-β1 promotes tumor progression by inducing a switch from an epithelial to a mesenchymal/migratory phenotype in HCC cells, reducing mitochondrial respiration and enhancing glutamine transporter SLC7A5b (Solute Carrier Family 7 Member 5), glutaminase 1, and pentose phosphate cycle [74]. The latter provides precursors for nucleotide synthesis and prevents oxidative stress and redox homeostasis. https://www.mdpi.com/2072-6694/12/10/2819

Here we propose that the metabolism of cancer cells, and indeed all proliferating cells, is adapted to facilitate the uptake and incorporation of nutrients into the biomass (e.g., nucleotides, amino acids, and lipids) needed to produce a new cell. Supporting this idea are recent studies showing that (i) several signaling pathways implicated in cell proliferation also regulate metabolic pathways that incorporate nutrients into biomass; and that (ii) certain cancer-associated mutations enable cancer cells to acquire and metabolize nutrients in a manner conducive to proliferation rather than efficient ATP production. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2849637/

下のレビューでは、増殖のための生合成経路を動かすために解糖系を使っているという考え方は魅力的ではあるが必ずしも妥当性があるとはいえないということを指摘しています。

However, after careful inspection, it becomes apparent that its benefits for cell growth and survival are not yet resolved.

The Warburg Effect has been proposed to be an adaptation mechanism to support the biosynthetic requirements of uncontrolled proliferation (Figure 2, Key Figure). In this scenario, the increased glucose consumption is used as a carbon source for anabolic processes needed to support cell proliferation []. This excess carbon is used for the de novo generation of nucleotides, lipids, and proteins and can be diverted into multiple branching pathways that emanate from glycolysis.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4783224/

  1. Acta Pharmaceutica Sinica B Volume 14, Issue 3, March 2024, Pages 953-1008 Acta Pharmaceutica Sinica B REVIEW Targeting the Warburg effect: A revisited perspective from molecular mechanisms to traditional and innovative therapeutic strategies in cancer Author links open overlay panelMinru Liao a †, Dahong Yao b †, Lifeng Wu a †, Chaodan Luo d, Zhiwen Wang a b c, Jin Zhang c, Bo Liu a https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2211383523004719
  2. New Clarity on the Warburg Effect SubscribeExit Disclaimer January 13, 2021, by Alba Luengo, Zhaoqi Li, and Matthew Vander Heiden https://www.cancer.gov/research/key-initiatives/ras/news-events/dialogue-blog/2021/vander-heiden-warburg-effect

T細胞の疲弊(T cell exhaustion):細胞も疲れるの?

最近、疲弊T細胞という言葉を聞きます。T細胞も疲れちゃったりするのでしょうか。

T細胞の疲弊とは

下の説明が、概念的にも具体的にも一番わかりやすい。

「T細胞」は「がん組織」に潜り込み、そこで刺激を受けて活性化します。しかし、刺激を受けるのは一度だけではなく、何度となく刺激を受けることになります。そして刺激を受けているうちに、「T細胞」の機能が低下してくることが知られています。これを「免疫疲弊」と呼び、一度この状態に陥ると自力での回復が難しいと言われています。 具体的には、「がん」を攻撃して殺すTNF-αやIFN-γを産生する能力や「T細胞」の増殖および活性化を行うインターロイキン-2(IL-2)の産生能力が低下していることが報告されています。 「免疫疲弊」を起こした「T細胞」をよく観察してみると、ある物質が発現していることがわかりました。このある物質は「疲弊分子」と呼ばれ、「T細胞」を「疲弊」させる元凶となっています。実はこの「疲弊分子」の代表が、あの「免疫チェックポイント分子」なのです。刺激を受けるごとに「免疫チェックポイント分子」が発現し、PD-1であればPD-L1およびPD-L2に、CTLA-4であればCD80[B7-1]/ CD86にそれぞれ結合します。また、PD-1やCTLA-4の他にも、Tim-3LAG-3Nr4aという転写因子が「免疫疲弊」を引き起こすと言われています。そして「T細胞」の機能が段階的に低下し、アポトーシス(細胞死)へと導かれ、最終的には排除されてしまいます。(T細胞が疲れちゃう❓ 【がん微小環境内のT細胞】  Vol.39 がん免疫療法コラム 同仁がん免疫研究所)

