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コレステロールの構造、生合成、阻害剤スタチン

コレステロールは生体において非常に重要な物質です。押さえておくべき知識としては、

  1. コレステロールは細胞膜の重要な成分
  2. コレステロールは、ステロイドホルモン(コルチゾール、アンドロゲン(男性ホルモン)、エストロゲン(女性ホルモン)の前駆体になる。
  3. 胆汁酸の前駆体
  4. 動脈に沈着すると心臓病脳卒中のリスク要因になる(アテローム性動脈硬化(atherosclerosis)  ギリシャ語:athera かゆ + sclerosis 硬さ)
  5. 肝臓で、アセチルCoAから多数の反応を経て作られる。
  6. HMG-CoAレダクターゼ(メバロン酸をつくる酵素)の量と活性が、コレステロール生合成の制御として重要
  7. LDL受容体によって血中コレステロール濃度は低く保たれている
  8. Konrad Blochらがコレステロールの生合成経路の研究に貢献
  9. 高コレステロール血症の治療薬であるスタチンは、HMG-CoAレダクターゼを阻害する薬
  10. 食べものから摂取および生体内でde nove生合成されることにより、得られている

参考

  1. ヴォ―ト基礎生化学
  2. KONRAD BLOCH The Biological Synthesis of Cholesterol SCIENCE 1 Oct 1965 Vol 150, Issue 3692 pp. 19-28 DOI: 10.1126/science.150.3692.19 コレステロールの構造を決める研究の歴史の概観 1930年代にコレステロールの構造が完全に決定された  Sire Robert Robinsonがコレステロールの環状の骨格はスクアレンによってできているのではないかという仮説を提唱 Blochらは、同位体トレーサーを用いることにより、酢酸がコレステロールの側鎖および4員環骨格の構成要素になることを発見。
  3. ARTICLE THE BIOLOGICAL CONVERSION OF LANOSTEROL TO CHOLESTEROL. R.B.ClaytonKonradBloch Journal of Biological Chemistry Volume 218, Issue 1, 1 January 1956, Pages 319-325 https://doi.org/10.1016/S0021-9258(18)65895-8
  4. SYNTHESIS OF LANOSTEROL IN VIVO* BY PETER B. SCHNEIDER, R. B. CLAYTON, AND KONRAD BLOCH (Received for publication, June 14, 1956) Journal of Biological Chemistry Volume 224, Issue 1, 1 January 1957, Pages 175-183

コレステロールの構造が複雑でいつまでたってもなかなか覚えられないでいました。しかし、目で映像的に覚えれば、案外、覚えられることがわかりました。

ステロイド

コレステロールはステロイドの一種ですが、ステロイドsteroidは、六員環3つと、五員環1つの4つの環の骨格をもつ脂質のことです。覚えるときは六角形を2つ、一辺を共有するかたちで横に並べて描き、右の六員環の右上にもうひとつ接するように描きます。その右横に五員環を接するように描きます。環の名前は左からA,B,C,Dと呼ばれます。炭素の番号はAの一番上から反時計回りに1,2,3,4,5とつけて、環Bにうつって6,7,8,9,10とします。次に環Cを時計まわりに11,12,13,14として、環Dにうつって反時計回りに15,16,17とします。炭素13についているメチル基がのCが18,炭素10についているメチル基のCが19になります。17の炭素に「側鎖」がつきます。

  1. マクマリー生化学反応機構第2版 2・2 生体分子:脂質 テルペノイド、ステロイド、エイコサノイド 55ページ

コレステロールの構造

上のステロイド骨格に加えて、コレステロールの場合は側鎖は炭素8個からなるので、合計するとコレステロールは27個の炭素からなることになります(化学式C27H46O)。3番の炭素には水酸基がついています。また、5-6番の炭素間は二重結合になっています。側鎖の番号は、17の次の、側鎖の最初が20,分岐したメチル基が21,長い鎖のほうにむかって22,23,24,25,26,先端の枝分かれの炭素が27となります。25からは先が割れて26と27になるイメージです。

  1. Fig. 1. Structure of cholesterol with the numbering of the carbon atoms. Analytical methods for cholesterol quantification Journal of Food and Drug Analysis Volume 27, Issue 2, April 2019, Pages 375-386 https://doi.org/10.1016/j.jfda.2018.09.001

 

コレステロールの生合成経路

コレステロールの生合成経路は長大でかなり複雑に見えます。しかし炭素5個(C5)からなるイソプレンCH2=C(-CH3)-CH2-CH3が5個結合した形であるスクアレン(C30)が、メチル基除去などのいくつかの反応を経てC27になると理解すれば、見通しが良くなります。

イソプレンは、ピロリン酸が結合したイソペンテニルピロリン酸(IPP)CH2=C(-CH3)-CH2-CH2-O-(P)-(P) として反応にかかわります。

コレステロールの産生を抑制する薬としてスタチンが有名ですが、スタチンHMG-CoA還元酵素を阻害して、HMG-CoAからメバロン酸が生成する反応を阻害します。

アセチルCoA

コレステロールの構造は複雑ですが、環になる前の鎖状の構造を見てみると、イソプレン(C5)が6個つながったもの(C30)が主骨格のもとになっています。イソプレンに2リン酸が結合したイソペンテニルピロリン酸(IPP)を作るための材料が、アセチルCoAです。

アセチルCoAを最初に学ぶのは、ピルビン酸(C3)がTCA回路に入るときに、脱炭酸(C1)されて、まずアセチルCoAに変換されて、そのアセチル基(C2)がオキサロ酢酸(C4)に結合してクエン酸(C6)が回復するという場面でした。TCA回路ではこのC6化合物が2回、脱炭酸してC4化合物になります。この酸化の過程でATPにのちに変換するのにつかわれるNADH(3分子)やFADH2(1分子)、GTP(1分子)を作るのでした。

つまり、分解され、酸化されてエネルギーを取り出すためのアセチルCoAだったわけですが、実はアセチルCoAは「異化」だけでなく、種々の高分子化合物(コレステロール、脂肪酸など)を合成する「同化」反応において、炭素骨格を提供する原材料としても使われるという点が重要だと思います。

  1. 畠山『生化学』121ページ 図6-9 アセチルCoAの移動とNADPHの供給

 

