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ご飯(デンプン)を食べてから、それが消化され、ブドウ糖として吸収されるまでの過程

私たちは毎日、ご飯(お米)を食べて生きているわけですが、なぜ毎日ご飯を食べないといけないのでしょうか。それはもちろん、生きるためにはエネルギーが必要だからです。体を動かすのも、頭を使ってものを考えるのもエネルギーが必要です。エネルギー源となる主要な食べ物がご飯なのです。

そもそも炭水化物とは

ご飯は、化合物としては炭水化物に分類されます。炭水化物という名前の由来は、炭素(C)に水(H2O)が合わさったものとして、元素の組成が書けるからです。Cm(H2O)nといった具合です。炭水化物の化学的な定義はというと、水酸基(-OH)が複数個ついていて、カルボニル基(アルデヒド基またはケトン基)を持つ、炭素が複数つながった構造をした化合物です(生化学p50)。その条件を満たす最小のものを考えてみると、CH2OH-CHOHCHOすなわちグリセルアルデヒドということになります。

糖質とは

炭水化物はさらに、糖質と食物繊維に分類されます。人間が栄養として利用できるものが糖質、分解できないため栄養としては利用できないものが食物繊維です。糖質は5大栄養素(糖質、タンパク質、脂質、ミネラル、ビタミン)の一つになっています。

化合物というのは、原子が化学的に結合してできた物質という意味です。

デンプンとは

ご飯(米)は、デンプンという物質からできています。デンプンは、ブドウ糖という化合物がたくさんつながってできたものです。人間は、ブドウ糖からエネルギーを取り出す代謝経路をもっていますので、ブドウ糖(C6H12O6)を、酸素(O2) を利用して、二酸化炭素(CO2)と水(H2O) に分解する過程で、エネルギーをATP産生という形で取り出しています。このエネルギーはどこに由来するのかというと、ブドウ糖を構成している、炭素原子(C)、水素原子(H)、酸素原子(O)たちのつくる化学結合に蓄えられたエネルギーです。

このようにブドウ糖からエネルギーを取り出すための一連の化学反応を引き起こす複雑な経路を人間が兼ね備えているため、ブドウ糖は人間にとって一番エネルギーを取り出しやすい物質なのです。エネルギーが必要な患者さんにブドウ糖液を点滴するのは、ただちにエネルギーとして利用されるからというわけです。

お米はデンプンであり、デンプンはブドウ糖が数珠つなぎに連なったものなので、お米、すなわちデンプンをブドウ糖にまで分解する必要があります。その過程を理解するためには、ブドウ糖の構造がどうなっていて、ブドウ糖がどんなふうにつながっているのかを学ぶ必要があります。

ブドウ糖(グルコース)の構造

ブドウ糖の化学式はC6H12O6です。炭素原子が6個、水素原子が12個、酸素原子6個で、ブドウ糖(グルコース)1分子ができています。しかしこの化学式だとこれらの原子がどのように結合しているのかがわかりません。構造式はというと、

  1. グルコース(ウィキペディア)

を見てください。グルコースは、水に溶かしたときに直線状と環状の2つの形をとります。直線状の形をとったときのアルデヒド基(CH=O)の炭素を1位として、順番に、2,3,4,5,6位と番号がついています。環状になるときに、1位の炭素につく水酸基(-OH)の向きが、5位の炭素についているーCH2OH基と同じ側(シス)ならβ-グルコース、反対側(トランス)ならα-グルコースと呼ばれます。水に溶けた状態では、環状のα-グルコース(38%)、直線状のグルコース、環状のβ-グルコース(62%)という構造をとりえて、それらの間で平衡状態になっています。直線状でいることはほとんどなくて、α-グルコースかβ-グルコースという形で存在しています。

デンプンの構造

さて、グルコースが水の中ではα‐グルコースまたはβ‐グルコースという形をとることがわかると、デンプンの構造を理解することができます。α‐グルコース同士が1位と4位の炭素の間で結合(α‐1,4グリコシド結合)して数珠繋ぎになったものがアミロースと呼ばれます。アミロースの鎖に加えて、α‐グルコース同士が1位と6位の炭素の間で結合(α‐1,6グリコシド結合)して枝分かれ構造を含むものが、アミロペクチンと呼ばれます。私たちが日頃、デンプンと呼んでいる化合物の中身は、アミロースとアミロペクチンの混合物だったというわけです。