  1. Tumor Immunity 腫瘍免疫の基礎知識(垣見の腫瘍免疫学) 免疫細胞治療学講座で実施している研究のベースとなる腫瘍免疫に関する基礎知識、考え方を概説します。 5.がんとの闘いを司令官として考えてみる
  2. CD8+ T Cell Exhaustion in Cancer Front. Immunol., 20 July 2021 T cell exhaustion is a blanket term covering all of the dysfunctional states that exist within antigen-specific CD8+ T lymphocytes as first described in the framework of chronic viral infection, where these cells persist but are unsuccessful in clearing a pathogenic threat.
  3. 抗原の長期的な曝露によって,T細胞上にPD-1CTLA-4TIM-3などさまざまな共抑制分子が誘導される結果,T細胞が機能不全状態に陥ること (疲弊 実験医学Online)
  4. 癌と化学療法 抗腫瘍T 細胞の疲弊プロファイルと免疫チェックポイント阻害剤反応性のかかわり 癌と化学療法 Volume 49, Issue 6, 609 – 614 (2022)
  5. 実験医学 2020年12月号 Vol.38 No.19 イムノメタボリズムとT細胞の疲弊・老化 免疫機能不全を克服する新たなターゲット T細胞機能不全をイムノメタボリズムから理解する
  6. T細胞疲弊は、多くの慢性感染やがんにおいて生じるT細胞の機能不全状態である。T細胞疲弊は、限定されたエフェクター機能抑制性受容体の持続的な発現、機能的なエフェクターT細胞や記憶T細胞とは異なる転写状態によって特徴付けられる。 免疫学:CD8 T細胞疲弊の調節 2019年7月11日 Nature 571, 7764
  7. CD8 T Cell Exhaustion During Chronic Viral Infection and Cancer Annual Review of Immunology Vol. 37:457-495 (Volume publication date April 2019) Early use of lymphocytic choriomeningitis virus (LCMV)-specific TCR transgenic CD8 T cells revealed exhaustion of the virus-specific CD8 T cell response through the physical deletion of these cells during chronic infection (3). The concept of a persisting yet functionally compromised CD8 T cell, however, was first revealed by Zajac et al. (4) and Gallimore et al. (5), who identified CD8 T cells responding to chronic LCMV infection that remained present and detectable by tetramer staining throughout infection but were unable to efficiently elaborate effector functions.
  8. Defining ‘T cell exhaustion’ Published: 30 September 2019
  9. 疲弊したT細胞を若返らせ再活性化、強い抗腫瘍効果をもつ細胞に-慶大  2017年05月25日 PM12:00 qlifepro.com 活性化したT細胞をストローマ細胞であるOP9-DL1と共培養すると、活性化T細胞にNotchと呼ばれる特殊な刺激が入り、より未感作状態に近いT細胞が生まれることが判明した。この未感作状態に近いT細胞は、疲弊状態を示す免疫チェックポイント分子であるPD1CTLA4の発現がほぼ消滅し、若返った状態だったという。
  10. 慢性ウイルス感染では、ウイルスや持続的な炎症による刺激の繰り返しが引き金となって、T細胞の“疲弊”が起こる。この過程では、そのウイルスに特異的なT細胞が次第に機能を失い、最終的には死んでしまう。(T細胞の疲弊 Nature Immunology 2013年5月6日)慢性感染を引き起こす系統のリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)を感染させたマウスから“疲弊した”T細胞を単離して、急性感染を引き起こす系統のLCMVを感染させたマウスに移植すると、このT細胞が増殖して効果的な免疫応答を引き起こす
  11. T 細胞の疲弊とは, 抗原の長期的な曝露による T 細胞抗原受容体 (TCR)レパートリーの狭小化TCR シグナル伝達 系 の 機 能 低 下,T 細胞膜上に programmed death 1(PD-1),cytotoxic T lymphocyte associated protein 4(CTLA-4),T cell immunoglobulin and mucin domain 3(TIM-3)などさまざまな共抑制分子が誘導される結果,IL-2 の産生障害活性化障害増殖障害をはじめとして,T 細胞が機能不全状態に陥ることである(T 細胞の疲弊とインターロイキン -15 ―高齢者敗血症の新たな治療戦略―)2007年