さて、ステロイド合成に向けた反応の出発点ですが、アセチルCoA 2分子が「クライゼン縮合」と呼ばれる反応によって、アセトアセチルCoAになります。

CH3-C(=O)-S-CoA  + CH3-C(=O)-S-CoA   → CH3-C(=O)-CH2-C(=O)-S-CoA  + HS-CoA 

  1. マクマリー生化学反応機構第2版 1・8カルボニル縮合反応の機構 29ページ エステルの縮合はクライゼン縮合反応と呼ばれ
  2. チオエステル結合(コトバンク)カルボキシル基(-COOH)とチオール基(-SH)が脱水縮合してできる結合(-CO-S-)。高エネルギー結合の一つ。
  3. クライゼン縮合 Claisen Condensation(Chem-Station)塩基性条件下におけるエステル同士の縮合反応。 2 R1-C-C(=O)-OR2 → R1-C-C(=O)-R1-C(=O)-OR2
  4. クライゼン縮合(ウィキペディア)2分子のエステルが塩基の存在下に縮合反応してβ-ケトエステルを生成する反応である。 R-C-C(=O)-O-R’ + R-C-C(=O)-O-R’→ R-C-C(=O)-C(-R)-C(=O)-O-R’ + R’OH
  5. クライゼン縮合 (FUJIFILM)

アセトアセチルCoA

アセトアセチルCoAは、再度アセチルCoAと反応します。この反応はアルドール反応で、

CH3-C(=O)-CH2-C(=O)-S-CoA  + CH3-C(=O)-S-CoA →(アルドール反応)

さらに加水分解がおこり、3-ヒドロキシ3-メチルグルタリルCoA(HMG-CoA)

HOOC-CH2-C(OH)(CH3)-CH2-C(=O)-S-CoA

が生成します。

ヒドロキシメチルグルタリルCoA(HMG-CoA)

ヒドロキシメチルグルタリルCoA(HMG-CoA)は、2分子の(NADPH + H+)によってチオエステル基の部分が還元されて、メバロン酸 HOOC-CH2-C(-CH3)(-OH)-CH2-CH2OH (と2分子のNADP+)を生成します。

メバロン酸

メバロン酸 HOOC-CH2-C(-CH3)(-OH)-CH2-CH2OH

メバロン酸は、メバロン酸キナーゼにより、5-ホスホメバロン酸になり、さらにホスホメバロン酸キナーゼによって、5-ピロホスホメバロン酸になります。それから、ピロホスホメバロン酸デカルボキシラーゼの働きによって、イソペンテニル二リン酸(C5)が生じます。

イソペンテニル二リン酸 H2C=C(-CH3)-CH2-CH2-O-PO2(-)O-PO3(2-)

イソペンテニル二リン酸(IPP)

イソペンテニル二リン酸 H2C=C(-CH3)-CH2-CH2-O-PO2(-)O-PO3(2-) が生成します。

イソペンテニル二リン酸 が異性化して、ジメチルアリル二リン酸(DMAPP)

ジメチルアリル二リン酸(DMAPP)

イソペンテニル二リン酸 (C5)とジメチルアリル二リン酸(DMAPP)(C5)との結合により、ゲラニル二リン酸(C10)が生成します。

ゲラニル二リン酸(C10)

H3C-C(-CH3)=CH-CH2-CH2-C(-CH3)=CH-CH2-O-PO2(-)-O-PO(2-)   (C10化合物)

ゲラニル二リン酸(C10)にイソペンテニル二リン酸(C5)が結合してファルネシル二リン酸(C15)が生成します。

ファルネシル二リン酸(C15)

ファルネシル二リン酸(C15) 2分子が向かい合わせになるような向きで結合してスクアレン(C30)になります。

スクアレン(C30)

H3C-C(-CH3)=CH-(CH2-C(-CH3)=CH-CH2)2 – (CH2-CH=C(-CH3)-CH2)2 -CH2-CH=C(-CH3)-CH3

上記の構造であるスクアレン(C30)は直鎖構造をしていますが、これが環状になったものがラノステロール(C30)です。

ラノステロール

ラノステロール(C30)から3つのメチル基が取り除かれます。また、側鎖の二重結合が還元されて、環構造の中にある二重結合は場所が移動します。こうしてコレステロールになります。

コレステロール

コレステロールは、他の種々のステロイドの前駆体としての役割を担います。

 

スタチン

HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系) 働き・特徴肝臓におけるコレステロールの合成に関与するHMG-CoA還元酵素の作用を阻害することによって、コレステロールの産生を抑制する薬です。

参考

  1. マクマリー生化学反応機構第2版 3・6ステロイドの合成 141ページ~
  2. マークス臨床生化学 第28章 コレステロールの吸収、合成、代謝、運命

 

 

 

 

 

クエン酸とは?レモンが酸っぱい理由

レモンが酸っぱい理由

このサプリにはビタミンCが檸檬何個分入っていますという広告が氾濫しているため、レモン(檸檬;Citrus limon)と聞くとビタミンCがすぐ思い浮かびます。しかし、レモンのあの酸っぱい理由は、クエン酸が多量に含まれているせいなのだそうです。

一般消費者の中にはレモンの酸味の主成分はビタミンCと思われている方もおり、それは梅と同じでクエン酸であることを聞いて驚く方もいる。(レモン類に含まれる健康機能性成分について 愛知淑徳大学 健康医療科学部 健康栄養学科 教授 三宅 義明 食品分析開発センターSUNATEC)

Lemon is sour due to the presence of citric acid. (Questions & Answers CBSE Biology Grade 12 Kreb’s cycle)

レモンのクエン酸含有量

クエン酸は、レモンから初めて単離精製されました。レモンは柑橘類(Citrus)なので、その名前からCitric AcidあるいはCitrateと命名されています。クエン酸はレモンやライムなど柑橘類に多く含まれる化合物です。

  1. What Is Citric Acid, and Is It Bad for You? (HealthLine)

レモン1個にビタミンCは20mg(果汁)もしくは120mg(皮も含めたまる1個)含まれるのだそうですが、クエン酸は4gも含まれているそうです。

  1. レモン1個に含まれるビタミンCはレモン?個分 全農ET研究ブログ
  2. レモンからクエン酸(citric acid)の分離 : 酸をより身近に感じるために(<特集>天然物を素材とする化学実験) 山本 道雄 化学と教育/43 巻 (1995) 4 号/

クエン酸の構造

クエン酸は炭素数が6で、トリカルボキシ酸と呼ばれるとおり、カルボキシ基が3つあります。炭素3つの鎖にそれぞれカルボキシ基(-COOH)が結合しており、真ん中の炭素には水酸基も結合しています。構造式は、CH2(COOH)C(OH)(COOH)CH2(COOH)になります。このように一列で表示するとわかりにくいですが、構造式を普通に書くと、覚えやすい構造だということがわかります。