普段食べるご飯(うるち米)は、アミロースとアミロペクチンが1:3の割合で含まれています。また、もち米はほとんどがアミロペクチンです。もち米がもちもちする理由はアミロペクチンの存在だったのですね。うるち米の場合、アミロースの割合が高いコメの品種ほど、食感の粘りはなくなります。化学構造からご飯の食感が理解できるのですから、化学の勉強は面白いと思います。

  1. お米の品種による「食感」の違い もちもち、あっさり、しっかり歯ごたえ、柔らかめ(にほんものストア)
  2. デンプン分 子の微細構造とアミラーゼの作用 檜作進  1940年にMeyerがデンプンは直鎖分子のアミロースと樹枝分子のアミロペクチンの2種の分子の混合物であることを発見し

セルロースの構造

α‐グルコース、β‐グルコースという構造の違いと、それらがつながってできる化合物を勉強しているついでに、セルロースについても学んでおきましょう。β‐グルコース同士が1位の炭素と4位の炭素で結合(β‐1,4グリコシド結合)したものが、セルロースです。直線的につながった構造になります。

食物繊維の実体はセルロースです。植物細胞の細胞壁を構成しているのがセルロースです。食物繊維(セルロース)はなぜ栄養源になりえないのかというと、人間はβ‐1,4グリコシド結合を分解する酵素をもっていないからなんですね。じゃあ、牛やヤギなどの草食動物はなぜ草を食べてエネルギーが得られるのかというと、β‐1,4グリコシド結合を分解してくれる細菌を胃の中に共生させているからなのです。なぜ肉食動物と草食動物がいるかという疑問が、これで明らかになりました。勉強すればするほど、世の中の道理がわかっていくところが、科学の面白いところです。

さて、ごはんの話に戻りましょう。

ご飯を炊く理由:デンプンのアルファ化

生米をかじって食べてもほとんど消化されません。「ご飯」として食べるためには、生米を炊かなければならないのですが、なぜご飯を炊くのでしょうか?生米の主成分もデンプンですが、このデンプンの形状は、β‐デンプンと言って、コンパクトに結晶化した構造をとっています(いわゆる水素結合によって、コンパクトにまとまっています)。硬くて水にとけず、アミラーゼのような消化酵素が近づけないため、消化できません。そこで、炊くことでβ‐デンプンの状態から、もっとほぐれた、α-デンプンの状態にしてあげるために加熱する必要があります(加熱のエネルギーにより、水素結合を解き放つ)。

水につけておくだけで食べられるようになる「α化米」が、登山用などに市販されていますが、これはお米を炊いて急速凍結乾燥したものです。α‐デンプンの状態にしてあるので、水を加えるだけで食べられるようになるんですね。

また、せっかく炊いたお米も、長時間放置しておくとまたカチカチに固くなってしまいます。これは、アルファ-デンプンだった状態から、ベータ-デンプンへの状態に逆戻りしてしまったからなのです。

αデンプンのアルファと、αグルコースのαは、特に関係ありません。単に二つの状態を区別したいときに、アルファ、ベータという言葉を使っているだけのことです。

  1. 食品を科学する―リスクアナリシス(分析)連続講座―第2回「誰もが食べている化学物質~食品の加工貯蔵中の化学変化と安全性~」(質疑応答概要)分子内で水素結合をして、とてもコンパクトにま とまっている。グルコースは本来、水に溶けやすいものだが、グルコースの分子間同士で水素結合をしてしまっているので、その中に水が入っていけないので、生デ ンプンは水に溶けない
  2. 短鎖アミロペクチン米梗系統「愛知 132号」の和菓子への利用に向けた米粉の特性評価 あいち産業科学技術総合センター 研究報告2019

デンプンの消化

デンプンの消化は口の中で始まります。唾液にはアミラーゼという、デンプンを消化する酵素が含まれているからです。デンプンが部分的に分解されたものは、デキストリンと呼ばれます。飲み込んだご飯はそのあと、胃を通過して、膵臓から分泌されたアミラーゼが小腸で働くことで、小さな分子に分解されます。

胃の中は強い酸性なので、アミラーゼは酵素として働くことはできません。デンプンの消化に胃は貢献しないのです。胃を通過したあと、十二指腸で、再び消化作業がはじまります。

