そもそもビタミンとは?

ビタミンという言葉はお馴染みですが、ビタミンの定義は?とあらたまって聞かれて正確に答えられますか?

ビタミンの定義

3大栄養素といえば、糖質、タンパク質、脂質で、それにビタミンとミネラルを合わせて5大栄養素と言われます。ビタミンとは、生体にとって必須であるにもかかわらず、体内で合成することができないため、食べ物から摂取する必要がある化合物のことです。

ビタミンは種類が多く、様々な役割をもっていて、ビタミンが欠乏するといろいろな病気になるので、覚えるべきことがたくさんあって学習者には大変なトピックです。ただ、人間は生体内で生合成できないので、生合成の経路を勉強しなくていいというところが、せめてもの救いですね。

ビタミン説

5大栄養素といえば、糖質、タンパク質、脂質、ミネラル、そしてビタミンです。ビタミンが発見される前は、糖質、タンパク質、脂質、ミネラルの4つが人間が必要とする栄養素だと考えられていました。病気の原因といえば、毒素であったり病原菌であったわけです。ところが、どうやら病気によってはその原因が栄養素の欠乏にあるようだということがわかってきました。そこで生命に必須のアミンとして、vital amine = vitamine という名前が作り出されたのです。その後の研究の進展とともにamineに限るものではないことがわかり、vitaminと少し名前がかわりましたがこのコンセプトは生き残りました。微量だけれどもそれがないと人間が生きられない、そういう栄養素の正体が研究によって追い求められた結果、種々のビタミンが発見されたのです。

  1. Chapter 29: historical aspects of the major neurological vitamin deficiency disorders: overview and fat-soluble vitamin A Douglas J Lanska  Clin Neurol . 2010;95:435-44. doi: 10.1016/S0072-9752(08)02129-5.
  2. KJ カーペンター:栄養学小史 その三(1912ー1944) 西南女子学院大学

ビタミン欠乏による主な病気

  • 夜盲症(ビタミンA欠乏)
  • 脚気(ビタミンB1欠乏)
  • 悪性貧血(ビタミンB12欠乏)
  • 壊血病(ビタミンC欠乏)
  • くる病(ビタミンD欠乏)
  • ぺラグラ(ナイアシン欠乏)

ビタミンの働き

ビタミンの多くは、「補酵素」として、特定の代謝酵素の働きに必須の役割を持っています。そのためビタミンが欠乏すると、特定の代謝経路が阻害されることになり、必要な生体構成要素がつくれなくなったり、必要なエネルギーが得られなくなって、病気になります。

ビタミンの種類

ビタミンA、ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB6,ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKという種類があります。なぜBだけ1,2,12とわかれているのか、なぜEの次がとんでKなのか、秩序が好きな人は発狂しそうないい加減な命名ですが、これはビタミンの研究の歴史によるものです。

さらにややこしいのは、ビタミンに分類されるのですが、ビタミンという名前では呼ばれていないものがあります。ナイアシンパントテン酸ビオチン葉酸もビタミンです。実際、これらはビタミン+アルファベット+数字の呼称で呼ばれることもあります。ナイアシン=ビタミンB3,パントテン酸=ビタミンB5,ビオチン=ビタミンB7,葉酸=ビタミンB9といった具合です。日本ではこれらは化合物名そのもので呼ばれることのほうが一般的です。

ビタミンは13種類もあるんですね。ビタミンB3,5,7,9は、ビタミンという言葉でなく、その化合物の名称そのもので呼ばれることが多いようです。

  1. ビタミンA(レチノール)
  2. ビタミンB1(チアミン)
  3. ビタミンB2(リボフラビン)
  4. ナイアシン(ビタミンB3)
  5. パントテン酸(ビタミンB5)
  6. ビタミンB6(ピリドキシン)
  7. ビオチン(ビタミンB7)
  8. 葉酸(ビタミンB9)
  9. ビタミンB12(シアノコバラミン)
  10. ビタミンC(アスコルビン酸)
  11. ビタミンD
  12. ビタミンE(トコフェロール)
  13. ビタミンK

初めてビタミンを発見したのは日本人!