クエン酸回路

生化学では、クエン酸と言えば、エネルギー代謝で解糖系の次に習う「クエン酸回路」が有名です。クエン酸回路は、クエン酸がトリカルボキシ酸(tricarboxy acid)であることからTCA回路とも呼ばれます。発見者の名前にちなんでクレブス(Krebs)回路と呼ばれることも多いです。

脂肪酸合成の出発材料

クエン酸はミトコンドリア内では、クエン酸回路の構成要素であり、クエン酸シンターゼという酵素の働きによって、アセチルCoAからアセチル基をもらって、オキサロ酢酸がクエン酸になります。このようにクエン酸回路で活躍するクエン酸ですが、脂質合成においても重要です。

クエン酸はミトコンドリアを出て細胞質に運ばれて、別の酵素の働きによって、そこでクエン酸回路のときとは逆にオキサロ酢酸になり、アセチルCoAが作られます。このアセチルCoAが、脂肪酸合成の出発材料になります。

  1. 畠山『生化学』p120
  2. 脂肪酸の合成  生化学の知識 脂質と血栓の医学
  3. 生化学 管理栄養士国家試験徹底解説

ご飯(デンプン)を食べてから、それが消化され、ブドウ糖として吸収されるまでの過程

私たちは毎日、ご飯(お米)を食べて生きているわけですが、なぜ毎日ご飯を食べないといけないのでしょうか。それはもちろん、生きるためにはエネルギーが必要だからです。体を動かすのも、頭を使ってものを考えるのもエネルギーが必要です。エネルギー源となる主要な食べ物がご飯なのです。

そもそも炭水化物とは

ご飯は、化合物としては炭水化物に分類されます。炭水化物という名前の由来は、炭素(C)に水(H2O)が合わさったものとして、元素の組成が書けるからです。Cm(H2O)nといった具合です。炭水化物の化学的な定義はというと、水酸基(-OH)が複数個ついていて、カルボニル基(アルデヒド基またはケトン基)を持つ、炭素が複数つながった構造をした化合物です(生化学p50)。その条件を満たす最小のものを考えてみると、CH2OH-CHOHCHOすなわちグリセルアルデヒドということになります。

糖質とは

炭水化物はさらに、糖質と食物繊維に分類されます。人間が栄養として利用できるものが糖質、分解できないため栄養としては利用できないものが食物繊維です。糖質は5大栄養素(糖質、タンパク質、脂質、ミネラル、ビタミン)の一つになっています。

化合物というのは、原子が化学的に結合してできた物質という意味です。

デンプンとは

ご飯(米)は、デンプンという物質からできています。デンプンは、ブドウ糖という化合物がたくさんつながってできたものです。人間は、ブドウ糖からエネルギーを取り出す代謝経路をもっていますので、ブドウ糖(C6H12O6)を、酸素(O2) を利用して、二酸化炭素(CO2)と水(H2O) に分解する過程で、エネルギーをATP産生という形で取り出しています。このエネルギーはどこに由来するのかというと、ブドウ糖を構成している、炭素原子(C)、水素原子(H)、酸素原子(O)たちのつくる化学結合に蓄えられたエネルギーです。

このようにブドウ糖からエネルギーを取り出すための一連の化学反応を引き起こす複雑な経路を人間が兼ね備えているため、ブドウ糖は人間にとって一番エネルギーを取り出しやすい物質なのです。エネルギーが必要な患者さんにブドウ糖液を点滴するのは、ただちにエネルギーとして利用されるからというわけです。

お米はデンプンであり、デンプンはブドウ糖が数珠つなぎに連なったものなので、お米、すなわちデンプンをブドウ糖にまで分解する必要があります。その過程を理解するためには、ブドウ糖の構造がどうなっていて、ブドウ糖がどんなふうにつながっているのかを学ぶ必要があります。

ブドウ糖(グルコース)の構造

ブドウ糖の化学式はC6H12O6です。炭素原子が6個、水素原子が12個、酸素原子6個で、ブドウ糖(グルコース)1分子ができています。しかしこの化学式だとこれらの原子がどのように結合しているのかがわかりません。構造式はというと、

  1. グルコース(ウィキペディア)

を見てください。グルコースは、水に溶かしたときに直線状と環状の2つの形をとります。直線状の形をとったときのアルデヒド基(CH=O)の炭素を1位として、順番に、2,3,4,5,6位と番号がついています。環状になるときに、1位の炭素につく水酸基(-OH)の向きが、5位の炭素についているーCH2OH基と同じ側(シス)ならβ-グルコース、反対側(トランス)ならα-グルコースと呼ばれます。水に溶けた状態では、環状のα-グルコース(38%)、直線状のグルコース、環状のβ-グルコース(62%)という構造をとりえて、それらの間で平衡状態になっています。直線状でいることはほとんどなくて、α-グルコースかβ-グルコースという形で存在しています。

デンプンの構造

さて、グルコースが水の中ではα‐グルコースまたはβ‐グルコースという形をとることがわかると、デンプンの構造を理解することができます。α‐グルコース同士が1位と4位の炭素の間で結合(α‐1,4グリコシド結合)して数珠繋ぎになったものがアミロースと呼ばれます。アミロースの鎖に加えて、α‐グルコース同士が1位と6位の炭素の間で結合(α‐1,6グリコシド結合)して枝分かれ構造を含むものが、アミロペクチンと呼ばれます。私たちが日頃、デンプンと呼んでいる化合物の中身は、アミロースとアミロペクチンの混合物だったというわけです。

普段食べるご飯(うるち米)は、アミロースとアミロペクチンが1:3の割合で含まれています。また、もち米はほとんどがアミロペクチンです。もち米がもちもちする理由はアミロペクチンの存在だったのですね。うるち米の場合、アミロースの割合が高いコメの品種ほど、食感の粘りはなくなります。化学構造からご飯の食感が理解できるのですから、化学の勉強は面白いと思います。

  1. お米の品種による「食感」の違い もちもち、あっさり、しっかり歯ごたえ、柔らかめ(にほんものストア)
  2. デンプン分 子の微細構造とアミラーゼの作用 檜作進  1940年にMeyerがデンプンは直鎖分子のアミロースと樹枝分子のアミロペクチンの2種の分子の混合物であることを発見し

セルロースの構造

α‐グルコース、β‐グルコースという構造の違いと、それらがつながってできる化合物を勉強しているついでに、セルロースについても学んでおきましょう。β‐グルコース同士が1位の炭素と4位の炭素で結合(β‐1,4グリコシド結合)したものが、セルロースです。直線的につながった構造になります。