消化という言葉を聞くのですが自分は胃が思い浮かぶのですが、胃で働く消化酵素は、タンパク質を分解するためのペプシンという酵素であり、ペプシンは強酸性という特殊な条件で最もよく働くようにできているのです。胃=タンパク質の消化を行う場所、です。タンパク質は多数のアミノ酸がつながったものですから、タンパク質が消化された結果としてアミノ酸が生じます。アミノ酸は、小腸で吸収されます。

デンプンの消化と吸収

さてデンプンの話にもどると、小腸でデンプンは、最小の大きさになったα‐限界デキストリングルコースオリゴマー(グルコースが数個つながったもの)、マルトトリオース(3個のグルコースがα-1,4結合したもの)、マルトース(2個のグルコースがα-1,4結合した二糖。麦芽糖ともいう)になります。さらに、小腸の上皮細胞の細胞膜上に存在するマルターゼ、イソマルターゼ、グルコアミラーゼによって、これらがグルコース(ブドウ糖)に分解されて、腸上皮細胞の中へと取り込まれます。イソマルターゼは低分子オリゴ糖のα‐1,6結合を切断することができるので、α-1,4結合を切断するアミラーゼでは切断することができない、分岐の部分を切断することができます。マルターゼはマルトースやマルトトリオースのα‐1,4結合を切断してグルコースにします。グルコアミラーゼはα‐1,4結合を、アミロースの端から切断できます。

いろいろな酵素名が出てきてややこしいですが、α‐グリコシド結合を切断する酵素を総称してα-グルコシダーゼと呼び、マルターゼ、スクラーゼ(スクロースを、グルコースとフルクトースに分解する酵素)、イソマルターゼなど、二糖類を単糖類に変える酵素が含まれます。これらの酵素は、小腸粘膜上皮細胞表面の刷子縁(さっしえん)という場所に存在しています。

細胞内に取り込まれたブドウ糖細胞を通過して反対側から細胞外へ出されます。そのあと、血管の中に入り、体内を循環します。

参考

  1. 生化学 人体の構造と機能2 医学書院 糖質の消化と吸収 p69
  2. 「酵素の仕事」シリーズ 8)糖分解酵素ーマルターゼ、スクラーゼ、ラクターゼ DOJINDO
  3. α-グルコシダーゼ阻害剤(Acarbose)摂取のラット小腸二糖類水解酵素に及ぼす影響 栄養と食糧Vol.35No.5351~3551982  小腸吸収上皮細胞の微絨毛膜には多くの膜消化酵素が存在しており, 食物の消化の最終段階と吸収の初発段階に関与している1)。このうち, 二糖類の膜消化に関係する酵素として, グルコアミラーゼ, マルターゼ, トレハラーゼ, スクラーゼ・イソマルターゼ, ラクターゼなどが存在する2)。
  4. 小腸吸上皮細胞の消化と吸機構 藤田守,馬場良子 (a中村学園大学解剖,大学院栄養科学研究科) 食物中のデンプンの多糖類は, 唾液から分泌されたα-アミラーゼによる管腔液消化を受け, 二糖類(マルトース, スクロース, ラクトース), マルトリオース, α-リミットデキストリンなどに分解され, 糖衣に吸着する. 微絨毛膜のグリコシダーゼにはグルコアミラーゼ複合体, スクラーゼイソマルターゼ複合体, β-グリコシダーゼ複合体などが存在する. これらは1本のポリペプチドとして合成され, N末端の疎水性部分で膜を貫通し, 酵素活性部位を膜から突き出している15). 膜消化を受けた糖類(グルコース, ガラクトース, フルクトース)は微絨毛膜にある担体分子によって輸送され, 細胞内に吸収される. グルコースとガラクトースはD-グルコース-D-ガラクトース・Na+共輸送体(SGLT1)によって能動輸送で取り込まれ, 拡散によって細胞を移動する. フルクトースはフルクトース輸送体(GLUT5)により, 促進拡散で取り込まれる. 細胞に輸送され,蓄積された糖は, 基底側部細胞膜領域の促進拡散の担体(GLUT2)を介して, 細胞外に出ると言われている29). 糖質も一部は細胞のエネルギー源として, ミトコンドリアでATPの合成などに利用されるが, 大部分は細胞質を通過し, 基底側部細胞膜領域から能動輸送機構によって細胞外へ放出され, 毛細血管から門脈を経て肝臓に送られる.
  5. 生化学 信州大学医学部保健学科検査技術科学専攻 炭水化物(糖)の消化・吸収と代謝
  6. エゾアワビ・デンプン分解酵素の生化学的研究 : α-アミラーゼとα-グルコシダーゼによる海藻からのグルコース生成
  7. デンプン分解酵素 HBI
  8. 酵素の仕事シリーズ 3)アミラーゼ DOJINDO
  9. α-アミラーゼ PDBj入門
  10. ペプシン(ウィキペディア)
  11. 炭水化物は胃で消化されない!2018.02.24 院長ブログ
  12. 炭水化物は消化が悪い!2021年11月14日 みらい胃・大腸内視鏡クリニック
  13. 形態機能学Ⅱ「食べる」 食物はどこを通って消化・吸収されるのか? No.1 第4(8)回 2020.5.27 酒井 消化・吸収 本日の目標 1. 既習内容を想起しながら、嚥下した後、食物がどう変化するかを説明できる。 2. 吸収後の栄養分の流れを説明できる。
  14. 【課題】食物の消化と吸収について考えよう。 理科⑥
  15. 第2章栄養素とその代謝2-1:栄養素の消化・吸収 ニュートリー
  16. 小腸は消化と吸収のどちらを行っているの? 看護roo!
  17. 澱粉の消化とその応用 上田誠之助
  18. 消化と吸収 中学生の生物