CAR-T療法とは

Chimeric antigen receptors (CARs) are receptor proteins that have been engineered to give T cells the new ability to target a specific antigen. The receptors are chimeric in that they combine both antigen-binding and T cell activating functions into a single receptor. (ウィキペディア

  1. CAR-T細胞療法(NOVARTIS)
  2. 近年、がん患者さんからT細胞を分離しがん細胞を攻撃できるように遺伝子を導入したT細胞(CAR-T)を、再び患者さんの体内に戻すCAR-T療法が次世代のがん免疫療法として注目されています。(KOMPAS)
  3. CAR-T療法は、がん患者の末梢血由来T細胞に体外でがんを認識する遺伝子CARを導入して増やし、がん細胞を攻撃できるようにしてから患者へ再び戻す治療法です。(疲弊したT細胞を若返らせ、強い抗腫瘍効果をもつT細胞の作製に成功―がん免疫療法における新規CAR-T療法の開発― AMED
  4. 代謝リプログラミングによるステムセルメモリーT 細胞の誘導とがん免疫療法への応⽤ 近藤泰介 慶應義塾大学医学部 微生物学免疫学教室 平成 30 年度 血液医学分野 若手研究者助成 研究成果報告書 【結 果】 我々はCAR-T細胞Notchリガンドを発現するフィーダー細胞と共培養することでiTSCM様のCAR-T細胞、CAR-iTSCM細胞 を誘導することに成功した。またCAR-iTSCM細胞の誘導にはミトコンドリアの代謝リプログラミングが重要であること特定した。 Notchシグナルはミトコンドリア新生および脂肪酸合成を誘導し、これらの特性はiTSCM細胞誘導過程で重要なイベントであっ た。さらに我々はNotchシグナルの下流因子であるFOXM1を同定し、FOXM1がこれらの代謝学的変化およびiTSCM細胞の誘 導に重要であることを見出した。Notchリガンドを発現するフィーダー細胞との共培養で作成されたCAR-iTSCM細胞と同様に FOXM1の強制発現でCAR-iTSCMと同等の細胞が得られ、これらのTSCM細胞様CAR-T細胞はヒト白血病モデルマウスにおい て強い抗腫瘍効果を示した4)。

T細胞の分化

  1. T細胞記憶とT細胞疲弊の分子メカニズム

T細胞の分化と代謝リプログラミング

After T-cell activation, naive CD8+ T cells differentiate into either effector T cells or memory T cells via transcriptional regulation, in a process supported by metabolic reprogramming to meet different energy demands. For instance, naive T cells in a state of metabolic quiescence use oxidative phosphorylation (OXPHOS) for energy production. After activation, naive T cells undergo a metabolic switch governed by the phosphatidylinositol-3-kinase–protein kinase B–mammalian target of rapamycin (PI3K–Akt–mTOR) pathway; this switch supports differentiation into effector T cells, which rely on aerobic glycolysis for their rapid expansion and effector functions.(Metabolic and epigenetic regulation of T-cell exhaustion 21 September 2020  Nature Metabolism

細胞性免疫

  1. 獲得免疫におけるT細胞の応答  Hemapedia 免疫基礎講座 T細胞の疲弊のメカニズム

【医学用語】担癌 がんを体内に持っている状態

担癌あるいは担がんは、がんを体の中に持っている状態のことだそうです。自分が初めてこの言葉を知ったのは、がん細胞をマウスの体内に入れて癌のマウスをつくるような実験においてだったので、てっきりがん細胞を移植することかと思っていたのですが、全然違いました。

担がん(状態)とは?がんを体内に持っていることです。(国際医療福祉大学三田病院

担癌という言葉の使用例

  1. 担癌患者の鑑別疾患
  2. 担癌患者における手術侵襲と生体反応
  3. 担癌患者に見られる脳梗塞
  4. 担がんモデルマウスの落とし穴