食物繊維の実体はセルロースです。植物細胞の細胞壁を構成しているのがセルロースです。食物繊維(セルロース)はなぜ栄養源になりえないのかというと、人間はβ‐1,4グリコシド結合を分解する酵素をもっていないからなんですね。じゃあ、牛やヤギなどの草食動物はなぜ草を食べてエネルギーが得られるのかというと、β‐1,4グリコシド結合を分解してくれる細菌を胃の中に共生させているからなのです。なぜ肉食動物と草食動物がいるかという疑問が、これで明らかになりました。勉強すればするほど、世の中の道理がわかっていくところが、科学の面白いところです。

さて、ごはんの話に戻りましょう。

ご飯を炊く理由:デンプンのアルファ化

生米をかじって食べてもほとんど消化されません。「ご飯」として食べるためには、生米を炊かなければならないのですが、なぜご飯を炊くのでしょうか?生米の主成分もデンプンですが、このデンプンの形状は、β‐デンプンと言って、コンパクトに結晶化した構造をとっています(いわゆる水素結合によって、コンパクトにまとまっています)。硬くて水にとけず、アミラーゼのような消化酵素が近づけないため、消化できません。そこで、炊くことでβ‐デンプンの状態から、もっとほぐれた、α-デンプンの状態にしてあげるために加熱する必要があります(加熱のエネルギーにより、水素結合を解き放つ)。

水につけておくだけで食べられるようになる「α化米」が、登山用などに市販されていますが、これはお米を炊いて急速凍結乾燥したものです。α‐デンプンの状態にしてあるので、水を加えるだけで食べられるようになるんですね。

また、せっかく炊いたお米も、長時間放置しておくとまたカチカチに固くなってしまいます。これは、アルファ-デンプンだった状態から、ベータ-デンプンへの状態に逆戻りしてしまったからなのです。

αデンプンのアルファと、αグルコースのαは、特に関係ありません。単に二つの状態を区別したいときに、アルファ、ベータという言葉を使っているだけのことです。

  1. 食品を科学する―リスクアナリシス(分析)連続講座―第2回「誰もが食べている化学物質~食品の加工貯蔵中の化学変化と安全性~」(質疑応答概要)分子内で水素結合をして、とてもコンパクトにま とまっている。グルコースは本来、水に溶けやすいものだが、グルコースの分子間同士で水素結合をしてしまっているので、その中に水が入っていけないので、生デ ンプンは水に溶けない
  2. 短鎖アミロペクチン米梗系統「愛知 132号」の和菓子への利用に向けた米粉の特性評価 あいち産業科学技術総合センター 研究報告2019

デンプンの消化

デンプンの消化は口の中で始まります。唾液にはアミラーゼという、デンプンを消化する酵素が含まれているからです。デンプンが部分的に分解されたものは、デキストリンと呼ばれます。飲み込んだご飯はそのあと、胃を通過して、膵臓から分泌されたアミラーゼが小腸で働くことで、小さな分子に分解されます。

胃の中は強い酸性なので、アミラーゼは酵素として働くことはできません。デンプンの消化に胃は貢献しないのです。胃を通過したあと、十二指腸で、再び消化作業がはじまります。

消化という言葉を聞くのですが自分は胃が思い浮かぶのですが、胃で働く消化酵素は、タンパク質を分解するためのペプシンという酵素であり、ペプシンは強酸性という特殊な条件で最もよく働くようにできているのです。胃=タンパク質の消化を行う場所、です。タンパク質は多数のアミノ酸がつながったものですから、タンパク質が消化された結果としてアミノ酸が生じます。アミノ酸は、小腸で吸収されます。

デンプンの消化と吸収

さてデンプンの話にもどると、小腸でデンプンは、最小の大きさになったα‐限界デキストリングルコースオリゴマー(グルコースが数個つながったもの)、マルトトリオース(3個のグルコースがα-1,4結合したもの)、マルトース(2個のグルコースがα-1,4結合した二糖。麦芽糖ともいう)になります。さらに、小腸の上皮細胞の細胞膜上に存在するマルターゼ、イソマルターゼ、グルコアミラーゼによって、これらがグルコース(ブドウ糖)に分解されて、腸上皮細胞の中へと取り込まれます。イソマルターゼは低分子オリゴ糖のα‐1,6結合を切断することができるので、α-1,4結合を切断するアミラーゼでは切断することができない、分岐の部分を切断することができます。マルターゼはマルトースやマルトトリオースのα‐1,4結合を切断してグルコースにします。グルコアミラーゼはα‐1,4結合を、アミロースの端から切断できます。

いろいろな酵素名が出てきてややこしいですが、α‐グリコシド結合を切断する酵素を総称してα-グルコシダーゼと呼び、マルターゼ、スクラーゼ(スクロースを、グルコースとフルクトースに分解する酵素)、イソマルターゼなど、二糖類を単糖類に変える酵素が含まれます。これらの酵素は、小腸粘膜上皮細胞表面の刷子縁(さっしえん)という場所に存在しています。