食べてから出るまでの時間

3大栄養素の消化吸収のまとめ

デンプン、タンパク質、脂質がそれぞれどこでどんな消化酵素によって分解されて何になってどこに吸収されるのかを、まとめて覚えたほうが良いです。どうやら消化吸収は中学2年の理科(生物)で勉強するみたいで、中学生向けの解説がめちゃくちゃわかりやすかったりします。中学で学ぶことと大学で学ぶこと(のうち記憶に残ること)とが、大して違わないんですね。

  1. 消化酵素(しょうかこうそ) ナースタ
  2. 中学理科2分野カラー 生物 動物の世界 動物のからだのはたらき 消化と吸収 Web教材イラスト図版工房
  3. 消化液とは?こうやって覚える!種類や酵素、はたらきを現役医学生がわかりやすく解説! study-z.net
  4. ④身体細胞の新陳代謝と五大栄養素の役割 未来ecoシェアリング
  5. ①食生活アドバイザー(栄養と栄養素について) note.com

デンプンの種類

  1. でん粉の顕微鏡写真 三和澱粉工業
  2. 健康な体をつくる「お米vsパン」米と小麦の違い・栄養価比較 関西業務用米.com ご飯は収穫された生鮮食品、パンは小麦に砂糖や塩、油脂などを加えて作った加工品です。
  3. デンプン(ウィキペディア)
  4. でん粉の性質その⑤ 木下製粉
  5. 各種でんぷんの糊化温度 料理科学の森

糖質の消化、ブドウ糖の吸収を抑制する薬

糖尿病の場合は血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)をコントロールすることが重要です。食事の直後は急激に血糖値があがってしまうため、それを抑制する薬が、糖尿病薬として用いられています。

  1. ミグリトール Miglitol 糖尿病食後過血糖改善剤
  2. α-グルコシダーゼ阻害 ヤクルト中央研究所
  3. α-グルコシダーゼ阻害薬(α-glucosidase inhibitor;α -GI)は,臨床応用されて20年以上が経過するなかで数多 くのエビデンスを蓄積した,成熟した糖尿病治療薬である。アカルボースはα-グルコシダーゼとα-アミラーゼの阻害作用を有するが,ボグリボースミグリトールはα-グルコシダーゼの阻害作用のみを有している。

参考

  1. グルコース(ウィキペディア)
  2. 蛋白質を糖質より先に食べる訳とは?2021年4月1日ドクター蜂谷の医療コラム

 

 

 

そもそもビタミンとは?

ビタミンという言葉はお馴染みですが、ビタミンの定義は?とあらたまって聞かれて正確に答えられますか?

