プロピオン酸とは

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プロピオン酸の構造

プロピオン酸はカルボン酸の一つで、炭素数3です。

炭素数1が蟻酸(ぎさん)で、化学式はHCOOH

炭素数2が酢酸(さくさん、acetic acid)で、化学式はCH3-COOH

炭素数3がプロピオン酸(propionic acid)で、化学式はCH3-CH2-COOH

となります。3つまとめて覚えたほうが楽でしょう。アルカンは炭素数の順に、メタン(炭素数1)、エタン(炭素数2)、プロパン(炭素数3)なので、prop-an  + ionic acid でpropionic acidというわけ。

プロピオン酸は脂肪酸か

http://www.med.teikyo-u.ac.jp/~lipo/lecture/fa/fa.html

炭素が十数個つながって末端にカルボキシ基がついている化合物は脂肪酸と呼ばれます。何個から何個までが脂肪酸なのかというのは、あまり明確に決まっていないような気がします。構造的には1個でも100個でも、統一性はあるわけですが、そこは、生物の話ですので、適切な長さというものがあります。

酢酸プロピオン酸は構造的には一連の物質であるが、脂肪酸というには抵抗がある。結局、炭化水素鎖の一端にカルボキシル基を有し(カルボン酸)水に溶けないものという定義になるのではないだろうか。http://www.med.teikyo-u.ac.jp/~lipo/lecture/fa/fa.html

  1. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan/13/1/13_1_12/_pdf/-char/ja

プロピオン酸の産生

生化学講義のどこでプロピオン酸が出てきたかというと、奇数個の炭素をもつ脂肪酸のβ酸化の最後のステップでした。偶数個であれば、CH3-COO-S-COAで、アセチルCoAとして短くなっていき、最後に残るのもアセチルCoAなわけですが、炭素が奇数個の場合は、最後は炭素数3つのプロピオニルCoA(プロピオン酸とCoAとが結合したもの)になります。

奇数個の炭素鎖を持つ脂肪酸の酸化では最後プロピオニルCoA (C3) が生産される。プロピオニルCoAは別の代謝経路で脱炭酸されてアセチルCoAとなり、クエン酸回路などの反応系に組み込まれる。また一部はアラニン合成に使用される。(β酸化 ウィキペディア)

プロピオン酸の意義

トリグリセリドから遊離されたオレイン酸やプロピオン酸などはph5~6(ph0=酸性、ph7=中性、ph14=アルカリ性)であり、それらの酸が皮膚に遊離する事で皮膚表面を弱酸性にしています。皮膚表面を弱酸性に保つことによって、アルカリ性を好む黄色ブドウ球菌、化膿レンサ球菌などの増殖を抑制し、一方で弱酸性を好む表皮ブドウ球菌やプロピオニバクテリウムといった常在菌の増殖を促進します。https://www.doctors-organic.com/jyozaikin/

細菌によるプロピオン酸産生

Bacteroidesは酢酸とコハク酸が主要な糖代謝物であるが,炭素源やエネルギー源が少ないときコハク酸脱炭酸してプロピオン酸を生成する.また,コハク酸からプロピオン酸を生成する過程でビタミンB12コバルトイオンの存在が必要とされている.また,プロピオン酸はBifidobacteriumの増殖を促進するのでエネルギー源になっていると考えられる.

生体内ではビタミン類や微量元素の欠乏が起こりにくいのでBacteroides属による糖の代謝は速やかにプロピオン酸まで進むと考えられる.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jim/19/3/19_3_169/_pdf

細菌によるプロピオン酸産生と人体への供給

腸内フローラは経口摂取した難分解性多糖から短鎖脂肪
(酢酸、酪酸、プロピオン酸、乳酸)を発酵により生成し、宿
主であるヒトに成人1人あたり300-700kcal/日のエネルギーを
供給している。

酢酸とプロピオン酸は門脈を経て肝臓で代謝され、プロピオン酸は血清コレステロール値や血糖値を低下させるが、酢酸の一部は末梢
組織に到達し脂肪組織等で代謝される。https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspen/31/5/31_1095/_pdf

短鎖脂肪酸の一種であるプロピオン酸はヒトを含む多くの動物の腸内における主要な微生物発酵代謝物であり、心肥大や線維化の予防、血管機能障害の抑制、大腸炎症の改善など、腸を越えて全身に多彩な健康増進効果を発揮していることが明らかになりつつあります。https://www.riken.jp/press/2023/20230510_2/index.html

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