細胞内に取り込まれたブドウ糖細胞を通過して反対側から細胞外へ出されます。そのあと、血管の中に入り、体内を循環します。

参考

  1. 生化学 人体の構造と機能2 医学書院 糖質の消化と吸収 p69
  2. 「酵素の仕事」シリーズ 8)糖分解酵素ーマルターゼ、スクラーゼ、ラクターゼ DOJINDO
  3. α-グルコシダーゼ阻害剤(Acarbose)摂取のラット小腸二糖類水解酵素に及ぼす影響 栄養と食糧Vol.35No.5351~3551982  小腸吸収上皮細胞の微絨毛膜には多くの膜消化酵素が存在しており, 食物の消化の最終段階と吸収の初発段階に関与している1)。このうち, 二糖類の膜消化に関係する酵素として, グルコアミラーゼ, マルターゼ, トレハラーゼ, スクラーゼ・イソマルターゼ, ラクターゼなどが存在する2)。
  4. 小腸吸上皮細胞の消化と吸機構 藤田守,馬場良子 (a中村学園大学解剖,大学院栄養科学研究科) 食物中のデンプンの多糖類は, 唾液から分泌されたα-アミラーゼによる管腔液消化を受け, 二糖類(マルトース, スクロース, ラクトース), マルトリオース, α-リミットデキストリンなどに分解され, 糖衣に吸着する. 微絨毛膜のグリコシダーゼにはグルコアミラーゼ複合体, スクラーゼイソマルターゼ複合体, β-グリコシダーゼ複合体などが存在する. これらは1本のポリペプチドとして合成され, N末端の疎水性部分で膜を貫通し, 酵素活性部位を膜から突き出している15). 膜消化を受けた糖類(グルコース, ガラクトース, フルクトース)は微絨毛膜にある担体分子によって輸送され, 細胞内に吸収される. グルコースとガラクトースはD-グルコース-D-ガラクトース・Na+共輸送体(SGLT1)によって能動輸送で取り込まれ, 拡散によって細胞を移動する. フルクトースはフルクトース輸送体(GLUT5)により, 促進拡散で取り込まれる. 細胞に輸送され,蓄積された糖は, 基底側部細胞膜領域の促進拡散の担体(GLUT2)を介して, 細胞外に出ると言われている29). 糖質も一部は細胞のエネルギー源として, ミトコンドリアでATPの合成などに利用されるが, 大部分は細胞質を通過し, 基底側部細胞膜領域から能動輸送機構によって細胞外へ放出され, 毛細血管から門脈を経て肝臓に送られる.
  5. 生化学 信州大学医学部保健学科検査技術科学専攻 炭水化物(糖)の消化・吸収と代謝
  6. エゾアワビ・デンプン分解酵素の生化学的研究 : α-アミラーゼとα-グルコシダーゼによる海藻からのグルコース生成
  7. デンプン分解酵素 HBI
  8. 酵素の仕事シリーズ 3)アミラーゼ DOJINDO
  9. α-アミラーゼ PDBj入門
  10. ペプシン(ウィキペディア)
  11. 炭水化物は胃で消化されない!2018.02.24 院長ブログ
  12. 炭水化物は消化が悪い!2021年11月14日 みらい胃・大腸内視鏡クリニック
  13. 形態機能学Ⅱ「食べる」 食物はどこを通って消化・吸収されるのか? No.1 第4(8)回 2020.5.27 酒井 消化・吸収 本日の目標 1. 既習内容を想起しながら、嚥下した後、食物がどう変化するかを説明できる。 2. 吸収後の栄養分の流れを説明できる。
  14. 【課題】食物の消化と吸収について考えよう。 理科⑥
  15. 第2章栄養素とその代謝2-1:栄養素の消化・吸収 ニュートリー
  16. 小腸は消化と吸収のどちらを行っているの? 看護roo!
  17. 澱粉の消化とその応用 上田誠之助
  18. 消化と吸収 中学生の生物

食べてから出るまでの時間

3大栄養素の消化吸収のまとめ

デンプン、タンパク質、脂質がそれぞれどこでどんな消化酵素によって分解されて何になってどこに吸収されるのかを、まとめて覚えたほうが良いです。どうやら消化吸収は中学2年の理科(生物)で勉強するみたいで、中学生向けの解説がめちゃくちゃわかりやすかったりします。中学で学ぶことと大学で学ぶこと(のうち記憶に残ること)とが、大して違わないんですね。

  1. 消化酵素(しょうかこうそ) ナースタ
  2. 中学理科2分野カラー 生物 動物の世界 動物のからだのはたらき 消化と吸収 Web教材イラスト図版工房
  3. 消化液とは?こうやって覚える!種類や酵素、はたらきを現役医学生がわかりやすく解説! study-z.net
  4. ④身体細胞の新陳代謝と五大栄養素の役割 未来ecoシェアリング
  5. ①食生活アドバイザー(栄養と栄養素について) note.com

デンプンの種類

  1. でん粉の顕微鏡写真 三和澱粉工業
  2. 健康な体をつくる「お米vsパン」米と小麦の違い・栄養価比較 関西業務用米.com ご飯は収穫された生鮮食品、パンは小麦に砂糖や塩、油脂などを加えて作った加工品です。
  3. デンプン(ウィキペディア)
  4. でん粉の性質その⑤ 木下製粉
  5. 各種でんぷんの糊化温度 料理科学の森

糖質の消化、ブドウ糖の吸収を抑制する薬

糖尿病の場合は血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)をコントロールすることが重要です。食事の直後は急激に血糖値があがってしまうため、それを抑制する薬が、糖尿病薬として用いられています。

  1. ミグリトール Miglitol 糖尿病食後過血糖改善剤
  2. α-グルコシダーゼ阻害 ヤクルト中央研究所
  3. α-グルコシダーゼ阻害薬(α-glucosidase inhibitor;α -GI)は,臨床応用されて20年以上が経過するなかで数多 くのエビデンスを蓄積した,成熟した糖尿病治療薬である。アカルボースはα-グルコシダーゼとα-アミラーゼの阻害作用を有するが,ボグリボースミグリトールはα-グルコシダーゼの阻害作用のみを有している。

参考

  1. グルコース(ウィキペディア)
  2. 蛋白質を糖質より先に食べる訳とは?2021年4月1日ドクター蜂谷の医療コラム

 

 

 

そもそもビタミン (Vitamin)とは?

ビタミンの定義

3大栄養素といえば、糖質、タンパク質、脂質で、それにビタミンとミネラルを合わせて5大栄養素と言われます。ビタミンとは、生体にとって必須であるにもかかわらず、体内で十分な量を合成することができないため、食べ物から摂取する必要がある化合物のことです。

ビタミンにはさまざまな種類があります。その多くは「補酵素」として酵素を助けて化学反応を触媒する働きをします。また、酸化反応や還元反応において、酸化剤や還元剤としての働きをもつビタミンもあります。

ビタミン説

5大栄養素といえば、糖質、タンパク質、脂質、ミネラル、そしてビタミンです。ビタミンが発見される前は、糖質、タンパク質、脂質、ミネラルの4つが人間が必要とする栄養素だと考えられていました。病気の原因といえば、毒素であったり病原菌であったわけです。ところが、どうやら病気によってはその原因が栄養素の欠乏にあるようだということがわかってきました。そこで「生きるために必要なアミン」として、vital amine = vitamine という名前が作り出されたのです。その後の研究の進展とともにamineに限るものではないことがわかり、vitaminと少し名前がかわりましたがこのコンセプトは生き残りました。微量だけれどもそれがないと人間が生きられない、そういう栄養素の正体が研究によって追い求められた結果、種々のビタミンが発見されたのです。

  1. Chapter 29: historical aspects of the major neurological vitamin deficiency disorders: overview and fat-soluble vitamin A Douglas J Lanska  Clin Neurol . 2010;95:435-44. doi: 10.1016/S0072-9752(08)02129-5.
  2. KJ カーペンター:栄養学小史 その三(1912ー1944) 西南女子学院大学