ビタミンの定義

3大栄養素といえば、糖質、タンパク質、脂質で、それにビタミンとミネラルを合わせて5大栄養素と言われます。ビタミンとは、生体にとって必須であるにもかかわらず、体内で合成することができないため、食べ物から摂取する必要がある化合物のことです。

ビタミンは種類が多く、様々な役割をもっていて、ビタミンが欠乏するといろいろな病気になるので、覚えるべきことがたくさんあって学習者には大変なトピックです。ただ、人間は生体内で生合成できないので、生合成の経路を勉強しなくていいというところが、せめてもの救いですね。

ビタミン説

5大栄養素といえば、糖質、タンパク質、脂質、ミネラル、そしてビタミンです。ビタミンが発見される前は、糖質、タンパク質、脂質、ミネラルの4つが人間が必要とする栄養素だと考えられていました。病気の原因といえば、毒素であったり病原菌であったわけです。ところが、どうやら病気によってはその原因が栄養素の欠乏にあるようだということがわかってきました。そこで生命に必須のアミンとして、vital amine = vitamine という名前が作り出されたのです。その後の研究の進展とともにamineに限るものではないことがわかり、vitaminと少し名前がかわりましたがこのコンセプトは生き残りました。微量だけれどもそれがないと人間が生きられない、そういう栄養素の正体が研究によって追い求められた結果、種々のビタミンが発見されたのです。

  1. Chapter 29: historical aspects of the major neurological vitamin deficiency disorders: overview and fat-soluble vitamin A Douglas J Lanska  Clin Neurol . 2010;95:435-44. doi: 10.1016/S0072-9752(08)02129-5.
  2. KJ カーペンター:栄養学小史 その三(1912ー1944) 西南女子学院大学

ビタミン欠乏による主な病気

  • 夜盲症(ビタミンA欠乏)
  • 脚気(ビタミンB1欠乏)
  • 悪性貧血(ビタミンB12欠乏)
  • 壊血病(ビタミンC欠乏)
  • くる病(ビタミンD欠乏)
  • ぺラグラ(ナイアシン欠乏)

ビタミンの働き

ビタミンの多くは、「補酵素」として、特定の代謝酵素の働きに必須の役割を持っています。そのためビタミンが欠乏すると、特定の代謝経路が阻害されることになり、必要な生体構成要素がつくれなくなったり、必要なエネルギーが得られなくなって、病気になります。

ビタミンの種類

ビタミンA、ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB6,ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKという種類があります。なぜBだけ1,2,12とわかれているのか、なぜEの次がとんでKなのか、秩序が好きな人は発狂しそうないい加減な命名ですが、これはビタミンの研究の歴史によるものです。

さらにややこしいのは、ビタミンに分類されるのですが、ビタミンという名前では呼ばれていないものがあります。ナイアシンパントテン酸ビオチン葉酸もビタミンです。実際、これらはビタミン+アルファベット+数字の呼称で呼ばれることもあります。ナイアシン=ビタミンB3,パントテン酸=ビタミンB5,ビオチン=ビタミンB7,葉酸=ビタミンB9といった具合です。日本ではこれらは化合物名そのもので呼ばれることのほうが一般的です。

ビタミンは13種類もあるんですね。ビタミンB3,5,7,9は、ビタミンという言葉でなく、その化合物の名称そのもので呼ばれることが多いようです。

  1. ビタミンA(レチノール)
  2. ビタミンB1(チアミン)
  3. ビタミンB2(リボフラビン)
  4. ナイアシン(ビタミンB3)
  5. パントテン酸(ビタミンB5)
  6. ビタミンB6(ピリドキシン)
  7. ビオチン(ビタミンB7)
  8. 葉酸(ビタミンB9)
  9. ビタミンB12(シアノコバラミン)
  10. ビタミンC(アスコルビン酸)
  11. ビタミンD
  12. ビタミンE(トコフェロール)
  13. ビタミンK

初めてビタミンを発見したのは日本人!