ビタミンにはたくさんの種類がありますが、研究の歴史においては一つずつ発見されてきました。その最初のビタミンの発見者はなんと日本人で、鈴木梅太郎博士(1874~1943)です。最初に見つかったビタミンは、チアミン(ビタミンB1)でした(1910年)。ビタミンという呼び方は、鈴木梅太郎の発見よりもあとのことであり、鈴木梅太郎は自分が見つけたこの新たな栄養素をオリザニンと呼びました。

ビタミンB1は米ぬかに含まれており、精米して白米にすると摂取できません。白米ばかり食べていると脚気という病気になりますが、糠や玄米を食べることで脚気を予防したり快復させる効果があります。鈴木梅太郎は、糠の中に脚気を防ぐ物質があると考えて、その物質の精製を試みた結果、ビタミンB1の発見へとたどり着いたのです。

残念なことに鈴木梅太郎より1年おくれてビタミンB1を発見したポーランドのフンク博士がこれをビタミンを呼び、それが有名になってしまったそうです。

ビタミン発見の歴史

E.V.McCollum博士は実験により、牛乳中にネズミの成長に必須の物質としてFat soluble A、Water soluble Bと呼ぶものを見出し、J.C.Drummond博士は航海中によくみられる壊血病の予防には檸檬などの柑橘類に含まれる成分が効果的であることを示してWater soluble Cと名付けたそうです。これらはそれぞれ、現在知られるビタミンA ,ビタミンB,ビタミンCだったのでした。

  1. ビタミン①ビタミンとは 食品分析開発センターSuntec

水溶性ビタミン、脂溶性ビタミン

どのビタミンが水溶性でどのビタミンが脂溶性かというのは国家試験で出題されたりします。覚えていないとどうしようもないのですが、ビタミンBとビタミンCは水溶性、のこりのビタミンA,D,E,Kが脂溶性です。化合物名で呼ばれているビタミンも水溶性です。

ビタミンB1

ビタミンB1が多く含まれる食べ物

  1. ビタミンB1を多く含む食品 大塚製薬

ビタミンB1の働き

ビタミンB1は、別名チアミンですが、リン酸機が2つついたチアミンピロリン酸(TPP)として、解糖系で補酵素の役割を果たします。

解糖系の産物であるピルビン酸は、アセチルCoAに変換されてTCA回路へと入りますが、ピルビン酸からアセチルCoAが作られる反応において、ビタミンB1は、チアミンピロリン酸として補酵素の役割を果たします。

  1. アミン 日本微量栄養素情報センター
  2. TCA回路 http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/
  3. ビタミンB1 日本薬学会 薬学用語解説
  4. 生物化学3(2-4)(9月28日~10月5日) 糖質の異化によるエネルギー獲得
  5. 2009年11月19日のつぶやき電子伝達系
  6. 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち 管理栄養士国家試験徹底解説 diet2005.exblog.jp

脚気

脚気は、日本で白米を食べるようになって流行した病気だそうです。それまでは玄米を食べていたため、ビタミンB1を摂取できていたのでした。また明治、大正、昭和の時代も軍隊で脚気が流行り多くの死者を出しています。

  1. 脚気の発生 農林水産省
  2. チアミン欠乏症 (脚気;ビタミンB1欠乏症)MSDマニュアルプロフェッショナル版
  3. 『銃弾よりも多くの命を奪った脚気心』川田志明(慶應義塾大学名誉教授、山中湖クリニック理事長) 日本心臓財団
  4. 日清、日露戦争で3万人以上が「脚気」で死亡…文豪・森鴎外の「大失敗」とは? DIAMOND ONLINE

ビタミンC

  1. ビタミンCの発見と大航海時代 その③
  2. 水溶性ビタミン(1) Suntec

壊血病

今どきビタミンC不足になることなんてあるんだろうかと思いますが、野菜や果物を食べない偏食を続けていると、壊血病になるそうです。

  1. 日本でも壊血病はなくならない ビタミンCの真実
  2. 食べ物の豊富な先進国でみつかっている壊血病患者 ビタミンCの真実
  3. 壊血病 手稲渓仁会病院 総合内科 作成者: 大橋 祐介 監修者: 松坂 俊 J Hospitalist Network clinical question 2019年6月10日 症例:中学時代から野菜などを摂取しない食生活が続いており, 高校生時代から, 1日1食で済ますなどの生活をしていた. <追加採血検査> ビタミンC <0.2 μg/ml (基準値5.5-16.8)

参考

  1. ビタミンQ&A(よくある質問)日本ビタミン学会
  2. 鈴木梅太郎(ウィキペディア)
  3. くすり偉人伝No.04 鈴木梅太郎 製薬協
  4. 栄養教養学部 / カラダ整え学科 ビタミンB1 大塚製薬