ビタミン欠乏による主な病気

  • 夜盲症(ビタミンA欠乏)
  • 脚気(ビタミンB1欠乏)
  • 悪性貧血(ビタミンB12欠乏)
  • 壊血病(ビタミンC欠乏)
  • くる病(ビタミンD欠乏)
  • ぺラグラ(ナイアシン欠乏)

ビタミンの働き

ビタミンの多くは、「補酵素」として、特定の代謝酵素の働きに必須の役割を持っています。そのためビタミンが欠乏すると、特定の代謝経路が阻害されることになり、必要な生体構成要素がつくれなくなったり、必要なエネルギーが得られなくなって、病気になります。

ビタミンの種類

ビタミンA、ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB6,ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKという種類があります。なぜBだけ1,2,12とわかれているのか、なぜEの次がとんでKなのか、秩序が好きな人は発狂しそうないい加減な命名ですが、これはビタミンの研究の歴史によるものです。

さらにややこしいのは、ビタミンに分類されるのですが、ビタミンという名前では呼ばれていないものがあります。ナイアシンパントテン酸ビオチン葉酸もビタミンです。実際、これらはビタミン+アルファベット+数字の呼称で呼ばれることもあります。ナイアシン=ビタミンB3,パントテン酸=ビタミンB5,ビオチン=ビタミンB7,葉酸=ビタミンB9といった具合です。日本ではこれらは化合物名そのもので呼ばれることのほうが一般的です。

ビタミンは13種類もあるんですね。ビタミンB3,5,7,9は、ビタミンという言葉でなく、その化合物の名称そのもので呼ばれることが多いようです。ビタミンは文字通り生きるために重要な物質なので、全て名前、働き、欠乏したときの病気を覚えておく必要があります。まずは、水に溶けるか(水溶性ビタミン)、水に溶けないか(脂溶性ビタミン)とに分けて覚えましょう。抗酸化作用を持つビタミンとして、水溶性ビタミンであるビタミンC(アスコルビン酸)、脂溶性ビタミンのビタミンE(トコフェロール)を覚えておきましょう。

水溶性ビタミン

  1. ビタミンB1(チアミン)
  2. ビタミンB2(リボフラビン)
  3. ナイアシン(ビタミンB3)
  4. パントテン酸(ビタミンB5)
  5. ビタミンB6(ピリドキシン)
  6. ビオチン(ビタミンB7)
  7. 葉酸(ビタミンB9)
  8. ビタミンB12(シアノコバラミン)
  9. ビタミンC(アスコルビン酸) 抗酸化作用

脂溶性ビタミン

  1. ビタミンA(レチノール) 
  2. ビタミンD
  3. ビタミンE(トコフェロール) 抗酸化作用
  4. ビタミンK 補酵素として働く

ビタミン13個を暗記する方法

ビタミンの定義は、体に微量必要だけれども十分な量を合成できないので食事から摂取しなければいけない栄養素です。ビタミンの研究の歴史において、当初はビタミンだ(体の中では合成できない)と思われていなのに実は作れたというものもあるため、名前を与えられたあとでビタミンから外されたものがあります。そのため、ビタミンBの数字が飛び飛びになってしまいました。また、ビタミンに分類されますが別名のほうが通りがいいものもいくつかあります。

まずは13種類のビタミンのうち、脂溶性ビタミンはADEK(えいでっく),水溶性ビタミンはB群とCと覚えましょう。13-5=8個がビタミンB群ということになります。

12このうち、4,8,10,11,の4つはビタミンから外されました。ビタミンB群は1~12あるのに、途中が抜けていて、覚えにくいので、抜けた数字を覚えてしまったほうが楽です。4,8が抜けています。あとは12の前の2つが抜けています。

ビタミンB群は、「ちりなぱぴびようし」(散りな、パピ美容師)とでも覚えましょうか。

  • ビタミンB1 チアミン 補酵素チアミンピロリン酸(TPP)の材料
  • ビタミンB2 リボフラビン 補酵素FADや補酵素FMNの材料。ビタミンサプリを飲むと尿が鮮やかな黄色になるのはビタミンB2のせい。
  • ビタミンB3 ナイアシン(ニコチンアミド) 補酵素NADや補酵素NADPの材料
  • ビタミンB4 アデニン
  • ビタミンB5 パントテン酸 補酵素であるCoAの材料
  • ビタミンB6 ピリドキシン 補酵素
  • ビタミンB7 ビオチン 補酵素
  • ビタミンB8 イノシトール
  • ビタミンB9 葉酸 補酵素 ヌクレオチド合成に必要。欠乏すると胎児の神経管閉鎖障害。そのため妊活する女性は葉酸サプリを推奨されている(妊娠がわかってからでは遅すぎる恐れ)。
  • ビタミン10 パラアミノ安息香酸(para amino benzoic acid)
  • ビタミンB11 サリチル酸 (salicylic acid)
  • ビタミンB12 シアノコバラミン 補酵素 アミノ酸や脂質の代謝に関係
  • ビタミンC アスコルビン酸 抗酸化作用。プロリンをヒドロキシル化してヒドロキシプロリンにする酵素プロリルヒドロキシラーゼなど、補酵素(補因子)としての働きもある
  • ビタミンA レチノール 視物質で光を吸収する役割。
  • ビタミンD カルシフェロ―ル カルシムの吸収を促進
  • ビタミンE トコフェロール 抗酸化作用。
  • ビタミンK フィロキノン Kはドイツ語で凝固 KoagulationのK。血液凝固作用(止血作用)がある。

ビタミンB群は全て補酵素としての役割を持ちます。ビタミンCの一番の役割は抗酸化剤としてですが、補酵素としても働くことがあります。脂溶性ビタミンA,D,E,Kはそれぞれ特有の働きがあります。

初めてビタミンを発見したのは日本人!