ビタミンにはたくさんの種類がありますが、研究の歴史においては一つずつ発見されてきました。その最初のビタミンの発見者はなんと日本人で、鈴木梅太郎博士(1874~1943)です。最初に見つかったビタミンは、チアミン(ビタミンB1)でした(1910年)。ビタミンという呼び方は、鈴木梅太郎の発見よりもあとのことであり、鈴木梅太郎は自分が見つけたこの新たな栄養素をオリザニンと呼びました。

ビタミンB1は米ぬかに含まれており、精米して白米にすると摂取できません。白米ばかり食べていると脚気という病気になりますが、糠や玄米を食べることで脚気を予防したり快復させる効果があります。鈴木梅太郎は、糠の中に脚気を防ぐ物質があると考えて、その物質の精製を試みた結果、ビタミンB1の発見へとたどり着いたのです。

残念なことに鈴木梅太郎より1年おくれてビタミンB1を発見したポーランドのフンク博士がこれをビタミンを呼び、それが有名になってしまったそうです。

ビタミン発見の歴史

E.V.McCollum博士は実験により、牛乳中にネズミの成長に必須の物質としてFat soluble A、Water soluble Bと呼ぶものを見出し、J.C.Drummond博士は航海中によくみられる壊血病の予防には檸檬などの柑橘類に含まれる成分が効果的であることを示してWater soluble Cと名付けたそうです。これらはそれぞれ、現在知られるビタミンA ,ビタミンB,ビタミンCだったのでした。

  1. ビタミン①ビタミンとは 食品分析開発センターSuntec

水溶性ビタミン、脂溶性ビタミン

どのビタミンが水溶性でどのビタミンが脂溶性かというのは国家試験で出題されたりします。覚えていないとどうしようもないのですが、ビタミンBとビタミンCは水溶性、のこりのビタミンA,D,E,Kが脂溶性です。化合物名で呼ばれているビタミンも水溶性です。

ビタミンB1

ビタミンB1が多く含まれる食べ物

  1. ビタミンB1を多く含む食品 大塚製薬

ビタミンB1の働き

ビタミンB1は、別名チアミンですが、リン酸機が2つついたチアミンピロリン酸(TPP)として、解糖系で補酵素の役割を果たします。

解糖系の産物であるピルビン酸は、アセチルCoAに変換されてTCA回路へと入りますが、ピルビン酸からアセチルCoAが作られる反応において、ビタミンB1は、チアミンピロリン酸として補酵素の役割を果たします。

  1. アミン 日本微量栄養素情報センター
  2. TCA回路 http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/
  3. ビタミンB1 日本薬学会 薬学用語解説
  4. 生物化学3(2-4)(9月28日~10月5日) 糖質の異化によるエネルギー獲得
  5. 2009年11月19日のつぶやき電子伝達系
  6. 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち 管理栄養士国家試験徹底解説 diet2005.exblog.jp

脚気

脚気は、日本で白米を食べるようになって流行した病気だそうです。それまでは玄米を食べていたため、ビタミンB1を摂取できていたのでした。また明治、大正、昭和の時代も軍隊で脚気が流行り多くの死者を出しています。

  1. 脚気の発生 農林水産省
  2. チアミン欠乏症 (脚気;ビタミンB1欠乏症)MSDマニュアルプロフェッショナル版
  3. 『銃弾よりも多くの命を奪った脚気心』川田志明(慶應義塾大学名誉教授、山中湖クリニック理事長) 日本心臓財団
  4. 日清、日露戦争で3万人以上が「脚気」で死亡…文豪・森鴎外の「大失敗」とは? DIAMOND ONLINE

ビタミンC

  1. ビタミンCの発見と大航海時代 その③
  2. 水溶性ビタミン(1) Suntec

壊血病

今どきビタミンC不足になることなんてあるんだろうかと思いますが、野菜や果物を食べない偏食を続けていると、壊血病になるそうです。

  1. 日本でも壊血病はなくならない ビタミンCの真実
  2. 食べ物の豊富な先進国でみつかっている壊血病患者 ビタミンCの真実
  3. 壊血病 手稲渓仁会病院 総合内科 作成者: 大橋 祐介 監修者: 松坂 俊 J Hospitalist Network clinical question 2019年6月10日 症例:中学時代から野菜などを摂取しない食生活が続いており, 高校生時代から, 1日1食で済ますなどの生活をしていた. <追加採血検査> ビタミンC <0.2 μg/ml (基準値5.5-16.8)

参考

  1. ビタミンQ&A(よくある質問)日本ビタミン学会
  2. 鈴木梅太郎(ウィキペディア)
  3. くすり偉人伝No.04 鈴木梅太郎 製薬協
  4. 栄養教養学部 / カラダ整え学科 ビタミンB1 大塚製薬