ビタミンにはたくさんの種類がありますが、研究の歴史においては一つずつ発見されてきました。その最初のビタミンの発見者はなんと日本人で、鈴木梅太郎博士(1874~1943)です。最初に見つかったビタミンは、チアミン(ビタミンB1)でした(1910年)。ビタミンという呼び方は、鈴木梅太郎の発見よりもあとのことであり、鈴木梅太郎は自分が見つけたこの新たな栄養素をオリザニンと呼びました。

ビタミンB1は米ぬかに含まれており、精米して白米にすると摂取できません。白米ばかり食べていると脚気という病気になりますが、糠や玄米を食べることで脚気を予防したり快復させる効果があります。鈴木梅太郎は、糠の中に脚気を防ぐ物質があると考えて、その物質の精製を試みた結果、ビタミンB1の発見へとたどり着いたのです。

残念なことに鈴木梅太郎より1年おくれてビタミンB1を発見したポーランドのフンク博士がこれをビタミンを呼び、それが有名になってしまったそうです。

ビタミン発見の歴史

E.V.McCollum博士は実験により、牛乳中にネズミの成長に必須の物質としてFat soluble AWater soluble Bと呼ぶものを見出し、J.C.Drummond博士は航海中によくみられる壊血病の予防には檸檬などの柑橘類に含まれる成分が効果的であることを示してWater soluble Cと名付けたそうです。これらはそれぞれ、現在知られるビタミンA ,ビタミンB,ビタミンCです。

  1. ビタミン①ビタミンとは 食品分析開発センターSuntec

水溶性ビタミン、脂溶性ビタミン

どのビタミンが水溶性でどのビタミンが脂溶性かというのは国家試験で出題されたりします。覚えていないとどうしようもないのですが、ビタミンBとビタミンCは水溶性、のこりのビタミンA,D,E,Kが脂溶性です。化合物名で呼ばれているビタミンも水溶性です。

ビタミンB1

ビタミンB1が多く含まれる食べ物

ビタミンB1は、ぶた肉に多く含まれます。また、脚気の予防に使われたことからわかるように、玄米などにも含まれています。

  1. ビタミンB1を多く含む食品 大塚製薬
  2. ビタミンB1とは・・・ NST 栄養ひろばより

ビタミンB1の働き

ビタミンB1は、別名チアミンですが、リン酸機が2つついたチアミンピロリン酸(TPP)として、解糖系で補酵素の役割を果たします。

解糖系の産物であるピルビン酸は、アセチルCoAに変換されてTCA回路へと入りますが、ピルビン酸からアセチルCoAが作られる反応において、ピルビン酸脱水素酵素複合体(pyruvate dehydrogenase complex)が酵素として働きますが、その際、ビタミンB1は、チアミンピロリン酸として補酵素の役割を果たします。

  1. アミン 日本微量栄養素情報センター
  2. TCA回路 http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/
  3. ビタミンB1 日本薬学会 薬学用語解説
  4. 生物化学3(2-4)(9月28日~10月5日) 糖質の異化によるエネルギー獲得
  5. 2009年11月19日のつぶやき電子伝達系
  6. 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち 管理栄養士国家試験徹底解説 diet2005.exblog.jp

アセチルCoAの産生とビタミンの必要性

ピルビン酸脱水素酵素複合体(pyruvate dehydrogenase complex)は、解糖系で産生されたピルビン酸を次のステップであるクエン酸回路に受け渡す際に、クエン酸をアセチルCoAに変換する反応で働く酵素で、エネルギー代謝において非常に重要な位置にいます。ピルビン酸脱水素酵素複合体は、いくつもの補酵素が必要ですが、これらの補酵素はビタミンから作られます。ビタミンが生体にとって重要なわけですね。補酵素「チアミンピロリン酸」はチアミンすなわちビタミンB1から作られます。補酵素「αーリポ酸(alpha-lipoic acide)」は、ビタミン様物質と呼ばれることもあります。CoA(補酵素A)の構成物質の一つとしてはパントテン酸が必要です。補酵素「フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)」はリボフラビン(ビタミンB2)から作られます。補酵素「ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)」はナイアシンから作られます。このように、ピルビン酸脱水素酵素複合体が働くときに必要な補酵素は、いくつものビタミンから作られているのです。

ビタミンB1欠乏症「脚気」

脚気は、日本で白米を食べるようになって流行した病気だそうです。それまでは玄米を食べていたため、ビタミンB1を摂取できていたのでした。また明治、大正、昭和の時代も軍隊で脚気が流行り多くの死者を出しています。

  1. 脚気の発生 農林水産省
  2. チアミン欠乏症 (脚気;ビタミンB1欠乏症)MSDマニュアルプロフェッショナル版
  3. 『銃弾よりも多くの命を奪った脚気心』川田志明(慶應義塾大学名誉教授、山中湖クリニック理事長) 日本心臓財団
  4. 日清、日露戦争で3万人以上が「脚気」で死亡…文豪・森鴎外の「大失敗」とは? DIAMOND ONLINE

ビタミンC

  1. ビタミンCの発見と大航海時代 その③
  2. 水溶性ビタミン(1) Suntec

壊血病

今どきビタミンC不足になることなんてあるんだろうかと思いますが、野菜や果物を食べない偏食を続けていると、壊血病になるそうです。

  1. 日本でも壊血病はなくならない ビタミンCの真実
  2. 食べ物の豊富な先進国でみつかっている壊血病患者 ビタミンCの真実
  3. 壊血病 手稲渓仁会病院 総合内科 作成者: 大橋 祐介 監修者: 松坂 俊 J Hospitalist Network clinical question 2019年6月10日 症例:中学時代から野菜などを摂取しない食生活が続いており, 高校生時代から, 1日1食で済ますなどの生活をしていた. <追加採血検査> ビタミンC <0.2 μg/ml (基準値5.5-16.8)

ビタミンA

  1. Vitamin A (Oregon State university Linus Pauling Institute » Micronutrient Information Center)
  2. Vitamin A: β-Carotene (LibreText Chemistry)
  3. Mechanisms of Transport and Delivery of Vitamin A and Carotenoids to the Retinal Pigment Epithelium Mol Nutr Food Res . 2019 Aug;63(15):e1801046. doi: 10.1002/mnfr.201801046. Epub 2019 Feb 14. Vision depends on the delivery of vitamin A (retinol) to the retina. Retinol in blood is bound to retinol-binding protein (RBP).

参考

  1. The discovery of the vitamins Richard D Semba Int J Vitam Nutr Res . 2012 Oct;82(5):310-5. doi: 10.1024/0300-9831/a000124. PubMED
  2. ビタミンQ&A(よくある質問)日本ビタミン学会
  3. 鈴木梅太郎(ウィキペディア)
  4. くすり偉人伝No.04 鈴木梅太郎 製薬協
  5. 栄養教養学部 / カラダ整え学科 ビタミンB1 大塚製薬
  6. ビタミンのはなし(14)~ビタミンK1とビタミンB12 2010年5月 6日 08:00 伊藤 仁  ビタミンKの大きな働きは出血時に血を固めたり、骨の形成に関与する。‥ デンマークのダムは、1929~30年にかけてニワトリのコレステロール代謝を研究している。無脂肪飼料で飼育したニワトリの成長が止まり、消化管や皮下、筋肉内で出血することを観察した。「出血を防止する」、すなわち「凝固(ドイツ語でKoagulation)」の頭文字をとって、この成分をビタミンKと名付けた。‥ B12悪性貧血を予防するのみでなく、神経の機能維持にも有効に働く。‥ B12は現在、ビタミンとして世界的に認知されている13種類最後に発見・構造決定・合成されたビタミンである。
  7. ビタミンのはなし(13) ナイアシンパントテン酸 2010年4月27日  伊藤 仁
  8. ビタミンのはなし(12)~ビタミンB2とビタミンB6 2010年4月19日 08:00 伊藤 仁 ビタミンB2(リボフラビン)が欠乏すると口角炎(口の端がきれ、カサブタができる)、口唇炎(唇がはれて赤くなる)、舌炎(舌がはれて痛みや灼熱感を伴う)などの口のまわりの症状や、脂漏性皮膚炎(小鼻の脇などに脂肪のブツブツが出来る)、眼瞼炎、眼精疲労などの目や鼻の症状がしばしば見られる。‥ ビタミンB2を含むビタミン剤を摂ると、尿が黄色くなる。‥ タンパク質の成分であるアミノ酸の合成や分解にかかわる酵素に対しB6は補酵素として働くので、B6が不足するとアミノ酸代謝に異常が起こる。
  9. ビタミンのはなし(11)~ビタミンEの抗酸化作用 2010年4月13日 08:00 1922年から41年にわたり動物における不妊症筋ジストロフィーなどのビタミンE欠乏症が報告されているが、ヒトでの必須栄養素に認定されたのは68年だった。‥ ビタミンEは当初、不妊症のビタミンとして知られていたが、現在ではその重要な生理作用は抗酸化作用にあり、老化ないし加齢に伴う様々な疾病の予防に有効であるとされる。
  10. ビタミンのはなし(10)~葉酸と新生児の神経管閉鎖障害 2010年4月 7日 08:00 剤の投与によっても治癒されない貧血があり、悪性貧血といわれ19世紀の医学界の大きな課題であった。1931年にアメリカのキャッスルが動物の栄養障害による貧血を予防する因子が肝臓中にあると報告した。1941年にアメリカのネスルは、悪性貧血予防因子がほうれん草に含まれることを発見し葉酸と命名した。‥ 妊娠予定の4,000人以上の女性へ、葉酸400μg(0.4mg)を投与したグループと非投与グループに分けて試験を実施したところ、非投与グループで6名の神経管閉鎖障害を持つ新生児が生まれたのに対し、葉酸を投与したグループでは0名であった。‥ 1998年からアメリカやカナダ、その後、イギリス、オーストラリア、アイルランド、オランダ、ノルーウェー等の各国ではコーンフレークやシリアル類等の小麦製品に葉酸400μg(0.4mg)の添加を義務づけたり、妊娠期の女性は1日400μg(0.4mg)以上の葉酸を摂取するよう勧告している。
  11. ビタミンのはなし(9)~ビオチンと掌蹠膿疱(しょうせきのうほう)症や糖尿病 2010年3月29日 08:00 伊藤 仁  ビオチンは長い間、ヒトでは乳児の脂漏性皮膚炎が欠乏症として知られていた。これまで難病の1つとして、あるいは尋常性乾癬として診断されてきた掌蹠膿庖性骨関節炎がビオチンの欠乏によって引き起こされることが、前橋賢(秋田県本荘第一病院免疫内科)によって明らかにされた。
  12. ビタミンのはなし(8)~ビタミンAとカロテンの様々な役割 2010年3月23日 10:57 伊藤 仁 植物中にはβ-カロテンと呼ばれるプロビタミンが存在する。β-カロテンは体内のビタミンAが不足すると小腸上皮細胞でビタミンAに変換されて利用されるので、プロビタミンAと呼ばれる。
  13. ビタミンのはなし(7)~ビタミンAとカロテンの発見と構造決定 2010年3月15日 15:00 伊藤 仁  ビタミンA化学構造1931年にスイスのカラーが、オヒョウ油からの研究で決定した。
  14. ビタミンのはなし(6)~ビタミンCと血圧調整等の有用性 2010年3月 8日 10:15 伊藤 仁
  15. ビタミンのはなし(5)~ビタミンCとライナス・ポーリング 2010年3月 1日 10:16 伊藤 仁 1977年に医師のキャメロンと共著で『がんとビタミンC』を出版、医学会をはじめ世間一般に大きな衝撃を与えた。このビタミン大量療法(メガビタミン主義)の臨床的効果は、否定的見解が多い。ただし、アメリカのNIH(国立衛生研究所)は、大量・高濃度ビタミンC点滴療法が、がんに対して有効かどうかの臨床試験を現在実施している。
  16. ビタミンのはなし(4)-ビタミンCの発見と合成 2010年2月16日  伊藤 仁 ほかの12種類のビタミンがヒトの体内で合成されるのに対し、ビタミンCだけはその合成にかかわる酵素(L-グロノラクトン酸化酵素)が遺伝的に欠損している。
  17. ビタミンのはなし(3) 伊藤 仁 2010年2月15日 日本において、脚気による死亡者数は1945年ごろまでに毎年1万人を超えている。1950(昭和25)年で約4,000人だった。脚気による死亡者が0(ゼロ)になったのは1960(昭和35)年代に入ってからである。‥ ところが1975年、西日本の高校生に脚気が再発した。原因は砂糖の多い飲料や食品、そしてインスタント食品などのジャンクフードを食べていたことに起因している。
  18. ビタミンのはなし(2) 伊藤 仁 2010年2月 8日  明治時代、脚気は結核と並んで二大国民病とされ、年間1万人から3万人もの死者を記録している。‥ 鈴木梅太郎1910年、米ヌカのなかの栄養素を結晶状に精製し、1912年にはドイツの学会誌に『オリザニン』という名称で発表した。前年の1911年、ポーランドのフンクはこれと類似した物質を「生命に必要なアミン」という意味で『ビタミン』と名付けて発表している。
  19. ビタミンのはなし(1) 伊藤 仁 2010年2月 1日 トウモロコシをひいた粉を主食とし、その他の食べ物を摂れない貧しい農民にひどい皮膚炎、慢性の下痢、さらには脳障害から痴呆にまでなる病気で年間20万人が発症し、1万人近くが死亡する状態がつづいていた。これは「ペラグラ」という病気で、ビタミンB群の一種であるナイアシンの欠乏症だった。